独学で社労士に合格するための期間は?目安の勉強時間や学習スケジュールを解説

更新

社労士(社会保険労務士)は社会保険、労働保険、および雇用管理に関する専門家であり、独占業務を持つ士業として高い人気を誇っています。

一方で社労士になるためには非常に高難度な社労士試験を突破する必要があり、試験の合格は一筋縄ではいきません。

本記事ではそんな社労士試験に独学で挑戦する際にはどれくらいの勉強時間や年数が必要なのかにフォーカスして解説します。


このページにはプロモーションが含まれています

社労士に独学合格するための勉強時間の目安

社労士の独学合格までの勉強時間・期間

社労士試験の独学合格を目指すにあたり、勉強時間の計画は非常に重要です。

特に独学で挑む場合、自分のペースで学べるメリットがありますが、これが逆に最も時間がかかる方法となることも少なくありません。勉強中に遭遇する疑問や困難を自分自身で解決する必要があり、これが初心者にとっては特に大きな課題です。

​社労士の合格までには独学か予備校等を使用するかに関わらず、一般に800~1,000時間の勉強が必要とされることが多いです。

実際、スキルアップ研究所が実施した社労士合格者を対象にした調査でも、社労士の合格までには平均900時間ほどの勉強が必要だったことが明らかになっています。

学習時間

回答数

500時間未満

3

500~700時間

4

700~900時間

6

900~1100時間

3

1100時間以上

10

ただし上記データが示すように個人の資質や使用する教材によって効率は変わるので、500時間未満で合格する人もいれば、または1,100時間以上要する場合もあります。

特に独学で挑戦する場合は予備校や通信講座の利用者よりも学習で躓く回数が増えることが予想されるので、少なくとも1,000時間の勉強時間を見込むことが賢明でしょう。

社労士の独学はどれくらいの期間が必要か

学習期間

回答数

6ヶ月未満

1

6~12ヶ月

5

1年~1年半

3

1年半~2年

5

2年以上

12

スキルアップ研究所が実施した調査によれば、社労士の合格までに必要な学習期間は「2年以上」が最も多く、次いで「1.5〜2年」と「6〜12ヶ月」が続きました。

2年以上というのは1度不合格になって再受験した人も多く含まれることを考えると、実質的に一通りの試験対策に必要な期間は1〜1.5年程度であることが伺えます

仕事をしている社会人の場合

社会人が社労士試験の独学にどれくらいの期間を要するかは、個人の日々の生活スケジュールに影響されます。平日は仕事に加えて、残業や通勤時間も考慮する必要があり、土日祝日の利用も計画的に行う必要があります。

例として、朝7時に起き、夜20時に帰宅し、1時に就寝する生活パターンを想定しましょう。勉強時間を確保しやすいのは夜の帰宅後でしょうが、夕食、入浴、その他の家事を考慮すると、実際に勉強できるのは1~3時間が現実的な見積もりです。

土日祝日については、全日を勉強に充てることが可能であれば理想的ですが、社会生活の中では家族や友人との約束など、他の予定も入ります。

そのため土日祝日に確保できる勉強時間は、1日あたり平均して5時間程度が現実的な目安となります。これは相当量の勉強時間を割り当てる計画であり、家族や友人の理解と協力が必要になるでしょう。

1年以上確保するのがおすすめ

社会人が社労士試験の合格を目指して勉強を計画する際、上記のように平日毎日2時間、週末には各5時間の勉強時間を割り当てるというスケジュールが想定されることが多いです。

この勉強ペースを維持できた場合、1週間で合計20時間の勉強時間を確保でき、年間では約52週を通じて1,040時間の勉強時間が確保可能となります。

しかし、この計算は年末年始やゴールデンウィーク、お盆休み、シルバーウィークなどの長期休暇を考慮していません。休暇期間中は、通常よりも多くの勉強時間を確保できる可能性がありますが、多くの人がプライベートな予定を入れる時期でもあります。

そのため実際には、1年間で1,000時間の勉強時間を確保することは、多くの社会人にとってはハードな目標であると言えます。

これらのことから、社会人が社労士試験の合格を目指す場合、1年間だけでなくより長期的な視点で勉強時間を計画する必要性があるでしょう。


社労士の独学のための学習スケジュール例

次に社労士の独学合格までの期間から逆算して、日々の学習スケジュールの例を考えてみましょう。

1年半程度の勉強期間をとってスタートさせる場合

1年半を見込んで独学による学習計画を立てる際、十分な日数を確保することが可能です。

1月から3月にかけて学習を始め、8月までには試験科目の全体像の理解に努めましょう。

そして9月以降は問題演習に取り組み知識の定着と実践力を高めることで、合格レベルに達することができます。

長期間の学習は、精神的・肉体的な疲労が蓄積しやすいため、「毎週特定の曜日を休息日とする」といった形で、完全に勉強から離れる日を設けることがおすすめです。

時期

勉強内容

勉強時間

前年3~6月

全体を通して学ぶ(1周目)

