「司法試験はやめとけ」は本当?挫折する理由や弁護士がオワコンと言われる背景まで解説

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数ある資格試験の中でも最難関と言われ、弁護士資格を得るためには合格が必須となっている司法試験ですが、近年ではその難しさや他の数々の理由から「受験はやめておけ」という声が挙げられています

本記事ではオワコンと言われている司法試験について、そのように言われている理由や本当に受験しないほうがいいのか、司法試験の受験に向いている人まで分析していきます。


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司法試験はやめとけと言われている理由

司法試験はやめとけと言われる理由

将来性がなくオワコンと言われ始めている

司法試験は現在、転換期にあるといえます。

法曹人材の増加を求めた政府の政策によって2000年代より司法試験の合格率は大幅に増加しました。しかし、この政策によって合格者の質が低下したという指摘もあり、結果として2015年に政府は合格者数の削減を目指す方針を打ち出しました。

この政策は確かに合格者数を減少させたものの、同時に受験者数も減少させてしまい、結果として弁護士の質の向上には繋がらなかったとされています。

このような状況から、司法試験合格者の将来性は以前に比べて期待できないという不安が広がってしまっており、オワコンと言われてしまう理由の一つになっています。

無理ゲーと言われるほど難易度が高い

司法試験は日本で最も難しい試験の一つとされ、偏差値で表すと75にもなります。

そのため合格には長期間にわたる集中的な勉強が必要であり、たとえ毎日を勉強に捧げたとしても合格が約束されているわけではありません。

この難易度の高さの前に多くの受験生が努力が結果に結びつかないまま挫折してしまいます。この難易度の高さも「司法試験はやめとけ」と言わせる原因の一つとなっています。

気が狂いそうになって挫折する人も多い

司法試験を日本最難関の試験の一つたらしめているのはその広範な範囲と高い合格基準です。

試験合格のためには民法や刑法、憲法など多岐にわたる法律の知識を深く理解し、記憶する必要があります。また、複雑な事例分析や、論理的思考を要する問題解決能力も求められます。

これらは膨大な学習量と長時間の勉強を必要とするので、多大な精神的、肉体的負担がかかります。そのため追い詰められて多大なストレスを感じた受験生が精神的に不安定になることも少なくありません。

弁護士でも稼げない人が増えてきている

近年では弁護士の数が増加し、日本国内で供給過多の状態になっていることも大きな向かい風です。

かつては高収入の代名詞であった弁護士という職業の価値自体も低下してきており、現在では低所得に甘んじる者も増えているなど弁護士という職業の安定感が失われつつあります。

このような供給過多による競争の激化は、弁護士にとって収入の不安定化を招いており、一般的には以前と比べて職業としての魅力が低下しているとされています。

勉強に専念するとキャリアが遅れてしまう

司法試験の勉強に専念することは、他のキャリア構築の機会を逃すリスクが生じることも問題視されています。

ただし司法試験の勉強期間中であってもそれが他のあらゆるチャンスを諦めることを意味するわけではありません。予備試験コースを利用すれば、仕事を辞めずに学習との両立が可能ですし、専業での受験生であっても他の挑戦とのバランスを取りながら勉強を進めることは十分に可能です。

そのため、司法試験の勉強が常にキャリアの遅れを意味するわけではなく、むしろ新たなキャリアチャンスへの扉を開く可能性も秘めています。

司法試験は本当に撤退するべきなのか?

司法試験の受験をやめるべきという声も多いですが、司法試験の合格には現在でも多くの魅力があることは間違いありません。

以下では司法試験を受験するべき理由について説明します。

弁護士の仕事はAIに代替されにくい

司法試験はやめとけと言われている理由の1つとして、弁護士の将来性が不安定であると説明しました。

しかし、弁護士の仕事はその複雑さと人間特有の判断力を要するため、著しい発展を続けているAIに代替されるリスクが比較的低い、将来が安定な職業として注目されています。

また、都心では弁護士が飽和しているものの、地方では依然として高い需要が存在します。他にも企業内弁護士としてのキャリアパスも広がっており、法律の専門知識を活かす場は多岐にわたります。

このように、将来性の面から見ても、弁護士という職業は十分に魅力的であり、撤退する必要はないと言えるでしょう。

不合格でも企業の法務で活躍できる

司法試験の難易度は高いですが、たとえ合格できずとも挑戦したこと自体が無駄になるわけではありません。

近年企業における法務の重要性は高まっており、法科大学院卒業や司法試験の受験経験がある人材は高く評価される傾向があります。

そのため司法試験の受験経験者は大手企業を含む多くの場所で採用実績があり、法務部門でのキャリアを築くことが可能となっています。

司法試験はチャレンジすること自体に価値があるため、不合格になることを恐れて躊躇するよりは挑んでみることをおすすめします。

平均年収は減少傾向だが以前として高い

弁護士の平均年収は他の職業と比較すると依然として高水準にあります。

確かに、弁護士の増加による仕事の取り合いによって収入が減少してしまったことは事実です。しかし、企業内弁護士としての道を選ぶことで、安定した収入とキャリアを築くことは現在でも可能です。

このように、弁護士という職業の魅力は決してなくなったわけではないため、司法試験へのチャレンジは依然として大きなリターンがあるといえます。

司法試験の挑戦に向いている人は?

