社労士の資格は意味ないって本当?やめとけと言われる理由や将来性まで解説

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社労士の資格は毎年多くの人が取得を目指す人気国家資格ですが、その実用性について疑問視する声もあり、一部では「社労士は意味がない」と批判されることもあります。

ここでは社労士の資格を取得する意義や将来的な展望の実態について、現代の市場動向を踏まえて詳しく考察していきます。


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社労士はなぜ意味ない・やめとけと言われるのか

社労士が意味ないと言われる理由


社労士の求人は少なく就職できない

社労士の資格取得を目指す人に対して「やめとけ」「意味ない」と言われる理由は、求人数が思いのほか少なく、就職活動が難しいことにあります。

社労士事務所は小規模な事業所が多く、従業員数が少ないため、新しい求人が生まれる頻度が低く、期待する事務所への採用枠が限られがちです。

さらに、限られた求人枠に多くの希望者が応募するため、目標とする事務所への就職が困難になります。

また近年ではITやソフトウェアの進化により社労士の業務が自動化されつつあり、人材の需要が減少し、求人数が今後さらに減ってしまうという懸念もあります。

AIに仕事を奪われるので必要ない

AIやロボット技術の進歩に伴い、社労士の仕事が代替される可能性があると指摘する意見も最近は広くみられます。

実際、社労士の業務の多くは労働法規や社会保険の手続きなど、ルールに基づいた定型的な作業も少なくないため、これらがプログラムやAIによって効率的に処理できる未来はそう遠くないでしょう。

こうした背景から、「今社労士を取得するのはやめとけ」という論調が強くなってしまっています。

知名度が低くて役に立たない

社会保険労務士の資格は国家資格の一つですが、一般の人々にとってはその仕事内容が分かりにくく、知名度が低い状況にあります

実際には社労士は企業と従業員が安心して働ける環境を整備するという重要な役割を担っていますが、弁護士や税理士のように明確な職務イメージがないため、社労士の存在意義が理解されていない側面があるのも事実です。

そのため社労士の資格をよく知らない人に対しては、なかなか資格の価値が分かってもらえず正当な評価がもらえない場面もあるでしょう。

試験の合格率が非常に低い

社労士の試験は極めて難しく、毎年多くの受験生が不合格に終わっています

そのため「ここまで難しい試験を突破するほどの価値はない」という意見をする方々が出てしまっている状況です。

特に不合格者になってしまった人の一部には「社労士試験は無意味だ」という主張をする人もいて、そうした嫉妬や逆恨みの声の方が社労士として活躍している人の声よりもむしろ目立ってしまうケースもあります。

独立しても仕事がない

独立した社労士は、主に中小企業を対象に労働や社会保険の手続きをサポートする業務を行いますが、多くの中小企業ではコスト削減のために専門家を常時雇用することが難しいため安定した顧客を確保することが難しいという実態もあります。

また、世の中にはすでに多数の社労士が存在しており、同業との競争に打ち勝たなければならないことからも、独立社労士は仕事の獲得が厳しい原因の1つとなっています。

社労士の資格取得がおすすめな人

このように「意味ない」と言われてしまうこともある社労士ですが、反対にどういう人であれば社労士資格の取得に向いていると言えるのでしょうか。

以下では社労士の資格取得を目指すことがおすすめな人を見ていきましょう。

人事労務部門に勤務中の人

人事労務部門に勤務する人であれば、社労士の資格取得は極めておすすめです。資格試験の勉強を通じて労働法や社会保険の手続きに関する専門知識を深めることができ、日常の業務品質の向上に直結します。

また、専門的な知識を活かして社内のリスク管理を強化し、内部コンサルタントとしての役割を果たすことが可能になります。これによりキャリアアップを図りやすくなり、自己の市場価値を高める効果も期待できます。

会社によっては社労士資格を持つことで資格手当を出してくれるケースも多いので、純粋な手取りの向上も見込めるでしょう。

資格をとって転職したい人

資格を武器に転職を検討している方にも、社労士の資格取得はおすすめできます。

社労士は人事労務の専門家として企業で重要な役割を担っています。人事労務部門は企業に欠かせない存在であり、人事組織をきちんと機能させるには社労士の専門知識が不可欠となります。

そのため社労士資格を持っていることで、大企業の人事・労務部門や、社労士事務所への転職は格段にしやすくなるでしょう。

独立を考えている人

自分のビジネスを持ちたいと考えている方にとって社労士の資格は大きな助けとなるでしょう。従業員として働くだけでなく、自身の事業に情熱を持つ人々にとって、この資格は強力な支えとなります。

社労士は資格所有者しか行うことが許されない「独占業務」を持つ資格なので、独立後も余程のことがない限り食いっぱぐれることはありません。

もちろん他の社労士事務所との競争は出てきてしまいますが、資格無しで独立するよりは遥かに低いリスクで開業を進めることができるでしょう。


社労士はどんな仕事をしているの?

