東大法科大学院の難易度は?入試の倍率や偏差値・司法試験合格者ランキングまで解説

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東京大学の法科大学院は、その厳格な入試基準と質の高い教育プログラムで知られています。

東大法科大学院は国内外の法曹界で高い評価を受けており、卒業生は政府機関、国際機関、有力法律事務所などで活躍しています。入試難易度が高く、多数の優秀な学生が受験を目指しますが、その中からさらに選りすぐりの人材が合格を手にしています。

本記事では東大法科大学院入試の難易度について、入試科目や提出資料、他のロースクールとの入試倍率の比較などから詳しく解説していきます。


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東京大学法科大学院入試の倍率と難易度

東大法科大学院の入試倍率

東京大学法科大学院(以下、東大法科大学院)では、外国語の能力と学部の成績をもとにした選抜と、筆記試験の計2回の選抜が行われます。

特に外国語の能力は必要がないロースクールも多いため、他のロースクールの受験と並行して準備をしていると見落としがちです。

そのため受験生にとっては、第一次選抜までに必要な外国語要件を満たすことが第一の壁となっています。

東大法科大学院入試には2つのコースがある

東大法科大学院入試では、法学についてすでに学んでいる人向けに2年で卒業できる既習コースと、法学をまだ学んだことがない人向けに3年で卒業できる未習コースを提供しています。

法学を学んだ人が未習コースに出願することも可能ですが、これらの2コースを併願することは不可能なため、既習者であれば基本的に既習コースを受験することがおすすめです。

また、どちらのコースでも第一段階選抜は共通であるものの、第二段階選抜ではそれぞれ入試内容が異なっており、既習コースは法学の知識が必要な問題が出題されるようになってます。

コース名

倍率(令和6年度)

出願者数

合格者数

既習コース

約3.26倍

598人

183人

未修コース

約3.59倍

219人

61人

東大法科大学院未修コースの入試と難易度

東大法科大学院未修コースの二段階型選抜では、法律知識を必要としない小論文形式の問題が2題出題されます。また、2019年度までは面接試験も実施されていましたがコロナの影響で2024年度試験まで実施されていません。

そのため、未習コースに合格するための最大のポイントは小論文でいかに高い点数を取るかにかかっています。

また、この小論文の難易度自体は他の私立法科大学院と比較して相対的に取り組みやすいと言われています。

その理由は私立の大学院と比較した時の課題文の短さです。課題文を読むのに時間を使わなければならず、常に時間に追われる形になる早稲田や慶應の試験と異なり東大の試験ではある程度余裕を持って回答することができます。

また、この傾向のため東大法科大学院入試の小論文で高得点を取るためには、自己の考えを論理的に構築し、明確に記述できる能力を養いましょう。

東大法科大学院既習コースの入試と難易度

東大法科大学院既修コースの第二段階選抜では公法・民事・刑事の3分野すべてから計3題の論述問題が出題されます。

3分野から出題される東大の試験問題の範囲は、他の私立大学と比較すると広範囲であり、出題形式や各分野の出題順序さえ年によって変化します。

そのためこの論述試験で高得点を取るためには、広範かつ変化に富む出題傾向に対し、落ち着いて対応できるよう事前に準備することが大切です。広い範囲を学習するだけではなく、細部まで理解できているかも問われる非常に難易度の高い試験です。

入試での出題内容

東大法科大学院の入試では、英語力の証明としてTOEICやTOEFLのスコア提出が求められます。このため、受験生は事前にどちらの試験を受けるかを決定し、スコアを取っておく必要があります。

また、未習コースの小論文試験では、受験生の論理的な思考力と、自分の意見をまとめる能力が重視されます。従って、実践的な演習を通じて、この点に特に注意を払いながら準備を進めることが推奨されます。

