リスキリング レポート

育児休暇中のリスキリングに関する実態調査

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調査: スキルアップ研究所

岸田首相の育休中のリスキリングへの言及が議論を呼んだのは記憶に新しいが、育休中の女性は、リスキリングによって望むキャリアを遂行することができているのだろうか。

リスキリングは、どの職種においてもキャリアアップを実現しより良い働き方を推進する上で重要であり、それは育休中の女性にとっても同様である。

そこで今回スキルアップ研究所では、育休中女性のリスキリングの実態を明らかにすることを目的としてインターネット調査を実施した。

「育児休暇中のリスキリングに関する実態調査結果」のポイント
  • 育休中にリスキリングを実施するのは「困難」
  • リスキリング経験率は高く、リスキリングを実施したい女性は75%
  • 育休中の女性のキャリア実現には周囲の協力が不可欠

育休中のリスキリングは「困難」

4割がリスキリングに挑戦した経験あり

意外にも、育休中にスキルアップに取り組んだことがある女性は全体の約40%にのぼった。

家事や育児で忙しく、自分の時間を犠牲にしているという世間のイメージとは裏腹に、育休中も自身のキャリアを止めないための女性の努力が垣間見える結果となった。

8割が育休中のリスキリングは「難しい」「不可能」

​しかしながら、上記の結果はあくまで「リスキリング経験率」の話である。

現に、「育休中にご自身のスキルアップのために時間を使うことは可能ですか」という質問には6割が「やれないことはないが難しい」、2割が「不可能だと思う」と回答し、リスキリング経験率の4割との乖離がみられた。

この結果は、依然として女性は無理をしながらスキルアップに取り組んでいる現状や、短期間であれば取り組めるものの継続してスキルアップに取り組むのは難しいことを示唆しているといえる。

2人目以降でさらに増すスキルアップの困難さ

さらに、「育休中にご自身のスキルアップのために時間を使うことは可能ですか」という質問の回答状況を育休取得回数別に分析したところ、「可能だと思う」と答えた人は、育休取得1回では24%であるのに対し、育休取得2回以上では15%と低くなる結果となった。

また「やれないことはないが難しい」と答える人は、育休取得1回では56.4%であるのに対し、2回以上では70%と、大幅に割合が増加する結果となった。

このことから、2人以上の育児となるとますますリスキリングへの取り組みは困難を極めることが指摘できる。

育休中の女性のスキルアップへの関心は高い

「配偶者の育休取得や子供の預け先といった環境要因を考慮しない場合、育休中でもスキルアップのための勉強に取り組んだり、資格取得を目指したりすることによってキャリアアップのために時間を使いたいと思いますか」という質問には75%が「思う」と回答した。つまり、できることならスキルアップに取り組みたいという女性は大勢いるのである。

こうした女性の意欲が、40%というリスキリング経験率に反映されているといえる。

環境整備の遅れが女性のリスキリングを阻んでいる

家事育児の負担が女性にいく状況は改善されていない

リスキリングへの関心は高いにもかかわらず、育休中のリスキリングは「難しい」「困難」と回答するの割合が多いことは最大の課題である。

育休中のスキルアップが「難しい」「不可能」と回答した方にその要因を尋ねたところ、「育児に時間を取られるから」が193人、「家事に時間を取られるから」が173人という結果となった。

女性が家庭内の負担を請け負っているために、リスキリングに困難を感じる女性が多くなっていることが指摘できる結果となった。

そもそも経過・産後の母子の健康が整わないといけない

ここまで女性のリスキリングへの関心の高さと、実施の困難さに着目してきたが、女性全員にリスキリングを強要するのは筋違いだということには留意すべきだ。体調面など、個々で状況が異なることを考慮する必要がある。

上記質問では、「産後の経過が良好でないといけない」ためにスキルアップに時間をとることが困難という人が53名、「これ以上無理をすると壊れてしまう」という人も67名にのぼった。産後うつになる人や、ホルモンバランスの影響から体調を崩してしまう人は決して少なくない中で、ただリスキリングの推進に注力しても、現状は変わらないのではないだろうか。

女性のキャリアを中断させない社会を目指すには

今後、スキルアップへの社会的な理解を促し、育休中であっても望む場合にはキャリアのための努力を中断せず行える社会を作ることは理想的である。

「育休中にどのような環境が整えばスキルアップに取り組めると思いますか」という質問には4割が「配偶者や両親・義両親など周囲の協力」、3割が「保育園など預け先の確保」と回答しており、これは周囲の協力の重要性を示唆している。

一方で「そもそも育児と自身の食事睡眠以外に時間をとることは困難」と回答する人も2割となっているが、この層がリスキリングに意欲を持つことによって将来のキャリアが変わってくる可能性もあるといえる。

育休中のリスキリングが困難であることは明らかであるが、女性がキャリアアップを目指し、多様なキャリアを実現できる環境を整えることが、今後の社会にとって重要な課題である。

調査概要

項目

詳細

調査名

育児休暇中のリスキリングに関する実態調査

対象者

20代以上で、育休取得経験のある女性の方

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年1月31日~2月7日

回答数

246名

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