社労士の人たちが日々どんな仕事をしているのかを知らないまま、社労士資格の需要や将来性について心配している人も少なくありません。そこでここでは簡単に社労士の仕事内容をおさらいしていきます。

社労士は、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法など、労働に関連する法律に基づいたアドバイスを企業に提供します。これには、労働条件の設定、労働契約の作成、就業規則の策定と更新などが含まれます。

例えば企業の給与計算や社会保険(健康保険、厚生年金保険、労働保険など)の加入・更新手続きを代行したり、従業員の入退社に伴う保険手続きの管理や、保険料の計算と納付業務を行ったりします。

さらに​より高度な業務として、労働トラブルや紛争が発生した際に、法的な枠組みの中での交渉や解決策の提案を行うことも可能です。

このように、社労士の業務は給与計算のような単純な業務から労働トラブルに対する専門的な交渉まで、非常に幅広いことがわかるでしょう。

社労資格取得のメリット

就職や転職で有利に

社労士の資格は労働法、社会保険手続き、人事労務管理の専門知識を証明するものです。企業において法令遵守、リスク管理、人事労務の効率化を図る重要な役割を担い、法的問題の予防や解決に貢献します。

そのため就職や転職市場で高い競争力を持ち、特に人事や労務管理のポジションで重宝されます。このように社労士資格は、企業が直面する様々な労働関連の課題に対応するための強力なツールとなるため、キャリアアップにも大いに役立つでしょう。

年収増加へ繋がる

社労士の資格取得は、将来の収入アップにつながる有意義な投資と言えます。社労士は労働関連法等の非常に専門的な知識を持っているので、転職の際もより良い条件・年収の企業を選びやすくなるでしょう。

また、マネジメント能力の向上により昇進のチャンスが広がり、給与アップが期待できます。

さらには、独立開業という選択肢もあり、事業を成功させれば収入は自らのスキルと努力次第となります。

このように、社労士資格は様々な形で将来の収入向上に寄与する可能性を秘めた資格なのです。

社労士資格取得者の年収

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和元年)によると​、企業勤務の社労士の平均年収は25〜34歳で670万円、50〜64歳で1380万円となっています。

これは2022年度の一般の給与所得者の平均年収458万円(男性563万円、女性314万円)を大きく上回っており、かなり高水準にあると評価できます。

この平均年収は、雇用就職を前提とした場合の話です。社労士の資格は、独立開業の道も開いており、自らの事業に成功すれば、さらに高額な収入を得る可能性があります。

このように社労士の資格は年収増加にも期待が持てることがわかるでしょう。

社労士の将来性

技術の進歩、特にAIの発展は、社労士の仕事に大きな影響を及ぼすでしょう。単調な繰り返し作業は、AIや自動化技術によって効率化や置き換えが可能になる一方、法律のアドバイスや労務管理に関するコンサルティングなど、専門知識と人間の判断力が必要な業務はAIには対応が難しいでしょう。

社労士はこうした独自の強みを活かしながらも、リモートワークの管理や多様な働き方、メンタルヘルスケアなど、時代のニーズに合わせて新たなサービス領域を開拓していく必要があります。

社労士の役割の一部はAIに代替される可能性がありますが、専門性と人間らしさが求められる部分は依然として重要であり、これらの強みを最大限に活用することが社労士の将来にとって不可欠です。


社労士資格取得者の転職先は?

実際に社労士資格を取得した後は、どんなところに転職することができるのでしょうか。

社会保険労務士事務所

社労士資格を持つ人にとって、最も一般的な転職先は社会保険労務士事務所通称社労士事務所です。社労士の専門知識を活かし、労働保険や社会保険に関する各種手続きを代行するなど、様々な業務を担当します。

社労士事務所で働くことで、高度な専門性を生かしたキャリア形成が可能です。

さらに経験を重ねれば、企業が直面する問題への提案やアドバイスができるようになります。コンサルティング能力も身につき、社労士事務所で様々な能力を磨くことができます。

会計事務所

社労士の資格を持っている方にとって、会計事務所は魅力的なキャリアの場となります。会計事務所では、社労士の専門知識と技能が高く評価されており、多様な業務を通じてスキルを存分に発揮することができます。

労働条件の設計、就業規則の作成・見直し、労務相談や手続きの代行など、労務コンサルティングが主な業務内容です。このように、会計事務所で働くことで、社労士のスキルを十分に活かすことができます。

さらに、会計事務所勤務は、スキルセットを広げる良い機会でもあります。社労士の専門性を生かしながら、会計や税務の知識も身につけられます。会計事務所には、専門性を活かせる多様なキャリアパスが用意されています。社労士の知識とスキルを最大限に活用してキャリアを積みたい方にとって、会計事務所は理想的な職場環境と言えるでしょう。

一般企業

社労士資格を取得したのであれば一般企業の人事や労務部門に就職するのもお勧めです。

一般企業で働く社労士は企業文化の形成や働き方改革など、会社の発展に直接関与することが可能です。

特に近年では働き方改革を推し進める潮流があるので、社労士資格を持っていることでキャリアアップの機会も広がるでしょう。

独立開業

社会保険労務士として独立開業することは、自由なキャリアパスの一つとして魅力的な選択肢です。

独自の事務所を開設し、個人や法人のクライアントに対して自らのサービスを提供することができます。この働き方の最大の魅力は、労働時間や場所、業務内容を自分で決められる点にあります。

また、自分の努力や実績に応じて収入が増える可能性があり、リスクとリターンが直結しています。独立開業には不確実性もありますが、成功した時の喜びを直接味わえる醍醐味があります。

社労士が意味ないと言われる理由まとめ

社労士の資格に対して疑問の声が上がるのは、多くの社労士が独立開業に至らず、厳しい環境に置かれていることが理由の一つです。

しかし、企業のコンプライアンス強化や社会保障制度の複雑化に伴い、社労士の需要は高まっています。資格取得後のキャリアプランを立て、身につけた専門性を活かす努力を怠らなければ、社労士の将来性は十分にあると言えるでしょう。