有料老人ホームの看護師を辞めたい理由は?介護施設の辛い悩みや対処法も紹介
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「有料老人ホームの看護師を辞めたい…」
このような思いを抱える看護師は決して少なくありません。医師が常駐していない環境での重い責任、他職種との難しい人間関係、予想以上の業務量など、病院勤務とは異なる様々な課題に直面することが多いためです。
本記事では、有料老人ホームの看護師が抱える具体的な悩みや退職を考える理由を詳しく解説します。さらに、現状を改善するための実践的な対処法や、転職を選択する場合の判断基準まで、経験者の声を踏まえて紹介していきます。
看護師が有料老人ホーム勤務を辞めたい理由
有料老人ホームで働く看護師には、離職を検討している人が多くいます。
ここではその理由を主に5つ紹介します。
業務内容に対して給料が安い
看護師は専門的な分野であるため高額な給与が支給されると思われがちです。
しかし、実際には規模の大きい大学病院などと比べ、有料老人ホームといった介護施設での給与水準は低く抑えられている傾向にあります。
介護施設で看護師が担う業務は、直接的な医療行為よりも体調管理や生活支援などが多いため、介護業界全体の給与水準が低く設定されています。
そのため、仕事内容と責任に見合った適切な報酬が得られないと感じ、退職や高待遇の施設への転職を選択することも少なくありません。
責任の重さに耐えきれない
高齢者施設で勤務する看護師は、時に人手不足により一人で夜勤を担当したり、緊急時の判断を下さなければならない場面に直面することがあります。
利用者の命に関わる重大な決断を強いられる環境は、看護師に精神的かつ肉体的に大きな負担となり、離職の一因となっています。
介護施設の他の職員との人間関係が悪い
有料老人ホームで働く看護師は、他のスタッフとの人間関係にストレスを感じることがあります。
有料老人ホームでは、介護職やリハビリスタッフなど異なる職種が協力してケアを行う必要があるため、お互いの考え方や優先順位の違いから摩擦が生じやすくなります。
職種を超えてコミュニケーションを密にすることで、良質なケアを提供できる職場環境を築くことができます。
残業・夜勤・オンコール対応が大変
看護師として有料老人ホームに勤務する上で大きな負担となるのが「残業」「夜勤」「オンコール対応」です。
特に、介護施設によってはオンコール体制が求められ、看護師としてその対応は避けられない義務であり、過酷な状況となっています。
オンコール対応は通常業務終了後も制約があり、日常生活に大きな影響を及ぼします。緊急対応の準備が常に必要なため、適切な休息時間を確保することが難しく、過酷な生活リズムを強いられることもあります。
介護業務が多く臨床経験を活かせられない
有料老人ホームで働く看護師は、単なる医療行為だけでなく入居者の健康チェックや介護職員と協力しての生活支援も担っています。
生活支援には、車椅子の移動の手伝いや食事の補助など、日常生活の重要な作業が含まれます。
そのため、病院勤務経験者の看護師の中には業務の範囲が狭く感じられ、自分の知識や技術を最大限に活かせない状況に限界を感じ看護師を辞めたくなる人もいます。
老人ホームを辞めるべき?判断基準を紹介
老人ホームやグループホームで働く人には辞職を検討している方も少なくないでしょう。
ここでは老人ホームやグループホームで働く中で、辞職をするべきか否かの判断基準について紹介していきます。
給料や福利厚生に不満があり改善されない
介護現場での継続就労の判断基準として、給与水準、福利厚生の充実度、そして将来の昇給・昇進の見通しが重要な要素となります。介護は人生の最終段階を支える重要な職務であり、それに見合う適正な報酬があると考える人も多いでしょう。
しかし現状では、業務内容に比して給与が低いと感じる人が多数います。また、仕事と生活の両立を支援する福利厚生制度が不十分だと長期的な就労が難しくなります。
加えて、スキルアップに応じた昇給・昇進のチャンスが少なければ、やる気の低下につながりかねません。
このように、報酬面での適正評価、労働環境の整備、キャリアアップの機会確保が介護現場の定着化に欠かせない条件となっています。
労働環境が一向に改善されない
労働環境に満足していないことを上司に訴えたにも関わらず、改善や対策をしてもらえない場合も、転職を考えるべきでしょう。
個人では労働環境の改善は難しく、残業の多さや休日数の少なさ、休憩時間の不足、手当てがない状況など様々な問題が見受けられます。
上司とので話し合いで労働環境が変わる可能性もありますが、制度変更を伴う大幅な改善には時間がかかります。
変化の兆しが見えず具体的な動きもない場合は、転職も視野に入れるべきでしょう。
人間関係が劣悪
