中小企業診断士の年収事情!平均年収や収入アップのポイントを徹底解説
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中小企業診断士は、企業の経営課題を解決する専門家として活躍できる国家資格です。
高収入が期待できる資格ですが、「実際の年収はどれくらい?」「独立と企業勤務で収入の違いは?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、中小企業診断士の平均年収や収入の仕組み、さらに年収をアップさせるポイントを詳しく解説します。
資格取得を目指している方や、キャリアアップを考えている方はぜひ参考にしてください!
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中小企業診断士とは

中小企業診断士は、ビジネスの課題解決を支援する専門資格として注目されています。ここでは、その役割や活躍の場について解説します。
中小企業診断士の仕事内容
中小企業診断士は、企業の経営課題を分析し、改善策を提案する経営のプロフェッショナルです。
主な業務は経営コンサルティングで、財務・マーケティング・生産管理・人事制度・IT戦略など、幅広い分野でアドバイスを提供します。
企業の現状を分析し、成長戦略の策定から実行支援までサポートするほか、企業と行政・金融機関をつなぐ役割も担います。
また、経営診断書や経営改善計画書の作成を通じて、企業の課題解決や資金調達を支援するのも重要な業務です。
主な収入源
中小企業診断士の収入源は、大きく3つに分類されます。
1つ目は企業向けのコンサルティングです。長期の顧問契約やテーマ別のスポット契約を通じて、経営課題の分析や解決策の提案を行い、報酬を得ます。
2つ目は公的支援機関からの専門家派遣業務です。国や地方自治体、商工会議所などから委託を受け、中小企業の経営支援を行います。
3つ目はセミナーや講演の開催です。特に、民間業務がかなり高い中小企業診断士の講演・教育訓練の平均報酬は1日約11.9万円と高く、重要な収入源となっています。
中小企業診断士の年収はいくら?
中小企業診断士の年収は、働き方や経験によって大きく異なります。ここでは、平均年収や収入の仕組みについて詳しく解説します。
【年齢別】中小企業診断士の平均年収
年齢層  | 平均年収  | 
|---|---|
20~24歳  | 421万円  | 
25~29歳  | 722万円  | 
30~34歳  | 883万円  | 
35~39歳  | 976万円  | 
40~44歳  | 903万円  | 
45~49歳  | 1,580万円  | 
50~54歳  | 924万円  | 
55~59歳  | 1,125万円  | 
60~64歳  | 960万円  | 
65~69歳  | 552万円  | 
70歳以上  | 429万円  | 
上記の年収は一般的な目安です。実際の収入は、企業内診断士かフリーランスか、専門分野、クライアント数、営業力などによって大きく変動します。
特にフリーランスの場合、ネットワークの構築度合いによってはさらに高い収入も期待できます。
【男女別】中小企業診断士の平均年収
中小企業診断士の男女別平均年収に関する正式なデータは発表されていません。
「一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会」のアンケートによると、男性が94.4%、女性が5.2%を占めています。
男女比に偏りはあるものの、性別に関わらず活躍できる資格であり、専門知識やスキルを活かして幅広い分野で活躍できます。
【地域別】中小企業診断士の平均年収
都道府県  | 平均年収(万円)  | 都道府県  | 平均年収(万円)  | 
|---|---|---|---|
北海道  | 461.1  | 滋賀県  | 520.1  | 
青森県  | データなし  | 京都府  | 595.0  | 
岩手県  | 300.8  | 大阪府  | 1760.8  | 
宮城県  | 908.2  | 兵庫県  | 519.7  | 
秋田県  | 510.4  | 奈良県  | 429.0  | 
山形県  | 488.4  | 和歌山県  | 568.2  | 
福島県  | 578.4  | 鳥取県  | 440.9  | 
茨城県  | 463.7  | 島根県  | 498.3  | 
栃木県  | 636.9  | 岡山県  | 274.8  | 
群馬県  | 544.1  | 広島県  | 447.2  | 
埼玉県  | 590.5  | 山口県  | 434.1  | 
千葉県  | 605.5  | 徳島県  | 581.5  | 
東京都  | 1071.4  | 香川県  | 527.3  | 
