リスキリング レポート

プログラマーの転職に係る実態調査

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調査: スキルアップ研究所

リスキリングとして真っ先に挙げられるプログラミングだが、実際にプログラミングを学びプログラマーに転職をした人の年収や仕事の満足度は上がっているのかについてはこれまで明確な実態が明らかにされてこなかった。

そこでスキルアップ研究所では、プログラミングをリスキリングして、プログラマーへ転職した人に対して詳細な実態調査を行なった。

プログラマーの転職に係る実態調査結果のポイント
  • 7割以上がプログラマーへの転職に満足
  • JavaScriptを学んだ人の仕事の満足度が高い
  • リスキリング期間が6ヶ月と未経験での転職が3割

7割以上がプログラマーへの転職に満足

プログラミング経験がない状態からプログラマーへ転職した人の7割が現在の仕事に対して肯定的であることが本調査から明らかになった

プログラミング経験がない状態からプログラマーへ転職した人のうち現在の仕事に「非常に満足」と回答した人が26.7%、「どちらかといえば満足」と回答した人が44.4%を占め、「非常に満足」と「どちらかと言えば満足」を足した割合は71.1%に達した。

つまり、実際にプログラマーへの転職をした人の7割超が現在の仕事に対して肯定的であることがわかった。逆に「どちらかと言えば不満」と「非常に不満」を併せても全体の13.3%ほどであることから、プログラマーへの転職をして、仕事内容に不満を感じることは稀であり、プログラマーへの転職が仕事に対する満足度を上げるために有効な手段であることがわかる。

プログラマー転職者の4割以上が50万円以上の年収アップを経験


プログラミング未経験の状態からリスキリングを行い、プログラマーへ転職した人の40%超が50万円以上の年収アップを経験していることがわかった。

また、転職により年収が減少した人は5%以下に留まるため、プログラマーへの転職は、年収が下がるリスクが非常に小さいということがわかった。

転職1社目から過半数が年収増

プログラマーとして転職して1社目の時点で、過半数の人がプログラマー転職前と比較して年収の増加を経験していることが本調査から分かった。加えて、1社目では年収が「増減なし」が4割以上を占め、年収増加と増減なしで合わせて9割以上を占める。つまり、プログラマーへの転職によって年収が下がるリスクは少ないことがわかった。

また、プログラマーとして転職した数が3社の人では「200万円以上増加」と「100万円以上増加」の人が60%にのぼることがわかった。スキルを身につけながら転職を繰り返すことで、年収が上がったと考えられる。

2社目からの満足度が高い

プログラマーへの転職前と比較して、転職1社目では50.0%の人が満足度は「変わらない」と回答しており、「非常に不満」と回答している人も7.1%存在するが、転職2社目では、「どちらかと言えば満足」「変わらない」と回答する人が増えている。

「どちらかと言えば満足」と回答した人の割合は2社目で42.9%、3社目で40.0%とほとんど変化していない。このことから、転職2社目と3社目では、調査の母数が少ないため断言はできないものの、仕事に対する満足度に大きな違いは見られないことがわかる。

JavaScriptの満足度が高い

習得したプログラミング言語別に、仕事の満足度を聞いたところ、仕事の満足度に関して「非常に満足」と回答した割合が最も高かったのはJavaScriptを習得した人で30.0%であった。これは、JavaScriptがWeb系の言語で、身につけている人が多くの職場で活躍できることに関連しているだろう。

また、Pythonを学んだ人のうち仕事の満足度に対して「非常に満足」と回答した割合も20.0%とJavaScriptに次いで高かった。Pythonは、その汎用性の高さが仕事の満足度にもつながっているのではないかと考えられる。

Python JavaScript なら年収1000万以上も

習得したプログラミング言語別に現在の年収を尋ねたところ、Pythonを習得した人では年収「1200万円以上」と回答した人が10%、同様にJavaScriptを学んだ人では年収「1000万円以上〜1200万円未満」と回答した人が10%を占めた。

