リスキリング レポート

子どもの英語学習における親の関与実態調査

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調査: スキルアップ研究所

近年、子どもの英語学習の重要性が増す中、親の関与が学習成果やモチベーションにどれだけ影響を与えるかが注目されている。 

そこで、スキルアップ研究所では、英語を学んでいる中学生以下のお子さまを持つ保護者200名を対象に、親の英語学習に対する関与実態やその影響、さらに求められるサポートについて調査を行った。

調査を通じて、親が抱える不安や必要とされている支援の方向性が明らかになり、今後の英語教育サポートに向けた貴重なデータが得られた。

「子どもの英語学習における親の関与実態調査」結果のポイント
  • 保護者の英語力は8割以上が「初心者〜初級レベル」
  • 親が感じる壁に「英語力不足」と「関わり方への不安」
  • 6割以上が「親子で使える学習サービス」に前向き

【調査概要】

項目

詳細

調査名

子どもの英語学習における親の関与実態調査

対象者

英語を学習中の子どもを持つ親(中学生以下のお子さまをお持ちの方)

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2025年6月13日〜6月20日

回答数

200

子どもの英語学習支援に関われない保護者の実態

実際、親はどれくらい子どもの英語学習に関わっているのか?

以下では、親の英語学習への関与度やその理由、そしてその背景にある実情について見ていく。

英語学習の親の関与は週3時間未満が多数派

子どもの英語学習に対する、1週間あたりの親のサポート時間を学年別に見ると、「1時間未満」や「1〜3時間」といった短時間ながら関与している層が、幼稚園児・保育園児では約81%、小学校低学年で約63%、高学年で約60%を占めた。

一方で、中学生では「0時間(ほとんど関わっていない)」と回答した割合が約60%に達し、学年が上がるにつれて親の関与が減少する傾向がみられた。

関われない理由:最多は「英語力への不安」

子どもの英語学習に「ほとんど関わっていない」と答えた保護者に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「自分の英語力に自信がない」という声で57.7%だった。

英語への苦手意識が、サポートに踏み出す上での大きな壁になっていることがうかがえる。

次いで多かったのは、「子どもの自主性を重んじて干渉しないようにしている」(40.8%)、「仕事や家事で時間が取れない」(39.4%)といった回答。

単に「忙しいから」関われないだけでなく、「あえて距離を置く」という考え方も一定数あることがわかった。

保護者の8割以上が「初心者〜初級レベル」


では、実際の英語力はどの程度なのか。

保護者に自身の英語力を尋ねたところ、「初心者(ほとんど話せない)」が40.5%、「初級(簡単な会話ができる)」が42%と、8割以上が基礎レベルにとどまっているという結果となった。

「中級(日常会話に問題ない)」は16%、「上級」や「ネイティブレベル」はごくわずかだった。

親のサポートが子どもの英語学習に与える影響

実際、関与の度合いと子どもの学習成果やモチベーションにはどんな関係があるのだろうか?

以下では、親の関与が子どもの英語学習に与える影響について探っていく。

サポート時間が長いほど「効果を感じる」割合も高まる


1週間あたりのサポート時間と、親が感じる効果の関係を見ると、関与時間が長いほど「効果を感じる」と答えた割合が高くなる傾向が明らかになった。

例えば、「3時間以上関与している親」のうち、100%が「とても効果を感じる」または「まあまあ効果を感じる」と回答しており、関与が直接的な効果を生むことが分かる。

「1〜3時間」や「1時間未満」のような軽めの関与層でも、「効果を感じる」と答えた割合はそれぞれ76.7%、58%に達しており、短時間でも関わることで一定の成果を感じている親が多いことがわかる。

このデータからは、たとえ少ない時間でも親のサポートが子どもの学習に良い影響を与えることが分かり、親の積極的な関与が子どもの英語学習において重要な役割を果たしていると言える。

特に効果があるのは「興味づけ」と「習慣化」

子どもの英語学習に関与して「効果を感じる」と答えた保護者(101人)に、具体的にどの分野で効果を実感しているかを尋ねたところ、最も多かったのは「英語への興味・意欲の向上」(58.4%)だった。

次いで多かったのは、「学習習慣の定着」(48.5%)であった。

一方で、「テストや資格の成績アップ」といった直接的な成果に関しては比較的少数(10.9%)にとどまった。

この結果から、親の関与はテストの点数やスキルそのものよりも、「日々の取り組み」や「気持ちの面」で効果を発揮していることがわかる。

親が英語学習支援で感じている不安

多くの保護者が、子どもの英語学習を支援する中で不安や難しさを感じている。

以下では、その内訳や具体的な悩みについて、詳しく見ていく。

英語サポートに「不安あり」の声が多数ーその内訳とは?