神奈川県  | 597.6  | 愛媛県  | 431.0  | 
新潟県  | 503.5  | 高知県  | 324.7  | 
富山県  | 444.2  | 福岡県  | 604.8  | 
石川県  | 604.0  | 佐賀県  | 510.6  | 
福井県  | 426.2  | 長崎県  | データなし  | 
山梨県  | 630.5  | 熊本県  | 452.2  | 
長野県  | 653.6  | 大分県  | 381.5  | 
岐阜県  | 597.4  | 宮崎県  | 496.1  | 
静岡県  | 557.3  | 鹿児島県  | 594.0  | 
愛知県  | 596.7  | 沖縄県  | 850.7  | 
三重県  | 470.1  | 
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag「中小企業診断士」
中小企業診断士の年収は地域によって大きく異なり、東京都(1,071.4万円)や大阪府(1,760.8万円)など都市部で高い傾向があります。
一方、地方では300~600万円台が中心となっており、地域の経済規模や企業数によって収入に差が出ることが分かります。
中小企業診断士の年収中央値
「一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会」のアンケートによると、年収の中央値は501~800万円であり、全体の21.4%を占めています。
また、日本のサラリーマンの平均年収(約460万円)と比較しても高い水準と言えます。
中小企業診断士が高収入な理由
中小企業診断士は高収入が期待できる職業として注目を集めています。
以下では、高収入が見込まれる理由について詳しく解説していきます。
①国家資格としての価値が高い
中小企業診断士は日本で唯一の経営コンサルティングの国家資格です。
近年の合格率は、1次試験が30〜40%前後、2次試験が約20%程度とやや難易度が高めです。
この資格は高度な専門性と能力の証明となるため、企業からの信頼が高く、仕事の獲得につながりやすい特徴があります。
②独立開業で高収入を狙える
中小企業診断士の約47.8%が独立して活動しており、独立後は公的業務や民間業務を請け負うことで、より高い収入を得られる可能性があります。
独立診断士の年間売上の中央値は501~800万円の範囲にあり、1,000万円以上の収入を得ている診断士も約34%存在します。
③複数資格の組み合わせで収入アップ
中小企業診断士の72.2%が他の資格も保有しています。
税理士やファイナンシャルプランナーなど、関連資格とのダブルライセンスにより専門領域が広がり、より多くの仕事を獲得できることで収入増加につながっています。
④年齢と経験が収入に直結する
35歳から64歳までの年齢層では平均年収が900万円を超えており、特に45~49歳では約1,580万円とピークを迎えます。
これは経験の蓄積と専門性の向上により、より高度な業務を担当できるようになるためです。
⑤企業内診断士は待遇が向上しやすい
企業に勤務する「企業内診断士」は、資格手当の支給や、経営企画など経営者に近い職種へのキャリアアップが期待できます。
これにより、昇進や昇給のチャンスが広がり、収入の向上につながります。
中小企業診断士が年収を上げるには?

中小企業診断士が年収を上げるには、働き方やスキルの活かし方が重要です。ここでは、収入アップの具体的な方法について解説します。
① 特定分野の専門性を高める
中小企業診断士として高収入を得るためには、特定分野での専門性を確立することが重要です。
経営企画・戦略立案、財務、マーケティング、IT化など、得意分野を一つに絞り、その分野における知識やスキルを徹底的に磨くことで、他の診断士との差別化が可能になります。
特に事業承継・M&Aや事業再生といった、今後需要が増加が見込まれる分野に注力することで、より高い報酬を得られる可能性が広がります。
② ダブルライセンスで仕事の幅を広げる
中小企業診断士の資格に加えて、他の資格を取得することで、より専門的なサービスを提供できるようになります。
社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー(FP)・税理士などの資格を追加取得することで、提供できるサービスが増え、収入アップにつながります。
③ 顧問契約を獲得して安定収入を得る
中小企業診断士が安定した収入を得るための有効な方法の一つが、顧問契約の獲得です。
民間業務中心の診断士は、企業と顧問契約を結ぶ割合が高く、月額顧問料も高い傾向にあります。
顧問契約を結ぶことで、長期的な関係を築くことができ、安定した収入の確保に繋がります。
④ 副業で収入源を増やす
本業に加えて副業を展開することで、収入の柱を増やすことができます。
