薬剤師がやめとけと言われる理由は？ブラックで厳しい業務の実態を解説

薬剤師がやばい・やめとけと言われる理由

膨大な知識量を覚える必要がある

薬剤師は膨大な知識を必要とする職業であり、常に最新情報を取り入れながら知識を更新し続けなければなりません。市販薬や法規制、医療機器など、幅広い分野について深い理解が求められます。

例えば、新型コロナウイルス診断キットの販売でも、適切な知識がなければ対応できません。

このような理由から、薬剤師は難易度が高く、業務負荷も大きい職業とされています。

転勤が多い職場もある

薬剤師の仕事には転勤の可能性があり、それが一因となってストレスを感じることがあります。

全国展開の薬局やドラッグストアでは、人材が不足している地方都市への突然の転勤が起こる場合があります。

そうすると、一つの土地に住んでそこで安定した生活を送るという生活が途切れ、生活の基盤が定まらなくなってしまいます。

薬剤師として働く前には、事前に転勤の有無を確認しておきましょう。

一人での勤務も多く忙しい

薬剤師不足が深刻化する中、一人でさまざまな業務を担う薬剤師が増えています。調剤業務に加え、事務作業や陳列業務など幅広い業務を一手に引き受けることで、過酷な労働環境に陥っています。

特に調剤併設のドラッグストアでは、複数の確認作業を経て慎重に調剤を行わなければならず、大きなプレッシャーとなっています。一人で全ての業務を抱えることで、ミスをしてしまう危険性も高まります。最近では、リモートでの支援体制が整備されつつあるものの、一人勤務の厳しさは計り知れません。

薬剤師の専門性と責任の重さに鑑みれば、適切な労働環境の確保が不可欠です。

薬剤師になるまでのコストが大きい

薬剤師を目指す道のりは経済的な負担が非常に大きいものとなっています。大学の学費だけでも、国立大学で約350万円、私立大学では約1200万円と高額です。

さらに、実家を離れて一人暮らしをする場合は、家賃などの生活費がかさみ、より大きな経済的な負担となってしまいます。

また、医師と比べると収入が伸び悩むため、取得した資格と支払ったコストが釣り合わないと感じ、経済的に余裕がない場合には薬剤師を目指すことは難しくなります。

いじめなどの人間トラブルも多い

薬剤師にとって人間関係の問題は深刻な課題となっています。

特に調剤薬局では、小規模で密閉的な環境のため、いじめなどのトラブルが起きやすくなります。

調剤薬局のような閉鎖的な雰囲気の中では、問題が表面化しにくく、解決が困難になる傾向にあります。

このような人間関係の悩みは、薬剤師のモチベーションを低下させ、職場への不満を高めかねません。

教育制度が不十分である

ブラック企業と見なされがちな理由の一つに、教育制度の不備があげられます。

新卒や転職者に対して、十分な研修を行わずに実務に着手させてしまう職場が存在します。このような環境では、成長が滞り、仕事に慣れるのにも時間がかかってしまいます。

教育制度が整っていないのは、上層部が研修への投資を無駄な出費と捉えがちなためです。薬剤師に対する適切な研修を行うことの重要性を理解していないのが実情です。

薬剤師にならない方がいい人の特徴

仕事の中断が苦手な人

薬剤師の仕事は、しばしば中断を余儀なくされます。

一包化の監査をしている最中に電話が掛かってくる、在庫チェック中に患者が来店するなど、優先して対応しなければならない場合が多々あります。

薬剤師は空き時間を利用して、薬の在庫管理や一包化監査などの作業を行っていますが、そうした業務が中断されると思うように仕事が進まなくなってしまいます。

大雑把な性格の人

薬剤師の業務には、細かい作業が多く含まれています。処方箋と薬袋の内容を見比べるなど、常に入念なチェックが求められます。まるで難易度の高い間違い探しを、勤務時間中ずっと行っているようなものです。

このように細部にまで気を配り、些細な違いを見逃さない性格でないと、薬剤師の仕事は難しくなってしまいます。多くの人が細かい性格をマイナスにとらえがちですが、薬剤師に求められるのはむしろ細か過ぎるくらいの性格なのです。

勉強するのが好きでない人

薬剤師は最新の医療知識や新薬の情報を常に学び続ける必要があります。また、生物学や化学、統計学などの知識があれば、薬と疾患の関係や薬物の効果を適切に判断できます。

さらに、調剤や服薬指導では精密な計算力が求められます。勉強が苦手な人や計算が得意でない人は、薬剤師の仕事が負担になる可能性があります。

事前にその職務内容を十分に理解し、自分に合っているかを慎重に検討することが大切です。

薬剤師になって後悔した時の対処法を紹介

カウンセラーや心理士のサポートを受ける

薬剤師としての後悔に直面した際は、専門家のサポートを求めましょう。そうすることで、感情の整理やストレス管理、メンタル面での回復など、様々な面で助けを得ることができます。

