グローバル化の進展に伴い、忙しい社会人にとって手軽なオンライン英会話が注目を集めている。一方で、従来型の英会話教室と比較した学習効果や、オンラインレッスンの質に関して懸念する声も上がっている。
このような状況を踏まえ、オンライン英会話の実態と受講者の満足度について調査を行った。
- オンライン英会話の満足度は非常に高い
- オンライン英会話最大の魅力は学習の柔軟性
- 利用者の40%近くがモチベーションの維持に課題を感じている
【調査概要】
項目 | 詳細 |
調査名 | オンライン英会話に関する実態調査 |
対象者 | オンライン英会話を利用している社会人 |
対象地域 | 全国 |
調査方法 | インターネット |
調査期間 | 2025年2月2日〜2025年2月9日 |
回答数 | 200 |
オンライン英会話のレッスン内容について調査
オンライン英会話利用者は大半が日常英会話を学んでいる
オンライン英会話を利用している社会人を対象に「オンライン英会話でどのような内容を学んでいますか?」という質問を行うと、「日常会話」という回答が78%で最も多く、利用者の大半は日常会話を学んでいることが分かった。
また、「ビジネス英語」を学んでいると回答した人は37%だった。これは一定の需要があることを示しているが、「日常会話」を選んだ人の半分以下にとどまっている。
この結果から、社会人であっても、必ずしも仕事での活用だけを目的としているわけではないことが言えるだろう。むしろ、多くの学習者が海外旅行や外国人との交流といった、プライベートでの活用を視野に入れて英語を学んでいると考えられる。
8割近くがマンツーマンレッスンを利用している
「利用しているオンライン英会話の授業形態を教えてください。」という質問を行うと、「マンツーマンレッスン」という回答が78.0%、「グループレッスン」という回答が24%であった。
この結果から、社会人の間ではマンツーマン形式のレッスンが主流となっていることが明らかになった。
マンツーマンレッスンが支持される背景には、受講者が自分の都合に合わせて柔軟にスケジュールを調整できることや、他の学習者の目を気にすることなくリラックスした環境で学習に取り組めるという利点があると考えられる。
半分近くがネイティブ講師から学んでいる
「利用しているオンライン英会話の講師の国籍を教えてください。」という質問を行うと、「ネイティブ講師」という回答が46.5%で最も多く、「日本人講師」が27%、「フィリピン人講師」が23.5%であった。
ネイティブ講師が最も高い支持を得ている理由としては、本場の英語を直接学べ、学習効果も実感しやすいためではないかと考えられる。
オンライン英会話の利用頻度や料金について調査
週1〜3回ペースでの利用が一般的
「利用しているオンライン英会話の授業頻度を教えてください。」という質問に対して、「週1回」という回答が42%で最も多かった。また、週4回以上の高頻度で受講している人は少数派で、大多数の利用者が週1〜3回程度の頻度で学習していることが明らかになった。
オンライン英会話は短時間で気軽に受講できることが特徴で、サービスによっては毎日受講可能なプランも提供されている。しかし、実際にはそうした高頻度での受講を選択している利用者は限られているようだ。
平日は夕方〜夜に利用する人が多い
平日と休日それぞれで「オンライン英会話を受講する場合のレッスンの時間帯を教えてください。」という質問を行うと、上のような結果になった。
平日は仕事帰りの夕方から夜の時間帯に利用が集中する傾向が見られた一方、休日については、午前中から夜にかけて幅広い時間帯で利用されており、平日と比べて受講時間が分散していることが分かった。
オンライン英会話サービスの中には24時間受講可能なものもあるが、実際には深夜から早朝の時間帯を選んで受講している人はごく少数であることが明らかになっている。
6割以上の人が月額6,000円未満で利用している
「利用しているオンライン英会話の1ヶ月あたりの料金を教えてください。」という質問に対して、「4,000円以上6,000円未満」という回答が41.5%と最も多い結果となった。
また、全体の6割以上の利用者が月額6,000円未満で受講していることが明らかになった。その一方で、8,000円以上の比較的高額な料金プランを選択している利用者はごく少数にとどまっていることが分かった。
オンライン英会話サービスは多様な料金プランを提供しているが、「4,000円以上6,000円未満」という価格帯は、比較的手頃な料金設定と言える。
ただし、この結果については単に安価なコースを選択しているというよりも、先ほどの調査で明らかになった「比較的高額なネイティブ講師の利用が多い」ことや「週1回程度の受講が一般的」という傾向から、受講頻度の低さが主な要因ではないかと考えられる。
オンライン英会話の満足度について調査
オンライン英会話の満足度は非常に高い
「利用しているオンライン英会話に満足していますか?」という質問に対して、「満足している」という回答が30.5%、「どちらかと言うと満足している」という回答が64.5%だった。この結果からオンライン英会話の満足度は非常に高いことが分かる。
ただし、「どちらかと言うと満足している」という回答が6割以上を占めていることから、完全な満足ではなく、何らかの小さな不満や改善の余地を感じている利用者が多いのではないかと考えられる。
オンライン英会話最大の魅力は学習の柔軟性
「オンライン英会話を利用してよかったと思うことを教えてください。」という質問を行うと、「24時間いつでも受講できる」、「どこでも学習できる」、「好きな時間に予約できる」「自分のペースで学習できる」という回答が、それぞれ約4割の利用者から得られた。
この結果から、オンライン英会話には学習者にとって多くの利点があることが明らかになった。特に、時間や場所にとらわれず、自分の生活スタイルに合わせて柔軟に学習できる点が、最大の魅力として評価されている。
また、「受講料が安い」という回答も31.5%を占めており、従来の英会話教室と比較してコストパフォーマンスの高さも、オンライン英会話のメリットとして認識されていることが分かった。
利用者の40%近くがモチベーションの維持に課題
「オンライン英会話を利用していて不満に思うことを教えてください。」という質問を行うと、「モチベーション維持が難しい」という回答が38%で最も多かった。
これは通学型の英会話教室と異なり、実際に教室に足を運ぶ必要がないため、かえって学習に対する意識が保ちにくい可能性があることを示唆している。
次に多かったのは「講師の質にばらつきがある」という回答で、約30%の利用者が指摘している。この結果から、一部のオンライン英会話サービスでは講師の質の安定性に課題があることが考えられる。
ただし、これらの不満点に対する回答数は、先ほどの良かった点の回答数と比べると全体的に少ない傾向にあることも分かった。
フィリピン人講師でも発音に関する不満は少ない
「オンライン英会話を利用していて不満に思うことを教えてください。」という質問において、「正確な発音が学べない」と回答した人を講師の国籍別に分析すると、グラフのような結果になった。
フィリピン人講師に対して発音の不満を感じる学習者の割合がやや高めであることが分かる。ただし、他の国籍の講師との違いはわずかで、全体として講師の出身国に関係なく、発音についての不満は少ないことが示された。
課題と展望
調査の結果、オンライン英会話の満足度は非常に高く、その主な理由として利用者の多くが学習の柔軟性を挙げていることが明らかになった。これは、英語学習において柔軟性を重視する学習者がオンライン英会話を選択している可能性を示唆している。
一方で不満としてモチベーションの維持の難しさが指摘された。これは、オンライン英会話が物理的な移動を必要としないため、かえって学習への意識が高まりにくい状況を生み出している可能性がある。
また、講師の質にばらつきがあることも、一定数の利用者から不満として挙げられていた。
今後の展望として、オンライン英会話サービスがモチベーション維持をサポートする仕組みを導入し、講師の質の標準化を図ることで、さらなる満足度の向上が期待できる。
調査結果の引用・転載について
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