病院で働く介護士の仕事内容は?メリットやデメリット・給料などを解説

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介護士といえば介護施設や訪問介護サービスで活躍するイメージが強いですが、実は病院においても重要な役割を担っています。

この記事では、病院で働く介護士の具体的な業務内容や、勤務のメリット・デメリット、給与水準などについて詳しく解説します。

介護の仕事に興味がある方はもちろん、介護士として経験を積んだ上で病院勤務に挑戦したいと考えている方にも参考になる情報が満載です。

病院で働く介護士の仕事内容を紹介

病院で働く介護士の仕事内容

病院で働く弁護士の業務は、主に3つに分けられます。

入院患者さんの介助業務

入浴の介助

体の不自由な患者さんに対して、一人では入浴が困難な場合に介助を行います。病院には、一般的な家庭用浴室のほか機械浴室や特殊浴室が用意されています。

それぞれの状況に合わせて適切な浴室を選び、きめ細かなサポートを提供することが求められています。

排泄の介助

排泄の介助では、患者さんのおむつ交換や排せつ物の処理、パッドの交換をします。この際には、患者さんのプライバシーを守ると同時に羞恥心への配慮も忘れないようにしましょう。

自力でトイレに行けない方が感じる不便さや恥ずかしさへの思いやり、寄り添う心が欠かせません。

更衣の介助

更衣の介助では、患者さんが着替えるときにサポートをします。寝たきりの方や腕の動作に制限がある方、手術を終えたばかりの方など、多くの人がこの介助を必要としています。

介護士は一人ひとりの状況を丁寧に把握し、最善のサポート方法を見極める必要があります。

食事の介助

病院には、一人で食事をすることが困難な高齢者が多く入院しています。そのため、食べ物や飲み物が気管に入ってしまう誤嚥のリスクがあり、十分な注意が必要となります。

介護士は患者の姿勢を整えることで誤嚥を防ぎ、安全に食事ができるようサポートします。

病院の環境整備

病院で働く介護士は、シーツ交換やベッドメイキング、洗濯、病室の清掃などの日常業務に加えて、血液や嘔吐物が付着した際の対応も行う必要があります。

介護士は、講習を受けたり適切な処置方法を身につけたりするなどの環境整備を通じて病院の安全ときれいさを維持することが求められています。

看護師のサポート

看護師のサポート業務も介護士の主な役割となります。

患者データの整理と保管

病院では電子カルテが普及している一方で、一部では紙のカルテや書類も併用されています。これらのデータが適切に整理されていれば、医師や看護師は必要な患者の情報をスムーズに確認でき的確な判断と対応が可能となります。

しかし、医療情報には個人のプライバシーが含まれているため、万が一の情報漏洩が起これば重大な問題となってしまいます。

医療器具の準備と消毒

医療器具の適切な準備と消毒は、患者さんの安全を守る上で極めて重要な業務です。

もし準備やケアが不十分であれば、看護師の業務に支障が出るだけでなく、患者さんの健康にも悪影響を及ぼしかねません。

使用前の点検を怠ったり不適切な消毒をしたりすれば、感染症のリスクが高まるなどの重大な事態につながる可能性があります。

配膳の業務

一人一人のアレルギーや食事療法の制限に合わせた適切な食事を準備することが求められます。さらに、一人で食事をとることが難しい患者さんには、介助を行わなければなりません。

食事中は、患者さんの様子を常に観察し食べる量や状況をきちんと記録に残します。これにより栄養状態を適切に把握でき、健康管理に生かすことができるのです。

診察時の患者サポート

診察の際には、患者さんが安全に診療室に移動できるよう確実かつ丁寧に誘導し、必要に応じて様々なサポートをします。

診察中は患者さんと医師の橋渡しとなり、患者さんが医師の説明を理解し自身の体調や気持ちを正確に伝えられるようにします。

診察後も患者さんの移動を手助けするなど、安心して医療を受けられる環境整備に貢献しているのです。

医療物品の在庫管理と補充

介護士は、医療用品や介護用品、衛生用品などの在庫管理と補充も担当しています。ガーゼや手袋、車椅子やシーツなど幅広い品目の在庫状況を常に把握し、品切れを防ぐために定期的に発注リストを作成しています。

