弁護士に英語力は必要か?いらない能力と言われる英語について転職の観点から解説

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現代のグローバル社会において、英語力は多くの職業で求められるスキルとなっています。

しかし、弁護士という職業においても英語力が本当に必要なのか、疑問に思う方も多いでしょう。実際のところ、英語力は弁護士としてのキャリアにどのような影響を与えるのでしょうか?

本記事では、弁護士における英語力の重要性について、特に転職の観点から詳しく解説します。英語力がいらないとされるケースや、逆に英語力が強みとなる場面についても具体的に探っていきます。

弁護士に英語の能力やスキルは必要か?

弁護士にとって英語力は必須ではありませんが、キャリアの可能性を広げる重要なスキルとなります。

多くの弁護士が主に国内の民事・刑事事件を扱うため、日常業務で英語を使用する機会は限られています。

弁護士に英語の能力やスキルは必要か?

しかし、英語力の有無によって、弁護士のキャリアパスや専門分野に大きな違いが生じることがあります。

英語力があることで、高給与や専門性の高い仕事に就く機会が増えますが、英語に自信がなくても十分に活躍できる道は多くあります。弁護士という職業の魅力は、自身の経験やスキルに合わせて多様なキャリアパスから選択できる点にあります。

結論として、弁護士に英語力は絶対に必要というわけではありませんが、キャリアの選択肢を広げ、より多くの機会を得るための有力なツールとなります。

法務での英語力が必要な場所

弁護士の多様なキャリアパスにおいて、英語力の重要性は業務内容や職場環境によって大きく異なります。

英語を駆使する必要がある具体的なケースを探ることで、自身のキャリア目標に応じた英語スキルの必要性を理解することができます。

以下では、弁護士が携わる法務において、英語力が必要とされる場所とその理由について解説します。

法務での英語力が必要な場所

外資系法律事務所

外資系法律事務所では、グローバルな事業展開に伴い高度な英語力が求められています。

国際的な案件を円滑に遂行するためには、クライアントとのコミュニケーション能力が不可欠です。

そのため、入社時から800点以上のTOEICスコアが望まれ、入社後も英語を駆使した業務が待っています。

渉外弁護士

弁護士の中でも国際的な法的交渉を担当する渉外弁護士には、卓越した英語力が求められます。

海外のビジネスパートナーとの交渉は英語で行われるため、読み書きはもちろん、リスニングとスピーキングの高い能力が必要不可欠です。

英文契約書のチェックや修正作業においても、的確な英語力がなければ法的トラブルにつながりかねません。

企業内弁護士

企業が国際取引を展開する場合、弁護士には法的知識だけでなくビジネス英語力も求められます。

外国のビジネスパートナーとの契約交渉などでは、英語が流暢な弁護士が大きな役割を果たします。

企業法務系の法律事務所

企業法務を扱う法律事務所では、英語力が非常に重視されています。

国際案件や英語を使用する案件が多いため、英語でのコミュニケーション能力が必須とされているのです。

特に大手の法律事務所では、TOEICのスコアが800点以上の高い英語力が求められることが一般的です。これは、英語での交渉、契約書作成、円滑な対話のために不可欠な要素となっています。

お客様が日本語話者でない場合

グローバル化が進む中、外国人クライアントが増えており、法曹界では英語力の重要性が高まっています。

刑事事件では通訳を活用できますが、より円滑なコミュニケーションと業務効率化のためには法曹関係者自身の英語力が欠かせません。

多様な背景を持つ人々に適切な法的支援を提供するには、言葉の壁を越える必要があります。

弁護士が英語力を活かすメリット

これまで、英語力が必要とされる状況について述べてきました。

次は、弁護士が英語力を活かすメリットを紹介します。

業務やキャリアの幅が広がる

弁護士にとって英語力は大きな武器となります。

多くの企業が日常的に英語を使用しており、契約書の確認など英語対応が求められます。

英語力があればそういったニーズに応えられ、クライアントの信頼を得られます。一方で英語が苦手だと仕事を断らざるを得ず、クライアントから見放されかねません。

また英語対応が可能であれば、日常的な法律相談や英文契約書のレビューなどを通じて、長期にわたる顧問契約につながる可能性が高まります。弁護士の英語力は、クライアントにとって使い勝手が良く、気軽に相談できるためです。

