土地家屋調査士試験の合格までの勉強時間は？独学が無理と言われる理由も解説

合格に必要な勉強時間は1000〜1500時間

スキルアップ研究所で行った独自の調査結果によると、土地家屋調査士の合格までに要した勉強時間として、最も多かったのは1000〜1500時間であり、6名の回答者がこの範囲に該当しました。

次いで1500〜2000時間と2000〜2500時間の範囲がそれぞれ2名ずつ、1000時間未満と2500時間以上がそれぞれ1名ずつという結果でした。このことから、土地家屋調査士の合格には1000〜1500時間程度の勉強時間が一般的であると考えられます。

合格率が約10%と非常に低い難関試験であり、十分な学習時間を確保することが不可欠です。ただし、個人の法的知識や数学的素養、効果的な学習方法の理解度によって、必要な学習時間は異なります。

試験合格までの勉強期間は平均2年程度

合格までに1年半以上かける人が50%以上

スキルアップ研究所での独自調査によると、土地家屋調査士の合格までの期間について、6ヶ月未満で合格した人は1名、6〜12ヶ月で2名、1年〜1年半で3名、1年半〜2年で2名、2〜3年で2名、3年以上かかった人が2名でした。

結果から、1年未満で合格した人はごく僅かであり、全体の半分が1年半以上かけて合格していることが分かります。さらに、2年以上かけて合格する人も全体の3分の1を占めており、平均して合格までには約2年が必要であることが示されています。

例えば、週に平日各2時間、休日各3時間勉強すれば、1週間で16時間、1ヶ月で64時間の学習時間が確保できます。この学習ペースを1年半続けると、合計で1,000時間を超える勉強時間となります。

一方で、5年以上も長期間にわたって学習を続ける受験者もいますが、人間の記憶力は時間とともに衰えるため、過度な長期学習は必ずしも効果的とは限りません。

一発合格する人はわずか12%

東京法経学院の調査によると、土地家屋調査士試験の合格者のうち、初回で合格できたのはわずか12%にすぎません。

約3人に1人は5回以上の挑戦を重ねてやっと合格に至っているのです。理想は初回合格ですが、現実には極めて困難な試験であることがわかります。

合格までに何度も試験を受けることが当たり前な今日、この試験は一時的なものではなく、長期戦となります。そのため地道で粘り強い対策が欠かせず、失敗を乗り越える精神力が必要です。

1日あたりの勉強時間の例は？

次に​1日あたりにどれくらいの勉強時間が必要なのか、みていきましょう。

土日中心にして勉強時間を確保する場合

土地家屋調査士試験合格を目指すためには、仕事などで平日の時間が限られている場合でも、週末を中心に集中して学習することが重要です。具体的には、平日は2時間の勉強時間を確保し、土日は合計で15時間の学習時間を設けることで、月間で100時間の学習時間を作ることができます。

このペースで10ヶ月間継続すれば、総勉強時間は1000時間に達します。12月頃から本格的な勉強を開始し、翌年10月の本試験を受験すれば、十分な準備期間を確保できる計算になります。

ただし長期間に渡る学習では、モチベーションを維持することが課題となるため、工夫が不可欠です。

毎日同じくらいずつ勉強する場合

仕事がシフト制で決まった時間に勉強することが難しい環境下では、1日平均3時間の学習時間を継続することが重要です。この学習ペースを守れば、約11ヶ月弱で総勉強時間がおよそ1000時間に達します。

土地家屋調査士試験は例年10月に実施されるため、理想を言えば前年の11月頃から着手しておく必要があります。しかし、不規則な生活環境下では計画的なスケジューリングが難しいため、余裕を持った準備期間を設けることが賢明でしょう。

そのため、独学での継続が不安な場合は、土地家屋調査士向け通信講座を活用するのも一つの方法です。

土地家屋調査士試験の独学におすすめ勉強法

不動産登記法に重点をおく

不動産登記法は、この試験において出題比率が高く中核的な科目とされています。したがって、合格を最短で果たすためには、まず不動産登記法の学習に重点を置くべきです。

初学者が陥りがちな失策は、科目の優先順位を誤ることです。不動産登記法以外の科目を先に学習してしまうと、途中で挫折したり、この不可欠な科目が手薄になり、最終的に不合格に終わるケースが多くなります。

