リスキリング レポート

英語学習に関する実態調査

更新日:

調査: スキルアップ研究所

グローバル化の進展により、英語能力の重要性は日に日に高まっている。

中でも、仕事を行いながら今後必要になるスキルを習得する、リスキリングの一環として英語を学習する人は増加している。

しかし、英語学習においてつまずく理由や苦労など、実態面に即した学習者の声というものはなかなか見つけることができない。

そこでスキルアップ研究所では、英語学習者の声を調べるための実態調査を行なった。

「英語学習に関する実態調査」結果のポイント
  • つまずいた人は内発的動機づけの傾向がやや高い
  • 利用者の多い独学形式の勉強に対して効果がないと答える人が多数
  • 英語学習成功の鍵は実践機会の確保

英語学習でつまずいてしまった人は4割近い

自身の行なった英語学習に対しての考えを尋ねた質問では、取り組んだ人の63.6%が「うまくいった」「レベルが上がった」と回答した一方で、36.4%の人が「つまずいてしまった」「レベルが上がらなかった」と答えている。

4割近い人が英語学習でつまずいていたことが分かった。

「職業上の理由」と「個人的な趣味」で英語学習を始める人が多い

英語学習を始めた最大の理由については、「個人的な興味や趣味」と「職業上の理由で英語能力が必要だから」がともに19.1%で最も多かった。次いで「自己啓発や個人的な成長」(17.6%)、「海外旅行を楽しむため」(12.0%)が続いた。

特に「職業上の理由で英語能力が必要だから」と答えた人々の割合が高いことは、グローバル化が進む現代社会において、英語が重要な職業スキルとして認識されていることを示している。

また、個人的な興味や趣味として英語学習を選ぶ人々も少なくなく、言語学習が多様な動機に基づいて行われていることが伺える。

つまずいた人は内発的動機づけの傾向がやや高い

英語学習の目的に関して見てみると、英語学習がうまくいった人は外発的動機づけ(職業上の必要性など外部からの要因)が21.2%と最も高く、次いで個人的な興味や趣味が17.6%であった。

一方で、学習につまずいたグループでは「個人的な興味や趣味」が22.1%と顕著に高く、「自己啓発や個人的な成長」をあげる人が20.8%という結果で、内発的動機づけがの傾向が高いことがわかった。

このデータは、内発的動機づけが強い人々が、英語学習において困難を感じやすい可能性を示唆している。これは、内発的な動機が学習を持続させる原動力となる一方で、具体的な目標や成果が外発的な動機づけに比べて不明確であるため、進捗が見えにくく挫折しやすいことが原因の一つと考えられる。

うまく行った人は時間面での投資が多い

英語学習に費やした時間と費用の面から比較すると、時間的な投資については、「うまくいった」人の方が多くの時間を費やしていた。週に1〜5時間学習していた人は両者でほぼ同数だが、5時間以上学習していた人の割合は「うまくいった」人の方が高かった。

一方で、金銭的な投資額には大きな違いは見られず、大半の人が5万円未満の費用で済んでいた。

つまり、英語学習を「うまくいった」人は、費用面では差がなくとも、より多くの時間を確保し、着実に取り組んでいたことがうかがえる。時間を十分にかけられたかどうかが、英語学習の成否を分けた一つの要因と考えられる。

自習用の教科書やワークブックの利用、アプリを利用した学習をする人が最も多い

英語学習の手段としては、「アプリを利用した学習」が22.0%で最も多く、次いで「自習用の教科書やワークブック」が21.8%と続いた。

一方で「語学学校やクラスでの対面授業」は16.0%、「オンライン英会話レッスン」は15.8%となっており、一定の利用者はいながらも自己学習の割合の方が高いことがわかった。

他にも、「映画、テレビ番組、ポッドキャストなどのメディアを活用」した人も11.4%と一定数いた。自主的な学習が中心となる一方で、インプットの手段が多様化していることも分かる。

うまくいった人はオンライン英会話の利用が多い


英語学習に用いた手段についての質問では、英語学習でレベルが上がったと感じている人々の19.8%が「オンライン英会話レッスン」を主な学習手段として挙げている。これに対し、学習に失敗したと感じている人々の中で、「オンライン英会話」を利用していたのは8.8%に過ぎない。

一方、学習に失敗したと感じている人々は、主に「自習用の教科書」や「アプリ」を利用している割合が高い。具体的には、つまずいたグループの25.3%が自習用の教科書やワークブックを、28.7%がアプリを利用して学習しており、独学での学習が成功率に影響を与えている可能性を示している。

最も利用されている「自習用の教科書やワークブック」が効果がないと感じる人が最多

英語学習においてあまり効果が実感できなかった手段として、「自習用の教科書やワークブック」が21.3%と最多となった。つまり、最も多くの人が利用していた学習手段の一つが、逆に効果を感じられなかったということになる。

次いで「モバイルアプリを利用した学習」(16.1%)、「英語の歌詞や文学作品の読解」(13.3%)と続き、一方的な学習コンテンツの提供型の手段について効果を疑問視する声が多かった。

一方、「語学学校やクラスでの対面授業」(8.7%)、「オンライン英会話レッスン」(5.5%)、「英語話者との会話練習」(1.5%)など、実践的なコミュニケーション機会を伴う手段については、むしろ効果がなかったとの回答は少数にとどまった。

