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子供への英語教育の意欲調査

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調査: スキルアップ研究所

グローバル化が進む中で、英語教育の重要性が高まっている。これに伴い、子供への英語教育にも熱が注がれているが、実際にはどの程度の熱心度があるのかについては、明らかになっていないのが実情である。

子供への英語教育に対する熱心度を調査することで、今後の英語教育の課題や展望を掴むことができるだろう。

そこで今回スキルアップ研究所では子供への英語教育の意欲調査を行なった。

子供への英語教育の意欲調査のポイント
  • 9割近くの保護者が英語教育を重要だと認識している
  • 英語教育実施者の85%の保護者が他の親にも勧めたい一方で「費用面の負担の大きさ」から勧めないと考える人も
  • 英語教育における経済的負担の大きさが露見

子供への英語教育の実施の有無で熱心度に顕著な差がある 

ご自身のお子さんに習い事としての英語教育を施している方を対象とした調査では、「非常に熱心である」19.0%、「やや熱心である」46.0%と、熱心である割合が合計で65.0%に上った。一方、英語教育を施していない方を対象とした調査では、「非常に熱心である」4.0%、「やや熱心である」13.0%と、熱心である割合は合わせて17.0%にとどまった。

当然の結果ではあるが、こうした英語教育の実施の有無で、熱心度に顕著な開きがあることが明らかになった。

英語教育の重要度の認識は高い

「英語教育は重要だと思いますか」という質問に対し、「はい」と回答した人は88.3%に上った。一方で「いいえ」は11.7%にとどまった。

このように、英語教育の実施の有無や熱心度に関わらず、英語教育の重要度は高く認識されていることがデータから読み取れる。英語教育自体の必要性については、大多数の人が強く実感しているといえるだろう。

子どもに英語教育を実施している人の満足度は高い

「習い事としての英語教育に対する満足度を教えてください」という質問に対し、「満足」と答えた人が33.0%、「どちらかといえば満足」が47.0%と、合わせて8割を超える人が満足していることが明らかになった。一方、「どちらかといえば不満」は3.0%にとどまった。

このデータから、子供に実際に英語教育を実施している人の間では、その効果に一定の手応えを感じており、そのために満足度が高いことがうかがえる。

85%の親が他の親にも英語教育を勧めたいと感じている

「実際に自分の子供を通わせた上で、他の子供を持つ親に習い事としての英語教育を勧めたいと思いますか」という質問に対しては、「はい」と回答した人が85.0%に上った。一方で「いいえ」は15.0%にとどまっている。

つまり、実際に子供に英語教育を実施した大多数の親が、その経験から英語教育の有効性を実感し、他の親にも同様に英語教育を勧めたいと考えていることがデータから読み取れる。

これは先の満足度の高さとも合わせ、子供への英語教育の効果が一定程度あると親たちが認識していることの裏付けになっているといえるだろう。

勧めたい最大の理由は「子供の英語の自然習得」

子供に英語教育を実施している人の中で、他の親にも英語教育を勧めたいと考えている85%の人に、その理由を尋ねたところ、最も多かった回答は「子供が英語を楽しみながら自然に習得できている様子を見て、習い事としての英語教育の効果を実感した」(54.9%)であった。

次いで「英語力がついたことで、子供の自信がついて積極性や探求心が育ってきた」(24.9%)、「異文化への理解が深まり、多様性を受け入れる寛容な態度が育まれた」(20.9%)といった回答が多数を占めた。

このように、子供が英語を自然に身につけられていること、それに伴う自信や積極性の育成、異文化理解や多様性の受容といった点が、英語教育を他の親に勧めたい主な理由として挙げられていることが分かる。単なる英語力の向上以外にも、様々な効果が実感されていることがうかがえる。

勧めたくない理由は「費用面の負担の大きさ」が最多

子供に英語教育を実施しているものの、他の親には英語教育を勧めたくないと考えている15人に、その理由を尋ねたところ、最も多かった回答は「費用面での負担が家計を圧迫した」の46.7%であった。

このデータから、英語教育を実施する上での最大の障壁は、費用面での負担の大きさにあると考えられる。

英語教育を実施している世帯はやや年収が高い傾向

世帯年収について調査したデータを見ると、子供に英語教育を実施している世帯とそうでない世帯の間で、世帯年収に顕著な差があることがわかる。

まず、英語教育を実施している世帯については、年収が400万円以上600万円未満の割合が35%と最も多く、中央値は500万円〜600万円程度と推測される。

一方、英語教育を実施していない世帯では、年収200万円以上400万円未満が20.5%と最多で、次いで400万円以上500万円未満の20.0%が続く。つまり中央値は200万円〜400万円程度と考えられる。