不動産登記法については、択一式問題のみならず記述式問題でも、この法律と関連規定を理解しておかなければ正解に辿り着けません。そのため、できるだけ早期に不動産登記法の学習に専念し、合格基準に達する自信をつけることが重要です。

記述式問題は何度も演習

記述式問題への対策は、過去問の記述式問題の問題数が少ないことを踏まえ、一問一問丁寧に取り組むことが肝心です。各問題の内容を確実に理解し、自力で解答できるレベルに達することが大切です。

また、記述式の解答を正確に行うには、電卓や定規の使用に習熟している必要があります。試験当日に慣れた道具を使えるよう、あらかじめ十分に練習し、確実に扱えるようにしておくことが重要です。

さらに、申請書の書式問題については、模範例を繰り返し書き写し、正しい記載方法を体得することが効果的です。書き写しを重ねることで、申請書の記載ルールが自然と身に付きます。

過去問演習で本番傾向を掴む

土地家屋調査士試験に向けた過去問演習は、試験対策の要となる重要な学習方法です。過去問を解くことで出題傾向を把握し、計算問題やマークシート形式の問題に慣れることができます。

また、時間管理の練習も可能で、実戦さながらの環境で問題に取り組むことで、スピードと正確性を高めることができます。過去問への取り組み方としては、最新の問題から順に解いていき、徐々に難易度を上げていくのがおすすめです。

記述式問題は必ず5回以上演習しよう

記述式問題の過去問演習を繰り返すことは、問題への理解を深め、効率的な解答力を身につけるために非常に重要です。過去問の数には限りがあるため、同じ問題を5回以上解くことで、新たな発見や独自の視点を得ることができます。

また、本番と同じ50分の制限時間を設けて演習することをおすすめします。これを繰り返し演習することで、効率的な時間配分が身につき、回答速度が向上します。

加えて、時間が足りなくても図形の作成自体は必ず行うようにしましょう。

択一式は復習が必須

土地家屋調査士試験では、択一式問題への対策が極めて重要です。過去問題を繰り返し解くことで、より深い理解が得られます。間違えた選択肢や理解できなかった部分は絶対に見逃さず、復習してその原因を明らかにすることが肝心です。

正解を単に覚えるのではなく、その背景にある理論や法則、つまり本質を理解することに重点を置きましょう。間違った選択肢を正す際は、なぜ間違ったのか、どこが分からなかったのかを確認し、テキストなどを参照して学習することが効果的です。

正解に至る思考過程を自分の言葉で説明できるまで、何度でも挑戦しましょう。

試験直前は復習に力を入れる

試験直前の勉強では、新しい知識を詰め込むよりも、これまで身に付けた知識の確認と理解を深めることが重要です。苦手分野や理解が曖昧な箇所に焦点を当て、重点的に復習することをおすすめします。

また、得点源となる分野の理解を深めることも大切です。重点的な学習を行えば、次々と問題を正確に解ける自信がつきます。

基本問題や頻出問題については、確実かつ効率的に解答できるように調整しましょう。簡単な問題で失点すると、試験の結果に大きく影響します。

他の資格の問題も参考になる

土地家屋調査士試験は、幅広い知識が必要とされるため、独学での対策は大変な挑戦となることが知られています。そこで他の資格試験の問題を参考にすることもできます。

特に重要なのが、民法の理解を深めることです。平成16年以降、土地家屋調査士試験で民法が出題されるようになりましたが、過去問が少ないのが現状です。そこで、行政書士試験などの他の国家資格試験の民法関連の過去問を活用すると、見落としがちなポイントも押さえられるでしょう。

