土地家屋調査士と不動産鑑定士の違いは?各資格の合格率や難易度についても解説
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不動産業界には様々な専門家がいますが、その中でも土地家屋調査士と不動産鑑定士は重要な役割を果たしています。しかし、両者の違いや資格取得の詳細な難易度についてはあまり知られていません。
ここでは、その違いや合格率などについて詳しく説明していきます。
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土地家屋調査士と不動産鑑定士は何が違うのか
土地家屋調査士の概要
不動産取引には様々な情報が関わっています。その中でも特に重要なのが、不動産が「どれくらいの大きさか」や「どのような形か」ということです。この情報は、不動産の価値を判断する上で欠かせないものとなっています。
土地家屋調査士は、このような不動産の大きさや形に関する情報に精通しています。
彼らは高度な知識と技術を活かし、正確な情報を登記することで不動産取引の円滑化に貢献しているのです。
土地家屋調査士になるには
土地家屋調査士の資格を得るためには2つの方法があります。
1つ目は、法務省が主催する国家試験に合格すること。そして、2つ目は法務省職員として登記事務に10年以上従事し、法務大臣の認可を得ることです。
この厳しい条件は、土地家屋調査士に求められる高度な専門性と責任を表しています。
不動産鑑定士の概要
不動産の価値を適切に評価するには、幅広い知識と高度な技術が欠かせません。
不動産鑑定士の評価は客観性と公平性が求められており、不動産において取引の重要な指標となっています。
不動産鑑定士になるには
不動産鑑定士は弁護士や公認会計士と並んで「3大国家資格」の一つとされていて、極めて難易度の高い国家試験です。
この試験では、不動産価値評価に関する専門知識はもちろん、法律や経済学、数学などの幅広い知識が問われます。受験資格は特に定められていませんが、簡単に合格できる試験ではありません。
合格を目指す多くの人が専門学校や講座を利用しますが、独学で挑戦することも可能です。
仕事内容は各資格で差が大きい
土地家屋調査士と不動産鑑定士はともに不動産に関わる仕事ですが、その役割と活動範囲は大きく異なります。
土地家屋調査士は、土地や建物の測量を行い位置や構造、面積などを明らかにするのが主な業務です。
一方不動産鑑定士は、測量図や登記情報を参考にしながら、不動産の利用価値や経済価値を評価し、適正価格を算出する役割を担っています。
その活動の場は、従来の事務所や不動産会社に加え、銀行や資産運用会社など多岐にわたります。
このように、同じ不動産を扱いながらもそれぞれの専門性と重要性が異なるのがこの2つの資格の特徴です。
資格取得人数は不動産鑑定士の方が少ない
「土地家屋調査士」と「不動産鑑定士」は、不動産取引において重要な役割を担う国家資格です。しかし、必要な専門知識や資格取得の難易度は異なります。
土地家屋調査士の数は約16.000人であるのに対し、不動産鑑定士は約5.000人と少数です。
一方、両資格とも人口減少に伴い取得者数は減少傾向にあるため、現在は資格取得のチャンスでもあります。
土地家屋調査士と不動産鑑定士の難易度を比較
合格率
土地家屋調査士の合格率
年度 | 合格率 |
令和5年度 | 9.66% |
令和4年度 | 9.62% |
令和3年度 | 10.47% |
令和2年度 | 10.36% |
令和元年度 | 9.68% |
不動産鑑定士の短文式試験の合格率
年度 | 合格率 |
令和6年 | 36.2% |
令和5年 | 33.6% |
令和4年 | 36.3% |
令和3年 | 36.3% |
令和2年 | 33.1% |
令和元年 | 32.4% |
不動産鑑定士の論文式試験の合格率
年度 | 合格率 |
令和5年 | 16.5% |
令和4年 | 16.4% |
令和3年 | 16.7% |
令和2年 | 17.7% |
令和元年 | 14.9% |
土地家屋調査士と不動産鑑定士の資格取得は、合格率から見ると難易度が異なります。
土地家屋調査士試験は例年8~10%の合格率と非常に難しい一方、不動産鑑定士試験は短答式試験で32~37%、論文式試験で14~18%と、形態によって合格率が変わっています。
さらに、短答式と論文式の両方を同時にクリアする場合は4~7%と極めて厳しくなります。
ただし、不動産鑑定士試験では、短答式に一度合格すれば2年間短答式試験が免除されるという制度があります。そのため、合格率だけで難易度を比較するのは適切ではないでしょう。
資格取得の難しさは勉強時間や習得知識の量なども考慮する必要があります。
勉強時間
勉強時間 | 人数 |
---|---|
1000時間未満 | 1 |
1000~1500時間 | 6 |
1500~2000時間 | 2 |
2000~2500時間 | 2 |
2500時間以上 | 1 |
合計 | 12 |
土地家屋調査士試験と不動産鑑定士試験の難易度を比較する際、勉強時間は重要な指標の一つとなります。
土地家屋調査士試験に合格するには一般的に1000時間程度の勉強が必要とされています。スキルアップ研究所の調査では、半数以上の受験者が1000~1500時間の勉強時間を要していました。しかし、前提知識によって必要な勉強時間には大きなばらつきがあります。
一方、不動産鑑定士試験の合格には2000~4000時間の勉強時間が必要とされています。
勉強時間や、同時に試験をクリアする場合の合格率を見ると不動産鑑定士試験の方が難易度が高いと言えるでしょう。
独学で試験に合格するのは無理なのか
土地家屋調査士試験は合格率が8%と非常に狭き門であり、合格者の大半は通信・通学講座の受講生です。そのため、独学で合格を目指すのは極めて困難であり、かなりの覚悟が必要になります。
一方、不動産鑑定士試験は国家資格で難易度が高く、短答式が30%前後、論文式は15%前後の合格率と内容が難しいものとなっています。独学で勉強することは可能ですが、かなり難しいでしょう。短答式のみならばなんとか独学で対応できるかもしれませんが、論文式は演習問題などもあり深い理解が求められるため、予備校や通信講座を利用することをおすすめします。
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どちらの資格を目指すべき?
