社労士に合格するまでの勉強時間は?試験難易度から合格まで何年かかるかを解説
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社労士は労働・社会保険手続きの専門家で、企業や労働者の相談に応じます。
試験の難易度も高く取得に時間がかかるため、社会的に高く評価されている資格の一つです。
ここではそんな社労士合格に必要な勉強時間やそのスケジュールについて詳しく解説していきます。
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社労士合格までに必要な勉強時間
社労士試験合格には約800~1,000時間の勉強が目安ですが、必ずしも何年もかかるわけではありません。半年以内に合格することも可能です。
重要なのは必要な勉強時間を確保し、その期間と内容に基づいたスケジュールを立てることです。
合格者アンケートでは平均900時間
学習時間 | 回答数 |
500時間未満 | 3 |
500~700時間 | 4 |
700~900時間 | 6 |
900~1100時間 | 3 |
1100時間以上 | 10 |
スキルアップ研究所が行った社労士試験の合格者に関する調査によると、合格に至るまでの平均勉強時間は約900時間とされています。
しかし、500時間未満で合格した人もいる一方で、1100時間以上勉強した人もおり、個人差が大きいことが明らかになりました。
特に1100時間以上かけた人は何度か受験経験があると考えられ、受験回数が合格までに要する勉強時間に影響を与えていることが伺えます。
社労士試験合格には何年かかるか
1年前後を目安に合格したい
社労士試験を目指す多くの人は、仕事をしながら勉強を進める傾向にあります。
この試験の合格には約1,000時間の勉強時間が必要とされており、そのため、一日3時間勉強したと仮定しても1年前後の期間での合格が現実的な目標となります。
試験対策にあまり多くの時間をかけ過ぎてしまうと継続する上での意欲の維持が課題となるため、計画的に進めることが重要です。
合格までの平均受験回数は3〜4回
社労士試験の合格に至るまで、多くの受験者が平均3回から4回の試験を経験します。この回数は早期に合格する受験者と、7回や8回挑戦して初めて成功する人の割合が均衡していることが原因です。
多くの場合、社労士資格が直ちに業務で必要とされるわけではないため、受験者は長期間にわたり学習を重ねる傾向にあります。
それにもかかわらず、合格後のキャリアアップや高い平均年収、独立開業の可能性など多大なメリットが受験者を駆り立て、何度も挑戦する動機となっています。
合格者アンケートでも「2年以上」が最多
学習期間 | 回答数 |
6ヶ月未満 | 1 |
6~12ヶ月 | 5 |
1年~1年半 | 3 |
1年半~2年 | 5 |
2年以上 | 12 |
スキルアップ研究所の調査によると、合格に2年以上を要した受験者が最も多く、平均3〜4回の受験回数が一般的であることが示されています。
最短で3ヶ月で合格する人もいる
社会保険労務士試験では、最短で3ヶ月という驚くべき短期間で合格を果たす受験生がいます。この事実は一見無理があるように思えますが、実は適切な学習方法を身につければ決して不可能ではありません。
短期合格の最大のカギは、仕事と試験勉強の両立です。社会人受験生にとって、勉強時間を確保することは容易ではありません。しかし、効率的な時間管理と工夫次第で、限られた時間の中から着実に学習時間を生み出すことができます。
実際に最短3ヶ月、多くの場合でも半年程度での合格を勝ち取った受験生を見ると、共通しているのは計画的な学習姿勢と、質の高い学習時間の確保です。彼らは無駄な時間を作らず、短い時間でも高密度の学習ができるよう心がけていたのです。短期間での合格は決して偶然ではなく、きちんとした努力と工夫の賜物なのです。
具体的な勉強期間のスケジュール
社労士試験の効率的な準備を考えると、開始時期が重要になります。
この試験は毎年8月の第4日曜日に行われ、多くの予備校では前年の10月から講座を開始します。合格目標の勉強時間を1,000時間とし、10ヶ月の準備期間を想定すると毎日約3時間20分の勉強が必要になります。
しかし仕事を持つ人には、この時間を捻出するのが難しいこともあります。仮に毎日2時間勉強する計画で進めば約1年4ヶ月半が必要で、受験の前年の4月中旬にはスタートするべきです。
