リスキリング レポート

リカレントに関する実態調査

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調査: スキルアップ研究所

近年、技術の急成長により新たな能力や知識が求められるようになり、リカレントの必要性が高まってきている。

しかしリカレントがどれほど浸透しているか、また実際にリカレントに取り組むことによる効果があるのかは明確ではない。

そこで今回スキルアップ研究所では、リカレントに関する実態調査を行い、リカレントをする人の割合及びリカレントの効果について検証した。

「リカレントに関する実態調査」結果のポイント
  • わずか1割の人しかリカレントをしていない
  • リカレントをして良かったと思う一番の理由は資格・学位の取得
  • リカレントは費用も時間もそこまでかからない

リカレントの経験がある人の割合はわずか1割

社会人500人に「リカレントをしたことがありますか?」という質問をした結果、「はい」と回答した人はわずか10.6%だった。

社会人のほとんどがリカレントの経験がなく、リカレントはまだ普及していないと言える。

学び直したいと思っている人は多い

「仕事に関することで学び直したいと思うことがありますか?」という質問に、30.7%の人が「よくある」、53.1%の人が「時々ある」と回答した。

この結果から、約8割の人が「学び直したい」と考えていることが分かった。

実際にリカレントをしている人は少ないが、リカレントの潜在的な需要は高いと言える。

8割以上の人がリカレントという言葉をよく知らない

そもそもリカレントとは、学校教育から離れたあとも仕事で求められる能力を磨き続けるためにそれぞれのタイミングで学びなおすことを指す。(出典:厚生労働省『リカレント教育』

実際にリカレントという言葉の意味まで知っている人はどれだけいるのだろうか。

「リカレントという言葉を知っていますか?」という質問に対して「知っている」と答えた人はわずか19%で、約8割の人はリカレントをよく知らないことが判明した。

「知らない」と回答した人の割合は50.6%であり、半分以上の人がリカレントという言葉自体を知らないと言える。

約8割の人が学び直したいと思っているにも関わらず、「リカレント」の認知度は低い。そのため、リカレントへの認知・理解がもっと広まればリカレントをする人も大幅に増えると予想される。

リカレントの目的と満足度を調査

実際にリカレントに取り組んだ方を対象に、なぜリカレントをしようと思ったのか、そしてリカレントをやってみて良かったかについても尋ねた。

仕事で実力不足を感じてリカレントをするという人が多い

「リカレントをしようと思った理由を教えてください」という質問に対して、「仕事で実力不足を感じていたから」という回答が52.8%で最も多かった。

リカレントをする人の大半は仕事で実力不足を感じており、リカレントを通じて改善や成長を目指している。

また「キャリアアップするため」や「資格・学位を取得するため」という選択肢にも半数程度の人が回答しており、リカレントをする理由はさまざまだと言える。

7割以上の人がリカレントをしてよかったと感じている

「リカレントをしてみてよかったと思いますか?」という質問に対し、リカレントをしたことがある人のうち、22.6%が「非常に良かったと思う」と回答し、50.9%が「良かったと思う」と回答した。

7割以上がリカレントをしてよかったと感じており、多くの人がリカレントをしたことをプラスに捉えている。

リカレントの経験を「あまり良くなかった」「良くなかった」と捉えている人はほとんどおらず(計1人)、リカレントに挑戦してみる価値はあると言える。

リカレントをして良かったと思う一番の理由は資格・学位の取得

「リカレントをして良かったことを教えてください」という質問に対し、リカレントをしたことがある人53名のうち43.4%が「資格・学位を取得できた」と回答し、最多となった。

「リカレントをしようと思った理由を教えてください」という質問に対して、約4割が「資格・学位を取得するため」と回答していたことも踏まえると、多くの社会人が資格や学位の取得を非常に重要に感じていることがわかる。

さらに資格や学位の取得はリカレントの明確な成果になるため、達成感を感じやすく、回答が多いと考えられる。

また「キャリアアップにつながった」という回答も30.2%で多く、リカレントはキャリアアップにもつながる可能性も高いと言える。

リカレントをしても年収アップにはつながりづらい

「リカレントをしてから年収はどれほど上がりましたか?」という質問に対し、36.5%が「変化なし/下がった」と回答し、30.8%が「50万円未満の増加」と回答した。

