グローバル化に伴いビジネスで英語を使う機会は増えており、社会人でビジネス英語を学び始める人もいる。
しかし、社会人がビジネス英語を学ぶ際に必要な費用や時間の実態は明らかではない。また、ビジネス英語学習がもたらす具体的な効果も不明である。
そこで、ビジネス英語の学習方法や費用、時間に関する調査を行い、ビジネス英語学習がキャリアにおいてどのような効果をもたらすのかを検証した。
- ビジネス英語学習経験者は1割程度
- ビジネス英語学習による効果を6割が実感
- ビジネス英語習得はキャリアアップや人脈作りにつながる
【調査概要】
項目 | 詳細 |
調査名 | 【2025年版】ビジネス英語に関する実態調査 |
対象者 | 20〜50代の働いている社会人 |
対象地域 | 全国 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2025年5月9日~5月16日 |
回答数 | 500 |
約9割の人がビジネス英語を学んだことがない
「ビジネス英語を学んだ経験がありますか?」という質問に対し、90.4%の人が「いいえ」と回答した。
社会人の大半がビジネス英語を学習していないことから、ビジネス英語の学習はまだまだ普及していないと言える。
約45%の人が職場でビジネス英語を使う機会がある
社会人の大半がビジネス英語を学習していない一方で、45.2%の人は職場でビジネス英語を使う機会があると回答している。
さらに、ビジネス英語を「毎日使う」「1週間に数回使う」「1か月に数回使う」と回答した人は全体の21.0%であることから、比較的高頻度で英語を使用する機会がある社会人も少なくないことが分かる。
これらのことから、職場におけるビジネス英語の需要は高いにも関わらず、継続的な学習によるブラッシュアップを断念している社会人が多いということが言える。
時間とコストを理由にビジネス英語学習を断念する人は多い
ビジネス英語を学んだ経験がない人にその理由を尋ねたところ、13.4%の人が「学習時間が確保できないから」と答え、18.8%の人が「学習コストが高いと感じるから」と答えた。
したがって、ビジネス英語を学んだ経験がない人のうちの32.2%は学習に費やす時間とコストを確保し難いと感じていることが分かる。
このことから、多くの時間とコストを費やさなければならないという認識が、ビジネス英語の学習率を低下させる主要な要因となっていることが推測できる。
ビジネス英語学習に膨大な時間とコストはかからない
ビジネス英語の学習経験がある人とない人のアンケート結果の比較によると、ビジネス英語の学習には予想されているほど多くの時間とコストは必要ではないことが判明した。
ビジネス英語に費やす勉強時間は1日2時間未満で十分である
「ビジネス英語の学習に1日平均何時間費やしていましたか?」という質問に対し、ビジネス英語を学んだ経験がない人の回答は「1時間以上2時間未満」「2時間以上3時間未満」に集中している。また、1日に3時間以上の学習時間が必要であると考える人も何人か存在する。
一方で、ビジネス英語を学んだことがある人の多くは「1時間未満」または「1時間以上2時間未満」を勉強に費やしていた。
このことから、ビジネス英語を学んだことがない人は1日に多くの学習時間を確保しなければならないと想定しているが、実際には1日30分〜2時間程度勉強すれば十分であることが言える。
さらに、ビジネス英語を学んだことがある人に学習方法を尋ねたところ、全体のうち37.5%は参考書を用いて勉強していることが判明した。
参考書を利用すれば、休憩時間や移動時間などの隙間時間に勉強ができるため、多忙な社会人でも比較的短時間でビジネス英語の学習が可能であることが言える。
ビジネス英語は年間10万円未満の出費で学べる
「ビジネス英語を学ぶのに1年でいくらかかりましたか?」という質問に対し、ビジネス英語を学んだ経験がない人から最も多く得られた回答は「20万円以上40万円未満」であった。この結果から、学習に対して高額な費用を想定している傾向がうかがえる。
一方で、ビジネス英語を学んだことがある人から最も多く得られた回答は「1万円以上10万円未満」であった。
したがって、実際の学習費用は想定される費用よりも抑えられる場合が多いか、あるいはリーズナブルな方法で学習を進めている人が多いことが指摘できる。
また、実際の英語学習にかかる費用は案外低額であるという事実が普及すれば、ビジネス英語を学ぶ人が増える可能性がある。
ビジネス英語学習は効果がある
ビジネス英語は短時間かつ低コストで学習可能であることは分かったが、実際に効果はあるのだろうか。また、具体的にどのような分野で効果が発揮されるのだろうか。
約6割のビジネス英語学習者が効果を実感している
ビジネス英語を学んだ人のうち、約6割が何らかの効果を実感している。
特に「キャリアアップにつながった」(29.2%)や「ビジネスでの人脈が広がった」(20.8%)という回答が多く、就職・転職や海外での仕事の増加も一定の割合を占めている。
一方で、39.6%は「特になし」と答えており、効果を感じにくいケースも存在する。
全体として、ビジネス英語の習得はキャリア形成や人脈拡大に役立つことが多いと考えられる。
年収アップにはつながりにくい
ビジネス英語を学んだ経験がない人のうち、57.2%はビジネス英語学習による年収アップを想定している。
しかし、実際にビジネス英語を学んだことがある人の半数以上が年収が増加しなかったと回答した。また、年収の増加は50万円未満にとどまるケースが多く、高額な年収アップはまれである。
また、前回調査(2024年)では50.7%が年収の増加を経験していた一方、最新の調査では37.0%と減少している。そのため、ビジネス英語の習得によって年収上の優遇を受けることは今後難しくなっていくと考えられる。
この結果から、ビジネス英語を学ぶことが必ずしも年収アップに直結するわけではなく、期待と実態にはギャップがあると考えられる。また、ビジネス英語学習を勧める理由として年収アップを提示することは難しいことが分かる。
課題と展望
約9割の社会人はビジネス英語を学んだ経験がなく、その主な理由として十分な時間やコストが確保できないことが挙げられた。一方で、英語学習によって多少の年収アップを見込んでいる人は6割近く存在する。
実際、ビジネス英語は1日平均2時間未満の時間と年間10万円未満のコストを費やすことで十分に学習可能であることが分かった。また、ビジネス英語を学習しても年収は変化しづらい傾向はあるが、キャリアアップや職場での人脈作りにつながるという効果は期待できる。
今後はグローバル化の影響で英語を使う機会がより増えていくだろう。そこで、ビジネス英語の学習は比較的短時間・低コストで始められることや、キャリアアップや人脈作りにつながるということがもっと広まれば、ビジネス英語を学ぶ人は増加するのではないかと考えられる。
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