職場には従業員支援プログラムやメンター制度があり、職場環境や職場特有の問題に対処するための支援を受けられます。これらのプログラムや制度を上手に活用することで、スムーズに専門家の支援を受けることが出来ます。

さらに、精神科医や心理士による診断と治療を受けることで、深刻なメンタルの問題にも適切に対処できます。専門家のサービスを最大限に活用し、後悔と向き合いながら、成長の機会に変えていくことが重要です。

職場を変える

薬剤師として後悔を感じているのであれば、新しい環境に飛び込んでみるのも一つの選択肢です。職場を変えれば、新たな業務内容に触れられるだけでなく、これまでとは違う視点や方法を学ぶ機会が広がります。新しい上司や同僚との出会いを通して、自分にはなかった考え方に気付くかもしれません。

また、自分に合った働き方を見つけ直し、将来のキャリアを発見できるチャンスにもなるでしょう。環境が変わることで人間関係が改善され、ストレス軽減やメンタルヘルスの向上にもつながります。

新たな挑戦は自己成長やキャリアアップのきっかけとなり、過去の後悔を前向きに捉え直すことができるはずです。

転職する

薬剤師として後悔を感じているあなたに転職をおすすめします。新しい仕事では、予想外のスキルや知識を身に付け、自分に合った仕事に出会えるかもしれません。

環境や業務が一変することで、新たな挑戦ができます。そうした過程で成功体験を積み重ねていくことで、やりがいを感じられるでしょう。異なる分野での経験を積むことで、キャリアの選択肢が広がります。

転職は後悔を払拭し、新しいポジションでの成功を収めるチャンスでもあります。

後悔を前向きなエネルギーに変え、キャリアを再構築するための有効な手段にしましょう。

転職エージェントを活用してサポートを受けよう

薬剤師としてキャリアをスタートしたものの、自分の選択を後悔することもあるかもしれません。しかし、一度決めた道を諦めるのは簡単ではありません。そんな時は、転職エージェントの活用を検討してみましょう。

転職エージェントは、あなたのこれまでの経験を振り返り、将来の展望を描くためのサポートをしてくれます。自分で求人を探すのも良いですが、エージェントを活用することで新たな可能性や視点が見えてくるでしょう。特に薬剤師としての経験やスキルを生かせる職場を見つけるのに、エージェントの専門知識とネットワークは大きな力になります。

エージェントはあなたの経歴を細かく分析し、適切なアドバイスをしてくれます。自己PRや志望動機の作成、面接対策など、次のステップに向けた準備も一緒に行えます。

これらのサポートによって、あなたにとって最適なキャリアプランを立てることができるはずです。

薬剤師を辞めるか迷っている場合は

自分のモチベーションを再確認する

薬剤師の仕事は大変なことも多く、辞めたいと思う時もあるでしょう。

そんな時こそ、なぜ薬剤師を目指したのかを振り返り、自分のモチベーションを再確認することが重要です。

患者の健康を守り、医療に貢献したいという使命感を思い出してみましょう。そうした原点に立ち返ることで、原動力を取り戻せるはずです。

自己ケアと健康管理を心がける

薬剤師として長く活躍するためには、自身の健康管理が欠かせません。

適度な運動やバランスの取れた食事、十分な睡眠時間を確保することが心身を最適な状態に保つ鍵となります。

ウォーキングやヨガ、軽いジョギングなどの日常的な運動は、ストレス発散や体調維持に役立ちます。運動は心身をリフレッシュさせ、持続的に仕事に打ち込める源となります。

さらに、定期健診で体の状態を把握し早期対応することも大切です。

このようなセルフケアに取り組むことで、体調が整い仕事にも充実感が得られるでしょう。

スキルアップを目指す

医療と薬学の世界は絶え間なく進化し続けています。日々更新される医療情報や薬剤情報に対応するため、薬剤師には常に最新の知識を吸収し続ける姿勢が求められます。

忙しい業務の合間を縫って学習時間を確保するのは容易ではありませんが、時間を有効活用し、学習を日常的な習慣として定着させることが成功の鍵となります。

さらに、研修認定薬剤師、認定薬剤師、専門薬剤師といった資格取得を目指すことで、学習にも明確な目標が生まれ、モチベーション維持にも繋がります。

自分に見合った職場を見つける

薬剤師として働く際、多くの方が適切な職場を見つけることに悩んでいる方も多いでしょう。大手薬局と中小薬局、それぞれに長所と短所があります。

以下では大手と中小の薬局の違いについて、両者を比較してみました。

大手の薬局

大手の薬局への就職は、経営の安定性が高く、倒産リスクが極めて低いメリットがあります。店舗数の多さから、職場環境や人間関係に問題があれば異動で解決できる可能性があります。また、研修や勉強会への参加が比較的多く、スキルアップや知識の拡充ができ、自信につながります。