  • 試験の全体像をイメージする

300時間程度

前年7~10月

全体を通して学ぶ(2周目)

  • 演習問題を多めに採り入れる

250時間程度

前年11月~2月

全体を通して学ぶ(3周目)

  • 苦手分野に重点を置いて学ぶ

250時間程度

3~6月

全体を通して学ぶ(4周目)

  • 過去問対策を始める

250時間程度

7~8月

直前対策

  • 模試で判明した弱点の克服
  • 過去問対策を重視

150時間程度

これはおすすめの勉強スケジュールの一例です。全出題範囲を網羅するために3~4回の繰り返し学習を行うスケジュールですので、学習効率を高める上で非常に有効です。

また月間75時間の勉強時間を設けることは、バランスが取れた比較的リラックスしたスケジュールであり、現実的に実行可能だと言えるでしょう。この計画を実施することで、総勉強時間は約1,200時間に達するため、独学でも社労士試験の合格は十分に目指せます

さらに、毎年7月に実施される社労士試験の模擬試験は必ず受験しましょう。模擬試験の結果を基に、試験までの最後の2ヶ月間は自分の弱点を集中的に克服することに注力することがおすすめです。

この時期に過去問題の対策も並行して進めることで、試験に対する準備をより万全にすることができるでしょう。

1年程度の勉強期間をとってスタートさせる場合

社労士試験を目指す方々にとって最も一般的なスケジュールは、1年程度の勉強期間を設けることです。毎年の社労士試験が終わる時期に勉強を開始し、次の年の社労士試験を目指すパターンです。

時期

勉強内容

勉強時間

前年9~12月

全体を通して学ぶ(1周目)

  • 試験の全体像をイメージする

360時間程度

1~3月

全体を通して学ぶ(2周目)

  • 苦手分野に重点を置いて学ぶ

270時間程度

4~6月

全体を通して学ぶ(3周目)

  • 過去問対策を始める

270時間程度

7~8月

直前対策

  • 模試で判明した弱点の克服
  • 過去問対策を重視

150時間程度

この学習計画では、社労士試験までに3周の勉強サイクルを完了する目標で、月間90時間の勉強時間を設定しています。

この目標を達成するためには、平日毎日2時間、週末には各5時間の勉強が求められ、このリズムを1年間維持することが必要です。

1周目の終わりには年末年始、3周目の半ばにはゴールデンウィーク、そして試験直前にはお盆休みといった大きな休暇が設けられています。これらの長期休暇を効果的に利用して、計画的に学習を進めることが重要です。

また、試験の2ヶ月前からは、自身の弱点を重点的に強化し、過去問題を解くことに集中する期間として、最終的な準備に専念しましょう。

9ヶ月程度の勉強期間をとってスタートさせる場合

次に9ヶ月の勉強期間で社労士の合格を目指すスケジュールです。12月に勉強を開始し、次の年の社労士試験を目指します。総勉強時間も短くなることが考えられるため、集中的にスケジュールを組み必要があるでしょう。

時期

勉強内容

勉強時間

前年12月~2月

全体を通して学ぶ(1周目)

  • 試験の全体像をイメージする
  • 自身の弱点をある程度把握する

300時間程度

3~6月

全体を通して学ぶ(2周目)

  • 苦手分野に重点を置いて学ぶ
  • 過去問対策を始める

400時間程度

7~8月

直前対策

  • 模試で判明した弱点の克服
  • 過去問対策を重視

150時間程度

9ヶ月の期間内で社労士試験合格に必要な勉強時間を確保するためには、月間100時間の学習が必要です。これを達成するには、平日2時間、土日5時間の学習ペースでは不足し、さらに多くの時間を割く必要が出てきます。

この密度の高いスケジュールでも全体の内容を網羅するためには、2周の復習が限界となる可能性が高いです。この期間内に、自分の弱点を正確に把握し、試験の全体構造を理解し、過去問題の演習を含む対策を進めることが求められます。

したがって、単に勉強時間を多く取るだけでなく、その時間をいかに集中して有効に使うかが重要になります。

このような勉強スケジュールは、社労士試験についてある程度の予備知識を持つ人や、他の資格試験を独学で合格した経験がある人に適しています。初学者にとっては、このスケジュールはおすすめできません。

