サ高住の仕事内容はきつい?サ高住の働き方や辞めたい人への転職方法もご紹介

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サービス付き高齢者向け住宅での仕事に興味がある方も多いのではないでしょうか。

しかし、その仕事の具体的な内容や、時折耳にする「大変さ」については、実際にはどのようなものなのか気になるところです。

本記事では、サ高住の業務内容や働き方について詳しく解説し、転職を考えている方に向けたアドバイスもご紹介します

サ高住の仕事内容がきついと言われる理由8選

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の仕事内容が「きつい」と言われる理由には、以下の8つが挙げられます。

サ高住の仕事内容がきついと言われる理由8選

サ高住の業務が思ったより楽ではなくきつい

サ高住の仕事は、一般的に「見守りが中心で楽な仕事」と考えられがちですが、実際には想像以上に厳しい環境です。

従来の生活支援に加えて身体介護や認知症ケア、医療的ケアなどのより専門性の高い対応が求められるようになっています。

さらに、24時間体制の勤務が必要とされるため、長時間労働を強いられることも多く体力と精神力が大きく消耗される厳しい業務です。

スキルアップや資格の取得に向いていない

業務内容は主に入居者の日常生活のサポートが中心となりますが、介護の専門性を高める機会が少ないと指摘されています。

入居者の多くが自立した生活を送れるため、介護施設と比べてスキルアップが難しいと感じられることが多いです。

特に、専門的な介護スキルを身につける目的でに就職した人や実務経験を積んで資格取得を目指していた人にとっては、期待していた成長の機会が少なくやる気を維持するのが難しくなることがあります。

サ高住での働き方に不満

職員の中には「やりがいを感じられない」と感じる人が少なくありません。

これは、主な業務が入居者の居住と安全の確保であり、介護スキルを十分に発揮する機会が限られているためです。

特に、介護資格を取得するために多くの時間と労力を費やしたにもかかわらず、その専門性を活かせないことがやりがいを感じにくい原因となっています。

サ高住の入居者との関係がうまくいかない

​また、入居者が自由な生活を希望することが多いため、時には過剰な要求が寄せられることがあります。

スタッフは入居者と密接な関係を築く必要がありますが、これらの要求に対処する中でストレスが蓄積し対応に苦労することもあります。

サ高住は人手不足で忙しい

さらに、慢性的な人手不足が続いているという点も理由の一つです。

施設のサービス内容や必要な職員数に具体的な基準がないため、利用者の数やケアの種類・程度によっては職員が常に多忙を極める状況になる傾向にあります。

この過酷な労働環境は過労によるミスの増加を招くリスクがあり、細かい点に気を配る余裕がなくなることで利用者や職員自身の怪我や事故のリスクが高まります。

そのため体力的・精神的に限界を感じ、介護職を続けることが難しいと考える職員が増えているのです。

管理者の運営が不安定

サ高住は比較的立ち上げが容易なため、経験の浅い事業主が参入するケースが増えています。その結果、適切なケアや収益管理が行われず閉鎖や倒産に至る施設も存在します。

経営状況の悪化は人件費の削減につながり、従業員の労働環境や賃金水準の低下を招いているのが実情です。

サ高住で働く給料が低い

サ高住で働く介護職は過酷な労働環境に加えて低賃金であることが多く、従事者の負担が大きくなっています。

特別養護老人ホームと比べると介護負担が軽い場合もありますが、それでも賃金が安いと感じることが少なくありません。

しっかりと働いているにもかかわらず適切に評価されないことは、従業員のモチベーションを大きく損なってしまいます。

サ高住は夜勤がきつい

サ高住での夜勤は、長時間労働が求められることから非常に負担が大きいです。

利用者は比較的元気な高齢者が多く緊急対応の必要性は少ないものの、施設によっては一人体制で夜勤を行う場合があり、心身ともに大きな負担がかかります。

また入居者が多い場合には、各人のケアに追いつけず精神的なストレスを感じることもあります。

サ高住の業務内容について

要介護度別の入居者数を以下の表にまとめました。

区分

サ高住(非特定)

自立・認定なし

10.8%

要支援1

6.7%

要支援2

7.6%

要介護1

22.2%

要介護2

19.4%

要介護3

13.4%

要介護4

11.2%

要介護5

6.8%

不明・申請中等

1.8%

平均要介護度

2.0

出典:PwC コンサルティング合同会社『令和3年度老人保健事業推進費等補助金 高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究報告書