また、敷地権の理解も重要です。マンション管理士のテキストなどを活用し、実際の具体例から実践的な知識を身につけることをおすすめします。

試験当日の準備も合格に直結

土地家屋調査士試験の準備は、単なる勉強だけでなく試験当日の心構えも重要です。せっかくの努力が水泡に帰すことのないよう、次の点に気を付けましょう。

まずは余裕を持った行動が大切です。会場までの移動経路や手段を事前に確認し、ゆとりを持って会場入りすれば、落ち着いた気持ちで試験に臨めます。

次に、前日の復習が効果的です。ノートを活用して重要ポイントを押さえるに留め、新しい内容の学習は避けましょう。これまでの理解を確かめることが肝心です。

また、十分な睡眠と適切な食事で体調を整えることも忘れずに。事前の備えを怠らず、自分自身を最大の武器と心得て、最高のパフォーマンスを目指しましょう。

土地家屋調査士試験の独学の進め方

序盤はインプットから

土地家屋調査士試験に独学で合格するためには、民法や不動産登記法、特に表示に関する登記の理解が受験生にとって大きな課題となります。

これらは専門用語や法律解釈など、核心的な知識が求められるためです。そのためまずは確実な基礎知識を身につけることが重要です。

特に、一人で不動産登記法を理解しようとするのは難しいでしょう。具体例に多く触れていないと、深く理解することは難しいです。この資格は難易度が高いため、インプットに時間をかけすぎると、意欲の低下や挫折の危険が高まります。適切なタイミングでインプットからアウトプットへ切り替えましょう。

インプットが終わったらアウトプット

一定の知識を身につけた後は、アウトプット学習を中心に6ヶ月から8ヶ月程度取り組むことをおすすめします。この期間中は、択一式問題と記述式問題の両方にバランスよく取り組みましょう。

択一式問題は民法や不動産登記法などに関連する選択肢から正解を選ぶ形式で、一般的にはこちらの演習に重きを置きますが、記述式問題対策も怠ってはいけません。土地や建物に関する記述問題、計算問題、登記申請書の作成、作図方法への理解など、総合的な知識と技術が問われます。

したがって、効率的に合格を目指すには、択一式問題と記述式問題の両方に対してバランス良く演習を行うことが何より大切です。理論だけでなく、実践を通して知識を定着させることが合格への鍵となるのです。

択一式の勉強方法

土地家屋調査士試験に合格するためには、択一式問題の演習と過去問対策が欠かせません。択一式問題は出題回数が多いため、過去問を解くことで出題者の考え方や問題作成のパターンを把握し、新しい問題に対応する力が身につきます。

さらに、計算問題や作図問題にも目を配り、試験で求められる総合的な理解力を高めることが重要です。

勉強時間は440〜450時間程度を想定し、その7割をアウトプット期間として知識の整理と実践的な演習に費やすことをおすすめします。

記述式の勉強方法

記述式問題への対策として、過去の記述式問題を活用し本番さながらの実践を重ねることが重要です。問題に取り組む中で試験の雰囲気を体感し、臨場感を養うことができます。

この試験の学習時間は190時間から200時間程度が目安とされています。しかし、択一式問題の理解が不十分だと記述式の学習で手間取り、二度手間になってしまう可能性があります。

自信が持てない場合は、しっかりと振り返りながら着実に学習を進めることをおすすめします。基礎知識を確実に身につけてから、次のステップに進むことが大切です。

直前準備を怠らない

土地家屋調査士試験に合格するには、試験直前の1〜2ヶ月間が非常に重要です。この期間は、過去問題や採点済み答案例、最新の出題トレンドを反映した模擬試験を活用し、本番さながらの状況で集中的に学習する必要があります。

試験時間は150分と限られているため、時間内に適切に問題を解く力を養うことが求められます。合格率が10%前後と難関試験であるがゆえに、適切な時間配分と問題解決能力を身につけるための繰り返し学習が不可欠です。

直前期は学習の総仕上げの時期でもあります。自身の実力を確かめながら、本番同様の緊張感の中で、確実な解答力を身につけましょう。

土地家屋調査士の試験勉強年間スケジュールはこんな感じ

ここでは、土地家屋調査士に合格するための勉強時間を、月割りでご紹介します。ここでは11月から勉強を始め、翌年10月の試験本番までの年間スケジュールを例としてあげます。

1年間で1000時間の勉強時間を想定しているため、ひと月あたりの勉強時間は約80～90時間ほどです。

11～12月：とにかくインプット

この時期は、とにかくテキストを一通り読み込んでインプットすることが重要です。民法や不動産登記法など、基礎中の基礎を固めていくことを意識してください。

1月～3月：択一式の過去問と、基礎固め

この時期は、択一式の過去問題を解き始めつつ、分からなかった部分や覚えているか怪しい部分を復習しながら基礎固めをしてください。過去問題を解き始めるからといって、基礎部分の復習は怠らないようにしましょう。

