リスキリング レポート

オンライン英語研修に関する実態調査

更新日:

調査: スキルアップ研究所

近年、リモートワークの普及やグローバルビジネスの加速により、企業内での「オンライン英語研修」のニーズが急増している。

また、従来は集合研修や教室での対面指導が一般的だったが、業務との両立が難しい、受講者の習熟度に差が出る、学習の継続が難しいといった課題があった。

こうした背景から、より柔軟で個別最適化がしやすい「オンライン形式」への移行が進んでいる。

本調査では、オンライン英語研修を受けたことのある20代〜60代の社会人を対象に、オンライン英語研修の受講実態、受講後の効果、研修内容への満足度などについて調査を行った。

「オンライン英語研修に関する実態調査」調査結果のポイント
  • 設定された受講頻度が高いほど実施率は低下傾向に
  • 3ヶ月未満の受講では一定以上の効果実感は半分に留まる
  • プレゼン・商談などの実践力の向上を実感した人は1割に留まる

【調査概要

項目

詳細

調査名

オンライン英語研修に関する実態調査

対象者

オンライン英語研修を受けたことのある20代~60代の社会人

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2025年7月16日~7月23日

回答数

200名

オンライン英語研修の受講率

6割近くが会社の制度・指示で受講を決定

オンライン英語研修の受講者に受講理由について調査を行ったところ、6割近くの人が「会社の制度・指示」と回答し、「上司や人事の勧め」も含めると、その割合は7割近くに達した。

これは、多くの企業が社員の英語力強化を戦略的に捉え、制度的に研修機会を設けていることを示している。

一方で、「自分で必要性を感じて申し込んだ」とする自主的な受講者は全体の4分の1に満たず、個人の意思によって研修に取り組んでいる人は依然として少数派に留まっている。

この結果からは、社員の語学スキル向上に対する企業の積極的な関与が進んでいる一方で、社員自身が語学研修の重要性をどれほど自覚しているかという点には課題が残るといえる。

設定された受講頻度が高いほど達成率は低下傾向に

次に、会社・研修制度で定められていた受講頻度と実際の受講頻度を質問した。

最も多かったのは「週に3〜4回」と設定されていたケースであり、そのうち約7割の受講者が規定通り「週に3〜4回」受講していたが、残りの3割弱は「週に1〜2回」に留まっていた。

一方で、「週に3〜4回」や「ほぼ毎日」といった高頻度の受講を求められていた場合ほど、実際の受講頻度との乖離が見られた。

この背景には、頻度が高すぎることで業務との両立が難しくなり、学習が自発的な取り組みではなく義務として捉えられてしまう構造があると考えられる。

オンライン英語研修の効果

効果を実感した人は全体の約9割

オンライン英語研修の効果実感について尋ねたところ、「はっきりと実感できた」「ある程度実感できた」「少しだけ実感した」と回答した人を合わせると、全体の約9割に達し、多くの受講者が何らかの成果を感じていることが明らかとなった。

一方で、効果を実感できなかったという回答も一定数存在しており、個々の受講状況や研修内容の適合性によって実感の差が生じていることも読み取れる。

それでも全体としては、多くの受講者が前向きな変化を感じており、オンライン研修の効果はおおむね肯定的に捉えられていると言えるだろう。

3ヶ月未満の受講では一定以上の効果実感は半分に留まる

英語力の向上実感と受講期間の関係を分析したところ、英語力の向上実感と受講期間の関係を分析したところ、3ヶ月未満の受講では効果を「はっきりと実感できた」「ある程度実感できた」層が半分以下に留まることが明らかになった。

また、3〜6ヶ月間受講した層では約9割が何らかの成果を実感していることが明らかになった。

中でも「ある程度実感できた」が7割を超え、研修の成果が着実に現れ始める期間として、3〜6ヶ月が一つの転換点となっていることがわかる。

6ヶ月以上受講した層でも実感率は一定程度保たれているものの、3〜6ヶ月に比べて「はっきり実感できた」とする回答はそれほど増加しておらず、長期にわたるからといって効果実感が飛躍的に高まるわけではないことも示唆される。

この結果からは、オンライン英語研修において「成果を感じるにはある程度の継続が必要だが、漫然と続けるだけでは頭打ちになりやすい」という学習の特性が見えてくる。

プレゼン・商談などの実践力の向上を実感した人は1割に留まる

オンライン英語研修において、プレゼン・商談・交渉などの実践的なビジネス英語力の向上を実感したと答えた人はわずか1.3%に留まり、効果を感じた人はごく少数だった。

また、TOEICスコアの向上やライティング、リーディングといった他の応用スキルに関しても、実感率は軒並み低く、全体として実務での活用に直結する力の伸びを感じた人は限られていた。