既習コースの論述式問題では、法律の全範囲から出題される可能性があるため、一部分の知識に偏った対策は避け、全体的な準備を心がけることが大切です。出題される法域やその順番は予測が難しく、年によって変動するため、いかなる状況にも対応できるよう、余裕を持った準備が求められます。

東大ロースクールの倍率を他校と比較

大学院名

既習コース

未習コース

一橋大学(2024年度データ)

3.72倍

3.77倍

京都大学(2024年度データ)

2.67倍

4.75倍

東京大学(2024年度データ)

3.27倍

3.59倍

早稲田大学(2024年度データ)

3.25倍

4.86倍

慶應義塾大学(2023年度データ)

3.52倍

3.55倍

中央大学(2023年度データ)

2.03倍

3.67倍

東大法科大学院の入試倍率を見ると、他の早慶などの有名大学と比べても標準的な数値であり、特筆して倍率が高いわけではないことが分かります。

しかし、倍率が高くないことは決して難易度が低いことを意味するわけではありません。

倍率=難易度とは限らない

東大法科大学院の入試難易度を考える際は、入試の倍率だけではなく受験生のレベルも考慮するべきです。

東京大学を受験する学生は、一般に高い学力を持っていると見なされがちです。実際に予備試験に合格するような優秀な学生は東大法科大学院への進学を希望することが多く、非常に優秀な層が東大法科大学院を目指すケースが多いです。

このように東大ロースクールの受験生のレベルは国内最高峰となっているため、倍率以上に高い難易度を誇ると言えます。

また、私立の法科大学院の中でも、特に慶應義塾大学法科大学院が高い司法試験合格率を誇っており、最近では他の法科大学院よりも難易度が高くなっています。これは、東大法科大学院を受験する高レベルの受験生が、慶應義塾大学を併願先として選ぶことが多いためです。

慶應義塾大学の入試では、特に時間配分が厳しいことで知られており、過去問題を解くなどして、限られた時間内で答案を作成する訓練をしておくことが推奨されます。

​国立大学院は入試日程が同じであるため複数受験はできませんが、私立大学院では日程が異なるため、複数受験が可能です。このため、受験戦略としては、国立の法科大学院1校と私立の法科大学院1~2校を併願することが一般的です。

東大ロースクールは司法試験合格者数でも上位

​順位(令和5年度)

法科大学院名

​受験者数

​合格者数

​合格率

1位

京都大法科大学院

275

188

68.4%

2位

一橋大法科大学院

180

121

67.2%

3位

慶應義塾大法科大学院

310

186

60.0%

4位

東京大法科大学院

315

186

59.0%

5位

神戸大法科大学院

146

71

48.6%

各法科大学院を令和5年度の司法試験合格率順に並べてみると、国立大学と慶應義塾大学が高い数字を保持していることがわかります。

東大法科大学院は合格率で比較すると全ロースクール中3位という結果ですが、合格者の数は1位の京都大学ローとわずか2人差の2位となり、この順位もそれほど大きく開いているわけではなく、東大ローが非常に高い合格実績を持っていることがわかります


東大法科大学院の日程や入試情報

東大法科大学院入試の日程

東大法科大学院の試験日程

東大法科大学院の入学者選抜は2段階に分かれ、第一段階選抜では10月頃に願書の提出が行われ、11月に結果が発表されます。

続く第二段階選抜は、11月に実施され、12月にはその結果が発表されるという流れです。日程がかなりきついことを考えると、受験生は試験日から逆算して、効率的な勉強スケジュールを立てることが求められます。

特に、入試直前になってからではなく、早い段階で苦手分野を克服し、万全の状態で試験に臨めるよう、計画的に日々の勉強を進めることが重要です。余裕を持った戦略的な対策が、最終的に合格への道を切り拓きます。

未修コース

項目

内容

試験回数

秋に1回

試験内容

出願書類・外国語・小論文・(面接)