また、Javaを習得した人の年収を尋ねると「1200万円以上」との回答が5.6%を占めた。

これらの結果から、JavaScriptやPythonもしくはJavaなどの汎用性の高い、あるいは求められる場面の多い言語を学ぶことが収入を上げるための重要な鍵であると考えられる。

Youtube・Webサイトで学ぶ人が多数

ITスキルを学ぶ際にはオンラインスクールからYouTubeまで様々な選択肢が存在するが、どの方法が人気なのか、年収が高い人はどんな方法でプログラミングを学んだのかについて調査した。

YouTubeなどのインターネット上の無料媒体が最多

ITスキルを学んだ場所としては、「YouTube、Webサイトなどのインターネット上の無料媒体」と回答した人が14票と最も多く、「大学や専門学校などの教育機関」が次いで13票となった。

「YouTube、Webサイトなどのインターネット上の無料媒体」と回答した人の14%超、「大学や専門学校などの教育機関」を選んだ人の20%超が年収1000万円を超えており、中には1200万円を超えている人もいることがわかった。

お金を払ってプログラミングを学ぶのみならず、インターネット上の無料の媒体で学び続けることも年収を上げていくための重要な要素であるに違いない。

6ヶ月と未経験の転職が約3割

プログラミング経験がない状態から、プログラマーとして転職するまでの期間について尋ねた結果「未経験の状態で転職」と「6ヶ月程度」がともに、31.1%で最多だった。

プログラマーとして転職する前に、プログラミング言語を1年以上学んでいる人は1割以下であり、転職するまでに必要とされるリスキリングの期間はおおよそ1年未満であることがわかった。

プログラミングに関しては、比較的短期間でリスキリングを行い、転職後も仕事の中でスキルを身につけていくことが重要だと考えられる。

未経験からの転職で2割が年収1000万以上

プログラマーとして転職するまでの間にプログラミングスキルを学んだ期間について「6ヶ月程度」と回答した人と「未経験」と回答した人の年収を比較した。

「未経験」の状態でプログラマーとして就職した場合と「6ヶ月程度」勉強してからの場合では、「未経験」の状態で転職した方が1000万円以上の収入を得ている割合は高いことがわかった。

その一方で、未経験の状態から転職した人の年収が「200万円以上〜300万円未満」である割合は42.9%であり、「6ヶ月程度」と回答した人の内の年収「200万円以上〜300万円未満」の28.6%よりも高くなっており、「6ヶ月程度」学習した人よりも「未経験」の状態から転職した人で年収の差が大きく開いている。

以上の結果は、プログラミング未経験の状態でも始められる仕事に対して高いスキルが要求されずに年収が低く抑えられていることや、プログラミング未経験の状態からプログラマーとして採用されるほどポテンシャルが高いと評価された一部の人が大きく稼いでいることによってもたらされていると考えられる。

今後の展望

未経験時の状態からプログラマーに転職した人への本調査から、7割以上もの多くの人がプログラマーへの転職に満足していることがわかった。また、プログラマー転職前の収入と比べて、40%もの人が50万円以上の年収アップを経験しており、逆に年収が下がったという人は1割以下だった。

さらに、プログラミング転職の前のプログラミングのリスキリングの期間も1年未満の人が9割を超えた。つまり、プログラミングをリスキリングしてプログラマーへ転職することは比較的短期間で可能である。その上、現在より年収が下がる可能性が低いので非常に有望な選択肢である。

プログラマーとして転職したいと考えている人はぜひ過度な不安を持たずに挑戦し、また転職をしたいがどうすれば良いかわからないという人はプログラマーとしての道を選択肢に入れてみてはいかがだろうか。

調査概要

項目

詳細

調査名

プログラマーの転職に係る実態調査

対象者

20代以上の社会人の方で、未経験の状態からプログラマーとして転職した方

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年4月4日〜2024年4月11日

回答数

45

調査結果の引用・転載について

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