在庫管理を適切に行うことで、医療スタッフが円滑に業務を行える環境づくりにも尽力しています。

病院で働く介護士の1日のスケジュール例

病院で働く介護士は、早朝から深夜まで多岐にわたる業務に従事しタイトなスケジュールの中で医療ケアを提供しています。

以下は、病院で働く介護士の1日のスケジュール例となります。

時間

仕事内容

午前7時

朝礼・申し送り

患者さんの情報共有

午前8時

朝食の配膳・介助

食事介助が必要な方のサポート

午前9時

排泄介助・入浴介助


午前10時

環境整備

シーツ交換や清掃を行う

午前11時

休憩

午後12時

昼食の配膳・介助

食事介助や口腔ケア

午後2時

排泄介助・入浴介助・環境整備


午後3時

カンファレンスへの参加


介護士は、朝礼や情報共有から始まり、食事の配膳・介助、排泄介助、入浴介助、環境整備など多岐にわたる業務を行います。また、午後にはカンファレンスに参加し、患者のケアに関する情報を共有します。

休憩時間も限られており、非常に体力と時間管理が求められる職務です。このスケジュールから、介護士の献身的な働きと患者中心のケアの重要性が伺えます。

病院の種類とその働き方の特徴

病院は、医療法に基づいて提供する医療的ケアやサービス、働き方が異なってきます。

急性期:一般病棟

一般病棟では、手術や治療後の回復期にある様々な診療科の患者が入院しています。ここでは、高度な医療知識と技術を持った医療スタッフが患者一人ひとりのニーズに合わせたケアを提供しています。

介護士は、主に看護師のサポートや病室の清掃、リネン交換、食事の配膳などを行います。一方、患者への直接的なケアは主に看護師が行うことが多くなります。

回復期:リハビリテーション病棟

リハビリテーション病棟では、急性期治療を終えた患者が転院してきます。

ここでは、専門のスタッフによる集中的なリハビリテーションを最長180日間受けられ、一人ひとりのペースを大切にしながら社会復帰をサポートしていきます。介護士は療養生活のサポートから看護師の補助まで幅広い役割を担い、快適な療養環境づくりに貢献しています。

慢性期:療養病棟

療養病棟は、継続的な医療と療養が必要な患者を受け入れる場所です。個々の状態に応じたリハビリを提供しながら、長期入院による健康管理を行っています。

高齢者や難病患者、終末期ケアも必要とされ、介護士は生活支援やリハビリ支援、環境整備など多岐にわたる役割を担って看護師を補助する立場にあります。

病院勤務の介護士と介護施設勤務の介護士の違い

本章では、病院勤務の介護士と介護施設勤務の介護士の違いについて説明していきます。

求められる役割

病院勤務の介護士は、主に患者の治療を補助する役割を担います。具体的には患者の日常生活の援助、看護師業務の補佐、患者への心理的ケアなどを行い、医療チームと連携しながら治療がスムーズに進むよう支援します。

一方、介護施設勤務の介護士は、利用者の日常生活全般を主体的に支援することが求められます。食事や入浴の介助はもちろん、レクリエーションの企画や各種サービスの提供など、利用者一人ひとりに合わせたきめ細かいケアで、生活の質の向上を目指しています。

仕事内容

病院勤務の介護士は、患者の食事や排泄、リネン交換などの基本的な介護に加え、医療機器の管理やカルテの整理、リハビリや検査への付き添いなどの医療行為に関係する業務も行います。

一方、介護施設勤務の介護士は、入所者のレクリエーション企画や家族対応など、コミュニケーションを重視した業務が中心となります。

給料や待遇

厚生労働省が行った「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、病院勤務の介護士と介護施設職員の給料は以下のようになっています。

所定内給与額

年間賞与

その他特別給与額

看護助手(男)

20万9千円

49万円

看護助手(女)

