リスキリング レポート

【リスキリング】社会人の大学院進学に関するインタビュー調査

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調査: スキルアップ研究所

日本では数十年前からスキルアップやキャリアアップを目的として社会人が社費もしくは自費でMBAを中心とした大学院へ進学するということが度々行われてきました。

この社会人での大学院進学が、近年リスキリングという言葉が話題になったことで現在再び高い注目を浴びています

しかし、大学院への進学はお金・時間ともにかかる選択で、簡単に決断できずに躊躇している方も多いのが事実です。

そこで今回は社会人になってから大学院へ進学した方4人にインタビューを行い、その実態を調査しました。

そもそもリスキリングとは

インタビュー内容をご紹介する前に、リスキリングという言葉の定義と日本でのリスキリングの現状について解説します。

この見出しではまずリスキリングの定義や種類について簡単に紹介します。

リスキリングの定義

リスキリングとは、DXやGXなどの社会の変革の影響による働き方の変化に対応するために人々が新たなスキルや知識を身に着けることです。

時代の流れによる働き方の変化に対応するためには、今までの知識や経験を捨て、新たな知識やスキルを得るということが必要になってくるのです。

ここで述べている「新たな知識やスキル」はITスキルに限られているわけではないので注意が必要です。

またリスキリングには、「アップスキリング」と「キャリアチェンジ」の2つがあります。前者は現在自分が働いている業種や業界内で必要な新しい知識やスキルを身に着けること、後者は現在の業種や業界とは異なるところへの転職のために全く新たな知識やスキルを身に着けることを目的としています。

リカレント教育との違い

リスキリングは「新たな知識やスキルを身に着ける」という意味で似た概念であるリカレント教育とよく混同されがちですが、両者の違いは『誰が主体となってその行動を行うか』です。

リスキリングの場合は企業が個人に対し新たな時代の変化に対応するための学び直しを促すこと、リカレント教育は「個人が自ら時代の変化に対応するために学び直す」ことが主軸に置かれています。

社会人がリスキリングとして大学院に進学する際、社費で通学する場合と自費で通学する場合があり、前者がリスキリング、後者がリカレント教育に近いと言えます。

ただし、今回この記事では都合上どちらも「リスキリング」として紹介します。

日本のリスキリングの現状

ここでは、どのくらいの人がリスキリングをしているのかや政府はどのように対応しているのかなど日本国内のリスキリングの現状について説明します。

リスキリングしている人の割合

リスキリングという言葉自体はこの数年でかなり高くなったと思われる日本ですが、実際にリスキリングをしている人の割合はどれくらいなのでしょうか?

スキルアップ研究所が男女別にアンケートを取った結果が以下のようになっています。

上のように、男性でリスキリングを行っている人の割合は36.4%、女性は現在リスキリングを行っている人の割合が25.6%で、どちらも3割前後です。

リスキリングを行っている人と過去に行っていた人の割合の合計はどちらも6割を超えるため、日本人のリスキリングの取り組み率は低いわけではないですが、まだ伸びる余地があると言えそうです。

上の質問で「行っているもしくは行っていた」と答えた方がどの分野でスキルアップを行っていたのかのアンケート結果は下のグラフの通りです。

グラフ_1_o63ixc.png (600×666)

IT、ビジネス英語、プログラミング、会計・金融系といった社会人の学び直しで代表的な分野の割合がやはり高いですが、それ以外にも様々な分野での学び直しが行われていることがわかります。

リスキリングの割合が低い原因

では、リスキリングを行わない人は何が原因で行わないのでしょうか?

「就業時間外でスキルアップのための学習を行っていない」と答えた人に現状取り組んでいない理由を聞いた結果が以下のグラフです。

男性は仕事の忙しさや金銭的余裕のなさを理由に行っていない人が多いようです。

女性は家事・子育てや金銭的余裕のなさが理由として圧倒的に多いようです。

いずれにせよ、仕事や家庭などによる「時間的余裕」と低賃金や物価上昇などによる「金銭的余裕」のなさが日本人のリスキリング意欲を妨げています。

政府の対応

2020年のダボス会議で、ITなどのテクノロジーの進歩が働き方に大きな革新を起こすことが予想されるので、それに対応するため2030年までに全世界で10億人をリスキリングする、という「リスキリング革命」が掲げられたことで全世界的にリスキリングという言葉が急速に注目されるようになりました。

