AI翻訳ツールの進化により言葉の壁は容易に越えられると言われているが、実際のビジネス現場において、生身の英語力は本当に不要になったのだろうか。
また、AIが普及する現代において真に求められる能力とは何であるのか。
そこで本調査では、業務で英語を使用する層を対象に、AIの利用実態と求められる英語力を明らかにした。
- 完璧なAI文章より、自分の言葉での即時対応が信頼される
- 自らの言葉で伝えたい場面は「謝罪」と「雑談」がトップ
- 9割以上が英語力向上を不可欠とし、リスニング力を重視
【調査概要】
項目 | 詳細 |
調査名 | グローバル人材に求められる英語力に関する調査 |
対象者 | 業務で英語に触れる機会が少しでもある社会人 |
対象地域 | 全国 |
調査方法 | アンケート調査 |
調査期間 | 2026年2月4日~2月11日 |
回答数 | 200名 |
AI翻訳ツールの浸透と見えてきた限界
7割以上が業務上でAIツールをほぼ全て・補助的に使用

グローバルビジネスにおいて、DeepLやChatGPT、Google翻訳といったAI翻訳・生成ツールを「ほぼ全てで使用している」という回答が19%に上り、「補助的に使用している」と答えた割合は半数を超える54%を占めた。
一方で、「緊急時のみ使用している」層は11.5%、「使用していない」層は15.5%にとどまった。
この数字から、大半のビジネスパーソンにとってAIツールはすでに業務上不可欠となっており、自身の英語力を補完するサポート役として幅広く導入されていることがわかる。
多少英語が拙くてもビジネスにおいては信頼度が高い

実際の現場において「どのような人材がより信頼できると感じるか」と尋ねると、全体の7割弱が「文法は多少拙くても、自分の言葉で即座に返信や電話をしてくる人」をと回答した。
一方で、「AIツールを駆使し、文法も表現も完璧な英語メールを送ってくる人」の方が信頼できると回答した割合は31.5%にとどまった。
この結果から、グローバルなビジネス環境における信頼関係の構築には、文章の完璧さよりも、自身の言葉を用いた迅速で率直な対応が強く求められていることがわかる。
英語上級者も「拙くても自分の言葉での即レス」を高く評価

「拙くても自分の言葉で即座に返信や電話をしてくる人」に対する高い信頼は、回答者自身の英語レベルに関わらず共通して見られる傾向である。
回答者の英語レベル別に分析した結果、実務で十分に英語を駆使できる「ビジネスレベル」の層で68.4%、それに次ぐ「日常会話レベル」の層でも72.7%と、いずれも約7割が自らの言葉による迅速な対応をより信頼できると評価している。
自分の言葉で伝えたい場面は「謝罪」と「雑談」がトップ

AI技術が今後さらに進化し、翻訳精度が向上したとしても、「これだけはAIに任せず、自身の言葉(英語)で伝えたい」と考える場面について尋ねた。
最も多かった回答は「謝罪・トラブル対応」と「食事会・雑談・スモールトーク」であり、同率(44.9%)でトップとなっている。
次いで、「プレゼンテーション・スピーチ」、「部下や同僚へのフィードバック・メンタリング」、「昇進・昇給などの重要な交渉」といった、熱意や微細なニュアンスを伝える必要のある場面が続いた。
AI活用層ほど「雑談」での自分の言葉を重視する傾向

同上の質問において、AIを日常的に駆使する積極的な活用層であっても、対人関係の構築においては、自身の言葉を「補助的に使用している」層の29.1%、「ほぼ全てで使用している」層の23.5%が、雑談等の場面で自らの言葉を使いたいと回答している。
さらに部下や同僚へのフィードバックにおいても、AIを「使用していない」層の回答率がわずか2.5%にとどまるのに対し、活用層ではいずれも1割を上回っている。
半数越えが「誠意や熱意を伝えるため」に自分の言葉が必要と回答

