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仕事におけるAIの活用に関する実態調査

更新日:

調査: スキルアップ研究所

近年のAIの発展に伴い、一般業務においてもAIの利活用が進み、AIに取って代わられるのではなく、AIの力を最大限活用する人材になることが求められる時代になったと言える。

AIがツールとしてより多くの人に利用可能となり、人間の一部の能力をも上回るようになった現代において、どのような形でAIは利用されているのだろうか。

今回スキルアップ研究所では、仕事でのAIの活用やAI活用に関する学習について、社会人を対象に調査を行った。

「仕事におけるAIの活用に関する実態調査」結果のポイント
  • 業務でAIを十分活用している人は約4分の1
  • 仕事でのAI活用を学んでいる人は全体の半数以下
  • AI活用について「学び方が分からない」が35%

【調査概要】

項目

詳細

調査名

仕事におけるAIの活用に関する実態調査

対象者

20代以上の社会人

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2025年1月18日〜2025年1月25日

回答数

300

業務でAIを活用しているのは4人に1人、全く活用していない人が半分近く

「業務においてAIを活用していますか?」という質問に対し、「頻繁に活用している」と回答した人は5%、「活用している」と回答した人は19%で、業務におけるAIの活用はまだ浸透していないことが明らかになった。

一方、同質問に対して「全く活用していない」と回答した人は44%と、半数近くの人が全く活用していないという現実が明らかになった。

AIを活用している人も使い方は限定的

「AIの活用方法を教えてください」という質問に、「日常的な業務で常に使っている」と回答した人は18%だったのに対し、「特定の業務や場面で使っている」と回答した人は32%、「自分では手間がかかる作業を効率化するために使っている」と回答した人は23%、「必要なときだけ限定的に使っている」と回答した人が14%であった。

こうした結果から、仕事におけるAIの活用は全般的ではなく、限定的な使用が多いことがわかった。

AIを使っている人の7割近くが活用できていると実感

業務においてAIを活用している人を対象に「AIを十分に活用できていると感じていますか?」と尋ねたところ、「十分に活用できている」とした人が7%、「どちらかと言えば十分に活用できている」とした人が60%であった。

活用している人のうち、過半数が活用できている実感を持てていることが明らかになった。

AIを活用していない人のうち、33%が始め方が分からない

業務においてAIを活用していない人を対象に、業務におけるAIの活用状況について尋ねたところ、「必要だと思っているものの、使い始め方が分からない」と回答した人が33%、「必要だと思い始めたものの、十分に活用できない」と回答した人が14%と、使い方よりも始め方で悩んでいる人が多いことが明らかになった。

また、「必要だとは思っていない」と回答した人が約3割いたことから、職種や業務内容によってはAI活用が必要ないと感じる人もいることも判明した。

仕事でのAIの活用について学んでいない人が半数以上

仕事においてAIを活用するための学習について尋ねたところ、「学んでいない」と回答した人が55%と、半数以上の人はAIの活用について学ぶ機会を持っていないことが明らかになった。

また、「実践を通して独学で学んでいる」と回答した人が18%と、学んでいる人の中では独学が手法として最も多かった。

さらに、塾や本などにお金をかけて自らAI活用を学んでいる人は合わせて5%程度の少数であることが判明した。

AI活用に関する学習の満足度は高くない

「仕事におけるAI活用の学習で学ぶ内容について、どの程度満足していますか?」という質問に対し、「学ぶ内容に満足している」「どちらかと言えば満足している」と回答した人は合わせて54%と、学んでいる内容に満足している人は約半数にとどまっていることが明らかになった。

また、「塾などのコミュニティ」「無料のオンラインツール」「本」のそれぞれの学び方についての満足度はいずれも60〜70%と大差はなかった。

AI活用を独学で学んでいる人のうち、何をすべきか分からない人が約4割

AIの活用を独学で学んでいる人に「AI活用に関する学習について当てはまるものを選んでください」と尋ねたところ、「現状を変える必要性は感じているがどうすれば良いのか見当がつかない」と回答した人が最も多く、43%がこれに該当した。

また、「何らかのツールを使って学びたいと思っているものの、始め方が分からない」と回答した人が17%おり、独学以上の学習については何から始めれば良いか悩んでいる人が多いと考えられる。

AI活用について学んでいない人のうち35%が「学び方が分からない」

AIの活用について「学んでいない」と回答した人に「その理由を教えてください」と尋ねたところ、「学び方が分からない」と回答した人が35%と最も多かった。ついで、「必要性を感じない」と回答した人が34%、「時間がない」と回答した人が11%だった。