一方フルタイムで勉強できる場合は、1,000時間を10時間/日で割り、約3ヶ月半で完了可能です。これならば、受験年の5月中旬から始めても十分間に合います。
働きながらでも勉強時間を捻出するには
大まかなスケジュールを決めておく
受験前年の9月に開始したあとは、以下の勉強スケジュールに従って進めていきましょう。
時期 | やること |
---|---|
9〜3月 | 基礎力を養う(出題範囲を2周、「インプット+問題」をセットで学習) |
4〜5月 | 基礎の復習+最新情報の肉付けをする(法改正、白書、統計など) |
6〜8月 | 得点力を高める(答練、模試など) |
開始後の初めの7ヶ月間、つまり3月までには、全出題範囲を最低2回は網羅しておく必要があります。
ただテキストを読むだけでは知識が定着しにくいため、学んだ内容をその日の内に問題を解くことでアウトプットする習慣をつけることが重要です。
4月以降は3周目の復習を行いつつ、最新の情報にも目を配りながら、積極的に問題演習を行いましょう。6月に入り試験が近づくとより実戦に即した形での練習、例えば答練や模擬試験を通して得点力を向上させることが望まれます。
規則正しい生活を常に続ける
規則正しい生活を維持することは、特に学習や目標達成に向けて欠かせません。毎日のスケジュールを設定し、その計画に沿って活動することにより、効率的に勉強時間を確保し、学習を日常の一部に変えることができます。
社労士試験のような長期間の準備が必要な試験を前に、勉強が苦手と感じる人も少なくないでしょう。
しかし、定時に勉強する習慣を身につけることで、徐々に学習への抵抗感が減少し、自然と効率も向上していくことが期待できます。このように、毎日同じ時間に学習することで、勉強が苦手な人でも次第に成果を出しやすくなるはずです。
スキマ時間を有効活用する
勉強の効率を高めるには、計画的な時間の確保が必須ですが、日々忙しい中で長時間の学習を確保するのは難しいこともあるでしょう。
ここで重要となるのが、日常生活に潜む「スキマ時間」の活用です。通勤の電車内、昼休憩後のわずかな時間、あるいは家事の合間など、思いのほか多く存在するこれらの時間を学習に充てることで、日々の勉強量を積み重ねることができます。
たとえば、通勤中に専門書を読む、休憩時間に演習問題を解くなど、小さな時間をうまく利用することで、1ヶ月に15時間、1年間で約182時間もの追加学習時間を生み出せます。
特に、勉強時間の確保に苦労する社会人や家事に追われる主婦(主夫)にとって、スキマ時間を積極的に使う必要があります。
最短で社労士試験に合格するためには
全ての科目に注力する必要はない
社労士試験においては、複数の科目が出題されますが、各科目に設けられた合格基準点を理解することが重要です。
全科目を満遍なくカバーするよりも、各科目で約70%の正解率を目指すことが合格への鍵となります。万が一、一部の科目で高得点を取っても、一科目でも基準点に満たなければ不合格となるため、全科目で均一に70%以上を確実に得るように勉強計画を立てるべきです。
各科目7割正解を目標に
社労士試験は、選択式試験と択一式試験の2つの形式で出題されます。
選択式試験は、文章の空欄にあてはまる選択肢を選びます。
択一式試験は、問題の回答にあてはまるものを、複数の選択肢から選びます。
令和3年(第53回)試験における、配点と合格基準点は次のようになっています。
社労士試験では選択式と択一式、二つの異なる形式で出題されます。
選択式試験では文中の空白部分を埋める正しい選択肢を選択し、択一式試験では提示された問題に対する正解をいくつかの選択肢の中から選び出します。
令和3年度(第53回)の試験では、以下のように得点配分および合格に必要な基準点が設定されています。
選択式試験 40点満点
(1科目:5点満点)
配点 | 合格基準点 |
---|---|
総得点 | 24点以上 |
労働に関する一般常識につき | 1点以上 |
国民年金法につき | 2点以上 |
その他科目 | 3点以上 |
択一式試験 70点満点
(1科目:10点満点)
配点 | 合格基準点 |
---|---|
総得点 | 45点以上 |
各科目 | 4点以上 |
試験の採点方式は、1問につき1点とされており、選択式試験は最高40点、択一式試験では最大70点が満点です。