かつては自立した入居者が多数を占めていましたが、現在は要介護者や認知症の方も多数入居しています。そのため、従来の安否確認や生活相談だけでなく施設内での介護業務が増えてきています。

サ高住では原則介護業務はしない

サ高住には「特定施設入居者生活介護」と一般的な住宅の2種類があります。

前者は介護が必要な高齢者をサポートする施設ですが、大多数を占める後者の一般型では、入居者が介護を必要とする場合、外部の専門サービスを利用します。

そのため、一般型のサ高住では職員が直接的な介護業務を行うことはなく、高齢者の自立した生活を支援する運営能力やコミュニケーション能力が求められます。

入居者の安否や状況を確認する

サ高住の業務の一つが入居者の安否確認と状況把握です。

安否確認は命に関わる重要な業務であり、それだけでなく日常生活の細かな変化を見逃さず適切な対応につなげることも求められます。

そのため最低でも1日1回、スタッフが入居者の部屋を訪問し状況確認を行うことが義務付けられています。

さらに、施設内の共有スペースなどで積極的に入居者と交流し、日常会話を通じてさまざまな情報を収集しています。

入居者から生活相談を受ける

また、生活相談のサービスも行っています。

日々の生活に関する質問や悩みに丁寧に対応し、電球の交換といった些細な問題から受診すべき医療機関の相談まで幅広い範囲の相談に対応します。

買い物代行や掃除、洗濯などの自立した生活を支える日常生活のサポートも行っています。

さらに緊急時の対応も含まれ、高齢者が安心して過ごせる環境を整えることを目指しています。

サ高住の夜勤について

加えて、夜間の緊急時に備えるための人員が配置されています。

その配置人数は施設の規模や入居者の状況によって異なますが、単独で対応する場合もあれば複数のスタッフが連携して夜間の安全を確保することもあります。

サ高住で働くことに向いている人

サ高住で働くことに向いている人の特徴は、以下のような点が挙げられます。

サ高住で働くことに向いている人

高齢者と話すのが楽しい

サ高住での仕事には、温かさと優しさが欠かせません。

高齢者に安心感を与え共感を持って接することが求められるため、高齢者とのコミュニケーションを楽しむことができる人は、サ高住での仕事に非常に向いています。

特に接客業などで対人スキルを磨いた経験がある方は、高齢者との自然な会話を通じて彼らの不安を和らげニーズを的確に把握することができるでしょう。

掃除や洗濯などの家事が得意

家事が得意な方やそのスキルを活かしたいと考えている方にとっても、サ高住での仕事はおすすめできます。

掃除や洗濯、料理といった日常業務を通じて住人に快適で安心できる居住環境を提供することができます。

家事のスキルを活かしながら、人々の生活をサポートする仕事にやりがいを感じられるでしょう。

サ高住に役立つ業務経験がある

サ高住で働くためには、介護や接客業などの人と接する経験も求められます。

これらの経験を通じて培ったコミュニケーション能力や相手の気持ちを汲み取る力は、サ高住のような高齢者に対する配慮が必要な環境で大いに役立ちます。

例えばホテルのフロントスタッフとしての経験がある方は、多くの人々と円滑にコミュニケーションを取るスキルを持っているでしょう。

また訪問介護の経験者は、介護のノウハウに加え利用者一人ひとりの体調や気持ちに寄り添った対応ができます。

サ高住に向いていない人

サ高住での仕事には上記のようなスキルが求められる場合がありますが、すべての人がこの職場に向いているわけではありません。

次に、向いていないとされる人の特徴について紹介します。

大勢とのコミュニケーションが苦手

サ高住では様々な性格の入居者が暮らしているため、気難しい入居者や不満を抱えている入居者ともコミュニケーションを取る必要があります。

そうした入居者とのやり取りが苦手な方にとって、施設での生活はストレスを感じやすくなるでしょう。

特に自立した入居者が多い施設では、入居者同士や職員との間でトラブルが発生しやすいため人間関係のスキルが必要です。

介護職でキャリアアップを目指している

介護職でキャリアアップを目指す方には、サービス付き高齢者向け住宅以外の施設を検討することをお勧めします。

サ高住では、入居者の自立度が高く身体介護の機会が少ないことが多いため、介護の実践経験を積むには限界があります。

キャリアアップを目指すのであれば、実際に介護を行う場面が多い施設を選ぶと良いでしょう。

スケジュールが埋まってしまっている

また、入居者の状況に応じて臨機応変に対応することが求められるため、予定外の出来事が頻繁に発生します。

このような環境では、自分の業務が計画通りに進まずストレスを感じることも少なくありません。そのため、突発的な業務に対処するのが苦手な方にとってはサ高住での勤務は厳しいかもしれません。