7割近くの人は年収がほとんど上がっておらず、リカレントをしても年収アップにはつながりづらいと言える。

これはリカレントに取り組んでいる期間は仕事に専念できず、昇給の機会を逸している可能性が指摘できる。

また、仕事で実力不足を感じてリカレントに取り組む人が多いことから、現状の仕事をこなすためのスキルアップが主な目的であり、必ずしも待遇の向上を第一に考えているわけではないという側面も考えられる。

リカレントで学ぶ内容によって年収アップに傾向がある

リカレントによる年収の上がり幅を、リカレントで学んだ内容別で見てみると、経営学(MBAプログラムを含む)は比較的年収が上がりやすい傾向にあることがわかる。

経営学のリカレントは、マネジメントスキルや戦略的思考を強化し、管理職や経営層へのキャリアアップに繋がりやすいため、結果的に年収が上がりやすい傾向があると考えられる。

リカレントは費用も時間もそこまでかからない

リカレントをするために必要な費用と期間について調査した。

お金や時間を理由にリカレントをしない人が多い

リカレントの経験がない人たちに「リカレントをしない理由を教えてください」という質問をすると、「そもそもリカレントを知らなかったから」という回答の次に、「費用がかかるから」、「時間が足りないから」という回答が多かった。

リカレントを知っていても、費用や時間を理由にリカレントをしない人は多いことが分かる。リカレント未経験者には「リカレントは費用と時間がかかるもの」というイメージがあると言える。

リカレントは1年あたり1万円〜10万円かける人が一番多い

「リカレントには1年でいくらかかりましたか?」という質問に対し、リカレントをしたことがある人のうち、38.6%が「1万円以上10万円未満」と回答し、一番多かった。

1年あたり10万円未満でリカレントをしている人も多く、リカレントは手頃な価格から始めることができると言える。

リカレントに費用がかかることを理由にリカレントをしない人がいるが、1年あたり10万円未満であれば始めやすいという人も多いだろう。この事実が広まればリカレントをする人はより増えると考えられる。

支援を受けてリカレントをする人もいる

リカレントには国などから支給される給付金支援があり、実際に利用している人がいることがグラフから分かる。

リカレントをしたことがある38人のうち、10人は支援を利用しており、およそ4人に1人が支援を受けていると言える。

リカレントに必要な費用を1年あたり10万円未満に抑えられている人が多いのは、リカレント支援を一定の人が利用しているからだと考えられる。

またリカレントに支援があるという事実が広まれば、今後リカレントを始める人は増えると予想できる。

リカレントの期間は1ヶ月〜3年がほとんど

「リカレントにはどれほどの期間がかかりましたか?」という質問に対して、リカレントをしたことがある人のうち27%が「1ヶ月以上半年未満」と回答し、最も多かった。

全体的に見ると、1ヶ月以上3年未満の範囲に回答が多く、この範囲だけで約85%を占めていることがわかる。

リカレントは3年以上かかることほとんどなく、半年未満で終わる人もそこそこいると言える。

この事実が広まれば、時間を理由にリカレントを躊躇していた人も取り組みやすくなると考えられる。

今後の課題・展望

リカレントを経験している人は社会人の1割に過ぎず、リカレントは普及しているとは言えない。さらに、8割以上の人がリカレントという言葉を知らないという実態も明らかになっている。

しかし、学び直しを希望する人は多く、リカレントの知名度と実態が広まれば、リカレントを始める人が増えると予想できる。

実際、リカレントはそれほど費用や時間がかからず、国の支援などを利用して学んでいる人もいる。これらの事実が広まれば、経済的・時間的な理由で学び直しを躊躇している人にも、リカレントがより身近になると考えられる。

また、7割以上の人がリカレントをしてよかったと感じており、具体的には資格・学位の取得やキャリアアップにつながったという声が上がっている。

リカレントは技術の急進やグローバル化によって、今後もその需要が高まっていくと予想される。リカレントを普及させるには、その知名度を高め、リカレントの効果と必要性をより広く理解してもらうことが重要であると言える。

調査概要

項目

詳細

調査名

リカレントに関する実態調査

対象者

20〜50代の社会人

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年8月19日〜2024年8月26日

回答数

500

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