保育士を辞めたいと思う理由は?仕事をやめて良かったことや転職理由を紹介
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保育士は子供たちとの触れ合いから大きな喜びを感じる一方、過酷な労働環境に直面することもあります。
経験の評価が十分でないことやライフスタイルの変化などの理由から、仕事を辞めたいと思うこともあるでしょう。
この記事では、保育士が仕事を辞めたくなる理由とそのメリットをご紹介します。転職や退職を検討している方に少しでも参考となれば幸いです。
保育士を辞めたいと感じる理由5選
仕事量が多すぎる
保育士の仕事は非常にストレスが高く、子供の安全を最優先にしながら責任の大きい業務を行っています。
保育園での人手不足により、残された保育士の業務負担が増え、精神的にも大きなダメージを受けています。また、保育園での事故や虐待が報道されるようになり、保護者からの注視も厳しくなっています。
このような厳しい環境で、保育士は本来の保育への意欲を失いがちになりやめたいと考えるようになります。
正社員の責任が重くてストレス
保育士の仕事には大きな責任が伴います。
正社員は年齢に関係なく、クラス担任やリーダー役割を任されることが多く、子どもの命を預かる重大な責務があります。少しの油断でも子どもがケガをすれば、個人だけでなく園全体の責任問題になる可能性があるのです。
近年、保育園での事故や虐待事案が報道されることで、保護者からの厳しい視線も増えています。このような状況下で、保育士は日々精神的ストレスにさらされながら子どもの安全を守る業務に従事しています。
理想とした保育とは異なる現実に直面し、やりがいを失って退職を考える保育士が多くいます。子どもの命を預かる重責と厳しい環境によるプレッシャーが、保育士のストレスの大きな要因となっているのです。
人間関係にうんざりした
保育士の離職理由として最も多いのが人間関係の悩みです。
同僚や上司との信頼関係の欠如や連携の難しさから、孤立を感じるケースが少なくありません。さらに、一部にはパワハラとも言えるような経験をすることもあり、保育士の柔軟性や希望を失わせてしまいます。たとえば、自らの失敗に対して怒鳴られたり、長時間説教されることもあるそうです。
保育の現場では人間関係が特に重要視されるため、その悩みが退職につながりやすい状況にあるのです。
給与が低くてモチベーションが下がる
保育士は子供たちの命を預かる重大な責任を負いながら、他の職業と比べて給与が低い水準にあります。
さらに、教育活動の企画や家庭への連絡文の作成、行事の準備などの多岐にわたる業務に追われ、業務時間内に終わらないことも多くあります。保育園側が適切に人員を配置し、業務を分散させれば残業は減りますが、そうした対策が取れない現場も少なくありません。
加えて、過剰な業務量に見合う給与が支払われないのが大きな問題です。残業代も発生せず業務内容も変わらないのであれば、保育士として長期のキャリアを望むのは難しくなるでしょう。その結果、やめたいと考える人が増えるのも無理はありません。
保護者対応に向いていない
保育士の仕事には、子供の世話だけでなく保護者との良好な関係を築く必要があります。
しかし、保護者からのクレームへの対応は大きなストレス要因となり、心身ともに疲れを感じてしまうことがあります。誤解や噂話に晒され続けると、自信を失ったりミスへの不安が高まったりするなど、ネガティブな気持ちに陥りやすくなります。
このような状況が続くと「なぜ自分は保育士を続けているのか」がわからなくなり、「保育士を辞めたい」と強く思うようになるのです。
保育士は複雑な人間関係の中でコミュニケーションを取り続ける必要があり、そこに大きな負担を感じているようです。
保育士の離職率はそこまで高くない
厚生労働省の調査によると、平成30年時点での保育士の離職率は9.3%でした。労働者全体の離職率が14.9%であることを考慮すると、保育士の離職率はそこまで高くないことがわかります。
しかし、実際には離職を希望しながらも、社会的責任感や保育士不足への危機感、資格が活かせる職場がほとんどないことなどから、転職への不安がある保育士は多いと思われます。
離職率の低さとは裏腹に、辞めたくても辞められないと考える保育士が数多く存在するのが現状です。
それでも保育士を辞めたいと言えない理由は?