このように、やはり課題はAI学習の「始め方」であることが分かった。

約8割の人が同僚の方が自分よりもAIを活用していると実感

「仕事におけるAIの活用について、同僚と比較して自分をどのように評価しますか?」という質問に対し、22%が「同僚よりも使いこなしている」、78%が「同僚の方が自分よりも使いこなしている」と回答した。

約8割と非常に多くの人が、同僚と比較して自分のAI活用を低く評価していることが分かった。

AI活用への焦りを感じている人は少ない

AI活用に関する自己評価について、「同僚の方が使いこなしている」と回答した人に対し、「AI活用に関して焦りはありますか?」と質問したところ、「あまり焦っていない」「全く焦っていない」と回答した人が合わせて63%と、活用に関して焦りを感じている人は多くはないことが分かった。

仕事でのAIの活用について好意的な人が約6割

「業務におけるAIの活用について好みを教えてください」という形でAI活用に好意的かどうかを尋ねたところ、「AI活用は好き」と回答した人は11%、「AI活用はどちらかと言えば好き」と回答した人は52%であった。

AI活用に対して好意的なイメージを持っている人が6割以上いることが明らかになった。

AI活用に好意的な理由は「業務の効率化」

AI活用について「好き」「どちらかと言えば好き」と回答した人を対象にその理由を尋ねたところ、62%が「業務が効率化されるから」と回答し最も多かった。

このように、AI活用の利点として多くの人が業務効率化を感じていることが明らかになった。

AI活用について否定的な理由の1/4が信頼性の低さ

一方、AI活用について「嫌い」「どちらかと言えば嫌い」と回答した人を対象にその理由を尋ねたところ、「結果に信頼性がないと感じるから」と回答した人が27%と最も多く、ついで「使い方が難しいから」と回答した人が19%で2番目に多かった。

また、「人間的な判断が必要だと感じるから」と回答した人は15%で3番目に多かった。

このように、AI活用に対して否定的な感情を抱いている人は、AIの信頼性を疑っている人またはAIを活用することが難しいと感じている人だと言える。

同僚よりも使いこなしていると感じている人の方がAI活用に好意的

AI活用の自己評価について、「同僚よりも使いこなしている」と自己評価をしている人のうち、「AI活用は好き」「AI活用はどちらかと言えば好き」と回答した人は合わせて89%とかなり多かった。

一方、「同僚の方が自分よりも使いこなしている」と自己評価をした人のうちでは55%にとどまった。

この結果から、AIの利用を普及させるためには、AI利用への苦手意識や他人と比較した劣等感をなくすために教育制度を整えるなどの施策が必要だと言える。

使われているAIツールではChatGPTが圧倒的に多い

「仕事において使用しているAIツールを教えてください」という質問では、「使用していない」を除いた回答のうち67%が「ChatGPT」と、圧倒的に多かった。また、回答者全体の41%がChatGPTを利用していることが判明した。

次いで、Geminiを利用している人は全体の13%、AI利用者における割合では22%と多かった。

以上の結果から、利用されているAIの約9割がChatGPTまたはGeminiであることが分かった。

AIツールに課金している人はAI利用者の10%

上記のAIツールについて、「課金しているものはありますか?」という質問について、「はい」と回答した人は300人中17人と、6%しかいないことが明らかになった。

AIを何らかの形で利用している人が169人であることを考慮すると、AI利用者でも課金している割合は約10%にとどまっていることが分かった。

総括

今回の調査で、AIを仕事において活用している人は回答者の56%、中でも頻繁に活用している人は5%と、業務におけるAIの活用はまだ一般的になってはいないことが判明した。

AIを活用していない人の中には「始め方」が分からない人が多く、AI活用について学んでいない人の中には「学び始め方」が分からない人が多いことから、AI活用の浸透のためには、AI学習や利用へのアクセスをより簡単にすることが求められる。

またAI活用には好意的な人が多く、その理由は主に業務の効率化であったことから、現在はAIを十分活用できていない層にもAIによる業務効率化のニーズや、AI利活用の余地はあることが指摘できる。

今後、ますますAIの利活用が進み効率化していくことが予測される現代社会において、AIを仕事で活用する必要性はさらに高まると考えられる。そうした現状を受けて、AI利活用に関する教育制度などを社会人相手に向けても整えていく必要がある。

また、AI活用の学習者の間では学習方法に関らず満足度はほぼ同様であった。今後の調査では、どのようなAI学習方法が求められているのか、さらに限られた時間の中でどのようにAI学習を普及するのかが課題となる。

調査結果の引用・転載について

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