一方、一般の介護施設ではスケジュールが比較的決まっているため、自分のペースで業務を進めることが可能です。

サ高住を辞めたいときの対処法

サ高住の仕事を辞めたいと感じたときには、まずは冷静に状況を整理し対処法を考えることが必要です。

次に、辞める際に考慮すべきポイントや適切な対処法について詳しく解説します。

辞めたいことを上司に相談する

退職を考えるときは、まず上司と話し合うことをお勧めします。仕事や職場環境への不満や悩みは、上司と相談することで解決できる可能性があるからです。

たとえば、人間関係の問題やシフト、仕事内容に不満がある場合は上司と話すことで状況を改善する手立てが見つかることがあります。

また、同僚や先輩、管理職やケアマネージャーにも相談することでより効果的なアドバイスを得ることができるでしょう。

サ高住を円満に退職するために

退職を円満に進めるためには、まず退職を考えている理由を明確にすることが重要です。

状況を改善する他の方法がないか、転職以外の選択肢もあわせて検討しましょう。そして、退職を決意した場合はできるだけ早く上司にその意思を伝えることが大切です。

退職予定日の1か月前までには伝えるのが一般的ですが、就業規則を確認して適切なタイミングを確認してください。

退職が受理されたら業務の引き継ぎを円滑に行うよう心掛けましょう。後任者がいる場合は直接連絡を取り、業務内容をしっかりと引き継げるようにマニュアルを整備しておくと良いでしょう。

退職を引き留められた場合

サ高住で働く際、退職を望んでいても職場の人手不足を理由に退職を認めてもらえないことがあります。

そのような場合、我慢せずに労働基準監督署に相談することをおすすめします。労働基準監督署は労働法令の遵守を監督する機関であり、職場環境に問題がある場合指導や勧告を行い、労働者の権利を守ってくれます。

サ高住の概要

サ高住は、高齢者が安心して自立した生活を送れるよう住居と支援サービスを一体化した施設です。次に、その概要について詳しく説明します。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、高齢者が自立した生活を送りながらも必要な支援を受けられる賃貸住宅です。

対象は60歳以上の方で、バリアフリー設計が施されており生活相談や安否確認などの基本的なサポートを受けることができます。

介護サービスについては別途契約が必要ですが、近年では介護度が高い方でも利用できる形態が増えており、高齢者一人一人のライフスタイルに合わせた柔軟な対応が可能です。

サ高住とはどんな施設なのか

サービス付き高齢者向け住宅ではひとり暮らしや夫婦での生活が可能で、2011年10月から国が定める基準に基づいて登録制度が始まりました。

各居室には基本的な設備が整えられており、バリアフリー化されている上入居者の安否確認や生活相談を行うサービスも提供されています。

昼間は専門スタッフが常駐しており安心して暮らせる環境が整っています。

高齢者向けの他施設との比較

サービス付き高齢者向け住宅は、一般のマンションやアパートと同様に部屋を借りる形式ですが外部からオプションサービスを選択して利用することができます。

一方、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの介護施設では入居時に介護サービスを受ける権利も得られるため、基本的に外部のサービスを利用する必要がありません。

サ高住は自立した生活が可能な60歳以上の高齢者が対象ですが、認知症や要介護の方の入居が制限されている場合もあります。

介護施設は要介護度3以上の方を対象とし、日常生活全般にわたる介護が提供されます。

サ高住には2種類ある

サービス付き高齢者向け住宅には、「一般型」と「介護型」の2種類があります。

一般型は、自立した生活が可能な高齢者向けで自由な生活を送ることができますが、介護が必要になった場合には退去を求められることがあります。

介護型では、有料老人ホームと同様のサービスを受けることができますが、外出などに制限がある場合が多いです。

サ高住で働く人の実情

サ高住で働く人々の実情を理解することで、この仕事が持つやりがいや課題をより深く知ることができます。ここでは、サ高住で働く人々の実際の状況について詳しく見ていきます。