転職への漠然とした不安があるから
保育士は、離職を望みながらも次の仕事が見つからないことへの不安から踏み切れないことが他の職業と比べ多いです。専門学校などに通い保育のプロとなってきた保育士からすると、他の職種職業の知識がないことが原因です。
この不安を解消するには、早めに転職活動の準備をしたり、専門機関の転職サポートを利用することが効果的となるでしょう。
適切なサービスを活用することで、保育士から他業種へのスムーズな転職が可能となります。
職場に迷惑をかけてしまうから
保育士は子どもたちの健全な育ちを支える重要な役割を担っており、一人では成り立たず、職場全体で協力し合う必要があります。そのため、退職により職場に迷惑をかけてしまうのではないかと気にする保育士も少なくありません。
この問題を解決するには、年度末を見据えて早めに退職計画を立てることがおすすめです。年度末は一つの区切りなので、そこに合わせて退職することは受け入れられやすい傾向にあります。早い段階から園長に退職の意向を伝えれば、園側も次の人員確保に向けて計画的に動くことができ、影響を最小限に抑えられるのです。
年度末以外の時期に退職を決めた場合でも早めに連絡し、スケジュール調整や人員配置への負担を軽減させることが重要になってきます。
「辞める」と伝えた後の人間関係が心配だから
また、「辞める」と伝えた後の人間関係について心配する保育士も多いでしょう。
しかし、一旦退職を決意すると、その時点で職場の人間関係は一時的なものとなります。つまり、残された期間を大切に過ごし感謝の気持ちを伝えながら、良い思い出を作りたいと考えるようになるのです。穏やかに業務を引き継ぎ感謝の意を表すことで、自身の成長を経て退職するのが望ましいです。
一方で、退職せずに現状の働き方を見直すことも選択肢の一つです。その場合、今の悩みに真摯に向き合い、周りとのより良い関係作りや問題解決の方法を模索する必要があります。
要するに、職場の人間関係に悩むのであれば、自ら「辞めるか、続けるか」を選択し行動に移すことが何より重要となるのです。
保育士を辞めるメリットとデメリットは?
辞めるメリット
保育士を辞めることで得られるメリットをまとめてみました。
- サービス残業がなくなってプライベートの時間を確保できるようになる。
- 人間関係の悩みや職場環境から離れることで生活の質が向上する。
- 新しい職場で待遇や給料の見直しの機会があり、経済的な安定を得られる可能性がある
- 子供たちを守る大きな責任から開放されることで、生活のストレスも軽減される。
- 体調不良の改善も期待できる。
保育現場は肉体的にも精神的にも大変なため、肩こりや腰痛などの症状が改善される可能性があります。一時的に保育現場を離れることで、仕事自体を冷静に振り返り新たな視点で再び保育士として働きたいという気持ちになるかもしれません。
保育士を辞めることで心身ともにリフレッシュでき、自分の人生を見直すチャンスが訪れるはずです。
辞めるデメリット
一方、感情的な判断で退職してしまうと、予期せぬ問題に直面する可能性が非常に高まります。
退職後の収入が途絶えれば生活に支障をきたすリスクがあり、新しい職場に適応できずにストレスを感じる恐れもあります。
また、子供たちとの関わりが自分に合っていたと気づくことができ、やめたことを後悔する人も少なくありません。
仕事を辞めるというような大きな決断には、誰かに相談するなどの計画的な行動が不可欠です。感情的に行動してしまうと、思わぬデメリットに見舞われる可能性が高くなってしまうのです。
保育士を辞めたいと思った時に取るべき行動と考え
仕事を続けるか辞めるかを判断するのは簡単なことではありません。
しかし、自分の本当の気持ちに耳を傾け、じっくりと向き合うことが何より大切です。ここではおすすめの行動をご紹介します。
辞めたい理由を具体的に書き出してみる
保育士の仕事に疑問や不満を感じたら、まずはその理由を具体的に整理することが重要です。
自分の抱える問題点を見つめ直し、よくある退職理由の中で自分に当てはまるものがないか確認してみてください。漠然とした不安が言語化されることで、整理されていくはずです。そして、その問題に対する解決策が実現可能かどうかを見極める必要があります。
もし実現できなさそうと感じれば、それは転職を真剣に検討すべきサインかもしれません。
仕事か今の職場のどちらが嫌なのかを考える
また、保育士の仕事に満足できない時は、その原因が本当に保育士という仕事自体にあるのか、それとも現在の職場環境にあるのかを見極めることが重要となってきます。
多くの人が子供を愛する気持ちから保育士を志しているため、不満の原因が職場環境にある場合は転職を検討するのが賢明でしょう。職場環境が原因であれば、新しい職場を探すことで解決できる可能性もあります。
転職エージェントに相談してみる
さらに、転職を考えているけれど不安で一歩を踏み出せずにいる方は、転職エージェントに無料で相談することをおすすめします。
転職エージェントは、あなたの不安に耳を傾け適切なアドバイスをしてくれるでしょう。相談することで転職のイメージがより具体的になり、次の行動への糸口が見えてくるかもしれません。
転職への不安を払拭し新たなスタートを切るためには、まず転職エージェントの無料相談から始めてみるのがよいでしょう。
保育士にとって最適な退職の伝え方とは?