まずはじめに取るなら土地家屋調査士
資格取得に向けて投じる時間や費用、そしてその後キャリアプランを総合的に考慮すると、まずは土地家屋調査士の資格取得を優先するといいでしょう。
土地家屋調査士の平均年収は不動産鑑定士を上回っています。資格取得後は実務経験を積むことができ、その経験は独立開業の一歩となります。
将来的に不動産鑑定士の資格取得を視野に入れるのであれば、まずは土地家屋調査士の資格取得から始めるのが効率的です。
需要・転職は大きく異なるのでそれに合わせて選ぶことも
資格取得はキャリアに大きな影響を与えるため、需要と転職の可能性を十分に検討する必要があります。
土地家屋調査士の資格は景気変動の影響を受けやすいと言われていますが、様々な業務に対応できる体制を整えることで安定した事業運営が可能です。
また、不動産取引だけでなく遺産相続など幅広い分野で依頼を受けられるため、一定の需要を確保できます。新規取得者数が少ないことから、適正な競争環境が整っており不動産業界や金融業界などからの求人が期待できます。
ただし、独立開業には既存の不動産鑑定士との競合が課題となるため、独自のサービスや顧客の需要への対応が求められることでしょう。
ダブルライセンスはおすすめではない
不動産業界では資格取得が求められることが多いですが、土地家屋調査士と不動産鑑定士の両方の資格取得は現実的ではありません。なぜなら、両者の対象とする業務内容や必要な知識が大きく異なるからです。
土地家屋調査士は、不動産の測量や登記など実務的な知識が重視されます。一方で、不動産鑑定士は不動産価格の評価に加え、法律や会計、経済などの幅広い知識が求められます。
試験範囲もほとんど重複しないため、双方の資格取得にはかなりの努力と時間を要します。自身のキャリアプランに合わせてどちらか一方を選び、そちらの専門性を高めていくのがおすすめです。
学習時間が確保できるなら不動産鑑定士から取るのも可能
学生で時間に余裕がある方や、主婦や休職中で資格取得に専念できる方なら、不動産鑑定士の資格取得を検討するのがおすすめです。
不動産鑑定士は企業に勤めるだけでなく独立開業も可能なので、ライフスタイルに合わせた働き方を選べます。独立後の安定性も高く評価されており、独自のビジネスを目指す方にもメリットがあります。
また、不動産に関する社会的な需要が安定しているため、長期的なキャリア形成が可能になります。
土地家屋調査士と学習内容が近い資格
司法書士
司法書士は、裁判所や法務局への書類作成や登記手続きの代理を主な業務とします。提出書類は法的手続きを進める上で欠かせず、幅広い法的知識と高度な技術が必要とされますが、実際には不動産に関する異なる領域を担っています。
土地家屋調査士は、不動産の物理的状況を調査・測量し、その結果に基づいて登記を行います。
司法書士は、所有権の移転や担保権設定など、不動産の権利関係の変動を法務局に登記申請する役割を担っています。
つまり、土地家屋調査士と司法書士は、不動産に関する異なる視点から専門的な業務を行っています。両資格を持つことで不動産に関する幅広い知識とスキルを身につけ、より総合的なサービスを提供できるのです。
宅地建物取引士
不動産の売買や賃貸などの取引現場で、中心的な役割を果たすのが宅地建物取引士です。物件の条件説明や顧客への相談対応など、取引に関わるあらゆる場面で専門知識が求められています。
宅地建物取引士は、不動産会社はもちろん、建築会社や金融機関などの多岐にわたる分野で活躍の場を広げています。不動産取引に関する需要は依然高く、その存在価値は年々高まっているといえるでしょう。
不動産取引全般をカバーする専門家として、幅広い活動範囲と高い専門性が期待される宅地建物取引士。だからこそ、不動産業界を目指す人々にはこの資格の取得が強く推奨されているのです。
土地家屋調査士・不動産鑑定士試験の詳細
土地家屋調査士試験はいつ?
直近で受験できる土地家屋調査士試験は令和7年度(2025年度)です。筆記試験は10/19に実施される予定です。
筆記試験合格者を対象とした口述試験は2026年1/29に行われる予定です。
申し込み受付期間は7/22~8/1と、短いため注意が必要です。
土地家屋調査士試験の受験地はどこ?
札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇の9か所で受験できます。
不動産鑑定士試験はいつ?
不動産鑑定士試験は通常短文式試験が5月の中旬、論文式試験が8月中旬に行われます。それぞれの合格発表は短文式が6月中旬、論部式が10月下旬に発表されます。
申し込みは2月中旬~3月上旬で、受験料は12,800円です。
不動産鑑定士試験の受験地はどこ?
短文式試験は北海道、宮城、東京、新潟、愛知、大阪、広島、香川、福岡、沖縄の10か所で実施されます。
論文式試験は東京、大阪、福岡の3か所で実施されます。
土地家屋調査士と不動産鑑定士の違いまとめ
この記事では、不動産業界で活躍する土地家屋調査士と不動産鑑定士の違いについて詳しく解説しました。どちらの資格も高度な専門性を備えており、不動産業界でのキャリアアップに役立つ重要な資格となります。
この記事を参考に、資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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