最短で社労士に合格するための6つのポイント

できるだけ規則正しい生活を続け学習を継続する

定期的な生活リズムを保ちながら継続的に学習を行うことがおすすめです。これを実現するためには、日々一定のスケジュールに従って生活しましょう。

具体的には、毎日特定の時間に勉強を始めるなど計画的に日常を過ごしましょう。こうすることで必要な学習時間をしっかりと取り、勉強習慣を身につけることができます。

また、特に社労士試験のような難関試験に挑戦する際には勉強が苦手と感じる人も少なくないでしょう。そんな人ほど、日々の生活に一定のリズムを取り入れ、決められた時間に学習する習慣を築くことが重要です。

このようにして勉強の習慣を確立すれば、学習そのものへの苦手意識を克服し、より効率的に学習を進めることが可能になります。

ベテラン講師が指導する勉強法を知る

社労士試験の効率的な勉強法を身につけることは、合格への確かな一歩となります。

特に入試試験からあまり日が経っていない学生の方などであれば、その時の感覚をを活用できるかもしれません。しかし、長期間勉強から離れていた方や法律系が初めての方は、独学では非効率になりがちです。そのため、まずは正しい勉強法を学ぶことが肝要です。

資格予備校のクレアールでは、担当講師が社労士の試験対策を効率的に行うためのノウハウをまとめた書籍を作成しており、予備校で指導されている勉強法を書籍を通じて学ぶことができます。

この書籍はAmazon等でも購入できますが、現在は無料プレゼントが実施されているので、出費0円で勉強ノウハウを学ぶことができます。ただし、プレゼントは先着100名様限定のため、この機会を逃さず手に入れておきましょう。


スキマ時間を有効活用する

日々の忙しいスケジュールの中では、勉強時間を確保することさえ難しいでしょう。そのため日常生活に潜むスキマ時間の活用が鍵となります。

多くの人が見過ごしがちなこれらのスキマの時間は、実は学習に充てる絶好の機会です。例えば、社会人なら通勤時間やランチブレイク、主婦(主夫)なら洗濯機を回している時間も、これに該当します。

これらのスキマ時間を利用して、たとえばテキストを読む、問題を解くなどの短い学習活動を行うことで、これらの断片的な時間を有効に勉強時間に変えることができます。毎日積み重ねることで、月に15時間、年間では182時間もの追加の勉強時間を確保することが可能です。

1問あたりにかかる解答時間を短くする

社会保険労務士試験の選択問題セクションには、210分の制限時間内に70問を解く必要があります。これは各問題に約3分で解答して行かなければならないことを意味します。

従って、試験で全問に回答するためには、事前にこの時間配分で問題を解けるように準備が必要です。学習がある程度進んできたら、解答時間を意識しながら問題演習を行うことが良い練習になります。

完璧を目指しすぎない

社労士試験においては、多数の科目からの出題があり、各科目には独自の「合格基準点」が設けられています。このため、ほぼ全科目で高得点を取っても、一つの科目で基準点に達していない場合は、試験に落ちることになります。

したがって、各科目で約70%の得点率を達成すれば合格することができるので、全科目で満点を目指すよりも、全科目を均一に70%以上得点できるように学習を進める方が、より効果的な勉強法だと言えます。

1日あたりの勉強時間を増やす

合格者からよく聞かれるアドバイスの一つは、「日々及び週単位で多くの勉強時間を確保していた」というものです。具体的な勉強時間について尋ねたところ、「約800時間」という回答が得られることが多いです。

これは勉強期間が短いにもかかわらず、平均的な合格者と同等の勉強時間を確保していたということを意味します。詳細に話を聞くと、日常では4~5時間、休日には10時間以上を勉強に充てていたという方もいるようです。

社会保険労務士試験に多く挑戦する社会人にとって、日々や週ごとに多くの時間を学習に割くことは容易ではありませんが、合格にはこのような取り組みが有効であることが分かります。

社労士試験の難易度は独学するには高すぎる?

社労士試験の合格率は、年によってわずかな変動は見られますが、一般的には6〜7%の範囲で推移しています。ここでは、平成30年度から令和6年度までの社労士試験の合格率を参照しています。

試験実施年度

合格率

令和6年度

6.9%

令和5年度

6.4%

令和4年度

5.3%

令和3年度

7.9%

令和2年度

6.4%

令和元年度

6.6%

平成30年度

6.3%

参考:社会保険労務士試験の結果について

総合得点の基準以外に、それぞれの科目にも合格基準点が設けられていることも、社労士試験の合格が難しい一つの理由です。例年約6%の合格率から、高難易度であることがわかります。

社労士試験が難しいとされている理由は?

