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介護業界における転職者の転職後の実態に関する調査

更新日:

調査: スキルアップ研究所

介護業界への転職は、多くの人にとって新たなキャリアのスタートとなる。

職場環境や待遇、職場の人間関係の改善を求めて転職を決意する人も少なくないが、その結果が必ずしも満足に結びつくとは限らない。

介護業界で転職を経験した方は、実際には満足度や待遇などにおいてどのような状況にあるのだろうか。

本レポートでは、介護業界における転職後の実態を明らかにした。

「介護業界における転職者の転職後の実態」結果のポイント
  • 転職のきっかけは前職へのやりがいの欠如が最多
  • 転職後に資格を取得した人は9割近くに上る
  • 短期的・長期的条件のどちらを重視しても転職満足度は比較的高い

介護職への転職のきっかけは前職へのやりがいの欠如が最多

介護職への転職理由を調査した結果、最も多かった回答は「前職へのやりがいがなくなったから」であった。

この結果から、介護職に転職する際には仕事への意欲や満足感の欠如が大きな動機となっていることがわかる。

また、合計で2番目に多かった回答が「ライフスタイルの変化があったから」であったことから、個人の生活環境の変化も転職の重要な契機となっていることが読み取れる。

短期的な条件のみを重視した人は37%

「転職時には短期的な条件と長期的な条件のバランスをどの程度考慮しましたか?」という質問をしたところ、56%が短期的な条件に重きを置いていたことがわかった。

転職のきっかけには「前職へのやりがいの欠如」が多く挙げられていたにも関わらず、考慮する要素では短期的な条件の方が重視される傾向となった。この要因として、経済の不確実性や生活費の高騰により、転職者が将来の成長よりも目先の安定した収入や即時的なメリットを優先せざるを得ない状況にあることが考えられる。

一方で、「短期的・長期的な条件をバランスよく考慮した」と回答した人は29%で、短期的な利益だけでなく、将来的なキャリアや生活設計も含めた総合的な判断を行う人も一定数存在することがわかる。

短期的・長期的条件のどちらを重視しても満足度は比較的高い

介護業界への転職に対する満足度について、短期的な条件を重視したグループでは70%以上の人が10点の満足度をつけている。

一方、長期的な条件を重視したグループでは7点から9点に満足度が集中している。

これらの結果から、短期的なメリットを重視した転職は高い満足度を得やすいが、長期的な視点を重視した転職は極度に低い満足度にはなりにくく、慎重な期待が反映された結果となっていると考えられる。

また、短期的・長期的な条件をバランスよく考慮したグループは、6点から8点の間に満足度が集中しており、最も安定した満足度をもたらしていることも読み取れる。

介護業界に転職後の変化

6割以上が給与や待遇に満足

「転職後の給与や待遇に満足していますか?」という質問に対して、「とても満足している」または「ある程度満足している」と答えた人が6割以上に上ることが判明した。

この結果から、転職が多くの人にとって給与や待遇の改善につながっていると考えられる。

一方で、「あまり満足していない」と答えた人は12%にとどまり、転職後の待遇に大きな不満を抱いている人は少数であることがわかる。

8割近くが職場環境や人間関係の改善を実感

転職後の職場環境や人間関係についても、多くの人が改善を実感していることが明らかになった。

「とても改善した」と回答した人が51%、「少し改善した」と回答した人が28%に上り、転職を通じて職場環境や人間関係が良くなったと感じている人が多いことがわかる。

キャリアアップの機会が増えたと感じたのは8割

「転職前に比べ、キャリアアップの機会は増えましたか?」との質問に対し、50%が「とても増えた」、30%が「少し増えた」と回答しており、合計で80%がキャリアアップの機会の増加を実感していることがわかった。


以上3つの質問に対する回答結果から、介護職への転職は、給与・待遇、人間関係、キャリアのそれぞれの観点において、概ね満足のいく結果を得られるといえる。

転職後に資格を取得した人は9割近く

「転職後、新たに取得した資格があれば教えてください」という質問に対し、「介護福祉士」を取得した人が最も多く、全体の44%を占めていることがわかった。

介護福祉士は専門的な知識と技能が求められる国家資格であり、高齢化社会における需要の高さと安定した雇用が見込める。多くの転職者がこの資格を取得することで自身の市場価値を高めようとしているのではないかと考えられる。

また、資格を取得した人は全体で8割以上にのぼり、転職を契機に多くの人が資格取得に積極的に取り組んでいることが伺える。

転職における資格の有効性が示される結果となった。

今後は介護職としての専門性を高めたい人が多数

「将来的にどのようなキャリアを目指していますか?」と質問したところ、「介護職として専門性を高めたい」を選んだ人は全体の33.9%で最も多い割合を占めた。

また、介護教育や研修担当としてのキャリアを築きたいと考えている人が次に多く、教育や指導の分野で活躍したいという意向も見受けられる。

今後も介護業界でキャリアを積みたい人は75%

「今後も介護業界でキャリアを積んでいきたいと思いますか?」と質問したところ、75%の人が「はい」と回答した。

介護業界での経験や展望に対して、多くの人々が前向きな姿勢を持っていることが示された。

その一方で、「まだ決めていない」と回答した人は17%で、不確定な状況にある層や他の可能性を模索している層も存在することもわかる。

課題と展望

介護業界への転職においては、短期的な条件と長期的なキャリアビジョンの両方を考慮することが重要である。

調査結果によれば、短期的な条件を重視して転職した人も長期的な視点を持って転職した人も、それぞれ高い満足度を示していることが分かった。特に、転職後にキャリアアップの機会が増えたと感じる人が多く、資格取得に積極的な姿勢も見受けられる。

転職者には、自分にとっての優先事項を明確にし、短期的・長期的な条件のバランスを取ることが求められる。

また企業側も、従業員が長期的に満足できる職場環境やキャリア支援を提供することが重要である。

調査概要

項目

詳細

調査名

介護転職者のその後の実態

対象者

介護職に転職し、現在も介護職に就いている方

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年8月20日~8月27日

回答数

100

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