20万6千円

45万1千円

訪問介護従事者(男)

26万4千円

42万7千円

訪問介護従事者(女)

24万円

39万5千円

介護職員(医療・福祉施設等)(男)

25万6千円

61万7千円

介護職員(医療・福祉施設等)(女)

23万5千円

49万6千円

病院で働く介護士(看護助手)の所定内給与額は、訪問介護従事者や医療・福祉施設等の介護職員より低いことがわかります。

しかし年間賞与を見てみると、医療・福祉施設等の介護職員よりは低いものの訪問介護従事者よりは高くなっています。

利用目的

病院は怪我や病気の治療を主な目的としており、医療的なケアに特化したサービスを提供しています。そのため、介護士は医師や看護師とともに治療チームの一員として、患者さんの回復過程において様々なケアを提供する役割を担っています。

一方、介護施設は、高齢者や要介護者の日常生活全般をサポートすることが目的です。介護士は利用者一人ひとりの生活スタイルや健康状態に合わせて、食事や入浴の介助、レクリエーション活動の企画など、生活の質を高めるためのきめ細かいサービスを提供しています。

訪問者

病院では、入院中の患者さんに対して家族や友人、知人などが広く訪問してきます。

一方、介護施設の場合は入所者が決まっているため、訪問者は主に家族に限定されます。施設外から新たに訪問者が来ることは少ないでしょう。ただし、デイサービスを利用する施設であれば、送迎時に利用者の家族と対応する機会があります。

職員

病院では、24時間365日医師や看護師が常駐しており、患者さんの容体の変化に即座に対応できる環境が整備されています。

一方、介護施設では医師は訪問診療を行うのが一般的で、施設内に常駐しているわけではありません。日常的な介護やケアは、介護士や看護師、ケアマネージャーといった専門スタッフが担当しています。

病院の求人

病院で介護職を求人する際には、一般に「看護助手」という呼称が使われていることが多いです。「看護補助」や「看護助手」というキーワードで検索すれば、病院の介護職の求人情報が見つけやすいでしょう。また、病棟勤務の職場の場合、夜勤や週末の勤務シフトがあることも珍しくありません。

介護士の資格は必須とは限らず、未経験者や無資格者でも応募可能な求人も一定数あるようです。介護施設に比べると、採用の道が広く開かれているという特徴があります。

病院勤務のメリット6選

病院勤務のメリット6選

本章では、介護士が病院で働くことのメリットを紹介していきます。

厚生制度が充実している

病院で働く職員は、法定水準を上回る多様な福利厚生サービスを受けられます。経済的支援として、資格手当や資格取得支援制度、住宅手当や宿泊施設などが含まれています。健康管理面でも、社員食堂による栄養管理や医療費・人間ドック費用の補助などの様々な制度が用意されています。

さらに、退職金制度や財形貯蓄制度などの職員のニーズに合わせた制度も整備されています。このように、病院では仕事面だけでなく、生活面でも手厚いサポートを受けられるのが特徴です。

医療関連の知識を身に着けられる

病院で働くメリットの一つは、医療に関する幅広い知識を身につけられる点です。

介護職員であっても、専門スタッフと協力しながら医療用語や最新の治療法、日々のケアについて理解を深めることができます。介護施設よりも高度な医療連携体制のもとでより専門的な知見を得られます。

介護施設よりも多様な経験が積める

病院では、医師や看護師など各分野の専門家と連携しながら、専門的な知識や経験を直接学ぶ機会に恵まれます。様々な年齢層や症状を抱えた方々が集まる場所であるため、幅広い経験を積むことができます。

さらに、患者さんの体調変化に素早く気づき、医療チームと協力して緊急時の対応力や判断力を身につけられるでしょう。

資格や経験はいらない

専門的な資格や経験がなくても病院で働くことができます。看護師を補助したり患者さんの日常生活をサポートしたりするなど、看護助手として活躍できる機会があります。

確かに一定以上の知識は必要ですが、未経験者でも段階を踏みながら身に着けていくことができます。また、病院の方が介護施設よりも肉体的な負担が比較的軽いというメリットもあります。