募集人数

約65人

未修コースに関しては、年に1度の入試機会しかないため、受験生はそのチャンスを生かすため事前に十分な準備をしましょう。

特に、外国語の能力を証明するためにTOEICやTOEFLの試験を受ける必要があることに注意し万全の対策を講じることが大切です。外国語試験では、実用的な言語能力が問われるため、日常的な学習だけでなく、実際の試験形式に慣れることがおすすめです。

既習コース

項目

内容

試験回数

秋に1回

試験内容

出願書類・論述試験

募集人数

約165人

既習コースについては、未修コースと比べて募集人数が多いものの、受験する学生のレベルが高いことが特徴です。

そのため、論述試験で高得点を獲得するためには、十分な対策が不可欠です。法律に関する深い知識はもちろん、論理的に考え、それを明確に表現する能力が求められます。

このため、論述試験対策としては、幅広いテーマについての理解を深め、多くの練習を積むことが推奨されます。また、受験生は、試験準備を通じて、自身の法律的思考能力を高めることも重要です。

東大法科大学院のおすすめポイント

東大法科大学院の強み

授業担当は名立たる有名講師

東京大学法学院の授業を担当する教授陣は、法学界において高い名声を持つ大物教授ばかりです。これらの超一流の教授から直接講義を受けることができるのは、法知識の習得において有効です。

トップクラスの教授から学ぶ経験は、学生の勉強へのモチベーションを高めるだけでなく、法学への深い理解と興味を引き出す効果もあります。教育水準と環境の両面で日本最高レベルであることが、東大法科大学院が非常に魅力的な法学院である理由の一つです。

授業は質の高い双方向の構成

東大法科大学院の授業においては、基本的にクラス制で双方向型の構成が取られています。これは、学生が能動的に授業に参加し、講師と学生が積極的に意見交換をする形式です。

一方的な講義ではなく、学生の入力と出力のバランスが取れた授業が行われるため、自然と予習復習の習慣が身につきます。また、法学に関する疑問点を即座に解消できるため、非常に有意義な学びが実現します。

このような双方向の授業構成は、法曹として活躍できる力を養成する上で、非常に効果的なカリキュラムと言えるでしょう。

学生自習室などの設備が充実

東大法科大学院には、学生が勉強に集中できるような指定席制の自習席が整備されており、設備の面でも充実しています。

自宅やカフェでの勉強に不便を感じることなく、判例検索などのデータベースを備えた自習室で、快適に司法試験対策を行うことができます。

このように、東大の法科大学院では学生が勉強に専念できるような環境を提供しています。

サポート体制も万全

東大法科大学院では、学生一人ひとりが学業に専念できるよう、学習相談室とクラス顧問制度の二つのサポートシステムを提供しています。

学習相談室では、学習相談員と心理カウンセラーが常駐しており、学生が抱える勉強面や生活面の様々な悩みに対して、適切なアドバイスを提供してくれます。些細なことでも気軽に相談できる環境が整っているため、学生は不安や悩みを抱え込むことなく、迅速に解決策を見つけることができます。

また、クラス顧問制度では、各クラスに一人の教員が顧問として割り当てられ、学生からの質問や疑問に対して直接回答を提供します。この制度により、学生は疑問点をその場で解消することができ、勉強への集中を継続することが可能になります。これら二つのサポートシステムは、学生が安心して学業に打ち込めるよう支えてくれます。

東大法科大学院の学費

第1年度

項目

価格

入学金

28万2000円

授業料

80万4000円

合計

108万6000円

第2・3年度

項目

価格

授業料 

80万4000円

各コースの必要費用

既修コース

108万6000円+80万4000円=189万円

未修コース

108万6000円+80万4000円×2=269万4000円

学費に関しては、東大法科大学院は国立法科大学院のため、私立法科大学院と比較すると比較的リーズナブルな金額です。

第1年度の総額は入学金と授業料を合わせて108万6000円、続く第2・3年度は年間の授業料が80万4000円となっており、2年間授業を受ける既修コースでは合計189万円、3年間の未修コースでは合計269万4000円の費用が必要になります。