職場の人間関係がうまくいかず自分一人で改善するのが難しい場合は、転職を検討するべきかもしれません。
自分の態度を見直したり、相手への接し方を変えることで人間関係が良くなることもあります。しかし、人間関係に起因するストレスは、精神的な健康を大きく損なう危険性があるため一人で抱え込んではいけません。
新しい職場で人間関係を作り直すのは容易ではありませんが、苦しい状況から解放されるメリットの方が大きいはずです。
精神的に追い詰められている
介護施設で働く看護師は病院勤務と比べて仕事の内容や負担が異なります。昨今は特に人手不足が深刻化する中で、長時間労働や責任範囲の拡大により体への負担やストレスが増大している傾向にあります。
このような状況が続けば、体調を崩すだけでなく精神的な健康にも深刻な影響を及ぼします。
体力や精神力には限界があるため、無理を強いられる職場環境を見直し、自身の健康を最優先に、必要であれば転職も視野に入れることが重要です。
体調不良が続いている
長時間労働や不規則な夜勤が続くと、体内リズムが乱れ、体調を維持することが難しくなります。
無理を続けて健康を無視して働けば、再就職が困難になってしまう可能性があります。
体調不良が続く場合は、休職や退職をして健康を最優先することが大切です。
無気力になってしまう
介護の仕事は命と健康を守る重要な職務であり、自身の心身の状態が良くないと利用者への影響が避けられません。
もし常に無気力な状態が続く場合は、うつ病などの精神的な問題の可能性があるため、退職を検討するべきかもしれません。
そのようなときは一時的に休職をするか、転職しカウンセリングなどを活用しながら無気力から抜け出すための適切な対処が必要です。
いじめやパワハラが見受けられる
看護師が質の高いケアを提供し続けるためには、働きやすい職場環境が必要不可欠です。
しかし、いじめやパワハラがある環境では、最善のケアを行うことが困難になってしまいます。
上司や管理者に相談しても適切な対応がなされない場合、心身の健康を損なう恐れがあるため、早めに退職を検討するのが賢明でしょう。
さらに、いじめやパワハラがあれば、「会社都合退職」として退職することも可能であることを覚えておく必要があります。
有料老人ホームを辞めたいときの状況別の対処法
ここでは有料老人ホームで働く中で辞めたいと思った際、そのまま辞職の検討に移る前にするべき有効な対処法について紹介していきます。
待遇面に不満があるときは上司に相談
有料老人ホームで働く際、給与や待遇に不満がある場合はまず上司や施設長に直接相談することが大切です。
自身の努力や実績を伝えることで、評価の向上や待遇改善につながる可能性があります。
労働環境が悪いときは効率化を図る
有料老人ホームで過酷な労働環境に直面し、残業が過剰で退職を考えるようになった場合、まずは自分で対処できる範囲で業務の効率化を試みることが賢明です。業務時間内に余裕ができれば働きやすさが改善され、辞める気持ちが和らぐかもしれません。
具体的には、自身の業務を見直し、フローを改善することで効率化できる点がないか探してみましょう。
特定の業務に時間を過剰に費やしているのであれば、その手順を改善する余地はないか、または他の職員と業務を振り分けて作業量を調整することも一案です。
人間関係が辛いときは自分の行動も振り返る
老人ホームで人間関係のトラブルに巻き込まれてしまった場合、まずは自分の言動を振り返り、他者に対して失礼な言葉を投げかけたり自己中心的な行動をしていないか冷静に見つめ直すことが大切です。
トラブルの原因が他者にあると感じた場合でも、利用者や入居者のためを最優先に考え、自分の役割に専念することで辛い人間関係から距離を置くことができるでしょう。
業務上の連携は欠かせませんが、プライベートな関わりは最小限に留めることで気持ちの整理がつくはずです。
精神的・身体的負担が大きいときは休暇を取ろう
介護の仕事は体力的にも精神的にも負担が大きく、時に休息が必要になります。しかし、人手不足で休暇を取ることに罪悪感を感じるかもしれません。
ただ、自分の健康を最優先に考え、同僚や上司に状況を伝えた上でサポートを求めることが大切です。
利用者に質の高いサービスを提供するには、介護士自身が健康でいることが不可欠なのです。
働き方が合わないときは視野を広げよう
老人ホームでの業務は、予想以上に介護が必要で多くの時間を要すること、看護師としての専門スキルを発揮する機会があまりないことなどから理想と現実のギャップに直面することがあるかもしれません。
しかし、老人ホームでは病院とは異なる独自の視点からケアを行うことができます。
老人ホームでは、介護職員や生活相談員、機能訓練指導員など、様々な専門職と協働する機会があります。他職種から新たな視点や情報を得ることで、看護に対するより多角的な視野を持つことができるでしょう。
理想のキャリアプランを求めたいときは研修を利用