日本政府もこの流れを受けて2022年10月、岸田総理が5年間で1兆円をリスキリング支援に投資するという表明を行いました。

現在日本政府が行っている支援は、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業やデジタル人材育成プラットフォーム、第四次産業革命スキル習得講座認定制度、教育訓練給付金などがあります。

社会人から大学院進学を決めた人へのインタビュー

ここからは社会人になってから大学院へ進学した方々へのインタビューを紹介します。

今回インタビューに応じていただいた4名のプロフィールは下の画像の通りです。

リスキリングとして院進することを決めたきっかけ

【Aさん】

私は2度大学院に進学していますが、1度目の進学は自分から学びたいと思ったこと、2度目の進学は財務諸表と税法を学ぶように勤務先から勧めがあり自分も大学院で学びたいと思っていたのと1度目の院のおかげで科目の免除もあったことがきっかけで院進を決めました。


【Bさん】

私は医療系の学部を卒業していますが、この学部では学部卒業後そのまま大学院に進学することは普通で実際学部時の私も研究室にいましたが、早く臨床をやりたいと考えていたので院進ではなく就職を選びました。しかし臨床検査技師として働く中で学会に出るようになりアカデミックな部分に興味が戻ってきたことがリスキリングをしたいと思ったきっかけでした。

学部の時在籍していた大学では大学4年生の際お世話になった方が助教などになっていており、ツテもありました。また、教え当時教えていただいた教授やお世話になった先輩もまだ大学におり、顔見知りが多い環境が残っていたので学部時の大学の院に進学することを決めました。


【Cさん】

大学と大学院でのリスキリングを決めたのは自分の将来のためだと考えたのがきっかけです。私は短大卒でしたが、同じ会社で同じ業務をやっているのに学歴で給与が決まることに納得がいかず、また、学生の時は当時の自分が好きな専門分野を学んでいましたが、社会に出てから自分の好きな分野が変わりました。そのため、自分の興味ある分野を学び最終学歴も納得いくものにしようと思い大学と大学院でのリスキリングを決めました。自分でお金を出すとその分頑張ろうと思えるので自費でのこのリスキリングは良い選択だったと思っています。

会社の用意するリスキリングを行う方法もありましたが、社内教育には会社の色味が出てしまうので、私には合いませんでした。大学や大学院ですと「卒業」という目標ができるのでダレず、またその頑張りは後々も残っていくから良いと思います。大学に進学したのはコロナ前でしたが、フルリモートかつ通信教育のみで卒業することができる大学を選びました。

大学に進学した当時は大学まで卒業すればいいと思っていましたが、仕事の内容もだんだん深くなりその分野に興味も出てきたので、興味の延長線で疑問がでてきたところから勉強しようと思い大学院にも進学することを決めました。アメリカの大学院にオンラインで進学することを選んだのは、英語力を生かしたかったからです。普通のMBAであれば社内で取っている人が何人かいましたが、海外のMBAを取っている人はおらず、自分らしさを出せると思いました。


【Dさん】

保育園で働く中での体験を通してその経験の背景を知りたいと考えるようになったことがきっかけです。

24時間保育所での様々な子供たちとの出会いが私の関心の基本になっています。

ただ、大学院のどの専攻で何をやるかには5年悩みました。今まで自分のライフワークは子供が中心であり、医療と福祉はすでに学んでいました。また、大学生の時や社会人の時に家庭教師や塾のアルバイトをしていたことがあり教えることに興味がありました。そのため、教育について専門学校や大学では学べないことを0から深く考えたいと思い教育系の専攻に進むことを決めました。

アメリカと日本の授業の違い

【Cさん】

日本の大学とアメリカの大学院の両方に通ってみて感じた違いはコミュニケーションの仕方です。

日本は比較的大人数で授業を受け、個人かつ座学が主体で授業が最初から最後までずっと進んでいく感じでした。

一方アメリカはそもそも授業が少人数になっています。1クラス基本的に45人ほどですが、もしその人数以上に履修希望者がいればその授業を教える教授がもう1人増え、2クラスに分裂していました。この場合はただし授業の内容がクラスによって変わってきます。先生によって授業が違うので先生との相性もあるとは感じましたが、相性のいい先生だった場合日本よりもかなり親密になることができました。そしてアメリカでは先生も含めて1つのチームになり、一体化して授業に取り組む雰囲気が強く、チームでの議論も密にやるので授業内容の濃さが全然違うと感じました。