私立の法科大学院と比較すると、学費が安いことも東大法科大学院を選ぶ大きなメリットの一つです。このリーズナブルな学費設定は、高い教育水準を求める学生にとって、東大法科大学院が魅力的な選択肢となる理由の一つです。

法科大学院の中では学費が比較的に安い方

法科大学院名  

学費

東大法科大学院

80万4千円

早稲田大法科大学院

127万円(入学金30万円)

中央大法科大学院

130万円(入学金30万円)

慶應法科大学院

161万円(入学金10万円)

東大法科大学院の学費を私立法科大学院と比較すると50万〜80万ほども差があることがわかります。

この費用対効果の高さは、質の高い教育を受けながら将来の法曹界で活躍するための基盤を築く上で、非常に重要です。将来法曹を目指す学生にとって、東大法科大学院は目指すべき場所の1つです。

東大法科大学院受験に向けた対策法

幅広く広範な範囲を勉強する

東大法科大学院受験に向けた対策法としては、何よりもまず、試験範囲の広さに対応するために、幅広く広範な範囲を網羅的に勉強することが求められます。

試験の出題範囲は非常に広く、細部にわたる知識が必要とされるため、基礎知識の確実な理解と応用力の向上が不可欠です。そのため、過去問の分析を通じて出題傾向を把握し、それに基づいた実践的な対策を積むことが効果的です。

過去問を解くことで、試験で求められる知識の範囲と深さを理解し、対策の方向性を定めることができます。また、細かなポイントを押さえておくことで、幅広い問題に柔軟に対応できるようになるため、網羅的な学習と過去問題の反復演習は、東大法科大学院受験の成功に向けておすすめの対策法です。

他の大学や予備試験と並行して勉強する

東大法科大学院の入試準備において、他の大学や予備試験との並行勉強は、戦略的にすると良いでしょう。

東大法学院の入試は司法試験の予備試験の後に行われるため、予備試験の準備を通じて得た知識とスキルを東大法学院の入試対策に活用することが可能です。

ただし、私立法学院を併願し、そちらに先に合格すると、気持ちが緩んでしまうリスクがあります。そのため、私立法学院に合格した後も、東大法学院の合格を目指して勉強を続けることが重要です。目標を明確に定め、強い意志を持って勉強を進めることが、最終的な成功への鍵となります。

法科大学院別過去問分析講義を受講するのがおすすめ

例えば早稲田大学や慶應義塾大学など他の法科大学院別の過去問分析講義を受講することも、効率的な試験対策に非常に役立ちます。

各法科大学院の出題傾向を深く理解し、試験形式に慣れることで、より戦略的に試験勉強を進めることが可能になります。

経験豊富な講師からの詳しい説明を通じて、自分の弱点を特定し、効果的に克服することができます。さらに、このような講義は勉強のモチベーションを保つ上でも非常に有効です。

過去問分析講義を販売している講座の中でも、アガルートの法科大学院対策講座は特におすすめです。

アガルートでは、関東圏の法科大学院入試に特化した「法科大学院入試専願カリキュラム」を展開しています。こちらを受講することで東京大学に留まらず、早稲田、慶應など併願候補の法科大学院の過去問講義も受講することができ、非常に便利です。

また、アガルートは司法試験で多数の合格者を輩出している点も特筆すべきポイントであり、この点からも非常におすすめの講座であると言えます。


東大法科大学院の難易度について

これまで東大法科大学院の難易度について解説してきました。

東大ロースクールは入試倍率自体は際立って高いわけではないものの、予備試験合格者などの優秀層が受験者に含まれるため受験者のレベルが高く、結果として倍率以上に厳しい試験になっていることがわかりました。

しかし、学費や司法試験合格率、他のメリットなどから考えても日本最高峰のロースクールの一つであることは間違いありません。

法科大学院の受験を考えている方は挑戦みるのも良い選択肢かもしれません。