以下では司法試験の受験に向いている人の特徴を紹介します。

受験に挑戦するか撤退するかの判断にこれらの特徴に当てはまるかを利用すると良いでしょう。

誰かの役に立ちたいと思っている人

誰かの役に立ちたいという強い願望は司法試験に挑む際の重要な資質の一つです。

弁護士として人の権利を守り困難な状況にある人を支援することは、社会に貢献する意義深い仕事です。実際に過去に弁護士の支援を受けた経験が、自らも弁護士を目指すきっかけになるケースも少なくありません。

他人のために尽くしたいという強い意志は、司法試験の厳しい挑戦を乗り越える大きな原動力になります。試験勉強を続ける上でのモチベーション維持にもつながり、合格にも大きく近づけるでしょう。

長時間の勉強時間を確保できる人

司法試験の合格には、長時間の勉強が不可欠です。試験対策には3000時間から8000時間の学習時間が推奨されており、これを確保するためには、日々の生活の中から勉強時間を捻出する必要があります。

また、試験準備は長期間にわたるため、持続的な努力が求められます。さらに法律の知識は広範にわたり、多くの事項を記憶する必要があるため、暗記力だけでなく、根気強さも必要とされます。

したがって、長期間にわたって根気よく勉強を続けられる人、そして物理的にも精神的にも長時間の勉強に耐えられる人が、司法試験に向いていると言えます

暗記だけでなく論理的思考も得意な人

司法試験の合格には、法律知識の暗記だけでなく、論理的な思考力も非常に重要です。

特に、論文式試験では提示された論点を正確に理解し、そこから論理的に議論を展開する能力が求められます。そのため問題の背景となる事実を整理し、適切な法律を適用しながら根拠を明確に示して自分の意見を論じる力は司法試験で高い成績を収める上で不可欠です。

このような論理的思考能力は法律家を目指す上で重要な資質であり、司法試験の合格に大きく影響します。

コミュニケーション能力が高い人

司法試験を通じて弁護士となるには、高いコミュニケーション能力も必要です。

弁護士には様々な背景を持つ依頼人と接した上で彼らの心理状態を理解し、必要な情報を引き出す能力が求められます。富裕層から破産者まで依頼人の社会的地位や年齢層は幅広くそれぞれに合わせた適切なコミュニケーションが不可欠です。

またAI技術の進化により多くの職業が変化していく中で、弁護士の役割は人間特有の感情や細やかな配慮を必要とするため、AIに代替されにくい職業と言えます。これは逆にいえば、コミュニケーション能力こそが人間の弁護士に最も求められる能力ともいえます。

このようにコミュニケーション能力は、一流の弁護士として成功するために必要不可欠な資質と言えるでしょう。

講座のカリキュラムを愚直に実行できる人

司法試験・予備試験を対策するに際して、予備校・通信講座の利用は一部の例外を除いて必須となります。

司法試験・予備試験を突破された受験生の大多数が、予備校・通信講座側から提示されたカリキュラムを愚直にこなして合格を掴んでいきます。

そのため、カリキュラムの内容を素直に受け止め、言われた内容を実行に移せることが合格するにあたっての必要条件であると言えるでしょう。

アガルートのカリキュラムで短期合格が目指せる

司法試験対策予備校・通信講座は、初学者から試験に合格するために必要なロードマップを提示してくれます。

ロードマップの種類は様々ですが、中でもアガルートが提示する「最短合格カリキュラム」を用いることで、膨大な量がある試験学習を効率よく進めることができます。

やるべきポイントを絞った実績抜群のカリキュラムで、最短ルートで試験合格まで到達することができます。

実際、2023年度では司法試験合格者の3分の1がアガルート受講生となっているので、ぜひ一度アガルートの講座をチェックしてみてはいかがでしょうか。


「司法試験はやめとけ」は本当なのかについて

これまで本記事では「司法試験やめとけ」と言われる理由と、実際に司法試験を受験することによって得られるメリットについて紹介しました。

司法試験の価値は確かに落ちている部分があるものの、依然として合格できれば要求される努力量に見合ったリターンが得られます。

また、近年の傾向として挑戦自体が価値として認められる例が増えており、司法試験の受験は決してオワコンではないと言えるでしょう。