サ高住に持っておくべきおすすめの資格

サ高住では、利用者の生活を支援するために介護に関する専門的な知識とスキルが求められます。

基礎的な資格としては「介護職員初任者研修」があり、この資格を持つことで採用される可能性が高まります。

また「介護福祉士」や「実務者研修」「介護支援専門員」などの上位資格を取得すれば、介護職でのキャリアアップも期待できます。

サ高住の給料は介護職全体より高い

サービス付き高齢者向け住宅で働く介護職員の給与は、全国平均と比べると高い水準にあります。

厚生労働省の調査によるとサ高住の常勤介護職員の平均給与は31万3,920円、非常勤は13万9,960円となっており介護職全体の平均を上回っています。

しかし、給与には基本給や手当、ボーナスなどの内訳があるため実際の収入は施設によって異なる可能性があります。

出典:厚生労働省『令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果

サ高住で働く人員の配置について

職員配置基準は施設の種類によって異なります。

一般型のサ高住では、日中に常に「ケアの専門家」が最低1名勤務している必要があります。「ケアの専門家」としては介護福祉士や看護師などが含まれますが、特定の資格が必須ではありません。

一方、介護型のサ高住ではより手厚い人員配置が義務付けられており、介護職員は入居者3名に対して1名、看護職員は30名に対して1名以上の配置が求められます。

また、機能訓練指導員や介護支援専門員、生活相談員の配置も必要とされています。

サ高住から転職するときのポイント

サ高住からの転職を考える際には、これまでの経験を活かしつつ新しい環境でのキャリアを成功させるためのポイントを押さえることが重要です。

次に、サ高住からの転職をスムーズに進めるための具体的なポイントについてご紹介します。

働き方が自分に合っているか

転職先を選ぶ際には自分のライフスタイルや体調、能力に合った職場を選ぶことが大切です。

例えば、プライベートの時間を大切にしている人にとっては、デイサービスや訪問介護、グループホームなどの定時で帰れる日勤中心の職場が適しているかもしれません。

一方、介護の専門性を発揮したい人には、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどが適している場合があります。

そこで働く職員は長く働いているか

新しい職場が働きやすい環境かどうかを判断するためには、職員の定着率と求人情報の背景を確認してみましょう。

長期間勤続している職員が多ければその職場は働きやすく、職員をサポートする体制が整っている可能性が高くなります。

一方で常に求人広告が出ている施設は、労働条件や環境が良くないために職員が辞めてしまうケースが考えられます。

管理者と自分の方針は同じか

新しい職場の経営方針が自分の価値観と合っているかを確認することも大切です。

経営陣と従業員の間で理念やビジョンが共有されていれば、コミュニケーションが円滑になり働きやすい環境が整うでしょう。

しかし経営陣が現場の実情を理解していない場合は、従業員のモチベーションが下がり能力を十分に発揮できない恐れがあります。

スキルや資格は取得できるか

介護職として転職を考えている場合、スキルや資格に不安を感じている方もいるかもしれません。

そのような方には、研修制度や資格取得支援制度が整っている職場がおすすめです。

未経験者でも丁寧な指導を受けながら実務を学べる環境や、資格取得に向けた費用の援助や報奨金制度がある職場を選ぶと良いでしょう。

仕事内容はきついか楽か

サ高住での仕事が大変だと感じている方は、新しい職場の業務内容や勤務体制についても細かく確認することが大切です。転職先が大変で再び辞めたいと思ってしまっては本末転倒です。

業務内容が明確でない場合やそれらを事前に十分理解していない場合は、想定外の仕事が求められることがあり不満が生じる可能性があります。

求人サイトや転職エージェントの利用がおすすめ

サ高住からの転職を検討する際には、求人サイトや転職エージェント、ハローワークの活用が有効です。

求人サイトでは自分の希望条件に合った求人を見つけやすく、転職エージェントを利用することで効率的に自分に合った求人を探すことができます。

ハローワークでは公共の求人情報を得ることができるため、幅広く情報を収集することが重要です。

サ高住の仕事はきついのかまとめ

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の仕事は、過酷な労働環境であると言われることがあります。

本記事では、その職場の現実やもし仕事が自分に合わないと感じたときの転職のポイントについて解説しました。

厳しい環境から新たなキャリアへと進むための参考として、この記事を活用していただければ幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。