情報処理技術者試験の役割とリスキリングの必要性

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今回は独立行政法人情報処理推進機構において、デジタル人材センターの安藤様と角田様にインタビューをさせていただきました。

情報処理推進機構の設立背景と試験の歴史

スキルアップ研究所
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本日はお忙しい中、取材のお時間をいただき誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

安藤様
安藤様

独立行政法人情報処理推進機構、人材スキルアセスメント部の安藤です。
よろしくお願いします。

スキルアップ研究所
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まず最初に、情報処理推進機構の設立背景とどのような活動を行っているかについてお話いただけますでしょうか?

安藤様
安藤様

1970年に情報処理技術の振興と普及を目的として、前身となる認可法人情報処理振興事業協会が設立されました。

その後、2004年に独立行政法人化し現在の情報処理推進機構に至ります。

現在は第五期中期計画(2023年4月からの5年間)として、サイバーセキュリティーの確保、デジタル人材の育成、デジタル基盤の提供に取り組んでいます。

スキルアップ研究所
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情報という言葉を聞くと最近なイメージもありますが、今から50年以上前から存在したのですね。

次に情報処理技術者試験やITパスポート試験の歴史についてもお聞きしたいです。

安藤様
安藤様

情報処理技術者試験の歴史は古く1969年に遡ります。情報処理技術者の不足やプログラマ認定制度創設の要望に応えるべく、試験制度がスタートしました。

その後も、IT技術の進化やビジネス環境の変化などに合わせて試験制度を見直してきており、2009年には、新たな試験区分としてITパスポート試験が導入されるなどして現在の試験制度に至ります。

なお、情報処理技術者試験は総称であり、対象となる知識・技能により、複数の試験区分があります。ITパスポート試験はそのうち一つとなります。

ITパスポート試験など情報処理技術者試験の特徴

スキルアップ研究所
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次に試験の特徴について詳しくお聞きしたいと思います。

ずばり、どのようなことが学べるのでしょうか?

安藤様
安藤様

これは情報処理技術者試験ならではの魅力なのですが、特定の製品やサービスに依存しない出題を行っており、試験勉強を通じてITの技術や利活用に関する本質的な知識を獲得できます。

本質的な知識を身につけることで、新たな技術・手法を理解しやすくなり、変化の早いIT分野においても、環境変化に適応することができます。

特に、ITパスポート試験では、すべての社会人やこれから社会人となる学生が、ITを利活用する際に備えておくべき基礎的な知識を幅広く習得できます。IT知識のみならず企業経営や経営戦略、法務分野までも学ぶことができるため、将来ビジネスに携わる人に必要なスキルを一気に習得できる絶好の機会だと思います。

スキルアップ研究所
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ITに直接関わる、関わらない関係なく、ビジネスマンとして重要な試験ということですね。

幅広い試験を展開していらっしゃる貴機構ですが、どう使い分けていただきたいとお考えでしょうか?

安藤様
安藤様

試験は対象者別、レベル別、専門分野別に13区分あります。レベル感や業務などでの必要度合いから自分に合った試験にチャレンジしていただくのがよいと思います。

また、ITパスポート試験といった下位の試験区分の合格を足掛かりに、より上位の試験区分を目指すことで専門性を磨き、スキルアップすることも可能です。

情報処理技術者試験合格のメリット

スキルアップ研究所
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次にITパスポート試験といった情報処理技術者試験のメリットについてお聞かせください。

安藤様
安藤様

近年ITへの関心の高まりから受験者数も増えており、IT企業はもちろんのことそれ以外の企業においても認知が上がっています。そのため就職や転職でのよいアピールになると思います。

また、試験合格によって会社から報奨金が支給されたり、昇格で有利になったり、大学では入試優遇、単位認定などの措置が取られることもあるそうです。

スキルアップ研究所
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今後ますます需要が高まる分野でしょうし、ぜひとも合格しておきたいですね。

特にITパスポート試験に関してはビジネスマンとして必須の試験と言われる日もそう遠くないのかもしれません。

有識者から見たデジタル分野のリスキリングの必要性

スキルアップ研究所
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お次に、有識者から見たデジタル分野のリスキリングの必要性についてお聞きしたいと思います。

角田様にお話をお聞きしたいと思います。
角田様、よろしくお願いいたします。

角田様
角田様

独立行政法人情報処理推進機構、人材スキルプロモーション部の角田です。
よろしくお願いします。

スキルアップ研究所
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まずお先に、デジタル分野のリスキリングの必要性についてどうお考えでしょうか?

角田様
角田様

第一に、デジタル人材の需要は非常に高まっていると思います。

下の表は、当機構の2023年度の調査結果をまとめたものなのですが、デジタル人材の需要がここ数年で質、量ともに大きくなっていることが分かります。

そういった意味でデジタル分野のリスキリングが、個人、企業ともにもたらすメリットは大きいと考えます。

デジタル人材の過不足感

出典:IPA「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)」

スキルアップ研究所
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需要が拡大しているデジタル人材ですが、その中で問題点などはあるのでしょうか?

角田様
角田様

企業側が具体的にどのような人材が必要かという要件定義ができていないことが挙げられます。

どのような人材が必要かはっきりと把握しておらず、効果的な採用や育成ができていない状況です。

デジタル人材を活用できている企業はしっかりと結果を残せているので、その部分での解消は不可欠です。

スキルアップ研究所
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リスキリングのために、より個人目線では何が必要となるのでしょうか?

角田様
角田様

個人としても、自分に必要なスキルやその学習方法が分からないという課題が挙げられます。

まずは将来を見渡した時に、どういったスキルが必要で、どう学習していくかをはっきりさせることが大切です。

当機構では、そのような悩みを解決する学習ポータルサイトも用意しているので、ぜひ活用していただきたいです。

今後の展望

スキルアップ研究所
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情報処理推進機構として、今後の展望などございますでしょうか?

角田様
角田様

先ほども申し上げた通り、まずは自分にどんなスキルが必要でそれをどう学べばよいかという現状を知ってもらうことが必要不可欠だと思います。

私どもは現在マナビDXまなパタトラパタなどのサービスを展開し、デジタル人材教育におけるエコシステムを構築している最中です。

それを通じて多くの人々が自分のデジタル活用スキルについて認知している状態にできたらと考えております。

スキルアップ研究所
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今後新たな試験の実施などはありますでしょうか?

安藤様
安藤様

これまでも技術動向や環境変化などを踏まえて試験制度や試験の内容を見直してきました。

今後も社会の変化を注視し、必要な見直しを図っていきたいと思います。

スキルアップ研究所
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お話をお伺いする中で、自分自身まずは年代問わず必要なITパスポート試験に合格して、選択肢を広げていってみたいと考えました。

本日は貴重なお話をありがとうございました。