様々な年代の患者さんと接する機会がある

病院勤務の大きな魅力は、幼児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんと関わり、一人ひとりのニーズに合わせたケアを提供できる点にあります。

診療科目によっては医療処置のサポートや環境整備なども業務に含まれるため、身体介助が中心ではない環境では身体介護以外のケアやサポートに重点を置くことができます。

回復した患者さんを見送ることができる

加えて、病院ならではの醍醐味として、治療を受けて元気になった患者さんが退院する姿を直接見届けられる喜びがあります。

また、患者さんの入院から退院までの過程を支え続け、生き生きとした笑顔を目にする機会に恵まれます。このようなやりがいは病院勤務の大きな魅力となっており、介護施設では得がたい喜びだと言えるでしょう。

病院勤務のデメリット5選

病院勤務のデメリット5選

次に、介護士が病院で働くことのデメリットを紹介していきます。

スキルアップが難しい

病院での仕事は資格が不要で始められますが、スキルアップが難しいというデメリットがあります。主な業務は医療スタッフの補助で、独自の介護技術を磨く機会が少ないのが理由です。

将来的に高齢者介護の専門性を身につけたい人にとっては、病院勤務は向いていないかもしれません。医療スタッフの補助業務が中心なので、介護スキルを伸ばすには適していないと言えるでしょう。

キャリアアップがしづらい

介護士として病院で働く場合、キャリアアップの道のりは決して平たんではありません。上位職への昇進は容易ではなく、施設勤務のように介護福祉士やケアマネージャーの資格を取得してスキルを高める機会が少ないためです。

一方、介護施設では、介護福祉士やケアマネジャーの資格を取得することでキャリアを広げる機会が用意されています。しかし、病院勤務の介護士にはそうした機会が少なくキャリアアップを目指すうえで大きな障壁となっています。

医師や看護師との上下関係が存在する

病院では、治療が中心として進められていくため、医師や看護師が主導的な役割を担っています。しかし、これは医療従事者同士に上下関係があることを意味するものではありません。

医師や看護師は業務を進める上で欠かすことができない存在であり、看護助手や介護士はそれらの方々をサポートしています。チーム内で、適切なコミュニケーションと相手への尊重が求められますが、時として上下関係を感じてしまうこともあるのです。

主体的に動きづらいことがある

介護職員が病院で働く場合、医療の専門家である医師や看護師の指示に従わなければならず、自分の判断で介護方法を決めることには難しい面があります。

これまで自主的に介護を行ってきた人や独自の介護理念を持つ人にとっては、主体性が発揮しづらい病院勤務は不満の種になるかもしれません。自分の意思で介護を行い、自己実現を目指したい場合、病院勤務では希望を十分に満たせないでしょう。

感染症のリスクに注意が必要

病院は感染症を持つ患者が日々出入りする場所であるため、介護施設などと比べても感染する危険性が高くなります。職員は常に、感染症対策をする必要があり、特に新型のウイルスが流行するときなどはリスクが一層高まります。

このように、様々な感染症に接触する可能性が病院勤務のデメリットの一つと言えます。

介護士が取っておきたい4つの資格をご紹介

医療現場で介護士や看護助手として働く際、資格は必須ではありませんが、専門的な知識とスキルを身につけるためには資格の取得がおすすめです。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)

介護の分野に興味がある方におすすめなのが、「介護職員初任者研修」の資格です。この資格は介護の入門として最適で、学歴や経験は問われません。年齢や他の資格の有無に関係なく、初心者でも安心して学べるカリキュラムが用意されています。

具体的には、シーツ交換といった基本的な介護技術を詳しく学びます。カリキュラムでは、シーツ交換の目的と手順、注意点に加え患者さんへの配慮の仕方などの細かい部分まで丁寧に教えてくれます。

介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)

「介護福祉士実務者研修」では、介護の技術はもちろん、認知症ケアや医療的なケアの方法も学べます。喀痰吸引や経管栄養などの医療行為の一部も実践できるようになります

受講のために必要な条件はなく、未経験者や他の資格を持たない方でも受講可能です。初任者研修を受けていない方でも、この実務者研修を修了すればすぐに介護の現場で活躍できる力が身につきます。

