英語資格取得の需要が高まるなか、学習者の多くが英語試験対策としてアプリを活用するようになっている。
しかし、アプリ学習がどの程度成果に結びつき、どのスキルで効果を発揮するのかについては十分に可視化されていない。
本調査では、実際の利用状況やモチベーションの変化、習得スキル、満足度を明らかにし、英語試験対策におけるアプリ活用の実態をまとめた。
- モチベ向上の要因は「スキマ時間で取り組める手軽さ」
- モチベ低下の要因は「成果の見えにくさ」
- 効果を実感したのは単語とリスニングが中心
調査概要
項目 | 詳細 |
調査名 | 英語試験対策としてのアプリ活用度に関する実態調査 |
対象者 | 英語試験受験経験があり、 その対策として英語学習アプリを利用したことがある方 |
対象地域 | 全国 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2025年11月4日~11月11日 |
回答数 | N=100 |
英語学習アプリの利用状況

英語学習アプリの利用期間を尋ねたところ、3〜6か月の利用者が最も多く、中期的に継続する層が中心であることがわかる。
半年以内の利用者が過半数を占める一方、1年以上の長期利用者も一定数存在し、習慣化に成功している層が明確に分かれる構造が見える。
この傾向から、アプリ側は最初の半年の継続支援を強化することで長期利用への移行を促し、学習成果の最大化につなげられる可能性が高いと考えられる。
1日の利用時間10〜30分が半数越え

続いて1日あたりの平均利用時間を尋ねたところ、最も多かったのは10〜30分利用の層で、半数以上が短時間の毎日学習を実践していることがわかる。
また、30〜60分の比較的しっかり学ぶ層も一定数おり、アプリ学習はスキマ時間だけでなく日常の学習時間としても定着しつつある。
短時間で成果につながる構成や、習慣化を前提とした小刻みな学習設計が利用者のニーズに合致し、学習効果の向上にも寄与すると考えられる。
週1〜3回の利用は4割を占める

利用頻度は、週1〜3回が最も多く、アプリ学習が無理なく続けられる頻度として定着していることがわかる。
一方で、週4〜6回や毎日利用する積極的な層も過半に迫り、アプリが継続学習の基盤として機能していることが示唆される。
これを踏まえると、学習頻度を自然に引き上げる仕掛けや、短時間でも毎日触れたくなる設計を強化することで、さらなる習慣化と学習効果の向上が期待できる。
約8割が英語学習へのモチベーションが向上したと回答

アプリ利用者の約8割が「モチベーションが上がった」と回答しており、特に「やや上がった」が多数を占めている点から、アプリは学習意欲の底上げに効果的であることが示唆される。
「モチベーションが下がった」という否定的影響がゼロであることから、モチベーション低下のリスクが極めて小さい学習手段といえる。
モチベーションに影響した要因
モチベ向上の要因は「スキマ時間で取り組める手軽さ」

モチベーション維持につながった理由として最も多かったものは、スキマ時間で取り組めた点だ。
次いで学習記録の可視化や進歩実感が効果を発揮しており、短時間×達成感の組み合わせが学習継続を後押ししている構造が見える。
モチベ低下の要因は「成果の見えにくさ」

一方で、モチベーションが減少した理由は、進捗が見えにくい点が最も多く、成果実感の欠如が学習意欲を損ねやすいことがうかがえる。
その他にも、レベル不一致や必要機能の不足、UI や広告のストレスなどアプリとの相性が要因として散在している。
これらから、利用者に合った難易度調整や進捗フィードバックの強化、集中を妨げない設計が、離脱防止と継続学習の底上げにつながると考えられる。
約8割が「英語力が向上した」と実感

アプリを使って英語力が「ある程度向上した」人は7割を超え、アプリ学習による効果を肯定的に捉えていることがわかる。
一方で、「大きく向上した」は限定的で、明確な飛躍というより着実な底上げとして評価されている構図が見える。
この結果は、アプリが基礎力強化や継続学習には有効だが、より高得点・高度技能の習得には追加の学習手段や深掘りが必要である可能性を示唆している。
効果を実感したのは単語とリスニングが中心

最も効果を感じたスキルは単語で、次いでリスニングが続き、多くの利用者が基礎的インプット系の伸びを実感している。
一方で文法や読解は限定的、スピーキングはごく少数にとどまり、アウトプット系や構造理解が必要な領域では効果が弱い構図が見える。
約9割が英語試験対策として使ってよかったと評価

英語試験対策としてアプリを使ってよかったと思うかを尋ねたところ、「そう思う」「ややそう思う」が合わせて9割以上を占め、アプリ学習は英語試験対策として高い満足度を得ていることがわかる。
否定的な意見は少数にとどまり、一定範囲の学習ニーズに対しては十分な効果と利便性を提供できている構図が見える。
この結果は、アプリが基礎力維持・学習習慣づくりに特に強みを発揮しており、試験対策の核となる学習手段として利用者に広く受け入れられていることを示唆している。
課題と展望
英語学習アプリは基礎力の習得や学習習慣づくりに強みがある一方、スピーキングなど実践的なアウトプット領域では不十分になりやすいという課題が見える。
また、継続率を左右する進捗可視化や個別最適フィードバックについても、さらなる精度向上が求められる。
こうした部分を補いたい場合は、Talkful を利用してみれば、AIとの自然な対話練習や即時フィードバックを日常的に取り入れられ、アプリ学習では伸びにくいアウトプット力を効果的に強化できるだろう。
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