保育士が転職・退職する理由は?面接における伝え方のポイントを例文付きで紹介

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保育士は激務で心身の負担が大きいことから、転職を検討する人も多くいます。

転職する際には、面接で前職の退職理由などを伝えることになるため、先方が納得しつつ悪印象を与えない退職理由を考えることが重要です。

こちらの記事では、保育士が転職・退職する理由や面接における退職理由の伝え方を例文を交えつつ解説していきます。

退職理由を考えるのに苦労している保育士に役立つ内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください。

保育士のよくある転職・退職理由は?

 退職理由の回答結果

出典:東京都『令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)』

東京都「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」によると、現在の保育所等を退職したいと考える理由は上記の通りです。

最も多い理由は61.6%の「給料が安い」で、次いで

  • 「仕事量が多い」(54.0%)
  • 「労働時間が長い」(35.4%)
  • 「職場の人間関係」(30.1%)

となっています。

以下でそれぞれの理由について詳しく解説していきます。

給料が安い

保育士は、仕事量が非常に多い一方で給料が安い問題があります。

仕事量と待遇のバランスが悪い点に不満を感じたことをきっかけに、転職・退職する保育士は多いです。

政府の「処遇改善加算」などを通じて保育士の待遇改善は以前より進んでいるものの、未だに他の職種に比べて給与が低いのが現実です。

子ども達の安全を守るという大きな責任感とプレッシャーに対して、給与が見合っているとは言えません。

多くの仕事をこなす必要がある

保育士は、日々多くの仕事をこなす必要があります。

仕事量が多く心身への負担が蓄積された結果、転職を決断する保育士は少なくありません。

保育士の業務内容として挙げられるのは、

  • 子どもの世話
  • 子どもの遊び相手
  • 園の掃除
  • 食事の配膳
  • 連絡帳の記載
  • 保護者への配布物の作成
  • 掲示物の作成
  • イベントの準備

など、多岐にわたります。

仕事が多すぎて一杯一杯になってしまい、心身に影響をきたしてしまう可能性も十分にあります。

残業が多くプライベートと両立できない

保育士は業務量が非常に多いため、残業を強いられることが多いです。

残業が多いと自分のプライベート時間が少なくなってしまうため、大きなストレス要因となります。

残業が多くプライベートが充実しないことに不満を抱え、退職を決断する保育士も少なくありません。

慢性的に人手不足に陥っている園だと、残業が常態化してしまいプライベートとの両立ができません。

より働きやすい職場を求めて、転職をする保育士も多くなるのは当然と言えます。

人間関係がうまくいかない

保育園は外部から見えづらいことから、閉鎖的な環境になりがちです。

同僚や上司などの折り合いがつかず、人間関係がうまくいかないと大きなストレス要因となります。

人間関係の問題を解消するために転職する保育士も多く、働きやすい雰囲気の園を探すことは非常に重要と言えます。

転職先でも人間関係で苦労する可能性はあるものの、現状を手っ取り早く変えるために転職するのは合理的な判断です。

園の方針が合わない

保育園の方針と自身の保育観がマッチしていないと、不満を抱えながら仕事をすることになります。

多少待遇が良かったとしても、方針が合わない場合は働きづらく、ストレスが蓄積されてしまうでしょう。

園の方針が合わないと、心理的に長期的に勤務するのが難しくなります。

余計なストレスを抱えないためにも、多くの情報を収集して自身の考えや価値観とマッチするか調べることが大切です。

責任が重い

保育士は、1人で何人もの子どもの世話をする必要があります。

特に、未就学児は危機察知能力が無く、いつ何をするかわかりません。

保育士には大きな責任が伴いますが、1人で好き勝手に動く子どもたちの面倒を完璧に見るのには限界があります。

複数の保育士で業務分担できているなど、人手に余裕がある保育園であれば安心して働くことができます。

しかし、人手不足の保育園だと1人の保育士に過重な負担がかかってしまうため、要注意です。

福利厚生が薄い

安心して働くためには、福利厚生が充実していることも必須です。

家賃補助や交通費支給、食費の補助の有無など細かいポイントまで確認しましょう。

また、プライベートの時間を確保するために休暇が取りやすさかどうかをチェックすることも大切です。

施設によって福利厚生の充実具合に差があるため、より良い環境で働くために転職を検討する保育士は多いです。

心身の不調

激務から、心身に不調をきたしてしまう保育士も多いです。

体力面では、子どもと外遊びをする他、子どもを抱っこするシーンも多いため、膝や腰に大きな負担がかかります。

また、プライベート時間の不足や保護者対応などで疲弊してしまい、精神的に参ってしまう可能性もあります。

心身に不調が出ている場合や身体愁訴が出ている場合は、負担が少ない園への転職を目指すのは当然です。

保育士が転職理由を述べる際のポイント

転職する場合は、転職理由を述べる機会が多くあります。

以下で、保育士が転職理由を述べる際のポイントを解説していきます。

ポジティブな視点から述べる

前の職場に対して強いネガティブな感情を抱いていた場合でも、転職理由として述べるのは控えましょう。

前職への不満を全面に出すと、

  • ウチでも不満を口にするだろうな
  • 扱いにくそう
  • そもそも、この人の人柄が原因なのでは?

