近年、リスキリングへの関心が高まっており、従業員のスキルアップを促進する企業や組織が増えている。
スキルアップに取り組む際、その方法を適切に選択することが、実践率や効果に大きな影響を与えると考えられる。
しかし、多くの人がどのような方法でスキルアップしているのか、また取り組みやすいと感じる方法については明らかになっていない。これらの要因が分かれば、企業がリスキリングを促進する上で重要な示唆が得られると思われる。
そこでスキルアップ研究所では、スキルアップの方法に関する実態調査を行い、スキルアップに取り組む人々の方法選択の傾向を分析した。
- 方法を選択する上では柔軟性の高さが肝要
- 主要な方法としては書籍やオンライン媒体が選択されている
- オンライン・個別受講を支持する人が多い
スキルアップに取り組む主要な方法は書籍・オンライン媒体
「スキルアップに取り組む主要な方法として、どれを利用していますか」という質問に対し、36.6%が「書籍」、31.6%が「Youtube・ウェブサイトなど無料で閲覧可能なオンライン媒体」と回答した。
一方で、対面講座は5.0%、オンライン講座は14.4%にとどまった。
多くの人が、まずは金銭的負担が比較的少なく、手軽な方法でスキルアップに取り組んでいることが示唆される。
スキルアップにはオンラインの方が取り組みやすい
「スキルアップに取り組む方法として、オンラインとオフラインのどちらが取り組みやすいですか」という質問には67.5%が「オンライン」と回答した。
オンラインの方が取り組みやすい理由は?
オンラインの方が取り組みやすい理由としては「いつでも取り組める」「場所を選ばない」が上位に挙げられた。
仕事や家事などで忙しい中スキルアップに取り組んでいくためには、時間・場所の制約がないことが重視されるといえる。
オフライン(対面)を好む人の理由
一方で、オフラインの方が取り組みやすい理由として挙げられたのは「より集中できる」という声が最多であった。
集中できるか否かは、スキルアップに取り組む上で非常に重要な要素である。スキルアップの効果を高めるためには、むやみにオンラインに固執せず、「オフラインの方が集中できる」という層の声を考慮したり、自身がどちらの方が向いているのかを的確に把握する必要があると考えられる。
集団受講よりも個別の方が取り組みやすい
集団受講と個別受講のどちらが取り組みやすいと感じるかを尋ねたところ、個別受講を選択する人が約7割にのぼった一方で、「集団受講の方が取り組みやすい」と感じる層も3割超と、無視できないボリュームになった。
個別受講のほうが取り組みやすい理由は?
個別受講の方が取り組みやすい理由としては、「自分のペースで学習を進められるから」が46.69%と最多だった。
忙しい時にはスキルアップに割く時間を減らし、余裕がある時にしっかりと取り組む、というような時間の調整が個別受講の場合は比較的容易であることが、支持を集める要因となったと推察される。
集団受講を好む人の理由
集団受講の方が取り組みやすい理由としては、「周囲に人がいた方がモチベーションが保てるから」という回答が68.79%と圧倒的な票数を集めた。
自分ひとりだけでは律することができないという時でも、周囲に人がいることで取り組みを継続できるのは、集団受講の大きな価値であるといえる。
スキルアップの方法を選ぶ基準
スキルアップの方法選択の基準に、「オンライン」や「個別受講」が支持される結果となった要因がある。
「いつでも取り組めるから」が最多
スキルアップの方法を選定する理由としては「いつでも取り組めるから、スケジュールを組みやすいから」が、1番目に挙げた人・1番目と2番目の総数ともに最多となっている。
また、「価格的に取り組みやすい」「場所を選ばない」も多くの人が選んでいる。
一方で、取り扱う内容の良し悪しやサポート体制の充実度には重きが置かれない傾向にあることがわかった。
柔軟性の高さが肝要
上記のアンケート結果より、スキルアップに取り組む方法を選ぶにあたって、スケジュールの柔軟性の高さが重視されていることは明白だ。
これは「書籍」「オンライン媒体」の「自分の好きなタイミングで取り組める」「1回あたりの取り組む長さに決まりがない」という特徴に反映されており、多くの人に支持される要因となっている。また、オンラインや個別受講が支持されることにも通底するものがある。
忙しい時期にスケジュールやスキルアップに割く時間の調整ができることが、方法を選択する上で肝となってくる部分になる。
リスキリングを推進するためには
多くの人が、リスキリングに取り組む際に、「いつでも取り組める」「場所を選ばない」など、スケジュールの柔軟性の高さに重きをおいて方法を選択している。ここには、忙しい日々の中で少しでも取り組めるようにという考えがあるのではないだろうか。
その結果として、細切れ時間に取り組める書籍やオンライン媒体、個別受講が好まれているといえる。
リスキリングを推進するにあたり、極端ではあるが、個々の社員に毎日固定の時間を取らせるようなことは現実的には難しい。また、オンラインよりもオフラインの方が集中しやすいという人、周囲にひとがいた方がモチベーションが保てるという人など、人によって取り組みやすい方法は多様であり、一概にこれが良いとはいうことができない。
その中で、個々人に合わせた取り組み方を選択できるように環境を整えることが、リスキリング推進のカギとなるだろう。
調査概要
項目 | 詳細 |
調査名 | スキルアップの方法に関する実態調査 |
対象者 | 現在スキルアップに取り組んでいる20代以上の社会人の方 |
対象地域 | 全国 |
調査方法 | インターネット調査 |
調査期間 | 2024年2月29日〜3月6日 |
回答数 | 500 |
調査結果の引用・転載について
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