IoT検定とDXの関わり方とは|IoT検定制度委員会に聞く

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今回はIoT検定制度委員会の事務局長を務めておられます、株式会社サートプロの近森満様にインタビューをさせていただきました。


IoT検定創設の背景

近森様

スキルアップ研究所
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本日はお忙しい中、取材のお時間をいただき誠にありがとうございます。

近森様
近森様

IoT検定制度委員会の事務局長を務めております、株式会社サートプロの近森満です。よろしくお願いいします。

スキルアップ研究所
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まず初めに、株式会社サートプロ様が、IoT分野に目をつけられたきっかけについてお聞かせいただけますでしょうか。

近森様
近森様

2015年頃に、世界中でIoTがバズワードになりました。簡単にいうとモノにセンサーをつけ、そこからデータを収集し蓄積して分析するモデルが一気に広まった時期でした。

現在多くの企業でDXを推進しテクノロジーを使ってサービスを進化させるのが当たり前になってきていますが、IoTはそれの先駆けになった分野と言えると思います。

私どもは元々組込みシフトウェア人材育成を2006年から実施していましたが、このIoTのトレンドに目をつけ企画を業界の有識者の方々と始めたのがきっかけです。

通常検定というと一般社団法人などの形で取り組むことが多いですが、IT業界はトレンドの変化が早く継続が難しいため、現在に至るまでプロジェクト単位で取り組むことで対応しやすい形をとっています。

スキルアップ研究所
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IoT検定については、どういった目的で設立された検定なのでしょうか。

近森様
近森様

当時、ユーザーがIoTをどのように使うのかに関するユーザー教育と、中小企業診断士のデジタル版のような、IoT技術に関するプロを作ることが今後必要になってくると考えました。

デジタル知識やコーディネート方法がわかり、かつコンサルができるようなIoTプロフェッショナルコーディネーターを作るという目的のもと、IoT検定は創設されました。

IoT検定ならではの特徴

スキルアップ研究所
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IoT検定の特徴についてお伺いしたいです。

近森様
近森様

IoT検定の内容としては、デジタルに関するものが多いですが、世の中の産業やマネジメントに関わる部分も総合的に学ぶことができます。

DXがトレンドである現在、テクノロジーだけではなくマネジメントや様々なカテゴリーを総合して学べるという特徴から、時代の先駆けとなっている内容だと自負しています

スキルアップ研究所
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いわゆるIT系には様々な検定が存在すると思うのですが、それらとIoT検定を比べた際の違いはどこにあるのでしょうか。

近森様
近森様

IoTの分野は、サイバー(仮想)とフィジカル(実体験)が融合している仕組みであることが他のIT分野とは異なる特徴です。

例えば物体でセンサーでデータを取ることなど、実際の物質にまで影響範囲が及ぶことが多く含まれています。これはサイバー上で作業を行うネットワークエンジニアやプログラミングにはない特徴です。

ユーザーが利用するという立場にある資格や検定が世間には多いと考えています。IoT検定はそうではなく、使わせる側の提案や売り出し方にもこだわった検定がされていると考えています。

スキルアップ研究所
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IoT検定はどのような方をターゲットとしているのでしょうか。

近森様
近森様

IoTをビジネスに活かしたいという観点で、システムベンダーや銀行など、会社の規模に関わらず様々な企業の方に受験頂いています。

ただ傾向としては、やはり技術に近い人が受けることが多いです。

企業の中でいうと、例えば開発者や生産技術部、製造部などが主な受験層になります。またIT系のコンサルタントなどにも多く受験いただいています。

スキルアップ研究所
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プロフェッショナル向け試験とユーザー向け試験が用意されているのをお見受けしましたが、2つの違いはどこにありますか。

近森様
近森様

プロフェッショナル向け試験に関しては、技術職を専門に働かれている方向 けの試験となっています。また企業とベンダーの橋渡しを行うなど、高度な知識が求められる職業の方にも受験いただくことがあります。

一方でユーザー向け試験は、仕事の中で技術系のことはしていないが、IoT分野に興味を感じた方向けのものになっています。

職種を限らず、ひいては学生の方でも受けられるような設計の試験であり、IoTに関する技術の基礎が学べるものになっています。

スキルアップ研究所
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なるほど、IoTを実際の職務に活用してもらうための目的と、IoTに関わる人材の裾野を広げる目的で棲み分けがなされているということですね。


IoT検定のメリットとは

スキルアップ研究所
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IoT検定を取得することによるメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

近森様
近森様

やはりIoTはITとは違う特殊な能力が必要とされる領域なので、転職や新しい業種への参入において差別化を図れるため有利だと考えます。

また最近では、IoTを活用して新たな事業領域を展開したい企業に対しても有利に働く可能性があると思います。

スキルアップ研究所
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IoT検定取得後、自身のキャリアアップに繋げることはできるのでしょうか。

近森様
近森様

具体的には会社の設備にIoTの視点から新たな提案ができるなど、自分のスキルがあることを証明できるので、新たな事業領域に取り組むことや、スキルアップに繋がる資格と言えると考えています

例えばIT系のコンサルファームなどでは、IoTを含めたプロジェクトを進めることも多いので、特に親和性が高いと言えます。

また昇格試験の1要件や学校の卒業要件になった事例もあるので、この点からもキャリアパスの選択肢を広げることができる検定と言えるかもしれません。

DX・IoT分野におけるリスキリングの重要性

スキルアップ研究所
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昨今社会人のリスキリングの重要性について説かれる場面が増えています。サートプロ様はDXやIoTのリスキリング事業を数多く展開されていますが、実際のニーズはどのようなところにあるのでしょうか。

近森様
近森様

個人というよりは、やはり法人からのニーズが多い分野になります。

実際にあるニーズでいうと、画一的なフレームワークが欲しいというよりは、オーダーメイドの技術やトレーニングを要望されることが多いです。

そのため、サートプロとして注力しているのは企業や自治体様などクライアントにあわせた研修や提案になります。

スキルアップ研究所
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今後のIoT検定の展望についてはどのように考えていらっしゃいますか。

近森様
近森様

我々はデジタル分野全体にIoTが絡んでくると考えています。

これまでは世界的なトレンドに合わせる形でIoTを全面に押し出したIoT検定を展開してきましたが、DXなど新たなトレンドが生まれてくる中で、IoTを使う中でもそういった分野にフォーカスした認定も始めています。

そのため、IoTという軸はブラさずに進めていきたいですが、同時に新たなトレンドを踏まえた活動や検定を作っていきたいと考えています。

スキルアップ研究所
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では最後に、IoT検定に携わる近森様から、世の中に向けたメッセージをお願いします。

近森様
近森様

技術者は、IoTはもちろんAIなども含め、新しいトレンドをキャッチアップしていく必要がある職業です。

本検定は、長い間現場に携わっている技術者の方のノウハウや技術を分かりやすく世の中に出していくという側面もあるので、ぜひ応援していただきたいと思っています。

職場でアピールの材料にすることもできると思いますので、ぜひ受験してみてください。

スキルアップ研究所
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技術者の方も含めて、広くIoT検定が浸透して欲しいと私自身も感じました。

本日は貴重なお話をいただき誠にありがとうございました。