早稲田法科大学院の難易度は?入試倍率や偏差値を他ロースクールと比較して解説

更新

法律家を目指す方であれば、一度は早稲田大学法科大学院の受験を考えるのではないでしょうか?

本記事では早稲田法科大学院の難易度について、倍率や試験科目を他の法科大学院と比較し紹介します。また、早稲田ローの司法試験合格率などについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。


このページにはプロモーションが含まれています

早稲田大学法科大学院の難易度は高いのか

早稲田法科大学院は毎年多くの司法試験合格者を輩出している名門であり、一般に入試難易度は高いとされています。

しかし、大学や高校の難易度を端的に示す「偏差値」という概念が大学院には適用されないため、以下では様々な要素から総合的に難易度を評価していきます。

また、早稲田大学の法科大学院には未修コースと履修コースの二つのコースがあり、それぞれ試験内容や難易度が異なります。そのためこの2コースについても、別々に詳しく紹介いたします。

コースごとの倍率や定員

年度

志願者数

合格者数

倍率(実質)

2024既習

994

306

3.25倍

2023既習

888

307

2.89倍

2022既習

744

328

2.27倍

2021既習

581

320

1.82倍

年度

志願者数

合格者数

倍率(実質)

2024未習

306

63

4.86倍

2023未習

217

45

4.82倍

2022未習

252

45

5.60倍

2021未習

238

49

4.86倍

法科大学院の入試では一般に既修者試験と未修者試験の2つがあります。

既修者試験は法学を既に学んでいる人が受験するもので、未修者試験は法学を学んだことがない人が受験します。

早稲田大学では未修コースの方が倍率が高く、より合格が難しくなってます。未修コースの倍率は5倍近くにもなることがありますが、既修コースは2〜3倍前後の倍率です。ただし、未修者コースと既修者コースでは試験内容が異なるため、倍率だけで難易度を比較することは難しいです。

未修者試験の試験内容

未修者試験では書類審査と小論文が課されます。小論文では直接法学の知識は問われませんが、社会問題や時事問題に関する知識と論理的思考力が求められます。

問題の量や解答用紙の分量が多いため、十分な対策を行わなければ合格は難しいでしょう。

既修者試験の試験内容

科目

試験時間

配点

民法

120分 

180点

刑法

90分

120点

憲法 

60分 

100点

民事訴訟法・刑事訴訟法

120分 

各80点

商法 

60分

80点

既修者試験では書類審査と民法・刑法・憲法・民事訴訟法・刑事訴訟法・商法の6科目の試験が課されます。

特に民法の試験時間は120分と長く問題量も多いため、中でも民放に対する対策が重要となります。これらの試験内容を通じて法律知識だけでなく、問題解決能力や論理的思考力も試されています。

早稲田ロースクールと他ロースクールの入試倍率を比較

大学院では偏差値という基準がないため、難易度を測るために広く用いられているのが入試倍率です。

早稲田ロースクールの場合、既修コースは中間程度の倍率を誇っていますが、未修コースにおいては非常に高い倍率を記録しています

以下の表では2024年度の最新の合格倍率について紹介しています。また、公式サイトに掲載していない大学については2023年データを利用しています。

大学院名

既習コース

未習コース

早稲田大学

3.25倍

4.86倍

東京大学

3.27倍

3.59倍

京都大学

2.67倍

4.75倍

一橋大学

3.72倍

3.77倍

慶應義塾大学(2023年度データ)

3.52倍

3.55倍

中央大学(2023年度データ)

2.03倍

3.67倍

ここからは他の主要な法科大学院と早稲田の法科大学院を比較していきます。

東京大学

東京大学ロースクールの入試倍率は既修コースが3.27倍、未修コースが3.59倍となっています。これは既修コースでは早稲田よりわずかに高い一方で、未修コースでは早稲田よりも低い倍率です。

