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【2025年版】フリーランスの法改正に関する実態調査

更新日:

調査: スキルアップ研究所

2024年11月1日に施行されたフリーランス法改正から半年以上が経過した。

本調査では、フリーランスとして働く人々を対象に、法改正の認知度や評価、実際にどのような影響があったのかを明らかにすることを目的としている。

法改正が現場でどの程度知られているのか、またその内容がどのように受け止められているのか、実態を把握することで今後の課題を探る。

「フリーランスの法改正に関する実態調査 本文の編集履歴」結果のポイント
  • フリーランス法改正によってトラブルは減少した
  • 64%が取引先企業は法改正に従っていると回答
  • 79%のフリーランスはいまだ弱い立場におかれていると感じることがある
  • フリーランスの法改正の内容まで認知している人は34%にとどまる

【調査概要】

項目

詳細

調査名

【2025年版】フリーランスの法改正に関する実態調査

対象者

フリーランス

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2025年7月15日~7月20日

回答数

100


前回調査の結果はこちら


フリーランスの取引の実態

まずは、フリーランスの取引先とのトラブルや、立場の実態について調査していく。

40%のフリーランスは取引先とのトラブルを経験している

事業者との取引において、トラブルになった経験があるか尋ねたところ、「よくある」「時々ある」と回答した人は全体の40%であった。

79%のフリーランスは弱い立場におかれていると感じることがある

「事業者との取引において、フリーランスは弱い立場に置かれていると感じることがあるか」という質問に対し、2025年時点で「よくある」「時々ある」と回答した人は計79%にのぼり、2024年の78%と比べてもほぼ横ばいだった。

一方で、実際にトラブルを経験したフリーランスは全体の4割にとどまっており、実害の有無にかかわらず、多くのフリーランスが日常的に心理的な不安や力関係の偏りを感じていることが明らかになった。

したがって、法改正から1年が経過し、トラブルという具体的な問題が発生していなくても、多くのフリーランスが不安や不公平感を抱えている状況があるといえる。

フリーランス法改正の影響

64%が取引先企業は法改正に従っていると回答

「あなたの取引先企業はフリーランス法改正に基づいて適切な取引を行っていますか」と尋ねた結果、法改正に従っている、あるいは、一部は対応していると回答した人は64%であった。

フリーランスとの取引における法改正への対応は、一定程度広がりつつあるが、依然として未対応や周知不足が残る状況であるといえる。

企業側の対応にバラつきがあり、法改正の目的である取引の適正化が十分に達成されているとは言い切れない現状がうかがえる。

法改正の効果は部分的である

「フリーランスの法改正によって、取引先とのトラブルはなくなりましたか」と尋ねたところ、「トラブルが完全になくなった」「トラブルは減った」と回答した人は合わせて30%であった。

したがって、法改正は少なからず効果を発揮していることが分かる。

しかし、「変化はほとんどない」「むしろ増えた」と回答した人は45%に及んだ。また、「フリーランス法改正によってフリーランスとして働きやすくなりましたか」と尋ねたところ、「とても働きやすくなった」「まあまあ働きやすくなった」と回答した人は計36%であった。

一方で、「あまり変わらない」「むしろ働きにくくなった」と回答した人は計42%であった。

つまり、大多数にとっては「現状維持」または「実感なし」と言える状況であり、実効性や運用面にまだ課題があることが示唆される。

企業の法改正への対応とフリーランスからの評価

72%は法令順守よりも案件の魅力を重視している

フリーランス法改正に対応していない企業についてどう思うかを尋ねたところ、「案件が良ければ取引したい」「案件が良ければどちらかといえば取引したい」と回答した人は全体の72%であった。

したがって、多くのフリーランスは、企業がフリーランス法改正に未対応であっても、案件内容が魅力的であれば取引を前向きに検討する傾向にあることがいえる。

ただし約3割は法令順守を重視しており、企業側の対応が仕事の機会に影響を及ぼすリスクもある。

フリーランスの法改正の内容まで認知している人は3割程度にとどまる

2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」についての認知度は、1年で一定の向上が見られた。

2024年時点では「よく知っている」と答えた人は15%だったが、2025年には34%へと倍以上に増加している。

「聞いたことはあるが内容までは知らない」と回答した人は49%と、昨年度の66%に比べて減少したものの、半数近くのフリーランスは具体的な内容を把握していないことが分かる。さらに、「知らない」と答えた人も依然として17%存在している。

したがって、法改正の認知は進んでいるものの、内容の普及が社会全体に十分に浸透しているとはまだ言い切れない

60%のフリーランスは取引先企業が法令に違反していたら中止する

「取引先企業がフリーランス新法に違反していた場合どう対処しますか?」と尋ねたところ、「違反を指摘して中止する」「違反を指摘せず中止する」と回答した人は合わせて60%であった。

しかし、法改正の認知度は3割程度にとどまっていることから、制度の存在を知っていて取引中止できる層と、認知が不十分なため行動に移せない層に分かれている実態もうかがえる。

課題と展望

フリーランス法の改正は一定の効果を上げているものの、適正な取引がまだ十分に浸透しているとは言い難い。さらに、多くのフリーランスが案件内容を重視する傾向があることも明らかになった。

一方で、取引先に明確な法令違反があった場合には、取引を中止するという判断を下すフリーランスも少なくないという結果が出ている。

法改正の内容を具体的に把握している人は依然として少ないため、今後その認知度が高まることで、自身の権利を意識し、適正な取引をより強く求めるフリーランスが増えると考えられる。同時に、企業側においても法改正への対応が一層進むことが期待される。

このような背景を踏まえると、今後の課題は制度の周知徹底と実務面での支援を通じて、フリーランスが自らの権利を大切にし、安心して働ける環境を整備していくことだといえる。

調査結果の引用・転載について

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