つまり、一方向的なインプット学習ではなく、能動的に英語を使う環境が英語能力の向上においては重要であることが窺える。

「英語話者との会話練習」を最も効果的な学習手段だと考えている人が最多

英語学習において最も効果的だと感じた手段については、「英語話者との会話練習」が24.9%で最多となった。次いで「語学学校やクラスでの対面授業」(15.7%)、「自習用の教科書やワークブック」(14.2%)、「オンライン英会話レッスン」と「モバイルアプリを利用した学習」(ともに13.2%)が続いた。

この結果から、実際の英語運用能力の向上には、教材を活用した自習だけでなく、英語話者とのコミュニケーション機会、つまり対人的な実践の場が不可欠とされていることがうかがえ、教室やオンラインでの会話練習の重要性が裏付けられている。

一方で教材やアプリなどの自習ツールの活用も併せて効果的とされており、適切な学習手段を組み合わせることが肝要であることも分かる。

学習スケジュールを守って行う事が英語学習の成功の元

英語学習がうまくいった理由として、最も多かったのは「定期的かつ一貫した学習スケジュールを守った」で14.7%を占めた。次いで「明確な学習目標を設定し、それに向かって努力した」(12.9%)、「学習に対する情熱と興味を持続させた」(11.5%)、「実践的な会話やリスニングの機会が豊富だった」(10.9%)と続いた。

この結果から、英語学習の成功には、スケジュール管理や目標設定、モチベーション維持など、一般的な学習における重要事項が大きく影響していることがうかがえる。

教材の質や指導の良さといった外的要因よりも、計画的な取り組みと持続的な熱意が特に重要視されていることが分かる。加えて、会話やリスニングなど実践の機会を確保することも、効果的な英語運用能力の向上には欠かせないポイントであることが示された。

長期の学習継続にはモチベーションの維持が大きな課題

英語学習がうまくいかなかった最大の理由は「モチベーションが維持できなかった」で48.4%を占めた。次いで「実際に英語を使う機会が少なかった」(35.2%)、「効果的な学習方法が見つからなかった」(33.0%)、「学習時間を確保できなかった」(31.9%)と続いた。

この結果から、長期的な英語学習を続けるうえで、モチベーションの維持が最大の課題であることがうかがえる。一時的な熱意はあっても、それを持続させることが難しかったことが窺える。加えて、会話の機会が少なく実践的な運用力を身につけにくかったことも、つまずきの大きな要因となっていた。

適切な学習方法や時間の確保、基礎力の充実など、学習そのものに関する課題も一定数挙げられているが、根本的な原因は、モチベーションと実践の2点に集約されていると考えられる。

英会話スキルの習得に困難を感じる人が半分ほど


語学習において最も困難を感じたことは、「スピーキングスキル」が28.6%で最多だった。次いで「リスニングスキル」が25.2%と続き、会話でのスキルで半数以上の人が苦労していたことがわかる。

一方、「文法の理解」と「語彙の拡張」はそれぞれ13.4%、「発音の習得」が9.8%、「ライティングスキル」が5.6%と、これらの基礎的な言語知識や技能面での困難度は相対的に低かった。

つまり、英語学習者が最も障壁を感じているのは、実践的な会話力、特に言語運用能力の獲得である。文法や語彙などの知識面より、それらを実際のコミュニケーションで活用する力を身につけることの難しさが改めて示された。

英語上達のカギは"実践の場"?

本調査結果から、英語学習を効果的に進めるための最大の要件は、「より多くの英語実践の機会」(29.9%)と「定期的なフィードバックと指導を受ける機会」(14.1%)であることが明らかになった。

英語力の向上には、単に学習時間を確保するだけでなく、実際に言語を運用する実践の場が欠かせないことがうかがえる。教室や会話の機会などの実践的な環境を提供することが何より重要視されている。さらに、適切な指導を受け、自身の課題を確認しながら学習を進められる体制が求められていることも注目に値する。

金銭的な余裕や学習グループ、モチベーション維持支援なども一定数挙げられているが、根本には「実践」と「フィードバック」への強いニーズがあると考えられる。

つまり、単なる一方向の知識注入型学習ではなく、実際のコミュニケーション練習と個別最適化された指導を組み合わせた、双方向の学習環境が英語上達への鍵を握っているということができるだろう。

総括

英語学習をうまくやり遂げた人、つまずいてしまった人の両者の比較を通して英語学習を実りあるものにするためには、実践的な言語運用の機会を確保することが何より大切であることが考察できる。

単に知識を暗記するだけでは不十分で、コミュニケーション練習を通じて言語を身につけていくことで、本当の意味でリスキリングの意味を為す英語能力を身につけることができる。

また、長期的な視点に立ち、計画的に学習に取り組むことも重要な要素となる。うまくいった学習者に共通していたのは、定期的なスケジュールを立て、着実に学習時間を確保していたことである。

さらに、学習を効果的に進めるには、第三者からの適切な指導やフィードバックを受けられる環境が欠かせない。一方通行の学習では限界があり、自身の課題を的確に把握し、個別最適化された指導を受けながら学習を調整していくことが大切である。

つまり、実践の場の確保、計画的な取り組み、双方向の学習環境を組み合わせることが、英語学習を実りあるものにする秘訣となるのだ。

調査概要

項目

詳細

調査名

英語学習に関する実態調査

対象者

20代以上の方で、自発的に英語学習を実際に行った人・行っている人(学校の英語の授業は除く)

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年5月11日〜2024年5月18日

回答数

500

調査結果の引用・転載について

本レポートの著作権は、株式会社ベンドが保有します。 引用・転載される際は、必ず「スキルアップ研究所調べ」のような形で出典を明記し、本記事のリンクを付してください。 引用・転載されたことにより利用者または第三者に損害その他トラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いません。