リスキリング レポート

転職のきっかけに関する調査

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調査: スキルアップ研究所

現代の日本では、転職がキャリア形成の手段として広く認識されるようになり、そのハードルも大幅に下がっている。

転職の理由は、キャリアアップや待遇改善など多岐にわたるが、実際に転職を決断するにあたって最も重要な要素や、転職後の満足度については、これまで明確な実態が把握されていなかった。

そこで、転職経験者を対象に、転職のきっかけや決断要因、転職後の評価について理解すべく、スキルアップ研究所では調査を実施した。

「転職のきっかけに関する実態調査」結果のポイント
  • 転職のタイミングは早期である場合が多い
  • 転職の回数できっかけや転職先の決め手が変化する
  • 3分の2以上が「転職を経験した方が良い」と回答

初めての転職のタイミングは新卒2〜3年目が約4割

初回転職 タイミング

「1度目の転職を決意した時期はいつでしたか?」と質問したところ、40.5%が「新卒2年〜3年目」と回答した。また、新卒3年以内が半分以上を占めた。

若手が自身のキャリアパスを積極的に模索し、早い段階から将来の方向性を見定めようとしている姿勢が表れていると考えられる。

初めての転職では人間関係がきっかけになりやすい

「1度目の転職のきっかけは何でしたか?」と質問したところ、最も多かった回答は「人間関係が悪化したから」で、37.0%を占めた。職場における人間関係の重要性が改めて強調される結果となった。

また、新卒入社直後の転職が多い背景には、就職活動時には把握しづらい職場の人間関係が、実際に働き始めてから想像と異なると感じ、より良い環境を求めるために転職を検討する場合が多いことなどが推測される。

3割以上が初めての転職先をやりがいと休暇面で選んでいる

1度目の転職先の決め手について尋ねたところ、最多の回答は「仕事内容にやりがいを感じられそうだから」であり、次いで「勤務時間や休日休暇が自分の希望に応じていたから」が挙げられた。

この結果から、転職過程における転職者の優先事項の変化が見てとれる。当初は人間関係などの短期的な不満から転職を考え始めるケースが多いが、実際の選択においては長期的なキャリア視点が重視されていることが推測できる。

73.5%が初めての転職に満足している

初回転職 満足度

「1度目の転職についてどう思っていますか?」という質問に、73.5%が「良かった」と回答した。

転職理由はさまざまであるものの、職場環境を変えることが現代の社会人にとって価値ある選択肢となっていることがうかがえる。

56.2%が転職を複数回経験している

転職回数

「何度転職を経験しましたか?」と質問したところ、56.2%が複数回の転職経験を持つことが明らかになった。

この結果は、雇用市場の流動性が高まっていることを示唆している。さらに、転職がキャリアにおける自然な選択肢として認識されつつあることが考察できる。

2度目以降では4年以内での転職が約75%

複数回転職 スパン

2度以上転職経験のある方に「最初の転職から2度目の転職を決意するまでのスパンを教えてください」と質問したところ、75.1%が4年以内と回答した。

さらに、3度目の転職についても同様の質問をしたところ、80.1%が4年以内と回答した。

この結果は、現代の労働市場におけるキャリアの流動性の高さを示している。転職サイクルの短期化は、労働者が頻繁にキャリアを見直し、より積極的に新たな機会を求めていることを表している。

また、労働市場全体におけるキャリアパスの多様化を反映していると考えられる。

2度目の転職のきっかけは給与面が1番多い

2度目以降の転職経験のある方に「2度目の転職のきっかけは何でしたか?」と質問したところ、最も多かった回答は「給料に満足していなかったから」で27.3%を占めた。

2度目の転職でこのような傾向が見られた背景には、単に高給を求めるだけでなく、転職により自身の市場価値が再評価されることを望んでいる可能性が考えられる。

3度目の転職のきっかけにはややばらつき

3度以上転職経験のある方に「3度目の転職のきっかけは何でしたか?」と質問したところ、最も多かった回答は「人間関係が悪化したから」で31.5%を占めた。

2度目の転職では、多くの労働者が給与面の向上など、自身のキャリアプランに基づいた理由で転職を選択する傾向があることが推測できた。しかし一方で、このような動機に重きを置くあまり、新たな職場の組織文化や環境の見極めが不十分になってしまった結果、入社後に人間関係の悪化を経験し、3回目以降の転職を考えるケースが少なくないと推測される。

