リスキリング レポート

英会話アプリの利用者傾向および使用体験に関する実態調査

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調査: スキルアップ研究所

近年、グローバル化が加速する中で、英語力の重要性がますます高まっている。

そのような背景の中、場所や時間を選ばず学習できる「AI英会話アプリ」が注目されている。これらのアプリは、AIを活用して個々の学習者に適したレッスンを提供し、手軽にスピーキングやリスニングスキルを向上させることを目指している。

スキルアップ研究所では、AI英会話アプリの利用実態に迫るべく、幅広いユーザーを対象に調査を実施した。その結果から見えてきた、ユーザーの特徴やアプリの魅力について詳しく解説していく。

AI英会話アプリ実態調査のポイント
  • 昼間は忙しく、夜に学習したい人におすすめ
  • 半数以上が英会話アプリによる成果を1~3か月で実感
  • 英会話アプリは多様な学習目的に対応している

【調査概要】

項目

詳細

調査名

英会話アプリの利用者傾向および使用体験に関する実態調査

対象者

英会話アプリを使った経験のある人

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2025年1月4日〜2025年1月11日

回答数

200

【回答者年代・性別構成】

本アンケートでは、男女比は4対6で女性が多く、利用者の年齢層では30代と40代が最も多かった。

英会話アプリ利用者の傾向

利用者の英会話に対する予算は月1,000円以下~3,000円が80%以上

英会話アプリ利用者が1か月に英会話にかける予算を尋ねたところ、「1,000円以下」と回答した層が全体の半分近くを占めた。また、75%以上が3,000円以下を選択した。

英会話アプリの平均価格が月2,000〜3,000円であることを踏まえると、多くの人の予算に適合しているといえる。

英会話アプリの利用目的は旅行・基礎固めが約半数

英会話アプリ利用者の目標を尋ねたところ、回答が分散した。最多となったのは「旅行の時に話せるようになりたい」で、全体の27.0%が回答したが、「基礎を学びたい」「仕事で使う英語を学びたい」などにも回答が集まった。

利用者によって英会話アプリ利用の目的は異なるが、裏を返せば、英会話アプリの提供するカリキュラムが「旅行で使う英語」「仕事で必要な英語」「基礎的な英語力の向上」など、多様な目的に対応しているといえる。

英会話アプリ利用者がアプリを選ぶ基準は価格と難易度

利用者が英会話アプリを選ぶ基準については、「価格が予算に合っている」「自分の英語のレベルに合っている」がそれぞれ全体の6割超に選ばれる結果となった。

英会話アプリの利用時間帯の傾向

寝る前に使う人が約4割

英会話アプリの利用のタイミングについては、「寝る前」や「家事の合間」、「何かをしながら」といったさまざまな場面で活用する人が多かった。英会話アプリならではの利便性を活かしている利用者が多いことが見てとれる。

このことからも、英会話アプリはまとまった時間を取るのが難しい人や忙しい人など、利便性を求める利用者層に適しているといえる。

利用者がアプリを利用する時間帯は20時~23時が半数以上

英会話アプリの利用時間帯を尋ねたところ、夜20時〜23時に利用する人が多いことがわかった。

仕事や家事、子育てで昼間にまとまった時間が取れず、英語を勉強するならこの時間帯になるという人は多いだろう。しかし、夜は対面の英会話教室が営業していない。こうした観点で、時間に拘束されずに利用できる点は、英会話アプリの大きな魅力といえる。

英会話アプリのメリットは圧倒的な利便性のよさ

英会話アプリ利用のメリットを複数選択で尋ねたところ、回答数が計470件となったことから平均で1人あたり2つ以上のメリットを選択したことになる。

総じて英会話アプリには多くのメリットがあることがうかがえる。また、回答が比較的分散しており、利用者の大半が多角的なメリットを感じられるものと推察される。

英会話アプリの成果を実感している人は半数以上

英会話アプリの成果を実感するかについて尋ねたところ、「はい」と回答したのは全体の約55%となり、人によって使用体験に差があることがうかがえる結果となった。

利用するアプリにも利用体験は大きく依存するだろうが、他に成果を実感するか否かの差となる要因があるのか、後ほど広く考察する。

ほとんどが1ヶ月〜半年でアプリの効果を実感

成長を実感した人のうち、約90%が半年以内に成果を実感したと回答した。また、1か月以内に効果を実感した人が20%以上、3ヶ月以内に効果を実感した人が半数以上にのぼる。