一方で、大手企業ならではの多くのルール・手続きがあります。上層部の意思決定に時間がかかったり、事務作業が増える傾向にあります。特に報告書作成など、事務作業に多くの時間を割かれることもあります。

中小の薬局

中小薬局への就職の長所としては、自身の裁量が比較的大きく、積極的に業務に関われることです。また、経営者との距離が近いため、アイデアを直接提案しやすい環境にあります。地域密着型であれば、異動の心配も少なく、安定した勤務が可能です。

一方、短所としては、最新機器の導入が遅れがちです。

さらに、中小企業の場合は人間関係のトラブルがあると対処が難しく、ワンマン経営の場合は間違いの是正が困難な場合があり、人手不足や研修の不足、マニュアルの未整備など、業務環境が十分でない可能性もあります。

また、評価基準が曖昧で人事評価が適切に行われないリスクもあります。

自分に適した就職先を知ろう

ドラッグストア

ドラッグストアは、医薬品や健康関連商品を専門に扱う小売店です。

ここでは、漢方薬や健康食品の選び方のアドバイス、在宅介護の支援、禁煙のためのアドバイス、ドーピングについての相談対応などを行っています。

これらには専門知識を必要とするものもあり、実際に、それを用いて対応をしている薬局薬剤師もいます。

製薬会社

医薬品の開発から製造、情報提供、化粧品の品質管理まで、製薬会社は幅広い分野で専門性を発揮しています。新薬の発見から承認までの長い道のりを歩み、開発された医薬品の品質を一貫して維持することが製薬会社の重要な役割です。

また、医療従事者への適切な情報提供を通じて、医療の質の向上にも貢献しています。

さらには、化粧品事業においても薬剤師の専門知識が生かされ、安全な製品作りに携わっています。

行政

行政機関に勤める薬剤師を行政薬剤師と呼びます。国や県庁、保健所など、様々な場所で活躍しています。

例えば、薬事監視員として医薬品の表示、保管、適正使用について調査・指導・監視を行っています。また、公立の衛生研究所などでは、試験検査や医薬品の研究に従事しています。

さらに、警察や自衛隊においても、麻薬取締官や自衛隊薬務官として勤務する薬剤師がいます。麻薬対策や軍隊での薬剤管理などの特殊な分野でも力を発揮しています。

病院・診療所

医療機関では、薬剤師が薬剤に関する多岐にわたる業務を担っています。調剤や注射剤・点滴の調製と管理、適切な服薬指導に加え、在庫と品質管理も重要な役割となります。

特に、薬物治療モニタリング(TDM)は、患者個々に最適な投与量や方法を血中濃度から決定するため、安全で効果的な薬物治療に欠かせません。

また、副作用による食欲不振時には、栄養サポートチームとして医師へ提案したり、患者や家族に栄養剤について説明・指導を行うこともあります。

卸売販売会社

卸売販売会社は、様々な供給元から一括で商品を仕入れ、専門的な流通ルートを通じて消費者へ商品を届ける役割を担っています。中でも、病院や薬局向けの医薬品卸売会社には、専門知識を持った薬剤師が在籍しています。

ここでの薬剤師は、薬品の保管・管理を適切に行い、正確性と安全性を確保する重要な役割を果たしています。

また、豊富な専門知識を活かし、医療機関からの具体的な問い合わせに対応することで、医療の質の向上に貢献しています。

学校

学校には教育機関としての役割だけでなく、児童生徒の健康を守る重要な責務があります。その一環として、学校医や学校歯科医と連携しながら、薬剤師が学校保健活動に貢献しています。

薬剤師の主な役割は、プール水の検査や水道の点検など、学校施設の衛生管理にあります。さらに、教室の空気環境や騒音レベルなどを定期的に確認し、適切な指導・助言を行っています。

また、薬剤師は児童生徒に対して薬の正しい使い方や薬物乱用防止、たばこやアルコールの害などについて授業を行うこともあります。

薬剤師を続ける場合のキャリアプラン

認定薬剤師になる

高度な専門性を備えた薬剤師は、今後ますます重要な存在となっていきます。感染症や漢方・生薬など、特定分野に特化した認定薬剤師は、先進的な医療を支える上で欠かせない役割を果たします。

一般的に薬剤師の年収は初任給から平均より高めではあるものの、経験を重ねても伸び悩む傾向にあります。しかし、認定薬剤師になれば給与面でのメリットがあり、転職にも有利に働くでしょう。

元々勉強好きな人が多い薬剤師にとって、認定資格の取得は魅力的な選択肢の一つと言えます。専門性を高めることで、収入アップとキャリアアップの両立を図れるため、多くの薬剤師が目指す道でもあるのです。