看護師としてのキャリアプランで迷いや不安を感じる時は、研修プログラムを活用するのがおすすめです。
現在のスキルや知識で行き詰まりを感じている場合、研修を受講することで新しい視点や能力を身につけられます。
退職する際に注意すべきポイント
ここでは看護師が老人ホームを退職する際に注意せねばならないポイントについて3点紹介していきます。
健康保険や年金への手続きをする
看護師が退職後の生活を安心して過ごすためには、健康保険や年金の手続きが重要です。
特に、しばらく無職になる予定の方は注意が必要です。病気やケガに備えて医療費を支払うための健康保険と、生活費を支える年金の手続きを忘れずに行いましょう。
退職すると、会社の健康保険や年金が利用できなくなります。そのため、退職後も継続して利用するには任意継続手続きか国民健康保険・国民年金への加入手続きのどちらかを選ぶ必要があります。
任意継続の手続きは健康保険組合で、国民健康保険・国民年金への加入は市区町村の窓口で行えます。
就業規則に則り辞める意思を早めに伝える
看護師が退職を決めた際には、早めに職場に伝えることが大切です。
医療機関の就業規則で退職の事前通知期間が定められていることがあり、後任者の募集や引き継ぎに時間を要するためです。
特に人手不足が深刻な看護師の場合、退職予告は重要な責任となります。
スムーズな人員交代で患者さんへの影響を最小限に抑えるためにも、できるだけ早期の意思表示が求められます。
ネガティブな退職理由は避ける
様々な理由で退職を決める方がいますが、退職理由が人間関係や給与などネガティブな理由の場合、本音を言うと残りの期間の居心地が悪くなる可能性があります。
退職理由をきちんと伝えることは大切ですが、言い方には工夫が必要です。
直接的なネガティブな理由ではなく、「家庭の事情がある」「自己のスキルアップのため」といった肯定的な表現を用いることで、残りの期間も働きやすい環境を維持できます。
老人ホーム・サ高住勤務の看護師のおすすめ転職先
老人ホーム・サ高住勤務の看護師の転職先としては様々な候補がありますが、ここでは中でもおすすめできる転職先を5つ紹介していきます。
病棟看護師
看護師は多様な職場で活躍できますが、特に病棟での勤務は重要な役割を担っています。
患者さんの状態を把握し、24時間体制で看護ケアを提供するため、時には命がけの対応も求められます。
病棟と老人ホームは、長時間の労働が強いられることがあるという共通点があるものの、業務内容が大きく異なります。病棟勤務は専門性を発揮できる上に成長の機会が多い、経験値を高めるための有効な選択肢なのです。
外来看護師
外来看護師は、病院の外来診療部門で働く看護師のことです。主に個人病院やクリニックで勤務し、業務時間は日中が中心となります。夜勤や緊急時の対応が必要ない点が、この職種の大きな魅力と言えます。
また、介護施設で働く看護師のように介助業務はほとんどありません。体力的な負担が軽減できるメリットがあります。
一方で、スタッフ数が少ない場合は、電話対応や雑務などの業務も担当する必要があります。様々な経験ができることをポジティブに捉えられるのであれば、外来看護師は魅力的な職種だと言えるでしょう。
訪問看護師
訪問看護師は医療の現場を自宅に移し、在宅で療養する方々に必要なケアや看護を提供します。医師の指示に基づいて作成した専門的な看護計画に沿って自宅を訪問し、看護を行うのが主な役割です。
訪問看護師は患者さんの健康チェックを行い、薬の管理、怪我や病気による傷の手当てや必要な医療処置を行います。
また、患者さんやご家族に対して、病状や健康状態についての情報提供やアドバイスを行う健康指導・相談も訪問看護師の重要な役割です。
さらに、リハビリテーションの補助や指導も行い、患者さんの生活の質の向上を支援しています。
デイサービス
デイサービスは、日勤のみで夜勤やオンコールがない通所施設であるため働きやすい環境が整っています。利用者は比較的介護度が低く、自立した生活をサポートすることが目的です。
そのため、看護師の仕事内容は日常生活の援助やリハビリ、レクリエーションを通したコミュニケーションが中心となり緊急時の判断を迫られるストレスもありません。
健診センター
介護業務が苦手な方には、健診・検診センターがおすすめです。
健診・検診センターの主な業務は、受診者の健康状態をチェックし、疾病の予防や早期発見に貢献することです。看護師の仕事は、検査結果の説明やアドバイス、検査の補助となります。
介護業務は基本的に必要ありません。これにより、看護師の方の日々の負担を軽減することができます。
ただし、健診・検診センターで働くには、採血技術が求められます。大規模な施設では1日に100人以上の採血を行う場合もあるため、確実で素早い採血技術が不可欠です。
体験談からわかる看護師が転職を成功させる秘訣は?