2度目以降の転職先では経験やスキルを活かせる場所が多く選ばれる

複数回転職 決め手

2度以上転職経験のある方に、「2度目の転職先の決め手は何でしたか?」と質問したところ、最多の回答として「経験やスキルが活かせるから」が挙げられた。また、同様に3度以上転職経験のある方に3度目の転職先の決め手について尋ねたところ、同様の回答が最多となった。

この結果は、転職を重ねるほど、これまでに培った専門性を重視する傾向が強まることを示している。

また、複数回の転職経験者は、自身の強みを認識しているため、それを活かせる環境を求めていることがわかり、キャリアの連続性や成長を重視する姿勢がうかがえる。

2度目以降の転職に6割以上が満足している

複数回転職 満足度

2度以上転職経験のある方に「2度目の転職についてどう思っていますか?」と質問し、64.4%が「良かった」と回答した。同様に、3度以上転職経験のある方に3度目の転職に関して感想を尋ねたところ、63.5%が「良かった」と回答した。

1度目の転職よりも満足度の微減している原因に関しては、転職回数増加に伴う難易度の上昇や選択肢の制約などが影響している可能性がうかがえる。

一方で、複数回の転職でも高い満足度が維持されていることは、キャリア形成における転職の有効性を示唆している。

38.2%が将来独立することを見越して転職を経験

転職 独立

「将来独立することを見越して転職を検討しましたか?」という質問に、38.2%が「はい」と回答し、転職経験者の3人に1人以上という決して少なくない割合で独立志向を持っていることが見てとれた。

マネジメント能力や営業スキルなどの専門技術を磨くために転職を検討しているケースが考えられ、転職が単なる職場変更ではなく、将来の独立を視野に入れたキャリアステップとして捉えられていることが推測できる。

転職での後悔は待遇の悪化が最多

転職後に後悔したことについて尋ねたところ、最も多かった回答は「収入待遇が悪くなった・変わらなかった」で24.4%を占めた。

転職の決断において、給与条件が重要な要素であるにもかかわらず、実際には期待値とのギャップが大きく、満足がいっていないケースが少なくないことが推測できる。

67.4%が人生において転職を経験した方がいいと実感

転職 経験した方がいいか

人生で一度は転職を経験すべきかについて尋ねたところ、67.4%が「はい」と回答した。さらに、「いいえ」の回答はわずか0.6%で1人のみであった。

この結果は、転職に対して肯定的な社会的認識が広がっていることを示唆している。多くの人が転職経験を価値あるものと捉え、キャリア形成の重要な要素と考えていることがわかる。

さらに、転職すべきでないとの回答者がごく少数派であったことから、現代社会において「転職しない・新卒で入社した企業で勤め上げる」という選択肢が否定的になっていることがうかがえる。

課題と展望

調査結果から、転職のきっかけや決断要因が多岐にわたることが明らかになり、転職の回数によってもそれらの違いが大いに現れることが見てとれた。

また、近年では複数回の転職経験者も増加しており、転職がキャリア形成の一環として広く受け入れられつつあることも読みとれた。さらに、転職後に給与面での期待の不一致などから不満が挙げられる一方で、総じて転職後の満足度が高い傾向にあることがうかがえた。

今後、転職に対する社会の理解がさらに深まり、転職がより普遍的な選択肢として一般化していくであろう。これより、転職の契機がいかなるものであれ、社会に生きるすべての労働者が転職という選択肢を常に念頭に置くことが重要になってくるだろう。

一方企業においては、転職の検討時期が入社後数年以内に集中していることや転職の決断要因を踏まえ、人材定着のための施策を講じたり、転職の広まりを踏まえた人材育成計画を立てることが求められる。

調査概要

項目

詳細

調査名

転職のきっかけに関する実態調査

対象者

転職経験者

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年8月9日〜2024年8月16日

回答数

178

調査結果の引用・転載について

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