中小企業診断士の資格を活かした副業には、経営コンサルティングや補助金申請支援、セミナー講師など、さまざまな選択肢があります。
日本中小企業診断士協会連合会では、顧問契約型で報酬を得ている経営コンサルタントを対象に、推奨される報酬額の基準を定めています。
その基準に従うと、経営コンサルティングでは顧問契約を結ぶことで月10万円程度の安定した収入が見込めます。 また、セミナー講師としての講演では、1時間あたり6万円程度の報酬が期待できます。
⑤ コンサルティング業界へ転職する
中小企業診断士の資格を活かしてコンサルティング業界へ転職することで、より高い年収を目指すことができます。
コンサルタントとして経験を積むことで、年収1000万円以上も狙えます。
ただし、コンサル業界での成功には、資格に加えて実務経験や専門知識の蓄積が重要です。
⑥ 独立して報酬単価を上げる
中小企業診断士として独立することで、クライアントから直接報酬を得られるため、大幅な収入アップが期待できます。
独立診断士の平均年収は約1,000万円で、全体の3分の1が1,000万円以上の収入を得ています。サラリーマンの平均年収約460万円と比べると、非常に高い水準といえます。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag「中小企業診断士」/ 一般社団法人 日本中小企業診断士協会連合会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」 結果について / 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
⑦ 最新の知識を学び続ける
中小企業診断士として高い年収を維持するには、常に最新の知識をアップデートすることが不可欠です。
資格取得時の知識だけでは不十分で、マーケティングツールやIT技術の最新動向を把握し、提案できることが診断士の価値を高める鍵となります。
また、業界セミナー・専門書・オンライン講座の活用に加え、異業種交流会や経営者会への参加も、新たな視点を得る貴重な機会となります。
⑧ 補助金業務に頼らず高単価な案件を獲得する
補助金申請業務は安定した収入源となりますが、近年はAIによる審査が厳格化され、採択率が低下傾向にあります。
より高い収入を目指すためには、企業からの直接指名による高単価案件の獲得が重要です。
また、実績を積み上げ、クライアントからの信頼を得ることで、単価交渉も有利になります。
⑨ 人脈を広げてビジネスチャンスを増やす

人脈は中小企業診断士にとって収入を上げる重要な資産です。
仕事は紹介やネットワークを通じて広がるため、業界団体や研究会に参加し、他の診断士や経営者と交流を深めることが大切です。
特に商工会議所や金融機関とのつながりを作ると、企業支援の案件を紹介してもらえる可能性が高まります。
また、セミナー登壇やSNSでの情報発信も、新たなビジネスチャンスを生むきっかけになります。
中小企業診断士の年収に関するよくある質問
以下では、中小企業診断士の年収に関するよくある質問にお答えします。
企業内診断士と独立診断士の年収はどう違う?
企業内診断士と独立診断士では、収入の構造が大きく異なります。
企業内診断士は、本業の給与に加えて資格手当が支給されることが多く、安定した収入が得られます。副業で診断士業務を行い、追加収入を得ることも可能です。
一方、独立診断士の年収は経験や営業力によって大きく変動します。調査では34%が年収1,000万円以上で、中には3,000万円に達する人もいますが、開業直後は300万円程度からのスタートが一般的です。
収入面では、企業内診断士は安定性、独立診断士は高収入の可能性があるなど、それぞれの働き方にメリットがあります。
中小企業診断士の報酬・単価は?
中小企業診断士の報酬は業務形態によって大きく異なります。
日本中小企業診断士協会連合会では、顧問契約型で報酬を得ている経営コンサルタントを対象に、推奨される報酬額の基準を定めています。
その基準に従うと、診断業務は1日10.8万円、経営指導は9.8万円、講演・教育訓練は1件12.7万円が一般的な相場です。
民間企業からの依頼は公的機関より高額になる傾向があり、診断業務は1日16万円、経営指導は16.3万円の実績もあります。
顧問契約の相場は月額13.2万円ですが、支援内容や訪問回数によって10~20万円と幅があります。
中小企業診断士の年収まとめ
中小企業診断士の年収は、勤務形態や経験、営業力によって大きく変わります。
企業内診断士は安定した収入を得やすく、独立診断士は高収入を目指せる可能性があります。
収入アップのためには、専門分野の確立・ダブルライセンスの取得・人脈の構築などが重要です。自身の強みを活かし、適切な戦略を立てることで、より高い年収を実現することが可能になります。
ぜひ、自分に合った働き方を見つけ、キャリアの可能性を広げていきましょう!