ここでは、体験談をもとに抽出した看護師の転職成功の秘訣を4つ紹介していきます。
退職する目的を明らかにする
看護師として転職を成功させるには、まず自分が転職を望む理由を明確にすることが大切です。その理由を明確にすれば、自分に合った職場を見つけやすくなります。
例えば、看護スキルを十分に発揮できず物足りなさを感じているのであれば、高度な看護技術が求められる療養型の病院や介護施設への転職を検討するとよいでしょう。
転職活動の成功につながる第一歩は、「なぜ転職したいのか」を理解することです。
自分の経験値を把握しておく
転職を成功させるためには、自分の持つスキルや経験を正しく認識することが非常に重要です。これまでの経験から得たものを振り返り、新しい職場でどのように活かせるかを明確にする必要があります。
例えば、看護師が介護施設で勤務する中で医療行為が少ないと自分の価値を見失いがちですが、そのような状況でも自分の長所や得意分野に注目し、アピールできる点を意識することが大切です。
そうすれば、履歴書や面接で自分の独自性を伝えられます。さらに、自分の長所を活かせる職場を選ぶことで適切なマッチングが可能になり、早期の離職リスクを下げることができます。
求める労働条件を考える
転職を考えるときは、理想と現実のバランスを取ることが大切です。
すべての条件が完璧な職場は存在しませんが、自分にとって何が最も重要なのかを冷静に見極め優先順位をつけることで、適切な選択がしやすくなります。
給与、福利厚生、仕事内容、勤務時間など、様々な条件の中から過去の経験を踏まえて重要なものを選び出し、それらに基づいてキャリアパスを描くことで希望に近い職場が見つかるでしょう。
求人の労働条件を確認する
看護師の転職を成功させるには、希望する医療機関の労働環境と業務内容を事前に確認することが重要です。
応募先を絞り込んだら、さらに詳しく調査を行うことで後々失敗に終わるリスクを最小限に抑えられます。
労働条件や実際の仕事内容を十分に理解せずに転職を決めてしまうと、期待と現実にギャップが生じ、思い描いていた職場環境とは異なる場合があります。
そうなると新しい職場でのモチベーションが下がり、結果的に転職が失敗に終わってしまう可能性が高くなります。
介護施設の看護師・準看護師の給料
ここでは、介護施設における看護師・準看護師の給与について解説します。
下記で示される給与額は平均的な水準で、手当やボーナスを含んでいます。また、パート勤務や非常勤、契約形態に関わらず、全員が常勤として働いていると見なした上での給与額です。
施設名 | 看護師(月収) | 准看護師(月収) |
介護老人福祉施設 | 422,652円 | 382,542円 |
介護老人保健施設 | 448,962円 | 382,799円 |
看護小規模多機能型居宅介護 | 414,406円 | 354,842円 |
有料老人ホーム (特定施設入居者生活介護) | 427,972円 | 375,933円 |
訪問看護(予防を含む) | 440,368円 | 352,006円 |
デイサービス | 354,319円 | 326,620円 |
看護師・准看護氏の給料は施設によって給与水準は異なり、勤続年数によっても変動があります。しかし、これらの情報は一般的な目安にすぎません。転職や就職活動の際は、あくまで参考程度に留めておくことをおすすめします。
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老人ホームの看護師、辞めたい まとめ
有料老人ホームの看護師は、給与の低さ、人間関係の難しさ、長時間労働、過酷な業務など、さまざまな課題に直面しています。
これらの問題に対処するには適切な休息とストレス解消が不可欠であり、同時に組織としての改善も求められます。
仕事に対する気持ちが揺らぐ時は、自分自身の声に耳を傾けることが大切です。職場環境の改善を試みたり、それでも改善が難しいのであれば、新しい職種への転職など自分にとって最善の選択肢を見つけていく必要があります。
自分ができることと職場に求めることのバランスを慎重に考え、快適に働ける環境を手に入れましょう。