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学童保育の待機児童と夏休みに関するレポート

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調査: スキルアップ研究所

※こども家庭庁「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」等の公表データをもとに、スキルアップ研究所が作成

共働き世帯にとって、子どもの小学校入学は働き方の見直しを迫られる節目になることが多い。中でも毎年繰り返されるのが、約40日間(地域差がある)に及ぶ夏休みの過ごし方の問題である。

スキルアップ研究所では、こども家庭庁の公表データをもとに、放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童の実態を整理した。見えてきたのは、学童の問題が単純な「不足」から、季節と学年に集中する「偏り」の問題へと形を変えつつあることである。

本レポートのポイント
  • 学童の登録児童数は2025年5月1日時点で1,570,645人(確定値)と過去最多。2026年5月1日時点の速報値では1,602,037人へさらに更新した
  • 一方、待機児童は2025年5月1日時点で16,330人(確定値)と4年ぶりに減少。受け皿の整備が需要の増加を上回りつつある
  • その待機児童は、2025年10月1日時点では7,363人(速報値)と、5月時点の半分以下(−8,967人・−54.9%)になる。前年も5月17,686人→10月8,794人と同じ動きだった
  • こども家庭庁・文部科学省は「待機児童が年度前半に多く発生し、夏季休業期間以降には減少する傾向にあること、夏季休業期間のみの利用を希望する家庭が一定数あると想定されること」を踏まえ、開所支援のあり方を検討するとしている
  • 待機児童の34.2%(5,589人)は小学4年生で、学年別で最多。いわゆる「小4の壁」が数字に表れている

1. 登録は過去最多、待機は4年ぶりの減少──「不足」から「偏り」へ

学童を利用したい家庭は、増え続けている。こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(2025年12月23日公表)によると、2025年5月1日時点の登録児童数は1,570,645人で、前年から50,693人(3.3%)増えて過去最多を更新した。2026年5月1日時点の速報値(2026年7月14日公表)でも1,602,037人と、記録をさらに塗り替えている。

一方、利用を希望しながら利用できなかった待機児童は、増加が止まった。2022年から2024年まで3年連続で増え続け、2024年には17,686人まで積み上がっていたが、2025年5月1日時点は16,330人(確定値)と、前年から1,356人(7.7%)減少した。待機児童が前年を下回るのは、2021年以来4年ぶりである。2026年5月1日時点の速報値でも14,713人と、2年連続の減少となっている。

待機児童の推移

ここで、登録児童数と待機児童数を足せば、その年に学童の利用を希望した児童数のおおよそが分かる(以下「希望者数」。本レポートによる計算値)。

年(5月1日時点)

希望者数(登録+待機)

前年比

登録児童数

待機児童数

前年比

希望者に占める待機の割合

2022年

1,407,338人

1,392,158人

15,180人

+1,764人

1.08%

2023年

1,473,660人

+4.7%

1,457,384人

16,276人

+1,096人

1.10%

2024年

1,537,638人

+4.3%

1,519,952人

17,686人

+1,410人

1.15%

2025年

1,586,975人

+3.2%

1,570,645人

16,330人

−1,356人

1.03%

2026年(速報値)

1,616,750人

+1.9%

1,602,037人

14,713人

−1,617人

0.91%

希望者数は2022年の1,407,338人から2026年の1,616,750人(速報値)まで、一貫して増え続けている。それでも待機児童は減っている。希望者に占める待機児童の割合は、2024年の1.15%をピークに、2025年は1.03%、2026年(速報値)は0.91%まで下がった。受け皿の整備が、希望の伸びに追いついてきたということである。「学童が全体として足りない」という局面は、変わりつつある。

ただし、希望者数の伸びそのものも鈍っている。前年比は2023年の+4.7%から2026年(速報値)の+1.9%まで縮小しており、待機児童の減少には、受け皿の整備だけでなく、少子化にともなう希望の伸びの鈍化も影響している可能性がある。

それでも1.5万人前後の待機児童が残り続けているのはなぜか。データを見ると、待機は「季節」と「学年」に集中している。

2. 待機児童は、秋には半分以下になる──夏に集中する需要

2025年の待機児童16,330人(5月1日時点・確定値)は、10月1日時点では7,363人(速報値)まで減る。その差は8,967人、率にして54.9%の減少である。