また、日本ではカリキュラム内での課題を解決していきますが、アメリカではカリキュラムの内容から派生したような課題も解決していきます。ここも違いだと感じました。


リスキリング中につらかったこと・嬉しかったこと

【Aさん】

介護との両立がつらかったです。特に2回目の大学院の時には母が難聴になり、妻が入院していたため、介護と子育ての両方を担いながら大学院に通うということをしていました。

ただし、大学院に認知症対策の先生がおり、また、世の中的にも認知症の存在が知られるようになっていたので1回目の大学院の時よりも大学院に行きやすくなったと感じました。


【Bさん】

子供のことで時間を取られ、自分だけの時間が多くなかったことがつらかったです。勉強だけするというわけにはいかず、家事や育児に時間をかけすぎてもいけないのでそれが大変でした。

嬉しかったことは大学院が古巣だったこともあり色んな人に喜んでもらえたことです。環境が今までとガラッと変わったわけではないというのを強く感じました。もちろん建物が学部の頃と変わったなどの小さな変化はありましたが、基本的には今までと業界が一緒なので劣等感を感じることはなく、学部時代と比べてみんなに出遅れたという印象もありませんでした。


【Cさん】

1人で勉強するのが一番きつかったです。仲間はできましたが、すぐに相談できたり、心が折れた時に励ましあえたりするような仲間はいませんでした。1人で頑張る強い意志が必要だと思いました。

一方、周りにいる仲間が普段の日常生活では会えない人だったのは嬉しかったです。特にMBAでは会社のお偉いさんなど上層部の人と出会えました。今でもビジネス上で関わりがある人がいます。また、日常では達成しないようなレベルのことを常に達成していたのが良かったと思います。


【Dさん】

私は今も大学院に通っているので現在のことになりますが、修論が辛いです。テーマがブレてきていて本当に終わるのか不安になっています。

嬉しかったのはスクーリングに行った時に色んな人がおり、自分の知らない世界を知れたことです。

リスキリングにかかった時間・費用

【Aさん】

1回目の大学院の時は学費が全額会社から出たのでお金は全くかかっていませんが、勉強する時間はかなりかかりました。2回目も費用は会社が出してくれたのに加えハローワークからもお金が出たので学費はかかっていません。

ただし、ハローワークからもお金をもらったことを知った会社が「逆に得しているではないか」と言って会社の賞与から結構な額を学費分として引いたので、大学院に通っている時の賞与はたった5万円でした。


【Bさん】

元々その専門分野の大学を卒業し国家資格も持っていたので、勉強時間自体は1,2時間くらいしかかかっていません。大学院は国立だったので費用は100万/年間くらいでした。私としてはお金も時間もそこまでかかった印象はありません。特に理系の人は学部と大学院合わせて6年いくことがスタンダードなので、私の場合はその大学院に行くタイミングがズレただけ、という感覚でした。


【Cさん】

大学院はアメリカの大学でしたが、入学した2017年はドルのレートが今よりもかなりよかったので4年間で400万円くらいで済みました。ただ、教材はアメリカから個人で取り寄せなくてはいけないので高かったです。また、完全オンラインで卒業できる大学院だったものの私は2回渡航して教授に会いに行ったので渡航費がここにさらにかかっており、全部で600万円くらいだったと記憶しています。

ただ、今は円安な上に学費自体も上がっているので海外の大学院に通うハードルは上がってしまったようです。一方で日本人の卒業生が増えているので彼らに質問や勉強方法などを聞くことができるようになり、ローカルでは勉強はしやすくなったと聞いています。

高いお金をかけて渡航した理由は、仲良くなった先生と直接話がしたかったからです。その先生は韓国出身のファイナンスの先生で、授業を受講している人が先生に質問をするオフィスアワーが1週間に1度あったのですが、そこに顔を出す人が少ない中で私ともう1人の生徒は毎週顔を出し、先生と授業内容とは違う話などもして3人でよく盛り上がっていました。また、テストの際もフィードバックをすぐしてくれる先生でした。

このような感じでアメリカの大学院は生徒のやる気次第で教授の熱量も変わる会社的な側面があります。

先生に会いに行った結果、先生はかなり喜んでくださり、さらには他の先生やなんと学長にまで会うことができました。彼らは日本でMBAプログラムをオンラインで受講している人の感想を聞きたかったそうで、私の感想を聞けて嬉しいと言っていました。お金はかかりましたがかけがえのない経験ができたので会いに行って本当に良かったと思っています。