保育士として職場を離れる理由は人それぞれ異なります。しかし、適切な退職の伝え方を怠ると、将来の就職活動にも影響を与えかねません。そこで、スムーズな退職のためのポイントをお伝えします。
おすすめの退職理由①:転職先が既に決まっている
この場合、上司は引き止めない可能性が高く、退職の伝え方を特に工夫する必要はありません。
しかし、転職先が決まっていないという旨を伝えると、上司から「新しい職場が決まるまで勤務を続けてほしい」と求められることが多くなるかもしれません。その結果、ずるずると同じ職場で働き続けてしまうことになるでしょう。
したがって、保育士が退職を考える際は転職先を決めてから辞職を伝えることが理想的です。
おすすめの退職理由②:勉強がしたい
専門的な知識や資格を身につけるために退職を検討している場合、単に「勉強がしたい」という曖昧な理由では不十分です。具体的に学びたい分野や進学先、職業訓練などを明確にすることが重要です。
そうすることで、上司から理解を得られやすくなります。仕事を続けながらでは本気で専門知識を学ぶのが難しいこと、次のステップに向けて退職する確固たる決意があることを伝える必要があります。
将来のビジョンを明確に示し、上司の理解得られるように退職理由を丁寧に説明することが求められます。
おすすめの退職理由③:家庭の都合で退職する
退職の理由として「家庭の都合」を挙げることは、多くの場合理解を得られやすいです。しかし、実際に家庭の事情で仕事を続けられない状況であることが前提となります。
単に建前上の理由としてではなく、事実に基づいている必要があります。事実と異なる理由を述べれば、後々トラブルに発展してしまうかもしれません。
このように、退職の際は、正直で事実に基づいた理由を提示するように心がけましょう。それによって、引き続き良好な関係性を保つことができるはずです。
注意:ウソは絶対に言わない
退職時には本当の理由を率直に伝えましょう。一度軽い嘘をついてしまうと、上司や同僚から質問を浴びせられ、追い詰められてしまうことがあります。適切なコミュニケーションとは、自分の信念や願望、感情、経験などを素直に話すことにあります。
嘘をつくとそれらを伝えられずに信頼関係を損ねてしまうため、状況がどうであれ、嘘をつかないことが最も大切となっていきます。
保育士を辞める際の具体的なステップは?
退職する時期を決める
保育士を辞める際には、退職のタイミングを適切に見極めることが重要です。
新年度の始まりに合わせて3月末に退職するのが望ましく、子どもたちとの関係を円滑に終えられ、次の担当者への引き継ぎもスムーズになります。
ただし、所属する施設によっては、退職の際に一定期間前の申告が求められるケースがあるため就業規則を事前に確認しておきましょう。通常は退職を希望する月の前半か前月までに申告することが求められます。
また、保育士の求人募集は秋から活発になる傾向にあるため、早めに退職を申し出ましょう。そうすることで、就職活動にしても保育園の求人募集にしても十分な時間を確保することができます。
早め退職の意思を伝える
さらに、退職の意思を早めに伝えることは保育園の年間スケジュールや人員計画の立案に関係するため、とても重要になっていきます。
保育園では通常9~10月頃に次年度の計画を立てるため、このタイミングで退職の意向を伝えることがおすすめです。
ただし、退職の意思を伝えた際に引き留められ、気持ちが揺れ動くという保育士さんも多いでしょう。
しっかりと業務の引継ぎを行う
加えて、保育士を退職する際は、これまで担当してきた業務や子供たちの状況などを次の担当者に引き継ぐ必要があります。適切な引き継ぎを行えば、後任の保育士が円滑に業務を開始できるだけでなく、園全体の運営にも良い影響を与えるでしょう。
一方で、引き継ぎが不十分だと、退職後に度々問い合わせが来るなどのトラブルの原因にもなりかねません。
これが社会人としてのマナーであり、効率的な業務遂行のためにも、退職前に確実な引き継ぎを行うことが求められています。
保育士を辞めた後のキャリアでおすすめの業種
教育関連の業種
保育士の経験と専門知識は、教育関係の様々な分野で活かすことができます。
学校の教員として子どもたちを指導したり、特別な支援を必要とする子どもたちの教育やサポートに従事したりすることもできます。
さらに、教育コンサルタントとして学校や施設への教育プログラムの提案や教員研修なども手掛けられます。
保健・福祉関連の業種
保育士を退職した後のキャリアとして、児童福祉施設の職員や介護福祉士、ケースワーカーなどの福祉関連の仕事が考えられます。これらの仕事は保育士としての経験とスキルが活かせる分野です。
具体的な例として、児童養護施設や障害者支援施設で子どもたちの生活や学業のサポート、高齢者や障害者の日常生活の支援、そして必要な福祉サービスの提案や支援プランの立案があります。