これは2025年に限った動きではない。前年(2024年)も5月1日時点の17,686人が10月1日時点には8,794人へと、ほぼ同じ形で半減している。

5月と10月の待機児童


この現象について、こども家庭庁・文部科学省「放課後児童対策パッケージ2025」(2024年12月)は、「待機児童が年度前半に多く発生し、夏季休業期間以降には減少する傾向にあること、夏季休業期間のみの利用を希望する家庭が一定数あると想定されること」を踏まえ、年度前半および夏季休業期間中の開所支援のあり方を検討する、と整理している。

つまり、年度初めに膨らむ待機児童のかなりの部分は、夏休みに子どもの居場所を確保するための登録需要とみられる。「学童の不足」の実態は、年間を通じた恒常的な不足というより、約40日間の夏休みに向けて集中的に発生する「夏の不足」という側面が大きい。

なお、10月1日時点の数値は速報値であり、こども家庭庁は確報値とする予定はないとしている。また、5月から10月にかけての減少には、待機していた児童が入所できたケースと、利用希望自体を取り下げたケースの両方が含まれる点には留意が必要である。

3. 待機児童の3人に1人は小学4年生──「小4の壁」

待機のもう一つの偏りは学年である。

2025年5月1日時点の待機児童16,330人のうち、小学4年生は5,589人で全体の34.2%を占め、学年別で最多となっている。前年(32.3%)から割合はむしろ上昇した。


学年別の偏り


背景には、低学年の利用が優先される運用がある。自治体やクラブによっては入所要件や利用調整で低学年が優先されるため、4年生への進級を機に学童を「卒業」せざるを得ないケースが生じる。保育園から小学校への移行期に生じる「小1の壁」に対して、こちらは「小4の壁」と呼ばれる。

子どもが成長すれば留守番もできるようになるとはいえ、約40日間の夏休みを毎日1人で過ごさせるかどうかは、多くの家庭にとって簡単な判断ではない。実際、放課後NPOアフタースクールが2023年に実施した調査では、小学校入学を機に働き方の見直しを検討した保護者は50.7%にのぼる(民間調査)。

4. 働き方の柔軟性は「解決策」ではなく「選択肢」

ここまでの数字が示すのは、学童の問題が「全体の不足」から「夏と特定学年への偏り」に変わりつつあるという構造である。国も受け皿整備に加えて、夏季休業期間中の開所支援の検討や「放課後児童対策パッケージ2026」の策定など、偏りに焦点を当てた対策を進めている。

では、働き方の柔軟性はこの構造にどう関わるのか。

正直に述べれば、テレワークは夏休み問題の「解決策」ではない。子どもが家にいる状態での在宅勤務は、実際には集中の確保が難しく、仕事と育児を同時にこなせるわけではないからである。学童や地域の居場所といった、子どもが安心して過ごせる環境の整備が本筋であることは変わらない。

その上で、働く場所や時間の柔軟性は、家庭が取りうる選択肢を1つ増やす。

通勤時間がなくなれば送り出しや帰宅後の時間に余裕が生まれ、学童の閉所時間や夏休み中の昼食といった細かな制約にも対応しやすくなる。制度面でも、2025年4月施行の改正育児・介護休業法で、子の看護等休暇の対象が小学校3年生修了までに延長されるなど、就学後の子育てと仕事の両立を支える仕組みは少しずつ広がっている。

重要なのは、「学童か、在宅か」の二者択一ではなく、家庭ごとの事情に合わせて組み合わせられる選択肢がどれだけあるか、である。

まとめ

こども家庭庁の公表データを整理した結果、次のことが確認できた。

学童の利用を希望する児童数(登録+待機)は増え続けており、登録児童数も過去最多の更新を続けている(2025年確定値157万人、2026年速報値160万人超)。一方で待機児童は2025年に4年ぶりの減少に転じ、受け皿整備は進んでいる。

残る待機は「季節」と「学年」に偏っている。待機児童は10月1日時点では5月時点の半分以下(16,330人→7,363人・速報値)になり、その背景として国は夏季休業期間のみの利用を希望する家庭の存在を挙げている。また、待機児童の34.2%は小学4年生で学年別最多である。

学童の問題は、単純な「不足」から「偏り」の問題へと形を変えつつある。約40日間の夏休みをどう乗り切るかは、受け皿の整備とあわせて、家庭が取りうる選択肢の多さの問題でもある。

付録:使用データ一覧

本レポートで使用した数値の一覧を示す。

基礎データ

項目

出典

時点

学童の登録児童数

1,570,645人

こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(確定値・2025年12月23日公表)

