政府が1兆円の投資を発表するなど、非常に注目を集めているリスキリング。
そんなリスキリングやスキルアップのための勉強と一口に言っても、本などでの自学から、講座形式のものまで幅広い方法がある。
そこで今回、スキルアップ研究所では特に講座形式での学びに焦点を当てて、その効果についての実態調査を行った。(N=500)
- 約半数は書籍等での自学自習での勉強に終始している
- 講座受講者と自学者で年収に与える正のインパクトは大きく異なる
- 講座受講者は学習内容・モチベーションの両面に効果を実感
リスキリングの現状
まず、改めてリスキリングで学んでいるものとしては何があり、どのような形式で学んでいるのかについて調査を行った
何を学んでいるか
スキルアップ・リスキリングのための学びとしては、ビジネス英語が最も多く、それ以外にも様々な内容が見られた。
どのような形式で学習しているか
形式としては、書籍等による自学自習が最も多く、次いでオンライン・対面の順になった。
これは、勉強を始めるにあたってのコストや心理的なハードルなどが関係していると考えられ、
講座受講者と自学者で年収に与える効果は大きく異なる
※講座受講者とは前の設問で「1」対面(講座形式)「2」オンライン(講座形式)と回答した方
※自学者とは前の設問で「3」オンライン(動画・アプリ等)「4」自学自習(書籍等)と回答した方
講座受講者は6割以上が年収が上がったと実感している一方、自学者はその3割強と半分程度の割合であり、講座受講者と自学者では年収に与える効果が大きく違うことが分かった。
これは、講座受講自体が高い効果を持っていることに加え、身銭を切って投資したことや目に見える仲間やライバルがいることによるモチベーションへの効果もあるのではないかと推察される。
講座受講者は学習効果・モチベーションへの効果を両方実感
調査の結果、実際に講座受講者は、学習効果・モチベーションの向上の両面を実感していた。
講座受講の学習効果を2/3以上が実感
講座等の受講により、やはり1人で学習する場合と比較しても高い効果を感じたという人が2/3を超える結果になった。
講座受講後は2/3以上がモチベーションが上がった
また、同様にモチベーションについても、2/3以上の方がモチベーションの向上を実感している。
ただ、モチベーションは上がったものの実際に行動が変わってはいないという人も多く、講座受講以外での勉強に対してはそこまで波及効果はない可能性もあるだろう。
リスキリングの学習効果を高めるには
改めて、リスキリングやスキルアップのための学習効果は自学自習よりも講座等を受講して勉強する方が高いことが分かった。
ただし、それには当然金銭的・時間的なコストが存在するため、中々簡単に行えるものでもないことはまた事実である。
企業としてリスキリングを推進する場合には、社員の取り組みやすさの観点から、単に書籍やオンデマンド学習などのサービスに終始してしまうことも多い。しかし、内容によっては、勤務時間の中で時間を作れるような制度設計を行うなどの工夫と共に、リアルタイムでの講座受講の選択肢も用意することが重要だろう。
また、個人としても、自学自習の形式で勉強する場合においては、友人やSNSなどを通じて同じ方向に向かう仲間を作るなど、高いモチベーションを保つ工夫をすることも大切だと考えられる。
調査概要
項目 | 詳細 |
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調査名 | リスキリング講座の受講効果に関する実態調査 |
対象者 | 20代以上の社会人で、就業時間外でスキルアップに取り組んでいる人 |
対象地域 | 全国 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2024年1月25日~1月31日 |
回答数 | 500名 |
調査結果の引用・転載について
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