元保育士ならではの対人力や子育て支援の経験を生かして、新たなキャリアを切り拓くことができるでしょう。
企業や団体での役割
企業の人事部門や研修担当者として、社員の採用や研修、福利厚生の企画に従事し、組織全体の目標達成に貢献することができます。保育士時代に培ったコミュニケーション力や人材育成の経験が活かせるでしょう。
また、企業の社会貢献活動(CSR)の計画や管理に携わり、特に教育や子どもに関する分野で保育士の専門性を発揮することができます。
NPOやNGOでも、教育や子どもの福祉に関する支援プログラムの実施や資金調達、広報活動など、保育士の経験や知識が役立つ職務が設けられています。
自己開業やフリーランスとして働く
さらに、自己開業やフリーランスとして働く道もあります。
例えばフリーランスの保育コンサルタントとして、子どもたちの教育プログラムの開発や運営について、多くのアドバイスを保育園や幼稚園に提供することができます。
また、子ども向けイベントプランナーとして、子どもの好みや興味を良く理解した上で、様々なイベントの企画・運営も可能です。
さらに、フリーランスのライターとして、教育や育児に関する豊富な知識を生かし、有益な記事やコンテンツを作成することもできるでしょう。
進学や資格を取得する
保育士としての豊富な経験と知識を持っている場合、次のステップとして進学や資格取得をおすすめします。
児童心理学の分野で大学院に進めば、更なる学びを通して高度な知見とスキルを身につけることができます。その結果、専門職としての心理カウンセラーや児童心理学者となり、子供の発達に関わる課題や、子供を取り巻く環境への心理的サポートを専門的に行うことが可能になります。
また、社会福祉士の資格を取得することで、保育士としての経験を活かし社会全体への幅広い福祉サービスの提供に従事できるようになります。
福祉施設や地域社会で様々なサービスを提供しながら、保育士時代に培ったスキルを更に広げて社会貢献の場を拡げていくことができるでしょう。
保育士を辞めるときの自己PRの活用方法
自己PRは、保育士から別の職種へ転職を考える際に非常に重要な役割を果たします。
本章では、自己PRの活用方法について詳しく説明していきます。
経験を具体化させる
保育士として培った経験を具体的に語り、それが次の職場でいかに役立つかを明確に伝えることが自己PRの鍵となります。
まず、これまで関わってきた年齢層を示すことで、幅広い適応力と豊富な経験をアピールできます。次に、教育プログラムや活動の計画・実施の詳細を説明することで、組織力やリーダーシップ、創造力をアピールできます。
さらに、特別な支援を必要とする子供との関わり経験があれば、思いやりの心や対応力、問題解決能力を示すことができるでしょう。
こうした点に留意し保育士時代の経験を具体的に語ることで、次の職場での活躍にもつなげていくことができます。
具体的な成果を強調させる
保育士として成長していく中で、自分の実績を具体的に示すことが大切です。それによって、自分の持つスキルや貢献度をはっきりとアピールできるからです。ここでは、具体例を三つ紹介していきます。
まず一つ目は、自分の企画した活動が、子どもたちの社会性や認知力の発達にどの程度影響を与えたかを示すことです。子どもたちの成長を促したことを具体化すれば、保育士としての力をアピールできます。
二つ目は、子どもたちに良い影響を与えられた証しとして、保護者から直接感謝の言葉をもたえたことを挙げましょう。
三つ目に、自分が企画・運営したイベントが成功し、子どもや保護者から高く評価されたことをアピールしましょう。イベントの成功を通じて、自身のリーダーシップや組織力の高さを裏付けられます。
このように実績を具体的に示すことで、自分の能力と職務への影響を明確にアピールできます。保育士を退職する際も、これらの実績を強調することで、新しいキャリアに向けて確かな大きな一歩を踏み出せるでしょう。
ビジョンを明確にする
さらに転職を考える上では、新しい職場で、自分の経験や能力がどのように活かせるかを具体的に示すことも重要です。
保育士時代に培ったコミュニケーション力は、スムーズな対話を可能にします。また、チームマネジメントの経験は、プロジェクト遂行や部下のまとめ役として活躍できることを示しています。
自分の強みが組織の発展にどう寄与するかを明確に伝えることで、魅力的な人材像を印象づけることができるのです。
保育士を辞めたい理由まとめ
保育士の仕事は過酷な環境と給与の低さが問題となっています。
しかし、一旦仕事を離れることで心身ともにリフレッシュでき、新たな道を探る機会ともなるでしょう。健康を最優先に置き、前を向いて次のステップを考えることが何より大切なのです。
保育士からの転職を考えている方、本記事を参考に新たなキャリアアップを目指していきませんか?