リスキリング レポート

英会話塾利用に関する実態調査

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調査: スキルアップ研究所

近年、グローバル化が進む中で英語力の重要性が高まっており、英会話講座への需要が増加している。しかし、その一方で講座の選び方や満足度については個人差が大きく、利用者の実態を把握することが課題となっていた。

そこで今回、スキルアップ研究所では、英会話講座の利用実態や選択基準、満足度などを明らかにすることで、英語学習者の需要を探るための調査を行った。

英会話塾利用に関する実態調査のポイント
  • 全体として安さよりもレッスン内容が重視して英会話を選んでいる
  • 満足度が最も高いのは料金の安さを基準に選んだ人
  • 利用検討者が通わない最大の理由は「時間が取れないから」

英会話塾通学者の25%は日常会話の向上が目的

英会話塾通学の目的を英会話塾利用者・検討者の両方に聞いた質問では、英会話塾に通う最大の目的は「日常会話の向上」であり、全体の25.0%を占めていることが分かった。英語を実際のコミュニケーションで活用したいという需要が最も高いことが伺える。

次いで「仕事での英語利用」(22.7%)、「旅行や海外生活」(17.8%)が目的として多くを占めている。これらは、英語を使ってスキルアップを図りたい実利的な目的と言える。

一方で、「資格試験対策」(5.4%)や「学校の成績向上」(8.1%)など、テストや成績のための英語学習は相対的に少数だった。英会話重視の傾向が見て取れる。

通塾者の半数以上がグループ対面レッスンを受講

通塾経験者に英会話塾の利用形式について聞いた調査では、「対面レッスン(グループ)」が57.9%と最も多く、通塾者の半数以上がこの形式を選んでいた。

グループレッスンのメリットは、複数人での会話練習ができること、受講費用が抑えられることなどが考えられる。実際の会話の場でもグループでのコミュニケーションが求められることが多いため、そうした状況を想定した形で英語運用力を身につけられるという点が人気の理由だろう。

個別対面レッスンの利用検討者が最多

英会話塾利用を検討している層に対して、英会話塾の通いたい形式を聞いたところ、「対面レッスン(個別)」が33.2%と最多となった。これは実際の通塾者の結果とは対照的である。

検討者は個別指導を重視する傾向にあり、効率的で手厚い学習を期待していると考えられる。一方で「対面レッスン(グループ)」(27.8%)もある程度の人気があり、通塾者と同様にグループレッスンの需要も根強い。

対面とオンラインで求められているものの違い

対面レッスンを選ぶ理由の最多は「対面でのコミュニケーションを大事にしたい」であり、グループレッスンで62.6%、個別レッスンでも43.0%を占めた。実際の会話練習を重視する点が伺える。また個別レッスンでは「わからないところをすぐ質問したい」(36.7%)も大きな要因となっている。

一方、オンラインレッスンの選択理由は、グループレッスンで「自分のスケジュールに合わせたい」(83.3%)、個別レッスンで「時間や場所に縛られたくない」(45.6%)が中心的な理由となった。時間的・空間的な自由度を求める声が強い。

対面とオンラインでは需要が対照的であり、対面ではリアルなコミュニケーション重視、オンラインでは柔軟性を求める声が大きいことが分かった。

口コミを情報源とする人が7割超え

英会話塾の選択において、利用者が最も重視するのは口コミ情報で、インターネット上の口コミサイトを参考にすると答えた人が40.4%と最多だった。さらに、友人や知人の口コミを参考にすると答えた人が31.5%と続いた。つまり、合計すると7割を超える人が何らかの形で口コミ情報を参考にしていることになる。

一方、公式ホームページは18.9%、SNSは5.4%と、自社情報よりも第三者による評価の方が圧倒的に信頼されている様子がうかがえる。マスコミ等の従来型メディアは1%にも満たず、口コミがサービス選択の重要な判断材料となっていることが分かる。

英会話塾の予算は月額1万円未満が約半数

英会話塾の利用者が設定している予算額は、月額1万円未満が47.0%と最も多数を占めた。次いで1万円から2万円未満が35.7%となり、合わせると約8割の人が月額2万円以下の予算と答えた。

一方で、月額2万円以上の予算層は全体の1割強にとどまった。3万円以上では4.2%にすぎず、英会話塾に高額を払う層は限られていることが分かる。

週1回で通いたい人が5割を超える

英会話塾に通いたい頻度として最も多かったのは「週1回」で54.7%を占めた。次いで「週2回」が25.3%となり、週に1〜2回が望ましい頻度として8割近くの人々の支持を得ていることが分かった。

一方、頻度の高い「週3回以上」を望む層は9.2%と一定数はいるものの、少数派に留まった。反対に「月1回」(3.8%)や「不定期」(1.6%)など、頻度を抑えたい人は合わせて5%程度にとどまった。

通塾経験者の実態

安さよりも重視されるのは講師の質やレッスン内容


英会話塾の選択において、通塾経験者が最も重視したポイントは「講師の質」(28.6%)だった。次いで「レッスンの内容」(22.6%)が高い比率となり、教育の質そのものを最優先に判断していることがうかがえる。