など、悪い印象を与えます。

転職理由を述べる際には、必ずポジティブな視点から述べることを意識しましょう。

やる気や熱意を伝えるためにも、言い方を工夫することが大切です。

転職理由と志望動機は別物

転職理由と志望動機は、似ていますが別物です。

  • 転職理由:前の園を離れるに至った理由
  • 志望理由:応募先を選んだ理由

上記のように違いがあるため、質問された際に混同しないように気を付けましょう。

転職理由と志望動機の区別が曖昧だと、

  • 前の職場が嫌だから転職するのか
  • 新しいチャレンジをするために転職するのか

などの考えが伝わりづらいです。

特に、志望動機は「就職したい」という熱意を採用担当にうまく伝えるための重要な要素となります。

転職理由と志望動機をしっかりと整理して、自身の考えや熱意をしっかりとアピールしましょう。

転職内容と今後の目標を一貫したものに

転職活動を進める際には、転職内容と今後の目標を一貫したものにしましょう。

志望理由や今後のキャリア展望に齟齬があると、採用担当者に疑念を持たれてしまいます。

方向性が異なると、どのようはビジョンを持って転職活動しているか判断できず、アピールにならない可能性があります。

自分が大切にしている価値観や目指しているもの、職場に何を求めているのかを整理しましょう。

一貫性のある視点から志望動機を述べることで、採用担当者に好印象を与えることができます。

「この園を選んだ理由」を明確に伝える

志望理由を述べる際には、「この園を選んだ理由」を明確に伝えることを意識しましょう。

園のホームページを熟読するのはもちろん、園の様子を観察して感じたことを述べると良いでしょう。

どの園にも当てはまるありきたりなことを言ってしまうと、面接官は「他の園でも良いじゃないか」と感じます。

「私はこの園で働きたい」という希望とその理由を明確にすることで、採用の決定的理由になり得ます。

面接での転職理由の伝え方を例文で解説

 退職理由の回答結果

保育士の離職理由の作り方で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

採用される可能性を高めるためには、説得力のある離職理由を考える必要があります。

以下で、面接での転職理由の伝え方の例文を紹介していきます。

前の職場の給料が安くて…

前の職場では、評価制度が形骸化しており、自分の頑張りが評価されていると感じることができませんでした。

保育士の仕事に誇りを持っていますが、自分の仕事ぶりが評価されていると感じることができず、仕事のモチベーションを保つのが困難でした。

しかし、貴園は昇給制度など仕事に見合った評価をしてくださる体制が整っていると感じ、応募に至った次第です。

自身でもキャリアアップをしつつ、保護者のニーズを把握しながら質の高い保育サービスを提供したいと考えています。

前の職場の給料に不満がある場合、ストレートに表現すると印象が悪いです。

そのまま伝えるのではなく、上記の例文のように「自分の頑張りを評価してほしい」という観点に言い換えると良いでしょう。

人間関係が辛くて…

前の園では「担当している仕事は自分一人でなんとかするべき」という雰囲気で、チームワークを感じられる場面が少なかったです。

質の高い保育サービスを提供するためには保育士同士の連携や協力が不可欠と考えており、常に「これで良いのかな」という不安を抱えながら仕事をしていました。

貴園では、職場見学などを通じて複数人で相談・協力しながら仕事を進めることができると感じています。

周りの保育士ともっとコミュニケーションをしっかり取り、多様な視点を持ちながら一体となって働けると考え、志望させていただきました。

人間関係が原因で転職するときは、自身の言動が原因だと思われないように工夫することが大切です。

あらぬ疑念を抱かれないためにも、例文のように「貴園に魅力を感じている」点をアピールしましょう。

振られる仕事が多くて大変だった…

前の園では、新人が多いこともあって自分がチェックするべき仕事が多くありました。

連絡帳や掲示物など目を通さなければならない書類が多く、またデジタル化があまり進んでいなかったため、業務効率も悪かったです。

貴園は、経験豊富な保育士がいる上に業務体系がしっかり整備されています。

また、システム化も進んでいるため、業務を効率化して子どもと向き合える時間を多く確保できると感じました。

子どもと真剣に向き合い、成長を見守りながら自身の責務を果たしていきたいと考えています。

業務量の多さや振られる仕事の多さが原因の場合、その点をストレートに伝えるべきではありません。