このように、子供に英語教育を行っている世帯はそうでない世帯に比べて、明らかに年収が高い傾向にあることがデータから読み取れる。英語教育を受けさせるには一定の経済的な裕福さが必要不可欠なことが要因として考えられるだろう。

月額負担額は1万円未満の家庭が多い

子供に英語教育を実施している世帯について、その月額負担額を見ると、1万円未満が55.0%と最も多数を占めていた。次いで1万円以上3万円未満が38.0%となっている。

一方で、3万円以上の高額な負担をしている世帯は合わせて7%程度にとどまっており、5万円以上は僅か2%にすぎない。

つまり、英語教育を実施する上での月額の実質的な負担額は、大半の世帯で3万円以下に収まっていることがわかる。中でも1万円を切る比較的低額な負担で済ませている世帯が半数以上を占めている。

しかし、月額1万円だとしても毎月払い続ければ負担は大きくなるため、経済的負担が障壁となってしまうのは避けられないだろう。

費用面での問題が英語教育未実施の最大の理由

英語教育を施したいと思っている人と施そうとは思わない人両方に「習い事としての英語教育を子供に施さない理由を教えてください」という質問をした。

まず、英語教育を施したいと考えている人に対する質問では、「費用面での負担が大きいから」が54.7%と最多の回答となった。そのほか「子供の興味や適性が不明確」(36.8%)、「適切なプログラムが見つからない」(28.2%)など、一定の割合の人が異なる理由も挙げているものの、圧倒的に費用面が妨げとなっていることがうかがえる。

さらに、英語教育を全く施す考えのない人に対する質問でも、「英語教育の費用が高く経済的負担が大きい」(20.2%)が最多の理由となっている。

つまり、英語教育は重要視されながらも、経済的な事情が英語教育の実施を大きく左右している現状がうかがえるのである。

費用面の解消で英語教育の拡大が見込まれる

「費用面での問題が解消されれば英語教育を施したいと思うか」という質問に対して、経済的な負担を理由に子供に英語教育を実施していない人のうち、87.5%が「費用面での問題が解決されれば英語教育を施したい」と回答していることがわかった。

つまり、英語教育への関心や熱意自体は高いものの、実際には家計への過度な負担を避けるために実施を控えざるを得ない層が多数存在することが明らかとなった。経済的な理由で熱意が現実化できていない、といった実態が浮き彫りになったといえるだろう。

一方で、経済的負担を理由に挙げた人の12.5%は費用面が解消されても英語教育を施す考えはないと答えている。この層については、費用以外の要因で英語教育への関心が低い、あるいは必要性を感じていないことが推測される。

しかしながら、全体として見れば、経済的な障壁が取り除かれれば、子供への英語教育の実施が大きく広がる可能性が高いことがデータから示唆されている。費用負担の軽減は、英語教育の更なる普及に大きく寄与することが期待される。

課題と展望

本調査から、子供への英語教育に対する熱意や重要性の認識は高いものの、最大の障壁が、経済的な負担への懸念にあることが調査から示された。

英語教育を実施している世帯は一定の年収水準を維持しており、英語教育には相応のコストがかかっていることがうかがえる。一方で、英語教育を施したいと考えながらも経済的理由で実現できていない層も多数存在することも分かった。経済状況次第では英語教育の機会が制限されかねない実態が浮き彫りになったといえよう。

しかし、グローバル化が進展する中で英語力の重要性は高まる一方である。英語教育の機会を経済状況で左右されるようでは、社会全体として大きな損失を被ることになりかねない。英語教育への熱意が実を結ばず、重大な人材育成の遅れを生む恐れさえある。

今後の英語教育の一層の普及に向けては、経済的な門戸を広げる施策が不可欠であろう。公的支援の拡充や優遇措置の導入、民間サービスの低価格化など、様々な角度からの取り組みが求められる。熱意と重要性が損なわれることのないよう、環境整備に注力すべき課題が残されているといえる。

調査概要

項目

詳細

調査名

子供への英語教育の意欲調査

対象者

お子さんをお持ちの20~50代の社会人

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年5月17日〜2024年5月24日

回答数

300
(お子さんに英語教育を施している方:100名、
 お子さんに英語教育を施していない方:200名)

調査結果の引用・転載について

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