このことから、忙しい人でも一度試してみる価値があるといえる。また、成果の実感をなかなか得られないという人は、取り組むカリキュラムの見直しやアプリの変更を検討してみても良いだろう。

多くの人が具体的な成果を実感

成果を実感した人に具体的な数値を尋ねたところ、TOEICのスコアが0〜100点伸びたと回答した人が全体の40%となった。

多くの人が目に見える形で成果を実感していることがわかる。

初心者ほど成果を実感しやすい

成果を実感した人に、英会話アプリの利用前後の自身の英語力を「ほとんど何もわからない」〜「ネイティブレベル」の6段階(画像下部参照)で評価してもらった。

画像は、英会話アプリ利用前の能力ごとに、利用者が英会話アプリ利用後に達したレベルとその割合を示している。

日常会話以上をマスターしている層では、利用前後で同一レベルの成長に留まった人も多く見受けられる。他方、「ほとんど何もわからない→簡単な日常会話ならできる」や「簡単な日常会話ならできる→日常会話は問題ない」の間で成長している層は多くみられた。このことから、初心者ほど大幅な成長を実感しやすいといえるだろう。

英会話アプリの成果実感の鍵

継続しやすい=成果が出やすいではない

アプリの成果の実感率をアプリの選択基準別に見たところ、実感率にばらつきが出た。

全体の成果実感率は約54%であったが、一般的に重要視されがちである「継続しやすさ」を基準にした人たちは成果実感率が50%を下回った。また、多くの回答が集まった「予算」「レベル感」に関しても、顕著に成果実感率が上がるわけではないようだ。

夜に勉強する人のほうが成果を実感する傾向にある

朝に勉強することは効率的であると言われることが多いが、今回の調査では朝に利用している人の半数以上が効果を実感していなかった。一方で、夕方以降に利用している人は比較的成果を実感している割合が高い結果となった。

学習時間帯による成果の違いがある可能性も考えられるが、無理をせず、自分の生活リズムの中で取り組みやすい時間を模索していくことも重要である。

利用者目線で英会話アプリを勧めたい人の特徴

英会話アプリは忙しい人に特におすすめ

利用者層の特徴からも、忙しくてまとまった時間を確保できない人に適しているといえるが、実際に利用しているユーザーも「忙しい」「面倒くさがり」といった人に英会話アプリの利用を勧めたいと感じるようだ。

また、3割以上が「自主的」を選択しており、利用する中で自らを律してアプリを利用し続ける必要性を実感していることがうかがえる。

英会話アプリは4技能のうちリスニングが苦手な人におすすめ

4技能のうち、リスニングとスピーキングが苦手な人に特におすすめだと回答した人が多かった。一方で、リーディングやライティングが苦手な人にもおすすめだという意見も一定数見られた。

このことから、英会話アプリはスピーキング・リスニングの技能向上を通して4技能全般の向上に寄与するツールであるといえるだろう。

課題と展望

英会話アプリは、国際化が進む中で日常生活やビジネスにおいて英語を必要とする多くの人々にとって、時間や場所を選ばず学べる効率的なツールとして注目されている。

アプリの選択においては、自身の予算や英語レベルに合っているかが重視される傾向にある。しかし成果を実感するかどうかは、総じて人によって差があるようだ。具体的なゴールの設定や習慣化といった自主的な取り組みが成果を左右するだろう。

英会話アプリは、時間を問わず利用できる利便性が魅力であり、実際に多くの利用者が一般的な英会話教室が開講していないであろう夜の時間帯にアプリを利用していた。このように、英会話アプリは多様な利用目的やスタイルに対応している点が多くの人を惹きつけているといえる。

英会話アプリは、より多くの人に成果を実感してもらえるよう進歩が求められるだろう。近年ではAIを使ってカリキュラムをユーザーに最適化できるものも出てきている。今後、その利便性を武器に、英会話アプリはさらに普及していくと見込まれる。

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