一方で、「スピーキング」や「リスニング」といった基礎的なコミュニケーションスキルには多くの受講者が効果を感じており、オンライン英語研修は日常会話レベルのトレーニングに偏っている傾向がうかがえる。

実践的なビジネス場面で通用する英語力を高めるには、一般的な研修プログラムだけでは不十分であり、より専門性や状況設定に対応した研修が必要だといえる。

オンライン英語研修が業務へ与える影響

9割越えが「業務で役立った」

オンライン英語研修が業務に与えた影響について質問すると、「とても役立った」「まあまあ役立った」「少しだけ役立った」を合わせて、全体の9割以上が何らかの形で業務にプラスの効果を感じていることがわかった。

一方で、「あまり役立たなかった」「全く役立たなかった」と答えた人も1割弱存在しており、すべての受講者にとって均等に成果が出ているわけではないことも示されている。

それでも全体としては、9割を超える受講者が業務上の何らかの場面で英語研修の成果を感じており、オンライン形式の語学研修が現場の実践力向上に一定の貢献を果たしていることは間違いない。

商談・プレゼンといった応用スキルには伸び悩みも

オンライン英語研修が業務に与えた具体的な効果について尋ねたところ、「英文メールの作成が楽になった」が最も多く、日常業務における基礎的な英語スキルの向上が中心であることがわかった。

一方で、「英語での商談・プレゼンができるようになった」「海外チーム・取引先との連携がスムーズになった」、「TOEICや資格試験で成果が出た」といった、より高度で実践的なアウトプットに関する効果を挙げた回答は少数に留まっている。

この結果から、オンライン英語研修は業務で頻出する基本的なコミュニケーションスキルの習得には一定の効果があるものの、プレゼンテーションや交渉など、実践的で応用力を要する場面での成果は限定的であることが示唆される。

特に、個別の業務シナリオに即したトレーニングや、より踏み込んだアウトプット機会の設計が、今後の課題といえるだろう。

オンラインならではの良かった・困った点

自分のペースで学習できる点が最大のメリット

オンライン英語研修の良かった点について尋ねたところ、最も多かったのは「自分のペースで学習できること」で、全体の約6割がこれを挙げた。

続いて、対面よりも緊張せずに話せた、自宅や職場で気軽に受講できた、通勤や移動が不要で時間を有効に使えた、などの声が続いており、時間的な柔軟さや心理的な負担の少なさが高く評価されていることがわかる。

一方で、講師や他の受講者との円滑なコミュニケーションや、録画・チャットなどの機能面について言及する回答はごく少数に留まった。

こうした結果からは、オンラインならではの機能やインタラクティブ性が十分に活用されていない可能性もうかがえる。

約4割が通信環境のトラブルを経験

オンライン英語研修における課題として最も多く挙がったのは、通信環境の不安定さやシステムトラブルであり、全体の4割近くが何らかの影響を受けていた。

次いで多かったのは、モチベーションの維持が難しかったという点で、学習を継続するうえでの心理的なハードルが浮き彫りとなっている。

また、講師や他の受講者との距離感、質問や相談のしづらさなど、対面形式に比べたときのコミュニケーション面での課題も一定数見られた。

こうした結果からは、オンライン形式の利便性が広く認められる一方で、学習効果を最大化するためには、技術面の安定化に加え、継続を支える仕組みやコミュニケーションを促す支援体制の充実が欠かせないことが示されている。

課題と展望

本調査からは、オンライン英語研修が基礎的なスキルの習得には一定の効果を発揮している一方で、プレゼンや商談など、実践的な英語力の育成には限界があることが明らかとなった。

従来の集合型や対面型研修では、時間や場所の制約に加え、受講者のレベル差や継続の難しさといった課題があり、オンライン形式はその一部を解消したものの、画一的なカリキュラムやサポート不足といった新たな課題も見えてきた。

特に今回の調査では、「英語での商談やプレゼンができるようになった」と実感した人はわずか5.5%に留まり、より高度な業務スキルへの展開が難しい実情が浮き彫りとなった。学習が基礎スキル中心に偏っており、受講者自身の業務や目的に応じた応用的なトレーニングが不足していることがその背景にある。

こうした状況に対し、Talkfulはユーザーが自身の業務に即した会話シナリオを自由に設定し、AIとの対話を通じて反復練習ができる設計を提供している。学習の継続性と柔軟性を両立しながら、実務で通用する英語力を自らのペースで磨ける点は、従来の研修にはなかった価値だ。

英語力を“身につける”だけでなく、“使える”ようにするために、これからの研修はさらに個別最適化と実践力強化へと進化していく必要がある。

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