社労士試験では、選択式で24点/40点、択一式で45点/70点が合格の目安とされ、これは約60%の正解率に相当します。
しかし、より安全な余裕を持ち合格を確実にするためには、目標を70%の正解率に設定することが賢明です。
試験科目は選択式で8科目、択一式で7科目あり、各科目には独自の合格基準が設けられています。高得点を狙うのではなく、全科目で均一に70%以上の得点を目指し、科目間でバランスよく得点を分配し、全科目で基準点を超えることが重要です。
項目を絞った効率の良い勉強を心がける
社会保険労務士試験は幅広い分野からの出題があり、多くの科目から構成されています。そのため、効率的に合格を目指すには、出題傾向を意識した学習が不可欠です。
過去の試験問題を徹底的に分析し、頻出される項目や問題のパターンを把握することが大切になります。そして、出題確率の高い項目については、暗記するレベルまで反復して学習する必要があります。単に一度読んだだけでは不十分で、問題を解きながら定着を図る作業を重ねることが重要なポイントとなります。
このように、限られた学習時間の中で最大の効果を上げられるよう、重点的に取り組むべき箇所を絞り込むことが、効率の良い勉強の秘訣です。出題傾向に沿って戦略的に勉強を進めれば、無駄なく確実に得点力をつけていくことができるはずです。
通信講座・予備校なら500時間での合格も狙える
学習時間の効率化に最適な方法は、通信講座の利用や受験対策を専門とする予備校への通学です。
これらの選択肢は、特に初めて試験に挑戦する方にとって、多年にわたる試験対策と合格のノウハウが蓄積されているため、学習の効率を大幅に上げることができます。
これらの通信講座や予備校では、約500時間、およそ6ヶ月間の学習期間を見込んだカリキュラムが提供されています。このように組まれた講座を利用することで必要な勉強時間が大きく減り、独学の半分近い期間での合格が期待できます。
社労士の勉強時間を他の国家資格と比較
合格に必要な勉強時間は、資格試験の難易度を推測する上で参考になる指標の一つと言えます。社労士でいえば、約800~1,000時間は欲しいところです。
特定の資格試験について「一定時間勉強すれば合格できる」と一概に言い切ることはできませんが、過去に試験に挑戦した受験生が共有する平均的な勉強時間から、必要な学習量の目安を把握することは可能です。
この観点から、社労士の勉強時間を他の国家資格、例えば司法書士、行政書士、宅建士と比較してみました。
宅建士の勉強時間
宅建士試験の合格に向けては、一般的に200〜300時間の学習が推奨されます。これは、社労士試験に比べて必要な勉強時間がかなり短いとされています。
特に不動産の基礎知識がまったくない初心者や、初めて宅建士試験に挑む方は、少なくとも300時間の学習時間を見込むことが望ましいです。
しかし、すでに不動産関連の資格を持っている方や、ある程度の予備知識がある場合は、300時間未満でも合格の可能性があります。
司法書士の勉強時間
司法書士試験の合格を目指すには、約3,000時間の勉強が必要とされます。
これは、社労士試験に比べて大幅に多い時間です。試験範囲が広範にわたるため、全てを網羅するには相応の時間が求められます。
年間でこの学習量をこなそうとすると、日に8時間以上の勉強が必要になり、かなりの労力を要します。実際には、多くの合格者が毎日2~3時間を学習に充て、数年にわたり着実に知識を蓄えていく戦略を取っています。
行政書士の勉強時間
行政書士試験の合格を目指す場合、およそ500〜1,000時間の勉強が推奨されます。
これは社労士試験に必要な勉強時間とほぼ同じです。特に法律の基礎知識がない方は、最適な準備のために800時間以上の学習時間を目指すことが望ましいです。
既に仕事などを通じて法律に関するある程度の知識がある方でも、最低500時間ほどの勉強時間を見込むと良いでしょう。
4種類の資格を取るために必要なそれぞれの勉強時間をまとめて見てみましょう。
資格 | 勉強時間(目安) |
---|---|
社労士 | 500〜1,000時間程度 |
司法書士 | 3,000時間程度 |
行政書士 | 500〜1,000時間程度 |
宅建士 | 200〜300時間程度 |
各資格の合格に必要な勉強時間の長さは、以下のとおりです。
宅建士 < 社労士・行政書士 < 司法書士
社労士試験の合格には、比較的多くの勉強時間が求められますが、学習内容の理解や吸収速度には個人差が存在します。