4月～7月：記述式・択一式の過去問をメインに、基礎の最終確認も

新年度が始まるあたりのタイミングで記述式の過去問を解き始め、択一式の過去問と共に過去問演習を本格化させてください。この時期には基礎がほとんど完璧に固まっていて、調べなおすことがないような状態にしておくことが望ましいです。

8月～試験本番：最後の総復習

8月にもなると、土地家屋調査士の試験本番が近づいてきます。この時期には過去問を通じて分かった自分の得意・不得意分野を踏まえて、すべての試験範囲の総復習を行ってください。苦手分野が出た場合でも基礎的な問題は解けるようにし、得意分野は難しい問題でも自信を持って解けるまで復習しましょう。

土地家屋調査士の独学合格は無理？

不動産関連の資格の中でも難易度が高い

土地家屋調査士は、不動産関連資格の中でも特に難易度が高いとされています。専門用語が多数存在し、微細な表現の違いを理解する必要があるためです。

例えば「所有者」という一般的な言葉でも、状況によって「表題部所有者」や「所有権の登記名義人」など、異なる意味合いを持ちます。また、「建物」と「建造物」、「1個の建物」と「1棟の建物」など、類似した表現の違いを捉えなければなりません。

このように、専門用語や表現の理解が欠かせないため、他の資格に比べて2〜3倍の学習時間を要するのが特徴です。

記述式問題の対策が困難

土地家屋調査士の資格試験には、計算や作図を伴う高度な記述式問題が出題されます。この問題に対応するためには、数学の深い知識と電卓の操作スキルが必要となります。独学でこれらの技能を身につけるのは容易ではありません。

さらに、記述式問題は自己採点が難しいため、自身の解答が適切かどうかを判断するのが難しいという特徴があります。

そのため、土地家屋調査士の独学合格は大変だと考えられがちです。

質問・相談できる相手がいなく行き詰まりやすい

土地家屋調査士は高い専門性が必要とされる資格ですが、独学では進め方や専門用語、解説の理解に多くの疑問や悩みが生じがちです。周りに同じ志を持つ仲間がいれば相談できますが、実際はそうした環境は整っていません。

そのため、モチベーションの低下や挫折に至ることも少なくありません。ネット上のコミュニティで質問することは可能ですが、回答者の経験や知識、回答の正しさを保証できないため疑問が残る可能性もあります。

土地家屋調査士の独学合格には、信頼できる情報源や相談相手が必須でしょう。

網羅的に学べるテキストが少ない

土地家屋調査士の資格試験に独学で合格することは、簡単ではありません。資格自体がマイナーであるため、参考書や教材が少なく、探すのが難しいです。さらに、一部の教材は分量が多すぎて理解しづらいものもあります。

また、法改正に追従できていない古い情報を載せた教材もあり、独学で勉強する受験生にとってはハードルが高くなっています。

予備校や通信講座の利用者が多い

土地家屋調査士試験の合格を目指す際、予備校や通信講座を利用することは大きな強みとなります。これらの講座では、試験に特化したカリキュラムが用意されており、受講生一人ひとりの学力レベルに合わせて最適な学習プランを立てることができます。

過去問対策も徹底しており、分からないことがあれば講師に質問できるなど、きめ細かいサポート体制が整っています。特に苦手分野を重点的に学習できるコースもあり、効率的な試験対策が可能です。

実際、合格実績の高い講座を選べば、過去の合格者が活用してきた確かな合格ノウハウを得ることもできます。一人で試験対策を進めるよりも、はるかに有利な環境で学習できるため、予備校や通信講座の活用をお勧めします。

土地家屋調査士試験の勉強時間まとめ

土地家屋調査士となるためには、膨大な時間と努力を要します。試験内容は高度に専門的であり、法改正にも常に追随する必要があるため、独学で勉強するのは大変難しいとされています。

一方で通信講座などの適切な指導を受けることによって効率的に学習することで、合格の可能性を上げることができます。

皆さんにあった学習方法を見つけ、合格を目指してください！