教育やスポーツ指導の新たな常識へ|日本メンタルトレーナー協会 浮世氏に聞く
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今回はメンタルトレーニング検定を運営する日本メンタルトレーナー協会理事の浮世様にインタビューをさせていただきました。
メンタルトレーニング検定 創設の背景と目的
本日はお忙しい中、取材のお時間をいただき誠にありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします。

日本メンタルトレーナー協会理事の浮世です。
よろしくお願いいたします。
まず初めに、簡単に浮世様の自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか?

メンタルトレーニングについてはアメリカで長く学び、高名なジム・レーヤー博士に師事しました。
ニューヨークのトレーナーたちと意見交換をしながら、これまで多くのトップアスリートのメンタルトレーニングなどを30年以上に渡って担当しました。
現在は、日本メンタルトレーナー協会の理事を務めております。
メンタルトレーニング検定が説立された背景について教えていただきたいです。

メンタルトレーニングは近年まで馴染みのない概念でした。
ただ、現在ではオリンピックのアスリートがカウンセリングを利用したり、心理学を勉強するなど、実践的な結果につながるものとして認識されています。
当協会では、アスリートの目標設定やその達成に寄り添える人がメンタルトレーナーだと考え、そこに一定の基準を設けるために、メンタルトレーナー検定を設立しました。
スポーツ心理学のような学術的なものと比較して、現場の指導で使える資格となっており、そういった資格の中では入口となる検定だと言えます。
メンタルトレーニング検定の特徴
メンタルトレーニング検定を通して、具体的にどのようなことを学ぶことができるのでしょうか?

メンタルトレーニング検定では、複数のプログラムを用意しています。
目標を設定し伴走するコーチング、目標達成に精神面のサポートをするカウンセリングなどの技能を身につけることができます。
感情のコントロールやトラウマケアなど、傾聴を含めた寄り添いによって効果的に目標達成を手助けできるのがメンタルトレーナーです。
また、コーチング、カウンセリングに並ぶ重要な要素として脳科学的アプローチがあります。脳科学に基づいて専門的な知識をつけることで、一人ひとりに合わせたオリジナルのプログラムを作ることができるようになります。
これら三つの側面をバランスよく学べるのがメンタルトレーニング検定のメリットだと思います。
メンタルトレーニング検定の主なターゲットや受験者層について教えてください。

メンタルトレーニング検定は、メンタルトレーニングにおける入口となる資格だと思っております。
実際、プロスポーツ選手のコーチ、自身でスポーツをされている方、教育現場の先生など、幅広い方に受検いただいているのが現状です。
自分でスポーツをされている方は、その知識を活かして実際に記録を伸ばすなど活躍されています。
また教育者の方は、難関校受験をする受験生の指導や通信制高校などでの伴走に役立てている方が多いです。
メンタルトレーニング検定のメリットとは
メンタルトレーニング検定を取得することによってどんなメリットが得られるとお考えでしょうか?

当協会としては、特に教員やボディトレーナー、スポーツコーチといった方にとってメリットが大きいと思っています。
現在、例えばアメリカではコーチングにおいてメンタルトレーニングの勉強が指導要綱に入っているくらい、メンタルトレーニングは学ぶのが当たり前になりつつあります。
またスポーツでは根性論ではなく、正しく選手のモチベーションをあげ、成果を出すことが必要になります。
さらに言えば、自身で運動する際にも最終的にはメンタルが重要となってくるため、現代ではもはやメンタルトレーニングは必須とも言えます。
最後に差がつくのはメンタル面だということですね。

はい。
例えばオリンピック競技の記録は基本的に人間の限界に到達していますが、それでも毎回新記録が更新されるのは、脳の使い方やメンタル面での進歩によるものだと言えます。
全ての競技において、技術やコンディションを下支えするのがメンタルトレーニングだと考えています。
メンタルトレーニング検定とリスキリングの関係性
メンタルトレーニング検定は、社会人のリスキリングとどのように繋がってくるとお考えですか?

メンタルトレーニング検定は実践的に使えることが強みの検定です。
そのため、メンタルトレーニングの知識を使うことで、今までの人生で学んだことを活かすことができるようになると考えています。
指導で失敗した経験や感情コントロールがうまく行かなかった経験を、資格の勉強を通じて実践的な形で活用することができるようになります。
リスキリングを、0から始める学び直しではなく、今までの経験を新たな枠組みを通じてパフォーマンス向上に役立てるものだと考えれば、メンタルトレーニング検定は非常に有効なリスキリングだと考えています。
今後のメンタルトレーニング検定の展望は?
今後のメンタルトレーニング検定の展望について教えてください。

当協会としては、トップやアマチュアのアスリート、社会人から子供まで多くの人がメンタルトレーニングを受けられる環境作りを目指しています。
スポーツや教育分野でのパワハラや暴力が減り、メンタルトレーニングに置き換わっていく未来を思い描いて、学習・スポーツ分野での「当たり前」にしていければと思っています。
私もスポーツや教育の業界がより良い方向に向かっていくことを祈念しております。本日は貴重なお話をありがとうございました。