一方、「料金の安さ」は15.0%にとどまり、価格よりも内容重視の傾向が見て取れる。「口コミや評判」(9.8%)や「立地・アクセス」(12.0%)も一定の人気があったが、サービス自体の質が最重要視される結果となった。

このように、利用者は低価格よりも、きちんとしたレッスンを受けられるかどうかを優先する傾向にあり、提供側の教育力や指導内容が選択の大きな分水嶺となっていることが分かる。

通塾者の8割近くは概ね満足している

通塾経験者に英会話塾の満足度を尋ねたところ、「満足」と答えた人が26.4%、「どちらかといえば満足」が49.6%と、合わせて8割近くが概ね満足していることが分かった。

一方で、「不満足」「どちらかといえば不満足」を合わせた不満足層は10.1%にとどまった。「普通」と回答した人は14.0%いたものの、全体として高い満足度が示された。

(※Q15:「英会話塾を選ぶ際に最も重視したポイントを教えてください」)

満足度が最も高いのは料金の安さを基準に選んだ人

英会話塾の選択基準別に満足度を見ると、「料金の安さ」を最重視した層の満足度が最も高かった。この層では「満足」が50.1%、「どちらかといえば満足」が33.2%と、合わせて83.3%と高い割合となった。料金面での期待値を上回るサービスが提供されたことが要因と考えられる。

不満足の理由第一位は料金の高さ

英会話塾に不満を持った人に、その理由を尋ねたところ、最も多かったのが「料金が高かったから」で7件と最多となった。価格面での期待外れが大きな不満要因になっていることがうかがえる。

次いで「講師の質が期待に沿わなかった」「レッスン内容が合わなかった」がそれぞれ5件ずつあり、教育の質的側面での不満も目立ち、料金の高さと教育内容の2点が、英会話塾の満足度に大きく影響を与える主な要因であることが明らかになった。

通塾前の重視したポイントと、満足度を左右するポイントが異なる興味深い結果となった。

もし再び通う場合にはレッスンの柔軟性を意識する人が増える

通塾経験者にもし再び通うとしたら重視するポイントを尋ねたところ、「講師の質」(27.0%)と「レッスンの内容」(22.1%)が上位2つを占める結果となり、教育の質への高い関心が改めて示された。

一方で、前回の選択時と比べて大きな変化があったのが「レッスンの柔軟性」だ。16.4%と前回の2倍近い支持率となった。スケジュールの融通が利かなかったことへの不満が背景にあり、仕事や学業との両立を通しての実際の意見が垣間見える結果となった。

利用検討者について

利用検討者が最も重視したいポイントはレッスン内容

英会話塾の利用を検討している層に、最も重視したいポイントを尋ねたところ、「レッスンの内容」が27.3%と最多となった。学習内容の質への高い関心がうかがえる。

次いで「料金の安さ」と「講師の質」がいずれも19.7%と同率の支持を得た。価格と指導力の双方への高い期待値が存在することが分かる。

検討しているが通っていない最大の理由は時間が取れないから

英会話塾の利用を検討しつつも実際には通塾していない理由で最も多かったのは「時間が取れないから」で33.9%を占めた。仕事や学業などとの両立が難しいことがうかがえる。

次いで「料金が高すぎる」が25.4%、「近くに良い英会話塾がない」が22.0%と続いた。価格面や立地の不便さも障壁となっていることが分かる。

一方で「自信がない」「目的が明確でない」など、学習意欲自体への障壁はそれほど大きくはない。検討段階にある以上、英語学習への関心自体は高いと考えられる。

つまり、時間的・経済的・立地的な環境面での制約が、実際の行動に移せない最大の理由となっていると言え、環境改善への期待が高いことが予想される。サービス提供側で利便性の向上を図ることが、潜在需要を掘り起こす重要な鍵となるだろう。

総括

調査結果から、英会話塾の利用者・検討者は「質の高いレッスン」と「自分のライフスタイルに合った柔軟性」の両立を求めていることがわかった。

目的は実践的なスキル習得が中心だが、通塾者は講師の質やレッスン内容を最も重視し、満足度も概ね高かったことから、質の高さを大切にしている様子がうかがえる。

一方で、不満の理由の第1位が料金の高さであり、予算面での制約も存在し、また、次の通塾時には柔軟性を求める声が増えており、会社や学業との両立を意識する傾向も見られる。さらに利用検討者の最大の壁は「時間が取れない」ことであり、オンラインレッスンへのニーズとあわせ、スケジュールの柔軟性が選択のポイントになっていることがわかる。

つまり、質の高いレッスンを求めつつも、自分のライフスタイルに合わせた通い方ができる柔軟性も、英会話塾に求められる大きな要素である。

調査概要

項目

詳細

調査名

英会話塾利用に関する実態調査

対象者

英会話塾(または教室)の利用経験がある人

または利用を検討している人

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年6月2日~2024年6月9日

回答数

185

調査結果の引用・転載について

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