「もっと保育に向き合いたい」など、保育への仕事の熱意を感じられるように伝えることを意識しましょう。

残業が多いのが嫌で…

前の園では、作業効率を意識して業務に当たっていましたが、残念ながら慢性的な人員不足に陥っていました。

保育士一人あたりの業務量が多くなりがちで、満足に子どもの相手や保護者対応ができず、ジレンマを感じる機会も多かったです。

貴園であれば、プライベートと両立しながら自分の子どもに寂しい思いをさせることなく働けると感じ、志望させていただきました。

心身ともに健康な状態で働き、質の高い保育サービスを提供するために精進する所存です。

残業が多くて転職する場合でも、「残業が嫌」と伝えると悪印象です。

残業が少ないことでもたらされるメリットに着目し、前向きに伝えることを意識しましょう。

体調不良がきっかけで…

前の職場では、腰や膝の痛みが悪化して保育士の業務を続けることが困難になり、一度退職しました。

接骨院に通いながら療養し、腰や膝への負担を軽減する動作を学び、現在は問題なく保育士として働けるように回復しました。

保育士の仕事に大きなやりがいを感じており、これまでの経験を貴園で還元できればと考えております。

体調不良が原因で転職をする際には、現在は働く上で影響がない旨を確実に伝えましょう。

保育園側からすると、「再発するとまた離職してしまう」という懸念を持つため、その点を払拭することが大切です。

保育士の転職成功には転職サイトの利用がおすすめ

保育士の転職を成功させるためには、転職支援に精通している転職サイトの利用がおすすめです。

転職サイトは無料で利用できる上に、様々なサポートを受けられる魅力があります。

以下で紹介する転職サイトは、いずれも信頼できるため登録を検討してみてください。

レバウェル保育士

レバウェル保育士のおすすめポイント

  • 早期での転職に強い
  • 保育士専門のアドバイザーが求人を調査
  • 求人検索から面接対策までサポートが充実

レバウェル保育士は、レバレジーズメディカルケア株式会社が運営している保育士向けの転職エージェントサービスです。

求人とエージェントの質の高さに定評があり、後悔のない転職を実現サポートしてくれます。

保育士専門のキャリアアドバイザーがサポートしており、職場の雰囲気や実際に入職した人からの情報も知ることができます。

過去にイメージとずれた求人を紹介された経験がある方でも、レバウェル保育士を利用すればミスマッチのない転職を実現できる可能性が高いです。

保育士の転職支援に特化しており、面接対策や給与交渉のアドバイスなど、保育士が転職に必要なサポートを提供しています。

保育士人材バンク

保育士人材バンクのおすすめポイント

  • 給料・条件交渉に強い
  • 関東圏の転職におすすめ
  • 細かい条件での検索が可能

保育士人材バンクは、東証プライム市場に上場している株式会社エス・エム・エスが運営している保育士特化型の転職サイトです。

運営会社は福祉業界で転職サービスを展開しており、保育士の転職支援にも強みがあります。

待遇面以外にも、環境や昇給など詳細な求人情報を提供してくれるため、ミスマッチを未然に防げるでしょう。

キャリアアドバイザーが相談者の希望を丁寧にヒアリングしたうえで適切な職場を提案してくれるため、転職経験が浅い方でも安心です。

他の転職サイトに掲載されていない非公開求人も取り扱っているため、高待遇で転職したい方にもおすすめできます。

保育士ワーカー

保育士ワーカーのおすすめポイント

  • 求人数が多い
  • 職場の内部情報が充実
  • 電話でも対面でも面談可能

2023年5月現在、保育士ワーカーには42,000件以上の求人を取り扱っています。

非公開求人も多く保有しているため、理想の転職を実現できる可能性が高いです。

保育士専門のアドバイザーが、面接対策や条件交渉を行ってくれるため、非常に頼りになります。

全国対応となっており、地方や県外転職希望者も問題なく利用可能です。

職場の雰囲気を事前に確認していることから、相談者の希望にマッチした求人を提案してくれるでしょう。

電話と対面面談の両方が可能となっており、利便性が高い点も大きな魅力となっています。

保育士の退職理由まとめ

待遇の悪さや人間関係の悪さを感じた時をきっかけにして、退職や転職を検討する保育士は多いです。

あくまでも「保育園に不満があり、保育士のキャリアは継続したい」と考えている方は、客観的に悪印象を与えない退職理由を用意することが大切です。

転職を成功させるためには、転職希望先に悪印象を与えず、自身の人材価値をアピールすることが重要です。

こちらの記事で紹介した例文を参考にしながら、自身の希望に合った保育園への転職を成功させましょう。