2025年5月1日時点

同(前年)

1,519,952人

同(令和6年・確定値)

2024年5月1日時点

同(速報値)

1,602,037人

こども家庭庁「令和8年度 放課後児童クラブの実施状況について(速報値)」(2026年7月14日公表)

2026年5月1日時点

待機児童数

16,330人

こども家庭庁(令和7年・確定値)

2025年5月1日時点

同(前年)

17,686人

同(令和6年・確定値)

2024年5月1日時点

同(2021年・直近の最少)

13,416人

厚生労働省(当時)

2021年

同(2022年)

15,180人

厚生労働省(令和4年・2022年12月23日公表)

2022年5月1日時点

同(2023年)

16,276人

こども家庭庁(令和5年・確定値)

2023年5月1日時点

登録児童数(2022年)

1,392,158人

厚生労働省(令和4年・2022年12月23日公表)

2022年5月1日時点

登録児童数(2023年)

1,457,384人

こども家庭庁(令和5年・確定値)

2023年5月1日時点

同(2019年・過去最高)

18,261人

厚生労働省(当時)

2019年

同(速報値)

14,713人

こども家庭庁(令和8年度・速報値)

2026年5月1日時点

待機児童数(10月時点)

7,363人

こども家庭庁(令和7年確報と同時掲載の速報値。確報値とする予定はないと明記)

2025年10月1日時点

同(前年10月)

8,794人

同(令和6年)

2024年10月1日時点

待機児童のうち小学4年生

5,589人(34.2%)

こども家庭庁(令和7年・確定値)

2025年5月1日時点

小学校入学を機に働き方の見直しを検討した保護者

50.7%

放課後NPOアフタースクール「小1の壁に関するWEBアンケート調査」(民間調査)

2023年

主な計算値

指標

計算式

5月→10月の待機児童の減少(2025年)

−8,967人(−54.9%)

16,330 − 7,363

待機児童の前年比(2024→2025年・確定値)

−1,356人(−7.7%)

16,330 − 17,686

登録児童数の前年比(2024→2025年・確定値)

+50,693人(+3.3%)

1,570,645 − 1,519,952

待機児童のうち小学4年生以外

10,741人

16,330 − 5,589

希望者数(2022年)

1,407,338人

1,392,158 + 15,180

希望者数(2023年)

1,473,660人

1,457,384 + 16,276

希望者数(2024年)

1,537,638人

1,519,952 + 17,686

希望者数(2025年)

1,586,975人

1,570,645 + 16,330

希望者数(2026年・速報値)

1,616,750人

1,602,037 + 14,713

希望者に占める待機の割合(2024年)

1.15%

17,686 ÷ 1,537,638

希望者に占める待機の割合(2025年)

1.03%

16,330 ÷ 1,586,975

希望者に占める待機の割合(2026年・速報値)

0.91%

14,713 ÷ 1,616,750

データの概要

  • 主な出典:こども家庭庁「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(各年)、同「令和8年度 放課後児童クラブの実施状況について(速報値)」、こども家庭庁・文部科学省「放課後児童対策パッケージ2025」
  • 作成主体:スキルアップ研究所
  • 数値の扱い:各年5月1日時点の値は確定値で統一(2026年のみ速報値)。10月1日時点の値は速報値のみが公表されており、こども家庭庁は確報値とする予定はないとしている

留意事項

5月から10月にかけての待機児童の減少には、入所できたケースと利用希望を取り下げたケースの両方が含まれ、内訳は本データからは分からない。

本レポートの「希望者数」は、登録児童数と待機児童数を合算した本レポートによる計算値であり、こども家庭庁が公表する統計項目ではない。待機児童の把握方法は自治体によって異なり、利用を希望しながら申込みに至らなかった潜在的な需要は含まれないため、実際に学童を必要とする児童数はこれを上回るとみられる。

「夏休み約40日」は目安であり、地域によって日数は異なる。

小学校入学を機にした働き方見直しの調査(50.7%)は2023年の民間調査であり、直近の状況とは異なる可能性がある。

本レポートは、テレワーク等の柔軟な働き方が学童の待機児童問題を解決することを示すものではない。子どもが家にいる状態での在宅勤務には集中確保の難しさという現実があり、働き方の柔軟性は家庭の選択肢を増やす一要素として位置づけている。

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