さらに、2017年から介護福祉士の国家試験を受験する上で必須となっているため、介護福祉士を目指す人にとっては大切な一歩となるでしょう。

介護福祉士

「介護福祉士」は国家資格であり、長年の経験を積んで高度な知識とスキルを身につけた人に与えられる資格です。

介護福祉士の活躍の場は多岐にわたり、介護施設や訪問介護、通所介護などのサービスのほか、医療機関における療養病棟でも重要な役割を果たします。介護のエキスパートとして専門的な知識と経験が必要とされる一方で、実力を存分に発揮できる場でもあります。

さらに、介護福祉士はリーダーやマネージャーとしての役割も担い、後進の指導や育成にも携わることができます。

看護助手

さらなる専門的な知識と技術を身につけるための資格として、「メディカルケアワーカー」や「看護助手認定実務者試験」があります。これらは民間資格ですが、基本的なスキルや薬の知識を習得するためのものとなっています。

看護助手の資格を取得することで、一般病棟での具体的な業務の進め方や医療チームとしての役割を理解できます。様々な知識と技術を活用してより効果的に仕事に取り組めるようになります。

一方、療養病棟で働くことを考えている方は、介護の初任者研修や実務者研修を受講し、より専門的な介護技術を身につけることがおすすめです。

病院勤務に向いている介護士の特徴

病院で働く介護士には、本章で紹介する特徴を持っているかを見極め、病院勤務に向いているかを判断する一助としてください。

医療の現場で働きたい人

医療の知識と経験を積みたい方々におすすめなのが病院での勤務です。

病院では、看護師をサポートしながら様々な医療知識を吸収できます。多職種の医療スタッフと密接に連携しながら業務を行うことで、看護助手としての経験を豊富に積むことができるでしょう。

一方で、介護施設では医療処置は限られており、医学的知識や対応経験を習得するのが難しい状況にあります。そのため、医療の現場で実践的な経験を積みながらスキルアップを図りたい方にとってぴったりです。

資格や経験がなくても介護職を目指したい人

介護の仕事に興味はあるものの資格や経験がないのを不安に感じている方には、病院での看護助手の仕事がおすすめです。看護助手は看護師の補助的な役割を担いますが、資格や経験を重視しない求人が多くあります。また、病院勤務は介護施設に比べて身体的な負担が少ない場合もあります。

直接的な介護作業は少なくても介護の仕事に携わることができます。介護の仕事に興味があり身体的な負担が少ない環境で働きたい方には、病院での看護助手の仕事がおすすめです。

高齢者以外の幅広い年代の方のお世話をしたい人

介護士として病院勤務をすれば、高齢者だけでなくさまざまな年代の患者と接する機会があります。柔軟性と適応力が求められる一方で、専門知識や技術を磨く機会も増えます。

年齢を問わず自分のスキル発揮したい方や対人関係を大切にしたい方にとって、病院勤務は適した職場環境と言えます。

体力的な負担を軽減したい人

介護スタッフにとって、病院勤務は体力的な負担が少なくなる良い選択肢です。病院では医療チームで協力し合うため、介護スタッフが一人で負担のある業務を行うことは少なくなります。

移乗や体位変換などの肉体労働は、看護師や他のスタッフと一緒に行うことが一般的です。そのため、それぞれの負担が分散され個人への負荷が軽減されることでしょう。加えて、病院では患者の自立支援が重視され、自力で行動できるようになることが奨励されています。

細部に気を配れる人

介護士は、様々な年齢の患者に対応し他のスタッフと協力しながら幅広い業務を行います。そのためには、一人ひとりの患者のニーズをくみ取ってスタッフ間の連携を密に保つ配慮が不可欠です。

