近年、高齢化による労働力不足は深刻な問題となっており、政策としても高齢者雇用安定法の改正などを含め「誰しもが70歳まで働く」ことが当たり前の社会が訪れようとしている。
そのため、例えば今45歳の社会人は、60歳定年であればもう折り返し地点を超えているが、70歳まで働く場合にはまだ折り返し地点の少し手前になる。
今回、リスキリング研究所では、今後より一層現役の労働力としての働きが求められるようになる、40代のオフィスワーカーのリスキリングに関する意識調査を実施し、①当事者の目線②20代30代の同僚からの目線の両面からアンケートを行った。
- 20代〜30代の社員は、総じて40代自身の評価と比較して期待をしており、リーダーシップ等の項目では評価も高い
- 「デジタルツールへの対応」「新たなスキルの習得」などについては40代自身の課題感が強く、逆に「ハラスメント」については20代〜30代の客観的課題感と大きなギャップが存在
- 「新しいスキルを身に着けたり未経験の仕事に取り組む」ことについて、20代〜30代の社員は40代社員の能力を、40代自身の自己評価と比較して概ね高く評価している。
40代社員の会社への貢献と期待する能力について
1問目では実際に40代社員は会社にどう貢献しているか、2問目ではどんな能力が期待されているについて質問した。
なお、40代の人には自己認識を、20代30代の人には客観的な視点からの認識を回答してもらった。
40代社員は会社にどう貢献しているか
回答項目によって、若手から見た目線と40代社員の自己認識のどちらが高いかが分かれる結果となった。
具体的には「組織を前に進めるリーダーシップ」や「長年の経験に基づいた危機管理力・的確な判断力」「顧客や協業先等、社外とのコネクションや交渉力」などは20代30代の社員の方が高く評価していた。特にリーダーシップについては、20ポイント近い差が生まれており、40代社員の自己認識と比べて、実は高く発揮されているのだと考えられる。
反対に、「社内メンバーのモチベートや社内関係の調整能力」「長年の経験に基づいた専門的な知識やスキル」などについては以外にも40代社員の自己認識と比較して、20代30代の社員の評価は多くない結果となった。
40代社員に期待される能力は何か
こちらは、基本的には40代社員の自己認識と比較して、20代30代社員は40代社員に期待を寄せていることが分かる。
しかし、「新たな知識やスキルを素早く学習して仕事に活かす吸収力」については若手の期待は40代社員の自己認識と比較して14ポイント下回っており、40代社員はいわゆる「リスキリング」についてあまり期待をされていないことが分かる結果となった。
40代社員の抱える課題について
課題に関しては、概ね40代社員の自己認識と、20代30代社員の回答が一致する結果となった。
ただし、「新たなデジタルツールに対応できない」「新たな知識やスキルを素早く学習して仕事に活かせない」というような、リスキリングに関わる問題については40代社員がより課題を実感してをしており、逆に「ハラスメントなど、社内の空気を乱す振る舞いをする」という問題については、40代社員の自己認識は若手の感覚と比べてかなり低い割合になっている。
40代社員のリスキリングについて
40代社員は、リスキリングについてどう感じており、またそれを20代30代の社員はどう考えているかについても調査した。
リスキリングの能力的な可否
全体としては、40代社員の方がやや自信がなく、若手がむしろ40代社員のリスキリング能力を高く見積もっている結果となっている。
ただし「できない」と回答した割合に関しては若手側が高い結果となっており、40代社員に対して完全に失望してしまっている現象も一部で起きていると考えられる。
リスキリングに対する意識
40代社員の「積極的に取り組んでいきたい」「どちらかというと取り組んでいきたい」と答えた割合は9割を超えており、リスキリングに対する意識の高さを見ることができる。
20代30代においても「積極的に取り組んで欲しい」「どちらかというと取り組んで欲しい」で約8割と、ある程度リスキリングへの取り組みを期待されていることが分かる。
調査概要
項目 | 詳細 |
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調査名 | 50代社会人とそのリスキリングに関する意識調査 |
対象者 | ①身近な20代30代と働く、40代のオフィスワーカー ③身近な40代と働く、20代30代のオフィスワーカー |
対象地域 | 全国 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2024年2月8日~2月14日 |
回答数 | ①100名 ②20代:58名、30代:142名 計200名 |
調査結果の引用・転載について
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