東京大学には予備試験合格者を含む優秀な受験生が集まるため受験生のレベルが非常に高いことが知られています。また入試には英語が必須であり、その準備には相応の時間が必要となります。

これらの点を踏まえると、倍率は同程度かそれ以下であっても実際の難易度は東京大学ロースクールの方が高いと言えるでしょう。

京都大学

京都大学ロースクールの入試倍率は既修コースが2.67倍、未修コースが4.75倍となっています。この数字から見ると、どちらのコースも早稲田よりは低い倍率です。

しかし関西圏には関東圏と比較してレベルの高いロースクールが少ないため。優秀な受験生が京都大学に集中する傾向があります

このため単純に倍率だけで判断をすることはできず、京都大学法科大学院の難易度の方が低いとは必ずしも言えません。

一橋大学

一橋大学のロースクール入試倍率は既修コースが3.72倍、未修コースが3.77倍です。これらの数字を基に考えると既修コースでは一橋大学が、未修コースでは早稲田が難しいと言えます。

しかし一橋大学の司法試験合格率は非常に高く、京都大学に次いで2位となっています。このため一橋大学には優秀な学生が集まり、受験生のレベルも高いと言えるでしょう。

結果として一橋大学ロースクールの入試難易度は早稲田よりも高いと考えられます。

慶應義塾大学(2023年度データ)

慶應義塾大学ロースクールの2023年度の入試倍率は既修コースが3.52倍、未修コースが3.55倍です。このため早稲田の2024年データと比較して既修コースは慶應の方が難しく、未修コースでは早稲田の方が難しいと言えます。

慶應義塾大学の司法試験合格実績は、私立大学の中で早稲田を超えてトップであり、多くの受験生が東京大学と併願することが多いため、受験生の質も高いです。したがって、慶應義塾大学ロースクールの入試難易度は早稲田よりも高いと言えるでしょう。

中央大学(2023年度データ)

中央大学の2023年度の入試倍率は既修コースが2.03倍、未修コースが3.67倍です。これを早稲田の2024年データと比較するとどちらのコースも早稲田の方が難しいと判断できます。

入試内容に大きな差はないことを踏まえると、中央大学も優秀な学生が集まる大学であるものの早稲田大学の難易度が高いと言えます。


早稲田法科大学院の他大学と比較した学費

大学院名

項目別学費

学費(初年度)

慶應義塾大学

入学金:100,000円

在籍料300,000円

授業料:1,120,000円

施設設備費:190,000円

1,722,240円

中央大学

入学金:300,000円

在学料:1,000,000円

施設設備費:300,000円

1,600,000円

早稲田大学

入学金:300,000円

授業料:1,160,000円(第1年度)

実験演習料:100,000円

諸会費:10,000円(第1年度)

1,570,000円

東京大学

京都大学

一橋大学(国立)

入学金:282,000円

授業料:804,000円

1,086,000円

学費について考える際、入学金や授業料が真っ先に思い浮かぶものです。

しかし、私立大学ではこれらの基本的な費用の他にも大学独自に設定された様々な学費が含まれます

例えば司法試験合格率の上位に位置する早稲田大学や慶應義塾大学、中央大学などは高い教育レベルを維持するために充実した施設や設備を有しており、その維持費用が学費に反映されています。

このように私立大学では、学費の内訳が多岐にわたり、授業料自体も高額になる傾向があります。その結果、国立大学と比較して私立大学で学ぶ場合はより多くの費用が必要となるケースが多いです。

