リスキリング レポート

リモートワーク求人と採用力に関するレポート

更新日:

調査: スキルアップ研究所

# リモートワーク求人と採用力に関するレポート

※Indeed Japan・転職サービスdoda・ビズリーチの公開データをもとにスキルアップ研究所が作成。本レポートのデータはすべて民間調査に基づく

人材獲得競争が続く中で、企業は給与や福利厚生など様々な条件で採用力を競っている。その中で、意外なほど注目されていない条件がある。「リモートワークの可否」である。

スキルアップ研究所では、求人・転職サービス各社の公開データをもとに、リモートワークと採用力の関係を整理した。

本レポートのポイント
  • 「リモートワーク」の文言を含む正社員求人は、全職種平均で9.6%(Indeed Japan・44職種)。10件に1件の希少性がある。ただし分母にはリモートが難しい職種も含まれ、同じ調査内でもソフトウェア開発は47.7%と職種差が大きい
  • 企業がリモートワークを導入する理由として「採用競争力の強化」を挙げたのは19.6%で、「その他」を除く全9項目中8位にとどまる(doda・2023年)
  • 一方、求職者側では「完全リモートワークであれば、会社の所在地にかかわらず前向きに転職を検討する」が約85%(ビズリーチ調べ・2022年)
  • リモートワーク関連の仕事検索に占める「フルリモート」の割合は、2020年3月の1.7%から2025年3月には35.9%へ拡大した(Indeed Japan)
  • ただし、自由に働き方を選べるなら「出社」を希望する人が53.7%と、「リモート」(45.9%)を上回る調査もある(転職サービスdoda・2024年)。リモートは応募の前提条件ではなく「加点要素」と整理するのが実態に近い

※本レポートのデータはすべて民間調査であり、調査主体・時期・対象が異なる。数値同士の直接比較には限界がある

リモート可を明記する求人は、100件に9.6件

Indeed Japanの調査「Indeed、週休3日の求人動向・ニーズ変化を調査」(2025年9月12日公開)における職種別分析によると、「リモートワーク」の文言を含む正社員求人は、44職種の平均で9.6%だった。

注意が必要なのは、この分母には製造・医療・小売・物流など、業務の性質上リモートが難しい職種も含まれることである。

「1割弱しかない」ことは事実だが、それを企業の消極性の証拠と読むのは正確ではない。実際、職種差は大きく、同じ調査ではソフトウェア開発47.7%、情報システム31.4%と、リモートワークが定着した職種では全職種平均の約3〜5倍にのぼる(3つの数値はいずれも同一調査・同一定義)。

いずれにせよ、リモート可を明記した求人が全体の1割前後という希少性は、裏を返せば、明記するだけで求人が目立つ余地があることを意味する。

その価値に、企業の19.6%しか気づいていない

では、企業側はリモートワークを採用の武器と認識しているのか。

転職サービスdodaが企業の人事担当者250名に行った調査(2023年・複数回答)では、リモートワーク導入の理由の上位は「多様性のある働き方の実現」(52.8%)、「従業員満足度の向上」(40.8%)、「業務効率の向上」(36.8%)だった。

「採用競争力の強化」を挙げた企業は19.6%で、「その他」を除く全9項目中8位にとどまる。

企業がリモートワークを導入する理由(全項目)。「採用競争力の強化」は19.6%で全9項目中8位

企業の多くは、リモートワークを働き方や満足度の施策として捉えており、採用市場での差別化要因としては位置づけていない。

求職者側では、リモートを求める動きが拡大している

一方の求職者側では、対照的な動きが見える。

Indeed Japan「リモートワークに関する仕事検索動向を調査」(2025年4月22日公表)によると、リモートワーク関連の仕事検索全体に占める「フルリモート」検索の割合は、2020年3月の1.7%から2025年3月には35.9%へ拡大した。

リモートワーク関連検索に占める「フルリモート」の割合。2020年3月の1.7%から2025年3月には35.9%へ

※この数値はリモートワーク関連検索の中での割合であり、全検索に占める割合(同時点で0.8%)ではない。

また、ビズリーチの会員調査(2022年・n=690)では、「勤務地不問の求人(完全リモートワーク)であれば、会社の所在地にかかわらず前向きに検討する」と答えた人(「検討する」「どちらかというと検討する」の合計)が約85%にのぼった。リモート可の求人は、勤務地という地理的制約を外し、応募者の母集団を全国に広げうることを示すデータである。なお、この調査の対象は即戦力・ハイクラス層が中心のビズリーチ会員であり、求職者全体の傾向とは異なる可能性がある。

リモートは「足切り条件」ではなく「加点要素」

ここで注意すべきは、全員がリモートを望んでいるわけではないことである。転職サービスdodaの調査(2024年8月実施・n=15,000)では、自由に働き方を選べるなら「出社」を希望する人が53.7%と、「リモート」(ハイブリッドワーク32.8%とフルリモート13.1%の合計45.9%)を上回る。

一見矛盾するデータ群だが、設問の違いに注目すると整理できる。
「働き方の希望」を聞けば出社派も多い。しかし「リモートがあれば地理の制約を超えて検討するか」を聞けば8割超が肯定する。