刑事事件での日本語話者以外の対応が可能になる

英語力のある弁護士は、外国人被告人への対応ができます。従来は通訳を介する必要がありましたが、直接やり取りできるので手間が省けます。

また、英語での会話録音は重要な証拠となり得るため、翻訳の手間も不要になります。

企業法律事務所や渉外法律事務所への転職がしやすくなる

弁護士にとって高い英語力は、キャリアパスの拡大につながります。

企業法律事務所や渉外法律事務所への転職が容易になるためです。

企業法律事務所ではグローバル企業との取引が増えており、英語での対応が必須となっています。海外拠点やパートナーとのコミュニケーションにも英語力が欠かせません。

渉外法律事務所においては、英語が業務の重要なツールとなります。外国人弁護士が多数在籍し、英語が公用語となっているためです。

もちろん英語が苦手でも高度な専門性があれば中途採用の可能性はありますが、取引先との協議や国際的な動向の把握、クライアントサポートには英語力が不可欠です。

外資系企業やM&A案件に関わりやすい

企業法務においては、海外企業との合併や買収、国内企業の株式公開など、英語力が極めて重要となる案件が多数存在します。

海外企業との取引や買収の際には、円滑なコミュニケーションのために英語力が不可欠です。

さらに、国内企業間の合併や買収案件でも、デューディリジェンスの過程で買収先企業が提出する英文の契約書類を精査する必要があるため、英語力が求められることが多いのです。

買収先企業が国内企業であっても、原材料調達など何らかの形で海外企業と契約関係にあり、その文書は英語で記載されていることがほとんどです。

そのため、弁護士が十分な英語力を持っていなければ、契約内容を適切に把握し的確な法的助言を行うことは困難になります。

顧問契約が取りやすくなる

弁護士にとって英語力を磨くことは、顧問契約を獲得する上で非常に重要です。

多くの企業では、取引や業務運営で英語を日常的に使用しており、契約書のレビューなどの英語の案件が発生します。英語力がない弁護士は、こうした案件に対応できずに断らざるを得なくなります。

顧問契約は、日々の法的な相談を前提とするものが多いため、英語案件に対応できない法律事務所は使いづらく感じられ、顧問契約を継続するメリットが失われてしまいます。

一方、英語に堪能な弁護士であれば日常的な法的相談が容易になり、利用しやすい法律事務所と認識されると言えるでしょう。

年収が上がる

英語力の活用は弁護士にとって新たなビジネスチャンスを切り開くことに繋がります。

英語対応ができれば、国内だけでなく海外の個人や企業とも仕事ができるようになり、業務の幅が広がります。

英語力があれば扱う案件の数や種類が増え、専門性を高めることができます。結果として取引量が増加し、年収アップにつながるのです。

英文レビュー業務の時短につながる

弁護士の英語力は、英文契約書のレビューなどの業務を効率化する大きなメリットがあります。

異なる文化や法体系に基づいた専門的な英文書類を正確に解釈するには、高度な英語力が求められます。

英語が苦手だと単語の意味や文脈の把握に時間がかかり、作業効率が悪くなってしまいます。一方、英語に堪能な弁護士であれば、スムーズな理解力を活かして業務を迅速に遂行できます。

弁護士に要求される英語力を解説

グローバル化が進む現代社会において、弁護士の職務も国際的な要素を含むことが増えています。法律専門家として活躍の場を広げるうえで、英語力はますます重要な技能となっています。

では、実際に弁護士に求められる英語力とは、どの程度のものなのでしょうか。

ここでは、法曹界で必要とされる英語スキルの内容と水準について詳しく見ていきます。

渉外案件を扱う法律事務所ではネイティブレベルの英語力が必要

渉外案件を専門とする法律事務所では、弁護士にネイティブに匹敵する英語力が求められています。

これらの事務所では、国際的なビジネス環境で円滑にコミュニケーションを取り、複雑な法的問題を英語で処理する能力が不可欠です。

そのため、多くの事務所では若手弁護士に対し、海外留学を強く推奨しています。典型的なキャリアパスとしては、米国のロースクールで学位を取得し、ニューヨーク州などの弁護士資格を得た後、海外の法律事務所で研修を積むことが挙げられます。

ネイティブレベルの英語力は、クライアントとの信頼関係構築や海外の弁護士との協働においても重要な役割を果たします。英語を母語とする相手と対等に渡り合えることで、国際的な法務の場で競争力を持つことができるのです。

