銀行業務検定試験と銀行業界のリスキリング|銀行業務検定協会に聞く

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今回は、銀行業務検定協会の執行役員で事務局長を務めておられます、八重樫様にインタ

ビューをさせていただきました。


銀行業務検定創設の背景と目的

スキルアップ研究所
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本日はお忙しい中、取材のお時間をいただき誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。

銀行業務検定協会
銀行業務検定協会

経済法令グループの銀行業務検定協会で執行役員兼事務局長を務めている八重樫純生と申します。

スキルアップ研究所
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まず最初に、簡単に銀行業務検定が発足した目的についてお話しいただけますでしょうか。

銀行業務検定協会
銀行業務検定協会

銀行業務検定試験を実施している銀行業務検定協会は、株式会社経済法令研究会の10周年記念事業として1967年に設立され、試験は翌年2月にスタートしました。

全国の金融機関で行っている研修や、通信教育等の自主学習後の効果測定などが設立当初の目的です。その後、時代の変化に合わせて、試験の目的は人事評価や業務の向上、スキルの再習得、受験者が到達すべき目標設定のためなどに広がっていきました。

銀行業務検定試験の特徴

スキルアップ研究所
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銀行業務検定試験を通して具体的に学べることについてはどのようなことがあるのでしょうか。

銀行業務検定協会
銀行業務検定協会

銀行業務検定試験では、おもに金融機関の行職員として必要な基本的な知識やその根拠を学ぶことができます。特に法務、財務、税務の分野では、金融機関の行職員として知っておくべき知識を得ることができます。

また、金融機関の行職員が行う業務は民法をはじめとしたさまざまな法律や規則を前提にしています。ただ実務をこなすだけでなく、その根拠を理解することで、業務において正しい判断や対応ができるようになります

スキルアップ研究所
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他の銀行業務にまつわる検定試験と本検定の違いについてはどうお考えでしょうか。

銀行業務検定協会
銀行業務検定協会

銀行業務検定試験は試験に合格していないと業務が行えないという試験ではありません。しかし、知識をプラスアルファとして得ることで、業務上のレベルアップを目的としている試験です。

ある金融機関では、「銀行業務を行ううえでの免許のようなもの」との位置づけで、行員に受験を推奨していただいているケースもあります。

スキルアップ研究所
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銀行業務検定試験はどのような層をターゲットにしているのでしょうか。


銀行業務検定協会
銀行業務検定協会

金融機関にお勤めの方におきましては、初級行職員からマネジメント層まで、すべての人に利用してもらいたいと考えています。本検定にはいくつかのレベルに応じた級が設けられており、入社して間もない人は初級レベルの試験で基礎を学び、その後は仕事内容やスキルに応じて上級を目指してほしいと考えています。

ターゲット層は種目によって異なり、金融機関にお勤めの方以外でも、例えば、社労士などの士業の方が年金や相続に関する知識のブラッシュアップのために受験されることもありますし、金融機関から融資を受ける事業主や企業の財務・経理の方が金融機関の業務を理解するために受験されるケースもあります。

また、サービス・接客業に従事する方がホスピタリティを学ぶためにホスピタリティ検定を受験されることもありますし、学生が金融機関で働くことを目指すためなど、受験目的はさまざまで、ターゲット層も広範囲に渡っています。

銀行業務検定試験合格のメリットとは

スキルアップ研究所
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銀行業務検定試験を取得することでのメリットはどのようなところにあるとお考えですか?

銀行業務検定協会
銀行業務検定協会

銀行業務検定試験を受験、さらには合格できるレベルまで達することで、銀行業務の基本を理解でき、また、普段行う仕事に深みも増します。実務にはマニュアルがありますが、マニュアル通りに行うのと、理屈・根拠を理解して業務を行うのとでは大きな違いがあります。

また、試験勉強を通じ、職場で同じ知識や言葉を共有することで、チームの成長やお客様への説明力の向上にもつながります。

さらに、金融機関が当試験の合格を昇進や昇格の要件として設定することが多いです。そのため、銀行業務検定試験を受験して合格することは、キャリア形成にも役立ちます。

銀行業務検定協会が注目する資格

スキルアップ研究所
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銀行業務検定試験には法務や財務をはじめ、関連試験としてはコンプライアンスオフィサー認定試験やホスピタリティ検定など40種目近い数がありますが、銀行業務検定協会が特に注目している試験種目について教えていただけますか?

銀行業務検定協会
銀行業務検定協会

全ての種目にはそれぞれ重要な役割があるため、すべての種目を推奨したいのが本心です。しかし、特に代表的な法務・財務・税務は「金融基礎力」として位置付けられており、金融機関の行職員すべての方に合格していただきたいと考えています。

また、注目される試験は時代とともに変化しますが、近年では環境省によって創設された脱炭素アドバイザー資格に認定された「サステナブル経営サポート」や「脱炭素経営アドバイザー」、DX分野の知見を深める「DXビジネスデザイン」、金融機関の方以外にも多く受験いただいている「年金アドバイザー」、「相続アドバイザー」、「資産形成アドバイザー」などが該当すると思います。

銀行業務とリスキリングの関係性

スキルアップ研究所
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銀行業務検定試験は社会人の方々のリスキリングにどう繋がってくるとお考えですか?

銀行業務検定協会
銀行業務検定協会

金融機関で働く多くの方が入社後間もなく法務・財務・税務を受験していると思います。しかし、昔受験して合格したからといって、それが現在も身についているとは限りませんし、時代とともに法改正、制度改正が頻繁に行われています。「スキルは5年以内に陳腐化する」と言われるように、数年ごとに知識の劣化を確認し、再度知識を定着させるために試験を活用していただきたいと考えています。

また、社会人になった直後に受験して合格した時と、実務経験を積んだ後に再受験する場合とを比べると、実務経験を積んだ後やその最中のほうが知識の身につき方や活用方法、理解度が大きく向上します。その点で本検定試験をリスキリングにご活用いただきたいと考えております。

スキルアップ研究所
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ある程度実務を経験した人が再度受験することで知識の再定着を計り、実務により活かせるようになるとお考えなのですね。


今後の銀行業務検定協会の展望

スキルアップ研究所
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銀行業務検定協会について、今後の展望について教えてください。

銀行業務検定協会
銀行業務検定協会

金融機関には、時代の変化に伴って変わる部分と変わらない部分があります。基礎的な能力は「金融基礎力」として重視し、時代に合わせて変化する部分については、新しい試験を迅速に開発していきたいと考えています。

また、2026年度には受験方法を大きく変更する予定です。CBT(コンピュータベースのテスト)で受験できる種目数を拡充するとともに、全国一斉受験ができる会場での受験実施日を7月第一日曜日と12月第一日曜日に変更します。

銀行業務検定試験は金融機関の方々に多く利用されているため、試験実施時期を変更することで、より利便性が高まると考えています。さらに、先ほども申し上げたように受験の目的は種目によっても異なります。

今後は学生や士業の方、さまざまな企業で働く方々など、金融機関に勤務する方以外にも広めていきたいと考えています。

スキルアップ研究所
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既存の試験を含め貴協会の試験がより多くの方に広まっていくことを祈っております。本日はありがとうございました。