そのため早稲田大学法科大学院の学費も国立大学と比較すると高額な部類に入りますが、私立の法科大学院の中で比べるとむしろ価格は安めだと言えます

早稲田法科大学院入試の詳細と日程

早稲田大学法科大学院の入試には特別選抜と一般選抜という2種類の選抜方法があり、それぞれがさらに2種類の入試形式に分かれています。

入試形式にはそれぞれ異なる特徴があるため、受験生は自身の状況や目指す将来に応じて適切な入試形式を選択してください。

法学未修者試験

試験区分

一般入試

試験期間 

入学月 

4月

募集人数

40人

試験内容

書類審査・小論文試験

法学未修者を対象とした一般入試は主に夏に実施され、入学は翌年の4月となります。募集人数は40人前後で、試験内容は書類審査と小論文試験が中心です。

法学未修者試験では法学に関する専門知識よりも論理的思考能力や社会的な問題に対する洞察力が重視されます。そのため法学の背景を持たない受験生でも、準備を怠らずに適切な対策を行えば合格の可能性は十分にあります。

法学既修者試験

試験区分

一般入試

試験期間 

入学月 

4月

募集人数

80人

試験内容

書類審査・法律科目試験

法学既修者試験は一般入試の枠組みで行われます。試験期間は夏で、入学予定月は翌年の4月です。募集人数は80人となっており、試験内容には書類審査と法律科目試験が含まれます。

この試験は試験科目に法律科目試験が含まれることからもわかるように法律を既に学んだことがある人向けのもので、受験者は自分の法律知識を示す必要があります。

5年一貫型

試験区分

特別入試

試験期間 

入学月 

4月

募集人数

40人

試験内容

書類審査・法律科目試験

5年一貫型とは、学部4年生から大学院の科目を履修し始めることができるもので、学部入学から大学院修了までを5年間で完了することが可能です。

5年一貫型試験は特別入試に分類され、試験期間は夏です。入学月は4月で募集人数は40人と設定されています。

試験内容には書類審査と法律科目試験が含まれており、このコースは早稲田大学の法科大学院を最初から最後まで一貫して学びたいと考えている受験生を対象としています。

開放型

試験区分

特別入試

試験期間 

入学月 

4月

募集人数

40人

試験内容

書類審査・法律科目試験

開放型試験も特別入試の一部で試験期間は夏、入学月は4月です。募集人数は40人となっており、試験内容には書類審査と法律科目試験が含まれます。

この試験は、特定の経歴にとらわれず、幅広い経験を持つ受験生を受け入れることを目的としています。

(注)特別選抜と一般選抜を併願する場合,「特別選抜と法学既修者試験」および「特別選抜と一般選抜併願(法学既修者試験+法学未修者 試験)」のパターンのみ出願できます。「特別選抜と法学未修者試験」は併願できません。

早稲田法科大学院の受験日程

入試形式

本研究科出願

面接試験

論述試験

合格者発表

法学未修者試験

[早稲田大学法曹コース出身者以外]2023年7月10日(月)~ 7月21日(金) ※消印有効

-

小論文

2023年10月1日(日)

2023年10月20日(金)

法学既修者試験

[早稲田大学法曹コース出身者以外]2023年7月10日(月)~ 7月21日(金) ※消印有効

-

民法・刑法・憲法 民事訴訟法・刑事訴訟法・商法

2023年9月30日(土)・10月1日(日

2023年10月20日(金)

5年一貫型

2023年8月28日(月)~ 9月4日(月) ※消印有効

2023年9月16日(土)

-

2023年9月22日(金)

開放型

2023年8月28日(月)~ 9月4日(月) ※消印有効

-

民法・刑法・憲法

2023年9月30日(土)

2023年10月20日(金)

早稲田大学法科大学院の受験スケジュールは、全試験形式共通で9月に入試が実施されます。

特別選抜試験は一般選抜試験と比較して試験内容が軽い傾向があるため、併願受験を考えている受験生はこの点を考慮して準備を進めましょう。

早稲田大学法科大学院受験の対策法

書類審査対策

早稲田ロースクールの書類審査では願書提出の際に書類審査が行われ、法曹を目指す理由や将来像が問われます。これらの質問には、優れた文章力と論理力が必要とされるため早期から小論文対策を始めることが推奨されます。

また、資格や成績面も評価対象となるため英語の資格や高いGPAを維持することも重要です。これらの準備は直前に行っても間に合わないため、早めに取り組む必要があります。

