![]()
※三鬼商事「オフィスマーケットデータ」(2026年6月時点・共益費別)、オフィス業界で一般的に用いられる1人あたり面積の目安(2〜4坪)、国税庁「民間給与実態統計調査」(令和6年分)をもとにスキルアップ研究所が試算
オフィスの賃料は、多くの企業にとって人件費に次ぐ大きな固定費である。しかし「社員1人あたり」に引き直して語られる機会は多くない。
スキルアップ研究所では、公表されている市況データと統計をもとに、社員1人分の「席」に企業が支払っている賃料を試算した。
- 東京都心5区の平均募集賃料は22,993円/坪(2026年6月時点・共益費別)で、前年同月比10.1%の上昇。空室率は1.99%と約6年ぶりの1%台
- オフィス業界で標準的な目安とされる1人あたり3坪で計算すると、社員1人の席代は月額約6.9万円、年間約83万円になる
- 年間の席代は、平均給与478万円の約17.3%、月給約2.1か月分に相当する
- 1人あたり面積の目安には2〜4坪の幅があり、席代は年間約55万〜110万円。ゆとりのある4坪なら平均給与の2割を超える
- 100人規模の企業なら、年間のオフィス賃料は約8,300万円。4坪換算では約1.1億円にのぼる
1. 都心のオフィス賃料は上昇が続き、空室率は約6年ぶりの1%台
三鬼商事「オフィスマーケットデータ」によると、東京ビジネス地区(都心5区:千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の平均募集賃料は、2026年6月時点で22,993円/坪(共益費別)。前年同月比で10.1%(2,116円)上昇した。
同時点の平均空室率は1.99%で、2020年6月以来の1%台となった。空室率が5%を下回る市場は一般に貸し手優位とされ、借り手側に賃料交渉の余地は乏しい状況が続いている。
なお、オフィス賃料の水準は調査によって大きく異なる。対象ビルの規模・グレードや共益費の扱いが違うためである。

本レポートでは、最も広く引用される三鬼商事の値(共益費別)を標準として採用する。共益費を含めると、実際の企業負担はこれより大きくなる。
2. 社員1人の席代は、年間約83万円─平均年収の約17%
では、この賃料を「社員1人あたり」に引き直すとどうなるか。
オフィスの1人あたり面積には、業界で広く用いられる目安がある。オフィス家具メーカー各社や仲介会社が推奨する水準は1人あたり2〜4坪で、執務スペースに加えて会議室や通路などを含めた「1人3坪」が古くからの標準的な経験則とされている。本試算では、この3坪を標準として採用する。
22,993円/坪 × 3坪 = 月額 約68,979円
年間では約827,748円、およそ83万円となる。
これがどの程度の規模かを、国税庁「民間給与実態統計調査」(令和6年分)の平均給与478万円と比べると、席代は平均給与の約17.3%、月給に直すと約2.1か月分に相当する。

社員を1人雇うということは、給与とは別に、その2割近くに相当する「座る場所」のコストを負担することでもある。100人規模の企業であれば、年間のオフィス賃料は約8,300万円にのぼる計算だ。
3. 面積の取り方しだいで、席代は年間55万〜110万円
1人あたり面積の目安には2〜4坪の幅がある。フリーアドレスなどで面積を切り詰めた2坪と、リフレッシュスペースや個室を確保できるゆとりのある4坪では、席代は次のように変わる。
1人あたり面積 | 席代(月額) | 席代(年額) | 平均給与に占める割合 |
|---|---|---|---|
2坪(切り詰めた水準) | 約45,986円 | 約55万円 | 約11.5% |
3坪(標準的な目安) | 約68,979円 | 約83万円 | 約17.3% |
4坪(ゆとりのある水準) | 約91,972円 | 約110万円 | 約23.1% |