【Dさん】

大学院を2年で卒業できれば100万くらいになる予定です。時間の方は、大学院が遠いもののスクーリングは定期的に行かなければならないので、それに行く時間が結構かかっています。お金も時間も結構かかりますが、手の届かないものではないと思います。


リスキリング中の1日のスケジュール

【Aさん】

きつかった2回目の大学院の時のスケジュールを挙げると、母がデイサービス、子供が保育園に行ったら会社に15:00~17:30で行き、その後は大学院に22:00まで行き、帰ったら2時間勉強して寝るという生活でした。

大学院は2回目だったので科目免除が多くあったのが幸いでした。仕事は物流系だったので基本的に休日にも仕事があり、平日の仕事量が少ない分休日につけがきていました。

既婚者の大学院の進学は妻の理解がないと難しいと思います。

また、私の場合母の介護は施設に入りっぱなしだったら楽だったと思いますが、母も人間なので住み慣れた家を離れ施設で暮らすことは嫌がり、デイサービスでした。そのため、その分介護には時間を取られていました。


【Bさん】

朝6時に起きて子供を送ってから通学し、夜は家事などに時間を取られるので朝の時間を活用して論文や調べ物をしていました。どうしても夜残りたいタイミングでは夫に協力してもらっていました。授業は日中が多く、基本的には保育園で預かってもらえるような時間帯でした。私の夫の実家が家から近かったので彼らに習い事の送り迎えなどをしてもらったり、ご飯を食べさせてもらったりしていたので、他の人の協力が得られやすい環境ではありました


【Cさん】

授業の課題はグループワークが多かったので、大学院時代は朝早く起きて、チームで課題についてのミーティングをしていました。朝ご飯を食べながら勉強したこともあります。仕事の都合がうまくつけられていたので、毎日定時に帰り夜も毎日勉強していました。

アメリカの大学や大学院は3ヶ月授業、1ヶ月休みの繰り返しだったので、3か月は授業に集中し、休みの1ヶ月で友達と会っていました。ただ、日本人は英語の論文を読むのがつらいので休みの期間のうちに私も含めて多くの日本人は次の学期の授業の予習をしていました。

グループワークのチームはメンバーのタイムゾーンに配慮した時間にミーティングするようにみんな工夫していましたし、大学側もなるべく同じタイムゾーンになるよう考慮してくれていたのでメンバーの時差の違いに関してはそこまでつらくありませんでした


【Dさん】

通信制の大学院なので、授業よりもレポートを仕上げることが中心の生活です。19時に保育施設での看護の仕事が終わり、21時ごろに帰宅、そこからレポートを書き始める生活です。レポートが早く終わらず睡眠不足になりました。

仕事はシフト制で土日が休みというわけではないので時間捻出がこれからの課題です。伝統文化の継承というテーマの授業のために飛騨高山にフィールドワークに行ったりもしました。このフィールドワークが自分にとってかなり面白かったです。

家庭との両立のコツ

【Bさん】

いい意味で完璧を求めないことだと思います。優先順位をつけてやらなくてはいけないことからやっていくことが大事です。空いた時間も有効活用し、どの時間に何をやるかをある程度組み立てておくと良いと思います。

また、常に何かをしながら他の何かもするということを意識していました。私は、ご飯を作りながらフライパン同時並行したり、帰ってきたら炒めれば料理ができるように用意して置いたりということをしていました。また、子育てもおろそかにしたくないと考えていたので、少しでも子供の教育になるようにと通勤の電車の中で絵本を読み聞かせていました。


【Cさん】

大学院の進学は自分の本業を自分でペース配分できるようになってからでないとおすすめできません。両立で一番大切なことは自分のタイムマネジメントです。

仕事をやめて大学院一本に取り組む方もいましたが、私はそこまでの勇気がなかったのでタイムマネジメントをとにかく気を付けていました。

リスキリング後の変化

【Aさん】

物事の理屈や学問と実務ではこの部分が違う、といったところに気づけました。また、私は自分のことがわかりました。さらに、世の中の構造も見えてくるので日本の嫌な点が気になるようになりました。


【Bさん】

専門分野の理解が深まったので良かったです。臨床検査技師としてこのまま働いていこうと考えているので大学院に行って本当に良かったと思います。


【Cさん】

自分が計画立てて物事を進めることができる自信が持てたこと、知識が増えてリアルでもいい循環ができたことが良かったと思っています。例えば、大学や大学院でつけた知識のおかげでプライベートでも投資信託や株をできるようになったり、会社の上の人が言っていることを理解できるようになったりしました。MBAだと特に実務に生かせるのでこの傾向が強かったです。