管理職になる

薬剤師のキャリア進展として、管理職になることが挙げられます。調剤薬局や病院で、薬剤師を管理する立場となり、顧客サービスや後進の育成に携わることができます。

大手企業では、複数の薬局を統括するマネージャーや人事方針を決める役職に就く可能性もあります。

ただし、そのような役職に就くためには、空きポストがある必要があります。もし機会がない場合は、転職を検討するのも良いでしょう。

職場を変えてみる

薬剤師として培った専門知識と経験を、職場を変えて生かすことも大事な選択肢です。

この際には、自身の志向性やライフスタイルに合わせて、適切な就職先を見極めることが大切になります。

そこで、以下で薬剤師としての主な職場をまとめました。

ドラッグストア

ドラッグストアで働く薬剤師には、比較的高い給与水準が期待できる一方で、長時間労働や休日が少ないことが課題となります。OTC薬のみならず調剤業務を行う店舗が増えたことで、専門知識が求められ、地域医療に貢献できる点は魅力的です。

しかし、レジ業務や商品陳列など本来の業務以外の仕事も負担となる場合があります。また、OTC薬販売のみでは専門性を十分に発揮できないと感じるかもしれません。

MR

製薬会社に所属する薬剤師は、自社製品を医療従事者に販売促進しています。その活躍次第では高い報酬を得られる可能性があります。

MRの大きな醍醐味は、医療従事者との緊密な関係を築くことができる点にあります。医療分野に貢献できるため、自己実現にもつながるでしょう。また、有給休暇が取りやすく、プライベートとの両立も図りやすい環境が備わっています。

一方で、全国転勤や出張の可能性、学会や接待で休日が割かれることもあり、不規則な働き方を強いられます。特に女性は、家庭を持つと継続が困難になる場合もあり、ライフスタイルの乱れにも注意が必要です。

大学や研究機関

薬剤師として研究の道を歩むことは、専門性を極めるための素晴らしい選択肢です。しかし、その道は狭く競争が激しいため、容易なものではありません。また、キャリアの初期段階では給与が低い可能性があります。

一方で、自身の関心分野に長く没頭できる機会に恵まれ、勉強を重ねながら専門性を高めていくことができます。大学に所属すれば、将来的には教授として自らの知見を次世代に伝えられる喜びもあるでしょう。

公務員

薬剤師としてキャリアを積む際、公務員への道も選択肢の一つとなります。

地方公務員として病院や行政機関で働くことも可能ですし、厚生労働省などの中央官庁で重要な業務に就くこともできます。公務員薬剤師という職業は、社会的評価が高く信頼されています。

公務員薬剤師のメリットは、社会に貢献できることから得られる達成感や充実感にあります。また、手厚い待遇面での処遇も魅力的です。

一方で、地方公務員は給与水準が低めで副業が認められないことや、国家公務員は臨床現場から離れることが課題となります。

調剤薬局

調剤薬局の薬剤師は、医療機関から受け取った処方箋に基づき、専門知識を活かして薬剤を調製するなどして貢献しています。

様々な医薬品に触れる機会が多いため、薬剤師としての専門性を幅広く磨くことができます。また、地元で勤務することで、医療機関や患者との関係が深まりやすいです。そのため、地域に根ざした貢献ができます。

さらに、テレワークが難しい薬剤師の仕事の中で、調剤薬局は比較的休暇が取りやすくなっています。夜勤がほとんどないため、プライベートと仕事を両立しやすいメリットがあります。

転職エージェントを活用しよう

薬剤師の求人市場が活況を呈している今日この頃、病院や調剤薬局に留まらず、ドラッグストアや製薬会社、保険会社など、多様な選択肢が広がっています。

しかし、自分に合った求人を見つけるのは簡単ではありません。そこで役立つのが転職エージェントの活用です。転職エージェントは、あなたの希望をしっかりと聞き取り、マッチする求人を紹介してくれる上に、多くが無料で忙しい薬剤師でも気軽に利用できます。

さらに、一般に知られていない求人情報や労働条件の相場、面接対策までサポートしてくれるので、納得のいく転職が可能になります。

高度な専門性が求められる薬剤師の転職活動は慎重になりがちですが、転職エージェントを上手く活用することで、スムーズにキャリアアップやキャリアチェンジができます。

薬剤師がやめとけと言われる理由まとめ

この記事では、薬剤師という仕事の魅力と厳しい現実を紹介しました。

薬剤師には長時間労働や高いストレスなど、多くの課題がありながらも、医療の現場で重要な役割を担っています。

こうした厳しい環境を理解した上で、人々の健康に貢献したいという熱意があれば、やりがいのある職業だと言えるでしょう。