特にGPAは3.5以上を確保できていればどこの大学院を受験しても書類選考で落とされることは滅多にないため大学生のうちに好成績を取ることを忘れないようにしましょう。

過去問演習を重視する

選抜方法によって入試内容は異なるものの、どの方式で受験をするのだとしても過去問演習を通じて傾向と対策を把握することは有効です。

未修者試験では小論文が出題され、内容は法律に関する問題が多いものの時事問題に関する理解も問われるため、幅広い知識が必要になります。

既修者試験では、法律六科目が出題されるものの特に民法の配点が高いため民法に重点を置いた学習が推奨されます。

予備校を利用する

大学の授業だけでは不安を感じる人や未修者ながら既修者試験を受験したい人には予備校の利用がおすすめです。

法律のベースの知識を固めるのにうってつけであることはもちろん、各大学の対策に特化した講座も開講されているケースも多く、効率よく志望校合格に必要な能力を身につけることができます。

特にアガルーでは法科大学院専用のカリキュラムが提供され、相場よりも比較的安価で質の高い授業を受講することができます。

こちらのカリキュラムには早稲田大学の過去問解説講座もついてくるため、早稲田大学法科大学院の合格を目指すにはうってつけの講座であると言えるでしょう。


早稲田大学法科大学院のメリット

高い司法試験合格率を誇る

年度

受験者数

合格者数

合格率

令和5年度司法試験

389名

174名

44.7%

令和4年度司法試験

232

104名

44.8%

令和3年度司法試験

231

115名

49.8%

令和2年度司法試験

229

75名

32.7%

2023年度の早稲田ロースクールの司法試験合格者数は389名であり、法科大学院別の司法試験合格者数ランキングで京都大法科大学院、東京大法科大学院、慶應義塾大法科大学院についで4番目の順位となっています。

日本のロースクールの中でもトップクラスの司法試験合格者数であり、このことから早稲田ローは一般的な環境よりも合格の余地は大きいといえるでしょう。

一流の講師が在籍している

早稲田法科大学院に在籍している教授陣は学会でも著名な先生が多く、質の高い授業を受けることができます。

また現行司法試験の問題作成委員会に所属している先生もいるため、より試験に沿った内容の授業を受けることができます。

チューターによるサポートが付く

早稲田法科大学院では未修者への学習サポートが充実しており、院生1人1人に現役弁護士のチューターがついて学習のサポートを行ってくれます。

具体的には、毎月1回の面談において学習面や生活面における相談や添削も行ってくれ、生徒ひとりひとりに寄り添ったサポートが提供されています。

現役弁護士であるために実務の話を聞くことが出来るため、弁護士に対するイメージと実際の弁護士の現状をすり合わせることができ、弁護士のメリットなどを聞くことでモチベーションの持続にも繋がります

自習室も充実

法務研究科の建物である27号館には、4つの法科大学院生専用の自習室があります。

全ての自習室の机はブースで区切られており、ライトやコンセントも備え付けられていて、勉強しやすい環境が整えられています。

また、一番規模の大きい自習室は24時間勉強することができ、自分の都合の良い時間に勉強することができます。

奨学金が優れている

早稲田大学は奨学金制度が充実している事でも有名です。法科大学院も同様に、奨学金制度が充実しています。

また、地方大学出身の学生が経済的に安心して学習できるような奨学金もあります。

例えば年間授業料相当額の給付金をもらうことができる稲門法曹奨学金では、地方の大学出身者に優先的に奨学金が給付されます

早稲田大学法科大学院の難易度について

本記事ではこれまで早稲田大学法科大学院の難易度を中心に、入試の対策法や特徴などについてご紹介しました。

早稲田大学法科大学院は、難易度については国内を代表する国立大学よりは若干易しいものの、国内最高峰の難易度となっています。

本記事で紹介したおすすめの勉強法を実施し、ぜひ合格を勝ち取ってください!