リスキリング レポート

社会人の英語学習に関する実態調査

更新日:

調査: スキルアップ研究所

現在、社会人の学び直し(リスキリング)は非常に注目を集めており、中でも英語学習は業務に直結するスキルとして関心を集めている。

ただ、英語は多くの人が学びたいと考える一方で、実際に行動して身につけるまでに高いハードルがあるのもまた事実である。

そこで今回リスキリング研究所では、コロナウイルス感染症の影響も下火となり、国際的な活動も十分に再開した2024年時点において、社会人の英語学習状況の実態を調べるべくインターネット調査を行った

なお、今回は全500名にアンケートを行い、その中で職種を会社員・役員と答えた294名を集計対象とした。

「社会人の英語学習に関する実態調査」のポイント
  • 英語を学習したいと思っている人のうち、実際に学習している人は約半数
  • 学習をできていない最大の理由は「時間」次いで「挫折」「お金」
  • 「時間」「お金」が理由と答えた人は英語学習にかかるコストを概ね正しく認識しており、知識・調査不足ではなく時間やお金を用意できていないことが問題

ビジネス英語はリスキリングの中でも最もメジャーな項目

こちらは今回とは別の調査における結果だが、英語学習の注目を裏付けるものとしてまず紹介しておきたい。

スキルアップのために学習している分野として約20%の人が英語挙げており、リスキリングにおいて英語学習は最もメジャーなものになっている。

英語を学習したいと思っている人のうち、実際に学習しているのは50%程度

「英語を学習したい」と考えている人のうち、「スキルアップのための英語学習に実際に取り組んでいますか」という設問に「はい」と答えた人は約50%であった。

約半数の人は思ってはいるものの行動には繋がっていないことになり、「英語を学びたい」という思いから実際に動き出すまでには何かしらのハードルがあることが分かる。

学習していない原因・理由は「時間」「挫折」「お金」

「スキルアップのための英語学習に実際に取り組んでいますか」という設問に「いいえ」と答えた人に対してその理由を聞いたところ、1位は「時間が足りない」という回答で、全体の約4割となった。

また、2位は「一度取り組んだが挫折した」(18.6%)3位は「お金が足りない」(17.4%)という結果になった。

英語学習の時間・費用の感覚は適正な水準が多い

お金や時間の問題で英語学習ができていないと答えた人は、実際に英語学習に掛かる費用・時間を正しく把握できているのだろうか。というのも、英語学習に対する恐怖心や解像度の低さから時間・費用を高く見積もりすぎている可能性があるからだ。

しかし、実態としては多くの人が時間・費用を平均的な水準で理解していることが今回の調査から分かった

時間は週に5〜15時間のレンジが約60%

アンケート結果では、ビジネス英語の習得にかかる時間は週に5〜15時間程度と考えている人が全体の過半数以上となった。

これは一日あたり1〜2時間程度であり、一般的な水準感である。

むしろ、5時間ではやや少ない印象も受けるため「時間が足りない」と答えた人の感覚自体は正しく、逆にどう時間を捻出するかという部分に課題があるのだろう。

費用は月に1〜5万円のレンジが約60%

費用についても、アンケートの結果としては1〜5万円の水準で過半数を超えており、これも実態に即した水準である。

実際に、毎日英会話ができるようなスクールでも3万円程度のコースが一般的に存在する。

挫折の理由としては「時間が取れなかった」が1位

挫折の理由については、「一度取り組んだが挫折した」と答えた人のうち、36.7%が「思ったより時間が取れなかった」と回答した。

社会人の英語学習をより推進していく上での今後の課題

上記の内容を踏まえ、今後社会人の英語学習をより進めていくためにはどのようにすればよいのだろうか。

個人だけでは限界もあり、企業主導の仕組み作りも求められる

上で見てきた通り、多くの人が英語学習の障壁として時間的制約を挙げている。これは個人レベルでの努力も重要だが、それだけでは限界がある部分もあるだろう。

そのため、社員の英語学習を促進したい企業などは、勤務時間内で学習ができる仕組みを作ることが大切だろう

「リスキリングは個人が就業時間外に行うべき」とまだ考えられている側面もあるが、例えば「グローバル人材の育成」を目的として掲げている場合には、英語学習そのものも業務の範疇に当たると捉えるべきである。

金銭的補助は効果はあるものの限定的な可能性

最近では、企業によってはリスキリングの費用面での補助を出す企業は増えてきている。

しかし、このアンケート結果を踏まえると、費用面だけでは限界もあるのではないかと考えられる。費用面の負担を軽減すると同時に、リスキリングのための時間をどう捻出するのかが、今後の課題となるだろう

調査概要

項目

詳細

調査名

社会人の英語学習に関する実態調査

対象者

20代から60代の社会人で、スキルアップのために英語を学びたいと思っている、または思っていた人

対象地域

全国

調査方法

インターネット調査

調査期間

2024年1月25日~1月31日

回答数

500名

調査結果の引用・転載について

本レポートの著作権は、株式会社ベンドが保有します。 引用・転載される際は、必ず「スキルアップ研究所調べ」のような形で出典を明記し、本記事のリンクを付してください。 引用・転載されたことにより利用者または第三者に損害その他トラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いません。