また職務経験や日々の生活習慣、資格取得への姿勢なども学習効率に大きく影響を及ぼします。ここで紹介した勉強時間は、一つの参考値として理解していただくのが適切です。
社労士試験の合格率を他の国家資格と比較
資格名 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
社労士 | 43,174人 | 2,974人 | 6.9% |
司法書士 | 13,372人 | 695人 | 5.2% |
行政書士 | 46,991人 | 6,571人 | 14.0% |
宅建士 | 233,276人 | 40,025人 | 17.2% |
これら各国家資格の合格率は、以下の通りです。
司法書士・社労士<行政書士<宅建士
このように、社労士は他の国家資格と比べてもかなり合格難易度が高い資格と言えます。受験者数に違いはありますが、同じような受験者数の行政書士と比べると約2分の1の合格率となっています。
そのため、社労士の国家資格を取得するには並大抵の努力では足らず、通信講座や市販の教材などをフル活用する必要があります。
社労士試験で勉強する内容
社労士試験の概要
試験科目、配点
試験科目 | 選択式 計8科目(配点) | 択一式 計7科目(配点) |
労働基準法及び労働安全衛生法 | 1問(5点) | 10問(10点) |
労働者災害補償保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) | 1問(5点) | 10問(10点) |
雇用保険法 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。) | 1問(5点) | 10問(10点) |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 1問(5点) | 10問(10点)※ |
社会保険に関する一般常識 | 1問(5点) | |
健康保険法 | 1問(5点) | 10問(10点) |
厚生年金保険法 | 1問(5点) | 10問(10点) |
国民年金法 | 1問(5点) | 10問(10点) |
合計 | 8問(40点) | 70問(70点) |
※「労務管理その他の労働に関する一般常識」と「社会保険に関する一般常識」であわせて10問10点の計算になります。
合格基準点
社労士試験では、選択式と択一式の両方の試験で「総得点」と「各科目の得点」が合格の判断基準となります。
合格には、これら両方の基準点をクリアする必要があり、総得点の基準は一般に60%から70%の間で設定されています。
ただし、総得点で合格基準を満たしていても、すべての科目で基準点に達していなければ、合格は認められません。
受験資格
社労士試験を受験するためには特定の資格が必要で、受験者は「学歴」、「実務経験」、または「他の国家資格の保持」のいずれかを満たす必要があります。
具体的には、大学や短期大学、高等専門学校の卒業者は学歴要件を満たします。一方で中学卒業や高校卒業のみの方は、一定の実務経験があるか、別の国家資格に合格している必要があるため、受験資格を得るための条件をしっかりと把握しておくことが重要です。
勉強の大まかな方針
試験科目が広範囲に及び、合格基準も厳密に設けられているため、網羅的に学習することが必須です。
知識の定着と長期記憶の維持を目指し、テキストや問題集を繰り返し利用して、内容を深く覚え込むことが重要です。
またマークシート形式の試験では、条文の細部を暗記するよりも、正誤を判断する上で重要なキーワードの把握が中心となります。
法律の勉強をしたことがない合格者も多い
多くの法律初学者でも社労士試験には合格しており、法律の背景知識がない方でも挑戦する価値があります。
特に、社労士試験で扱われる法律は、労働基準法や労働者災害補償保険法など、労働と保険に特化した内容であり、法学部で主に学ぶ憲法、民法、刑法などとは異なる分野です。
このため、法律の勉強が初めての方でも、試験の範囲に合わせた学習を進めることで、合格を目指すことができます。
社労士に合格するまでの勉強時間まとめ
ここまで述べてきたように、社労士試験合格には一般的に800時間〜1,000時間が必要とされています。
難易度の高い試験ですが、計画的なスケジュールを立て、効果的に時間を使うことで合格に近づくことができるでしょう。