金額だけでみると大学院の進学に躊躇するかもしれませんが、価値ある経験だったと思います。知識だけでなく、仲間との出会いや頑張った経験、大学院への進学を自ら決めた経験が今の自分の財産になっています。


【Dさん】

今まで何かを知りたいというのは自分の中にあるのは知っていましたが、リスキリングを通して自分が実は勉強が好きだったという意外な一面に気づけました

卒業論文が今のままだと間に合わなそうなので卒業への不安はありますが、今のところリスキリングをしてよかったと心の底から思っています

リスキリングの経験はどのように活かされているか

【Aさん】

大学院の後、会社で取締役として勤務しました。しかし、介護がさらに大変になり、家により近い会社に転職し、その会社で現在は人事総務経理と講師をしています。そのため大学院で学んだことが現在も仕事で活かされています。


【Bさん】

医師も国家試験に合格してから自分の分野を選びますが、臨床検査技師にも実はこのような専門性があります。今の仕事も専門性を活かしてやることができています実戦に出たからこそ分かる部分があると考えており、学生の時は教授に言われた通りに仕事をやっていましたが、ある程度臨床経験を積んだ上で大学院に行ったのでそれが本当に良かったと思っています。


【Cさん】

プライベートでも仕事でも経験は活きています。

女性に対して偏見がある上司のもとで過ごすのが嫌だったのと、自分がどれくらい価値を持つようになったのか確かめたかったので大学院卒業後は人材会社が紹介してくれた他の会社に転職しました。その会社では日々新しいチャレンジができ、英語とMBA両方が活かせる環境が用意されているので満足して働いています。


【Dさん】

卒業をまだしていないので、卒業後経験をどのように活かそうと考えているかの話になりますが、大学院卒業後は友人と教育的要素を含んだ起業を考えています

自分の今までのリスキリング以外の経験も活きること、必要な分野に特化して子供を相手に仕事していきたいことから、障害児のための学童や外国ルーツの親子に日本語を教える施設をやってみたいと考えています。

社会人のリスキリングを人に勧めるか

【Aさん】

人によります。大学院は基本的に研究者を目指す教育機関で、日本では就職する際博士までは求められません。また、1990年代とは違って今はMBAをとってもちやほやされる時代ではありません。大学院の進学自体にこだわるよりも、資格が取れるところにいった方が手に職がついて良いと思います。


【Bさん】

大学院の進学は独身の方であれば選択は自由ですが、結婚しているなら周りの協力が必要です。ただし、本人のやる気で周りの理解と協力で得られることもあります。

社会で働いていく以上知識のアップデートが必要で、また大学院の経験は給与面などに影響することもあるので、大学院の進学は周りの理解が得られる環境ならおすすめです。


【Cさん】

進学を勧めます。社会人になってからの進学は学生時代とは異なる価値観で勉強でき、お金も自分のものなのでその分やる気もあります。

知識をつけるだけではなく、副次的な効果もたくさんあるのでおすすめです。


【Dさん】

私自身は大学院でのリスキリングにこだわりがあるわけではありませんが、お勧めします


学部卒後の進学と実務を経験してからの進学のどちらがいいのか

【Bさん】

私は臨床に出た上で研究をする方がより研究の理解がしやすかったので、実務を経験してからの進学で良かったと思いました。

また、私は女性なので、そのまま進むより結婚して子供を産んでいたのでライフステージについて焦ることがなかったのも良かったです。出産を終えると子育てが楽になるタイミングがあるので、女性はライフステージの観点から言えば、結婚や出産が終わってから大学院に進学した方がいいのかもしれません

もともとOLだったけれど子供を産んでから看護師さんになった人も多くいるので、他の分野で今は働いている方でも医療系のリスキリングはいつでも可能です。自分にとって最適だと思ったタイミングでリスキリングされたら良いと思います。

リスキリングの1つの選択肢としての大学院

本記事ではリスキリングとして社会人になってから大学院に進学された4名のインタビューを紹介しました。

大学院の分野も経験の内容も全く違う4名ですが、共通していたのは大学院での経験で専門分野により詳しくなったり自分の新たな一面に気づけたりと、新しい視点を手に入れているところです。大学院への進学は、かかる時間、費用ともに簡単に決断できるものではありませんが、その分リターンも大きいです。

少しでも大学院に興味がある方はこれを機に思い切って進学を考えてみてはいかがでしょうか。

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