「これだけはAIに任せず、自分の言葉(英語)で伝えたい」という場面においてその理由を尋ねたところ、半数超えが「誠意や熱意といった『感情』を伝えるため」と回答した。
次いで、「相手の表情や反応に合わせて、瞬時に表現を変える必要があるため」が44.9%と高い割合を占めている。
これらの結果から、ビジネス現場における「自分の言葉」の役割は、正確な情報の伝達手段にとどまらないことがうかがえる。
英語ができなくてもグローバル案件で成果を出す人は約3割の職場で存在

「あなたの会社や周囲で、英語はできないがグローバル案件でなぜか成果を出す人はいるか」と尋ねたところ、全体の29%が「いる」と回答した。
この結果は、語学力そのものに加えて、専門的なビジネススキルや周囲を巻き込む人間力などが、言語の壁を越えてグローバル案件を牽引する上で大きな武器になり得ることを示唆している。
成果を出す人の特徴は「物怖じしない度胸」と「人間的な魅力」

前項で「英語ができなくてもグローバル案件で成果を出す人がいる」と回答した層に対し、その人物の具体的な特徴を尋ねたところ、4割弱が「物怖じしない・度胸がある」、3割近くが「相手の懐に入るのが上手い(人間的魅力)」と答えた。
言葉の壁を前にしても決して萎縮せず、堂々と対話に臨む精神力や、相手との心理的な距離を素早く縮める人間的な魅力が、結果的にプロジェクトを牽引する最大の推進力となっていることがわかる。
AI普及で変わる「英語学習のロードマップ」
キャリアアップのための英語力向上は9割以上が「不可欠」と回答

「AIツールが普及している現代においても、自身の英語力を高めることはキャリアアップに不可欠だと思うか」という問いに対し、36%が「強くそう思う」、56%が「そう思う」と回答した。
両者を合わせた肯定派の合計は実に92%に達しており、「あまりそう思わない」(8%)を圧倒する結果となった。
AIがいかに進化し利便性が向上しようとも、ビジネスパーソンが自らの言語スキルを磨くことの重要性は少しも揺らいでいない事実を浮き彫りにしている。
モチベーション維持・向上層ほど「リスニング力」を重視

AIツールの普及によって英語学習へのモチベーションが「上がった」あるいは「変わらない」と回答した意欲的な層において、今後の学習で最も重視すべき項目として「相手の意図を汲み取るリスニング力」がトップに挙げられた。
具体的には、モチベーションが「変わらない」層の30.1%、「上がった」層の25%がリスニング力の強化を最優先課題として位置づけている。
次いで「自分の意見を論理的に構成する力」(それぞれ23.1%、17.5%)が続いている。
言語知識の詰め込みではなく、相手の言葉の真意を正確に理解し、自身の思考を組み立てるという双方向の対話能力の獲得に学習の重点がシフトしていることがわかる。
今後の課題と展望
AI翻訳ツールの普及により、表面的な言語の壁は取り払われつつある。
しかし本調査が示す通り、ビジネスの最前線で真の信頼関係を築くのは、拙くても自身の言葉で語る生身のコミュニケーションである。
今後の課題は、AIを単なる「翻訳機」として依存するのではなく、「対話力を磨くための練習相手」としていかに活用するかにある。
その点において、Talkful のような、いつでも安価にAI相手に学べるアプリの存在意義は極めて大きい。
失敗を恐れず何度でも実戦的な対話演習ができる環境は、ビジネスパーソンに不可欠なリスニング力や即応力、そして物怖じしない度胸を養う最適な土壌となる。
次世代のグローバル人材には、AIを賢く使いこなしながら、人間ならではの対話力を鍛え上げることが求められているのである。
調査結果の引用・転載について
本レポートの著作権は、株式会社ベンドが保有します。 引用・転載される際は、必ず「スキルアップ研究所調べ」のような形で出典を明記し、本記事のリンクを付してください。 引用・転載されたことにより利用者または第三者に損害その他トラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いません。