患者一人ひとりに合わせたきめ細かいケアを提供すると同時に、円滑に業務を遂行させるためにもスタッフ間の協力体制を築くことが重要となります。

このように、細部まで気を配り快適な環境作りに貢献できる介護士こそが、病院勤務に適していると言えます。細やかな配慮は、患者だけでなく自身の業務にも良い影響を与え結果として病院全体の運営向上にも寄与することでしょう。

病院勤務で得られるやりがい

医療現場で働く充実感は想像以上に大きいものです。療養病棟で働く介護士や看護師は、患者さんの笑顔を見ることで大きな喜びと達成感を感じています。

日々の困難を乗り越える力は、こうした喜びと意義から生まれているのです。

「人生の最期を見送るお手伝い」

介護士として15年間の経験を持つ介護福祉士のKさんは、終末期の患者さんを支えることに大きなやりがいを感じています。

「療養病棟では、治療後で家に帰りたいものの医療的なケアが必要な患者さんを受け入れています。家族では十分な介護が難しい重症の患者さんや、難病や末期がんの方々も長期入院されます。私たちは単に命を延ばすのではなく、その人らしい生活を尊重し家族の負担を抑えながら安心して最期を迎えられるようサポートすることを大切にしています。医療スタッフと連携し、痛みを和らげる方法を見つけたり、穏やかに時を過ごせるよう工夫しています。

そして、最期の時が来たとき、患者さんとご家族と共に悲しみを分かち合い寄り添うことが、『よい死』を迎えるための手助けとなります。ご家族から「よい最期を迎えられた」と感謝の言葉をいただけることが、この仕事の最大の喜びです。」

「介護士とのチームケア」

63歳の看護師長のYさんとその療養病棟のチームは、35年もの長い経験を通して、看護師と介護士が協力してチーム医療を行うことの大切さと喜びを実感してきました。

「療養病棟では、患者一人ひとりのケアに看護師と介護士がチームを組んで取り組むことが多いのです。それぞれ異なる専門性を持っていますが、お互いにコミュニケーションを取り合うことで、新しいアイデアや気づきが生まれ、仕事にやりがいを見出すことができています。看護師は主に医療的ケアを担当し、介護士の提案や手法は介護面で活かされます。

看護師と介護士の信頼関係が深まれば、患者への気配りの質も高まります。介護士の心遣いは、患者や家族に安心感と大切にされているという実感を与えます。それぞれの役割は異なれど、共通の目的は患者の日常生活をサポートすることにあります。このチームワークの過程こそがやりがいの源泉となり、情熱を持って働き続ける原動力となっているのです。」

「患者さんとご家族との関わり」

20年以上にわたり療養病棟で勤務する介護士のMさんは、患者さんとご家族との深い関わりを何よりも大切にしています。一般病棟とは異なり長期入院が多い療養病棟では、家族との絆を深めながら患者さんの生活を支えることができます。

Mさんは、患者さんの体調や日常の様子を詳しく伝えることで、ご家族の安心感と信頼関係を得ようとしています。このようなコミュニケーションを通じて家族の不安を解消し、確かな信頼関係を築くことができるのです。

「特に喜びを感じるのは、患者さんの回復過程をご家族と共有できる瞬間です。わずかな改善の兆しを見逃さず、家族に伝えることで喜びを分かち合えます。そのような時、家族からの感謝の言葉は、私の仕事への誇りとやりがいを一層高めてくれます。

家族との緊密な関係を通して、単なる介護の技術だけでなく、患者さんとのコミュニケーション力も磨いてきました。ご家族からの貴重な意見を参考にしながら、患者さんが安心して過ごせる環境づくりに尽力することが、私と同僚たちの最大の喜びとなっているのです。」

病院介護士のリアルな手取り給料事情

病院介護士は、患者さまの身体的・精神的なケアを行い医療チームの重要な一員となっています。しかし、その給与水準は必ずしも高くありません。病院介護士の手取り給与は、勤務先の環境、経験年数などによって大きく異なってきます。

基本給と手取り給料

病院介護士の収入の中心は基本給です。基本給とは、介護士の職務に対して支払われる月額の基本的な給与のことです。地域や施設によって異なりますが、概ね月額20万円から25万円程度が平均的な金額です。