ゆとりのあるオフィスを志向して4坪を確保すれば、席代は年間約110万円と平均給与の2割を超え、100人規模なら年間約1.1億円に達する。
どの水準を選ぶかは各社の働き方しだいだが、いずれにせよ都心にオフィスを構える限り、社員1人につき年間数十万円から100万円超の「席代」が発生する構図は変わらない。
4. 席代は「見えている固定費」の代表格
賃料の上昇が続き、空室率が1%台まで低下した現在、席代は当面下がる見込みの薄いコストである。
もちろん、オフィスには賃料では測れない価値がある。対面のコミュニケーション、偶発的な会話、採用や企業文化への効果など、席代は単なる出費ではなく投資でもある。
重要なのは、その投資の規模を具体的な数字で把握することだ。「社員1人につき年間約83万円、平均年収の約17%」という水準を認識した上で、自社にとって適正なオフィスの持ち方を考えることが、固定費と働き方の設計の出発点になる。
まとめ
公表データをもとに試算した結果、都心5区の平均賃料22,993円/坪(2026年6月時点)と業界標準の目安である1人あたり3坪から、社員1人の席代は月額約6.9万円・年間約83万円となった。これは平均給与478万円の約17.3%、月給約2.1か月分に相当する。
また、1人あたり面積の目安(2〜4坪)の幅を踏まえると、席代は年間約55万〜110万円となり、ゆとりのある4坪では平均給与の2割を超える。
ただし、本試算は東京都心5区の平均賃料と業界の一般的な面積の目安を掛け合わせた概算であり、個々の企業の実際のコストを示すものではない。
付録:試算データ一覧
基礎データ
項目 | 値 | 出典 | 時点 |
|---|---|---|---|
都心5区の平均募集賃料(共益費別) | 22,993円/坪・月 | 三鬼商事「オフィスマーケットデータ」 | 2026年6月時点 |
同・前年同月比 | +10.1%(+2,116円) | 同上 | 2026年6月時点 |
都心5区の平均空室率 | 1.99% | 同上 | 2026年6月時点 |
(参考)大規模ビルの募集賃料(共益費込) | 33,468円/坪・月 | 三幸エステート「マーケットデータ」 | 2026年5月 |
(参考)Aグレードオフィスの平均賃料 | 37,042円/坪・月 | JLL「東京Aグレードオフィス市場調査」 | 2025年Q3 |
1人あたりオフィス面積の目安(標準) | 3坪 | オフィス家具メーカー・仲介会社等が公表する一般的な目安(2〜4坪)の中央値 | ― |
1人あたりオフィス面積の法定最低基準 | 約1.4坪(気積10立方メートル以上) | 厚生労働省「事務所衛生基準規則」第2条 | ― |
平均給与(1年を通じて勤務した給与所得者) | 478万円 | 国税庁「民間給与実態統計調査」 | 令和6年分 |
試算用の企業規模(想定値) | 100人 | ― | ― |
試算結果
指標 | 値 | 計算式 |
|---|---|---|
席代(月額) | 約68,979円 | 22,993円 × 3坪 |
席代(年額) | 約827,748円 | 月額 × 12 |
席代が平均給与に占める割合 | 約17.3% | 年額 ÷ 478万円 |
席代は月給の何か月分か | 約2.1か月 | 年額 ÷(478万円÷12) |
100人企業の年間賃料 | 約8,300万円 | 年額 × 100人 |
席代の幅(年額) | 約55万〜110万円 | 22,993円 ×(2〜4坪)× 12 |
4坪の場合の年間席代 | 約110万円(給与比 約23.1%) | 22,993円 × 4坪 × 12 |
試算の概要
- 出典データ:三鬼商事「オフィスマーケットデータ」(2026年6月時点・都心5区・共益費別)、オフィス業界で一般的に用いられる1人あたり面積の目安(2〜4坪・標準3坪)、厚生労働省「事務所衛生基準規則」、国税庁「民間給与実態統計調査」(令和6年分)
- 試算主体:スキルアップ研究所
留意事項
賃料は調査会社によって水準が大きく異なる(対象ビルの規模・グレード、共益費の扱いが異なるため)。本試算は三鬼商事の値(共益費別)を採用しており、共益費を含めた実際の負担はこれより大きい。
1人あたり3坪(2〜4坪)は業界で一般的に用いられる設計上の目安であり、実測の統計値ではない。実際の1人あたり面積は企業の働き方(出社率、フリーアドレスの有無など)によって大きく異なる。
なお、法令上の最低基準としては、事務所衛生基準規則により労働者1人あたり気積10立方メートル以上(面積換算で約1.4坪)の確保が義務付けられている。
本試算は平均賃料と面積の目安を掛け合わせた概算であり、個々の企業の実際のオフィスコストを示すものではない。
引用・転載について
本レポートの著作権は、株式会社ベンドが保有します。
引用・転載される際は、必ず「スキルアップ研究所調べ」などの形で出典を明記し、本記事およびスキルアップ研究所(https://reskill.gakken.jp/)へのリンクを付してください。
引用・転載されたことにより、利用者または第三者に損害その他のトラブルが発生した場合、当社は一切の責任を負いません。
調査結果の引用・転載について
本レポートの著作権は、株式会社ベンドが保有します。 引用・転載される際は、必ず「スキルアップ研究所調べ」のような形で出典を明記し、本記事のリンクを付してください。 引用・転載されたことにより利用者または第三者に損害その他トラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いません。