子どもの英語学習に関わる中で、保護者が最も多く挙げた不安は「英語力が不足していてサポートが難しい」(35.0%)だった。

子どもを支えたい気持ちはありつつも、自身の英語スキルに不安があり、どう関わればよいか戸惑っている家庭が多いことがうかがえる。

次いで多かったのが、「自分の関わり方が適切かどうか不安」(23.5%)という回答。

「関わりたいけれど、どう関わればいいかわからない」と、親なりに距離感を試行錯誤している様子が見て取れる。

保護者の声から見るリアルな悩み

英検4級で取らせたので次は3級にチャレンジさせますが、3級は二次試験(面接)があるので面接対策を子供自身で出来るか不安があります。

40代女性・中学生のお子様

日本語のみで生活ができる状況下では、モチベーションや必要性にかけ、なかなか学習意欲の向上につながらないと感じている。英語にかかわらず生の外国語に触れる機会がもっとあればよいと感じている。

40代女性・小学校低学年のお子様

親は文字で分かっているので、耳ベースの子どもの発音を聞いていると間違っているところが気になって仕方ない。速度遅くしたりや単語区切りで教えなくていいかモヤモヤ。でも指摘している私の発音が間違ってると夫に言われる。親がしないと子どもも興味もたないと思うので、とても難しい。

30代女性・幼稚園 保育園のお子様

実際に寄せられた声からは、英語学習に関わる中での保護者のリアルな葛藤が浮かび上がった。

特に、英検などの試験対策では、面接やスピーキングといった実践的な部分への不安が目立った。文法や単語の学習には付き添えても、本番を想定した練習には家庭での限界を感じるケースも多いようだ。

また、英語が“勉強のためのもの”になりがちで、子どもにとって興味や必要性と結びつきにくいという声もあり、親にできるサポートにも自ずと限りがあることがわかる。

さらに、発音指導では、自分の英語力に自信が持てず、どう関わればよいか迷う保護者も少なくない。

こうした声からは、「関わりたい」という思いはありながらも、方法や自信が伴わないという保護者の姿が見えてくる。

親が求める英語学習サポートとは?

では、親が求める英語学習サポートとは、どのようなものだろうか。

「学習ガイド」と「モチベ支援」に高いニーズ

子どもの英語学習に関わる中で、保護者が「こうしたサポートがあると助かる」と感じているものとして最も多かったのは、「効率的な学習方法の具体的なガイド」(39.0%)だった。

どの教材を使い、どのように進めればいいのか、迷わず取り組める指針を求める声が多いことがわかる。

次いで多かったのが、「子どものモチベーションアップ支援サービス」(38.0%)。

学習の継続や意欲の維持に悩む家庭も多く、親だけではカバーしきれない部分を外部サービスで補いたいというニーズが見て取れる。

また、「AIやオンラインツールの活用サポート」(25.5%)や、「親向けの英語学習講座・教材」(23.5%)といった回答も多く、家庭での学習を支える環境づくりへの関心も高い。

6割以上が「親子で使える学習サービス」に前向き

親子で一緒に取り組める英語学習サービスやアプリについて、全体の63%が「ぜひ利用したい」「どちらかといえば利用したい」と前向きに回答した。

多くの家庭で、子どもの学びに寄り添いたいというニーズがあることがわかる。

期待される効果としては、「子どもの自主的な学習意欲の向上」(26.4%)や「効率的な発音・会話力の習得」(26.1%)が特に多く、実用的な英語力の育成や、子どもが自ら学び続けられる環境づくりが重視されている様子がうかがえる。

また、「楽しく続けられる学習環境の提供」(20.1%)や「進捗・成果の見える化」(14.8%)など、継続と可視化に対するニーズも一定数見られた。

課題と展望

本調査の結果、多くの保護者が「英語に関わりたい」と思いつつも、自身の英語力への不安や関わり方への迷いから十分にサポートできていない現状が浮き彫りになった。

一方で、少しの時間でも関わることで「学習習慣の定着」や「興味・意欲の向上」など、一定の効果を感じている親も多く、親の関与が子どもの英語学習において重要な役割を果たしていることも分かった。

グローバル化に伴い英語力の重要性が高まる中、保護者の不安を軽減し、学習の継続を支えるためのサービスが求められるだろう。近年のAI英会話アプリの誕生は、家庭での英語学習を支える手立てとなるかもしれない。

調査結果の引用・転載について

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