資格名

合格率

勉強時間の目安

社労士試験

6~7%前後

800~1000時間

行政書士試験

10%前後

600時間

宅建試験

15~17%前後

300~400時間

表からわかる通り、社労士試験は行政書士試験や宅建試験と比較して合格率が低く、勉強時間の目安も圧倒的に多いことから、難易度が高い試験であることが予測できます。

以下ではなぜ社労士試験が難しいとされているのか解説します。

試験範囲が多い

社労士試験では、雇用保険法や健康保険法など7つの分野から択一式は各10問の計70問選択式は計8問の問題が出題されます。

特に択一式の試験は70問を210分で解かなければなりません。試験範囲が膨大であるため試験時間が足りないという声が多数挙がっているようです。

また、試験時間がとても長いため、最後まで集中力を保てるかどうかも大きな課題となります。

科目ごとに合格基準点が設けられている

社労士試験は科目ごとに合格基準点があり、すべてをクリアすることが合格の条件となっているため、苦手科目を作ることができません。

自分の得意な科目で満点であっても、苦手科目が足を引っ張って不合格というケースもあります。

具体的には、選択式試験の総得点40点中25点以上、かつ各科目5点中3点以上
択一式試験の総得点70点中45点以上、かつ各科目10点中4点以上です。

捨て科目を作らずまんべんなく勉強することが大切です。

法改正が毎年ある

社労士試験は法改正の影響を一番受ける試験であると言われています。

試験に出題される法改正の範囲はその年の4月上旬時点までのものとなっています。ただでさえ覚えることがたくさんあるため法改正まで手が回らない、と多くの受験生を苦しめる要素となっています。

短期間でも着実に社労士合格を目指すなら?

独学よりも講座受講がおすすめ

社会保険労務士試験の短期合格を目指す場合、独学のみに頼るのではなく、通信講座の活用がおすすめです。なぜなら、社労士試験を深く理解している専門の講師が指導にあたり、効率的な学習方法を提供してくれるからです。

このようなサポートを受けることにより、独学と比べて学習の効率が向上し、必要な勉強時間を大幅に削減することが可能になります。

同様のメリットは予備校への通学にも見られますが、通学にはいくつかの不便さが伴うため、その点を理解した上で選択する必要があります。この不便さについては次で詳しく説明します。

予備校より通信講座の方が働きながらでも学びやすい

予備校と通信講座は、どちらも専門講師から学べる効果的な学習プログラムが提供されていますが、通信講座の方がスケジュールの観点でおすすめです。

予備校に通う場合、授業に出席する必要がありますが、社会人の日常は予測不可能な業務や急な予定が多いでしょう。授業に出席するために必要な時間を確保することが難しく、専門講師からの直接指導という利点を活かせない場合があります。

加えて、予備校に通うための移動時間も大きな障害となり得ます。社労士試験に合格するためには、限られた勉強時間を最大限に活用することが重要ですが、通学のためにかかる時間は、この貴重な勉強時間を削ってしまいます。

これに対して、通信講座は自宅での受講が可能であり、移動に費やす時間を勉強に充てることができます。また、仕事が忙しくなったとしても、自分のペースで柔軟に学習を続けることが可能です。

フォーサイトの通信講座が特におすすめ

数ある通信講座の中でも、フォーサイトは圧倒的な合格実績を誇る超人気講座となっています。

フォーサイトは「合格点主義」と呼ばれるカリキュラムを採用しており、試験に出るところだけを厳選することで学習すべき量を最小限に抑えることができます。

これは限られた時間で合格を目指す社会人の方にとって非常にありがたいカリキュラムであると言えるでしょう。

実際、フォーサイト受講生の合格率は全国平均の4.13倍(2023年度)と業界トップクラスとなっています。

さらにフォーサイトでは万が一不合格になってしまった場合でも受講料が全額返金される「全額返金保証制度」まで用意しています。そのため実績のある講座で確実に合格を目指したい方は、ぜひフォーサイトの社労士講座をチェックしてみてください。


社労士の独学合格に必要な期間まとめ 

ここでは社労士試験が独学で合格することができるのかについて詳しくお話しました。

結論としては高難易度ではありますが、独学で社労士試験に合格することは可能と言えるでしょう。そのためには1000時間程度の勉強時間と、1年以上を想定したスケジュール管理が必要になります。

一方で独学で合格できるイメージが持てない方は、講座受講がおすすめです。通信講座では​独学のように自分のペースで学びつつプロによる指導も受けられるので、独学に不安がある方はぜひチェックしてみてください。