しかし、基本給の全額が実際の手取り収入になるわけではありません。基本給からは所得税や社会保険料、各種控除が差し引かれるため、介護士が実際に受け取る手取り額は基本給よりも少なくなります

各種控除の詳細

手取り給料を正しく把握するには、基本給からさまざまな控除項目を引いた金額を把握する必要があります。

主な控除項目は、所得税(2,000円~4,000円程度)、住民税(5,000円~10,000円程度)、健康保険料(10,000円~15,000円程度)、厚生年金(15,000円~20,000円程度)、介護保険料(3,000円~5,000円程度)です。

実際の手取り給料

病院で介護士として働く際の実際の手取り額は、基本給から各種控除を差し引いた額となり、一般的には月収15万円から18万円程度になります。

たとえば、基本給25万円から5万円の控除があれば、手取り額は20万円になります。ただし、介護士の基本給は通常20万円前後なので、控除後の手取り額はさらに低くなることが予想されます。

手取り給料を上げる方法

介護士の手取り給与は十分ではありませんが、資格取得やスキルアップ、給与水準の高い施設への転職するなどの対策を講じることで、給料アップにつながる可能性があります。

夜勤手当や休日手当を活用

基本給だけでなく夜勤や休日出勤による手当を活用することで、手取り収入を着実に増やすことができます。夜勤手当は一回の勤務で数千円から1万円程度もらえるため、月に数回夜勤をこなせば収入アップにつながります。

また、休日出勤手当も同様に、普段の休日に働けば働いた分だけ追加収入が得られます。

資格取得

介護の仕事で収入を増やすための有効な方法の一つが、介護福祉士などの資格取得です。資格を持つことで、基本給がアップしたり資格手当が支給されたりする職場が多くあります。

さらに、専門知識や技術を身につけることで、仕事の質が向上し昇進や昇給の機会に恵まれやすくなります。

転職や給与交渉

手取り収入を増やす方法としては、転職と現職での給与交渉の2つがあります。同じ仕事でも、病院や施設によって給与水準は異なるため、条件の良い職場に移ることで収入アップが期待できます。

一方、現在の職場でも、自身の実績を説明し昇給を求めることが重要です。業績を高め評価を上げれば、さらなる収入増加につながるでしょう。

勤続年数による昇給

病院や介護施設では、長期間勤務することで知識と経験が評価され、勤続年数に応じて給与が上昇する制度が広く採用されています

長く働けば働くほど、手取り額が増える可能性が高くなります。現在の給与に不満がある方や、これから医療・介護分野で働こうとする方は、長期的に勤め続ければ給与面でメリットが得られる点を考慮するとよいでしょう。

副業の活用

介護士はシフト勤務が一般的なため、自由な時間が確保できます。この時間を活かして副業に取り組むことで、追加収入を得ることができます。

副業の内容としては、介護の経験や知識を活かした講師や執筆活動が考えられますが、全く異なる分野での仕事に挑戦するのもよいでしょう。時間的な制約はありますが、副収入を本業の収入に上乗せすることで、総収入を増やすことができます。

介護士として働くためにエージェントを利用しよう

介護の仕事に就きたい方は、転職エージェントを利用するのがおすすめです。エージェントは、あなたの希望や経験に合った求人を紹介してくれます。また、待遇面での交渉も代行してくれるため、初めての方でも良い条件で働けるチャンスが広がります。

求人紹介以外にも、面接アドバイス、キャリア相談などのさまざまなサポートを受けられます。不安なく介護の仕事を始められるように手厚くバックアップしてくれます。

働きたい職場を見つけるために、ぜひエージェントを活用しましょう。

病院介護士仕事内容まとめ

本記事では、病院勤務の介護士の仕事内容や待遇について深く掘り下げました。

介護士は、患者さんの身体的ケアはもちろん、精神的なサポートも重要な役割を担っています。

病院勤務のメリットとして、専門性の向上や充実した支援体制が挙げられますが、交代勤務や精神的ストレスといったデメリットも存在します。