必要条件はTOEIC800点以上

弁護士業界において、TOEIC800点以上のスコアは英語力の基準として広く認識されています。

この点数は、多くの法律事務所や企業法務部門が求職者に要求する最低ラインとなっています。

TOEIC800点は、ビジネスにおいて一般的な状況下で円滑にコミュニケーションを取れる能力を示すとされ、弁護士の基本的な職務遂行に必要な英語力を反映しています。

しかし、TOEIC800点以上を獲得することは、あくまでも出発点に過ぎません。実際の法務業務では、この点数を超える実践的な英語力が要求されます。

また、キャリアアップや転職の際にも、この点数は重要な判断材料となります。多くの大手法律事務所や企業では、TOEIC800点以上を持つ候補者を優先的に考慮する傾向があります。

弁護士が業務を通じて英語力を高める方法

弁護士として英語力を高めるには、実際に英語を使う機会を持つことが大切です。英語を使う案件を担当すれば、自然と英語力が身につきます。

目の前の課題を英語で解決していく過程で、やる気も高まるでしょう。

外資系企業や企業法務に特化した法律事務所では日々の業務で英語を使う機会が多いため、そういった環境で働けば英語への苦手意識が減り、スキルアップも期待できます。

中には、将来的に海外留学のチャンスを提供する法律事務所もあります。

今の職場で英語を使う機会がないなら、プライベートで法律関連の英会話レッスンを受けるのも良いでしょう。

これからの法律業界での英語力の重要性

今後の法曹界では、英語力がますます重要になっていくと考えられます。

国際的な法律事務所で外国案件を扱う際に英語が必須なのは言うまでもありませんが、その意義はそれだけにとどまりません。

これまで国内業務が中心だった分野でさえ、今後は英語のニーズが高まると予想されます。

例えば、国内に拠点を置きながらも、原材料を海外から調達するなど外国企業と関わりのある企業を考えてみましょう。中国企業との取引などがその一例です。

こうした企業は、しばしば海外企業との法的トラブルに巻き込まれ、そこで英語力の必要性が顕著になります。

また、外国人労働者の増加に伴い、外国人クライアントの対応も珍しくなくなるでしょう。

企業法務から離れ、民事法の分野に目を向けても英語の需要は存在します。外国人との離婚や子どもの親権をめぐる問題など、英語の専門性が鍵となるケースが増えていくと考えられます。

法曹を目指す際、最初から英語が堪能である必要はありません。

しかし、日常会話レベルにとどまらず、着実に英語力を養うことが大切です。法曹界の将来は、グローバル化が進み、国境を越えた紛争が増加する中で、特に英語をはじめとする語学力の重要性を示しています。

弁護士は英語力がなくても転職が可能

弁護士の仕事において、英語力は必ずしも欠かせないものではありません。

就職や転職の際も、英語ができるかどうかで可能性が大きく変わるわけではありません。確かに、英語力があれば収入アップやスキルアップにつながる可能性はありますが、英語が苦手だからといって仕事に支障をきたすことはないでしょう。

例えば、債権回収や一般的な民事事件を扱う法律事務所、あるいは国内の刑事事件を専門とする弁護士の場合、特に英語力は求められません。

企業法務の分野でも、所属する企業の性質や事業分野によって、必要とされる英語力は様々です。つまり、英語に自信がなくても、自分の経験やスキルを十分に発揮できる環境は数多く存在するのです。

弁護士として転職を考える際は、英語力だけでなく、自身の知識や経験を踏まえて適切なキャリアパスを見出すことが大切です。

弁護士の転職におすすめの転職エージェント

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弁護士の英語力まとめ

弁護士に求められる英語力は、扱う案件や顧客のニーズによってさまざまです。

グローバルな案件や外国人の依頼人を担当する場合は、ある程度の英語力が必要になります。ただし、法律用語を理解するだけでなく、文化の違いを理解し、適切にコミュニケーションを取る能力も欠かせません。

一方で、地元の小規模な案件を主に扱う場合は、高度な英語力がなくても十分に仕事をこなせることが多いでしょう。

転職を考える際は、自分の英語力と、希望する職場で求められる英語力のレベルがマッチしているかどうかを見極めることが大切です。