つまりリモートワークの可否は、応募の「足切り条件」ではなく「加点要素」である。なくても応募は来るが、あれば地理の壁を越えて応募が集まりうる。リモートワーク可の求人は希少であることから加点効果が見込めるにもかかわらず、企業側の多くがその価値を採用文脈で捉えていない─というのが、公開データから見える現在地である。

ただし、繰り返しになるが本レポートのデータはすべて民間調査であり、ビズリーチの調査は2022年、dodaの企業調査は2023年とやや古い。
しかし、リモートワーク関連の仕事検索に占める「フルリモート」の割合は、2020年3月の1.7%から2025年3月には35.9%へ拡大したことを踏まえると、リモート可の求人が依然として求人の加点要素であることに変わりはないと言える。

ただし実際の採用施策の検討にあたっては、最新の市況と自社の職種特性を踏まえる必要がある。

まとめ

求人・転職サービス各社の公開データを整理した結果、リモート可を明記する正社員求人は全職種平均9.6%と希少である一方、求職者側では「フルリモート」を求める検索が5年で1.7%から35.9%へ拡大し、「完全リモートなら所在地にかかわらず前向きに転職を検討する」人が約85%にのぼることが確認できた。

それにもかかわらず、リモートワークを「採用競争力の強化」として導入した企業は19.6%にとどまる。

リモートワークは全員が望む働き方ではないが、採用市場においては、地理的制約を外して母集団を広げる「加点要素」として機能しうる。その価値が企業側で十分に認識されていない可能性を、本レポートのデータは示している。

付録:使用データ一覧

項目

出典

時点・対象

「リモートワーク」の文言を含む正社員求人の割合(44職種平均)

9.6%

Indeed Japan「Indeed、週休3日の求人動向・ニーズ変化を調査」

2025年9月12日公開・正社員求人44職種

同:ソフトウェア開発

47.7%

同上

同上

同:情報システム

31.4%

同上

同上

企業のリモート導入理由:多様性のある働き方の実現

52.8%

転職サービス「doda」(パーソルキャリア)企業人事担当者調査

2023年・n=250・複数回答

同:従業員満足度の向上

40.8%

同上

同上

同:業務効率の向上

36.8%

同上

同上

同:従業員のエンゲージメント向上

28.8%

同上

同上

同:固定費(交通費・賃料)の削減

25.6%

同上

同上

同:通勤困難社員への対応

22.4%

同上

同上

同:長時間労働の削減

22.4%

同上

同上

同:採用競争力の強化

19.6%

同上

同上

同:人材の育成・教育

16.4%

同上

同上

「完全リモートなら所在地にかかわらず前向きに転職を検討」

約85%

ビズリーチ調べ(「勤務地を問わない新規求人数」に関するリリース ・2022年6月15日)

2022年3〜4月調査・ビズリーチ会員・n=690・「検討する」「どちらかというと検討する」の合計。
本調査はコロナ禍に行われた調査のため時勢の影響を強く受けていることに留意

リモート関連検索に占める「フルリモート」(2025年3月)

35.9%

Indeed Japan「リモートワークに関する仕事検索動向を調査 」(2025年4月22日公表)

100万件あたり検索数・3か月移動平均

同(2020年3月)

1.7%

同上

同上

自由に選べるなら「出社」を希望

53.7%

転職サービス「doda」(パーソルキャリア)「どんな場所で働きたい?求人はあるの?リモートワークの実態調査

2024年8月実施・20〜59歳正社員・n=15,000

データの概要

  • 出典:Indeed Japan、転職サービスdoda、ビズリーチの各公開データ・プレスリリース
  • 作成主体:スキルアップ研究所

出典元の引用条件について

本レポートの数値は、各社の定める条件に従って引用しております。

留意事項

本レポートのデータはすべて民間調査であり、公的統計は存在しない。
調査主体・時期・対象・設問が異なるため、数値同士の直接比較には限界がある。

Indeedの9.6%は、リモートワークが業務の性質上難しい職種も分母に含む44職種の平均である。図1のソフトウェア開発47.7%・情報システム31.4%は、この9.6%と同一調査・同一定義の職種別数値である。

「フルリモート35.9%」は、Indeed上のリモートワーク関連仕事検索に占める割合であり、全検索に占める割合(0.8%)ではない。

ビズリーチの「約85%」は、「検討する」「どちらかというと検討する」の合算値である。調査対象は即戦力・ハイクラス層が中心のビズリーチ会員(n=690)であり、求職者全体の傾向とは異なる可能性がある。また調査時点は2022年であり、時勢の影響を強く受けているものと考えられる。

転職サービスdodaの企業人事担当者調査は2023年、働き方の希望に関する調査は2024年8月のものである。

引用・転載について

本レポートの著作権は、株式会社ベンドが保有しますが、各引用データにおいては引用元各社に帰属します。

本レポートを引用・転載される際は、必ず「スキルアップ研究所調べ」などの形で出典を明記のうえ、本記事にて引用されているデータの出典も各社様の定める条件に従って併記してください。

引用・転載されたことにより、利用者または第三者に損害その他のトラブルが発生した場合、当社は一切の責任を負いません。

調査結果の引用・転載について

本レポートの著作権は、株式会社ベンドが保有します。 引用・転載される際は、必ず「スキルアップ研究所調べ」のような形で出典を明記し、本記事のリンクを付してください。 引用・転載されたことにより利用者または第三者に損害その他トラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いません。