リスキリング レポート

コンサルティング業界への転職に関する実態調査

更新日:

調査: スキルアップ研究所

近年、転職の考え方が以前よりも格段に広がっているのが現状である。

中でもコンサルタントという仕事は、給料の良さやハイレベルな仕事内容などのイメージから、一般には魅力的でかっこいい職業という印象が持たれている。しかし一方で、激務と言われるほど過酷な労働環境であるのもまた事実である。

現在コンサルティング業界への転職を考えている人にとって、コンサルタント業界の実態は必ず把握しておきたい内容である。

そこで、実際にコンサルティング業界への転職を経験した人に調査を行い、どのような人がコンサルティング転職に向いているのかを検証した。

「コンサルティングファームへの転職に関する実態調査」ポイント
  • 3人に2人がコンサルへの転職をしてよかったと回答
  • 未経験からの転職は8割を超える
  • 年収増加率・残業増加率は共に高い

3人に2人が「コンサル転職をしてよかった」と感じている

コンサル転職 よかった

「コンサルティング業界に転職をして良かったですか」という質問に、66.7%の回答者が「良かった」と回答した。個人差はあるものの、コンサル転職をしてよかったと感じられる人は多いことがわかった。

コンサル転職をした最大の利点は「収入待遇がよくなった」こと

コンサル転職 最大の利点

「コンサル転職をして最もよかったことを教えてください」という質問に対して33.2%が「収入待遇がよくなった」ことだと回答した。

コンサルティング業界では高収入を得られることが一般に知られているが、この結果からそれが裏付けられたといえる。

85.7%の人が未経験からの転職

コンサル転職 未経験

「コンサルティング業界は未経験でしたか」という質問には、85.7%の人が「はい」と回答した。

未経験からコンサルティング業界への転職を考える際に、未経験でも転職できるのか、また転職後に活躍できるのかという心配は多くの人が感じるところである。

しかし実際には、未経験から転職する人も多くいることが分かった。未経験であっても、とりわけ転職のハードルが高いということはないことが見てとれた。

未経験での転職でも半数以上が「よかった」と回答

コンサル転職 未経験 よかった

「未経験での転職者」に限定すると、「コンサルティング業界に転職をしてよかった」という人は61.1%であった。

未経験でのコンサル転職は難しいと考えがちであるが、よかったと感じられる人は多く、全体の結果とも大差は無いことが分かった。

未経験からの転職はストレス耐性がないと厳しい

コンサル転職 失敗理由

未経験からコンサルティング業界に転職した人に限定して「コンサル転職が失敗してしまった理由」という質問をすると、23.8%もの人が「ストレス耐性が低かったから」だと回答し、これが失敗経験のうちの1番の理由であることがわかった。

次いで「努力を怠ったから」と答えた人が19.0%であった。前職とのギャップからストレスを感じてしまい、それに耐えきれない人が多く失敗してしまうことが推測できた。

66.7%が転職して給料が上がった

コンサル転職 年収増加率

「転職して年収が増えましたか」という質問に対し、66.7%の人が「はい」と回答した。

転職で年収アップを実現したいと考えている人にとっては、非常に魅力のある業界であることが理解できた。

年収の高さをより追求するなら戦略コンサル・総合コンサル

コンサル転職 部門別年収

コンサルのファーム別で分けて上記の質問をしたところ、総合コンサルと戦略コンサルの人たちの全員が「はい(年収が上がった)」と回答した。

コンサルタントとしてより高い年収を望むなら戦略ファームか総合ファームを目指すべきである。

年収の増加額の相場は50~99万円

コンサル転職 年収増加額

年収が増加したと回答した人に年収の増加幅を尋ねたところ、最も多くの回答を得た区分は「50〜99万円」であり、42.6%の人が回答した。次いで「10〜49万円」の回答が多く、21.4%であった。

中には300万円以上増加したと回答する人もおり、職種や評価によっては大幅な年収アップも期待できるとわかった。

41.7%が求人元との条件交渉で給料アップを実現

コンサル転職 条件交渉

アンケート協力者のうち57%の人が求人元との給料交渉をした経験があり、交渉を行った人のうち増額に成功した人は半数近くにのぼった。

コンサル転職で年収アップを期待するのは当然のことだ。そういった意味でも、求人元と条件交渉する価値は十分にあると考えられる。

他業界からの転職では半数が残業時間増加

コンサル転職 残業増加率

未経験からコンサルティング業界に転職した人に限定して「コンサル転職後の月間の残業労働時間の変化について教えてください」と質問したところ50%が「増えた」、22.2%が「変わらない」、27.8%が「減った」と回答した。

残業が多く労働時間が長いというイメージがコンサルティング業界の懸念点となる部分であるが、調査結果からも異業種に比べると比較的残業は多いことがわかった。

部門別で残業時間の振れ幅が大きい

コンサル転職 残業時間

部門別に分け、「コンサル転職後の月間の残業時間を教えてください」という質問をしたところ、戦略コンサルティングファームでは「65〜75時間」や「45〜55時間」との回答が見られ、残業時間の平均としては最長となった。

全部門を通して多かったのは「35〜45時間」の回答であり、それらと比べても戦略コンサルは他部門とは労働環境に差があるという結果になった。

66.7%が今後もコンサル業界に留まりたいと回答

コンサル転職 留まりたい

「今後もコンサル業界に留まりたいと思いますか」という質問をしたところ、66.7%が「はい」と回答した。

冒頭で「コンサルティングファームに転職してよかったですか」という質問に3分の2が「はい」と答えたことと合わせ、コンサルティングファームへの転職は肯定できるものと考えられる結果となった。

課題と展望

コンサルティング業界への転職は高い年収がとても魅力的であり、転職することによって前職と比較したときに年収アップが期待できる場合が多い。

しかし、未経験者にとってはストレス耐性の有無が転職後の結果を左右するなど、労働環境に適応することが重要な課題となる。また、戦略系ファームなどの特に年収の高い部門では、残業時間の増加や激務が懸念される。

ただコンサルティング業界全体としては、コンサル業界に留まりたいと考える人が多いことから、魅力があると評価できる。今後のコンサルティング業界としては、労働条件の改善や転職者に向けた適応支援の充実が欠かせないものであると考えられ、これが転職者の長期的な定着につながると考えられる。

一方でこれから転職を目指す方々には、業界さらには部門別での特徴を踏まえた上で後悔のない転職を心がけてほしい。

調査概要

項目

詳細

調査名

コンサルティングファームへの転職の実態調査

対象者

コンサルティングファームへの転職経験者

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年5月4日〜2024年5月11日

回答数

21

調査結果の引用・転載について

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