グローバル化が進む現代社会では、英語が国際共通語として欠かせない存在となっていると言われている。そのため、英語教育の重要性がより一層高まっている。
英語学習の開始時期は早ければ早いほど良いと一般的に言われている。幼少期は脳の可塑性が高く、母語以外の言語を違和感なく吸収できる重要な時期だと考えられているためである。
幼少期の英語教育は、実際のところ英語能力やその他の能力に対してどのような影響を与えるのだろうか。
本記事では、実際に英語の幼少期教育を受けた人、子どもに英語教育を受けさせた親を対象にアンケートを行い、幼少期の英語教育の実際の効果に迫った。
- 9割以上が英語の幼少期教育を受けてよかったと実感
- 英語の幼少期教育を受けた層でTOEIC高得点の傾向
- 英語の幼少期教育で英語を話す際の自信が向上
9割以上の人が英語の幼少期教育を受けてよかったと感じている
「英語の幼少期教育を受けて/受けさせて良かったと思いますか」という質問に対し、94.5%が「はい」と回答した。一方、「いいえ」と答えたのはわずか5.5%にとどまった。
ほとんどの回答者が好意的な評価をしていることから、多くの人が早くから英語を学ぶことに何かしらの意義を感じていることがわかる。幼少期の英語教育は、総じて推奨できるものであるといえる。
子供に幼少期教育を受けさせるのは「将来の選択肢を広げるため」
英語の幼少期教育を子どもに受けさせる理由について尋ねたところ、最も多かった回答は「国際共通語の英語を身につけることで子供の可能性を広げるため」で、全体の18.1%を占めた。次いで「グローバル社会で役立つ能力を身につけさせたい」が16.6%、「語学習得に有利であると考えた」が11.1%と続いた。
これらの上位回答から、多くの保護者が子どもの将来を見据えて英語教育を選択していることがわかる。特に、グローバル化が進む社会において、英語力が子どもの可能性を広げる重要なツールとして認識されていることが顕著である。子どもの長期的な成長と可能性を重視する傾向が強いようだ。
幼少期教育の現在への影響
幼少期の英語教育が現在の英語能力にどのように影響を与えたかについて尋ねたところ、現在の英語能力に肯定的な影響を与えたと感じている回答者が多数を占めることが明らかになった。
調査では、現在の英語能力を「大きく向上させた」または「やや向上させた」と回答した人が計77%にのぼった。後述のTOEICスコアにも現れているように、英語教育を幼少期から施すことは後の英語能力に大きく寄与するといえる。
ただし、約2割の回答者が「現在の能力にあまり影響がない」と答えていることから、幼少期の英語教育の効果には個人差があることもうかがえる。今後、どのような教育方法や環境が効果的であるかをより詳細に分析し、多くの人に役立つ英語教育のあり方を探る必要があるだろう。
幼少期教育を受けた人は受けてない人に人比べてTOEICスコアが高い
幼少期の英語教育がTOEICスコアに与える影響も大きいようだ。
幼少期に英語教育を受けた群では、TOEICスコア600点以上が6割を占めた。一方、幼少期に英語教育を受けていない群では、600点以上はわずか19%にとどまっている。
この結果から、幼少期に英語教育を受けた人々のTOEICスコアが全体的に高い傾向にあることが明らかになった。
幼少期教育を受けた人の英語以外への影響
他の学習能力の向上にプラスの影響を与えている
英語の幼少期教育を受けたことが、他の学習にどのような影響を与えたかについて尋ねたところ、「大きく良い影響を与えた」と回答した人が26.0%、「どちらかと言えば良い影響があった」と答えた人が48.5%であった。これらを合わせると、74.5%の回答者が幼少期の英語教育が他の学習にもプラスの影響を与えたと認識していることがわかる。
この結果から、英語学習が他の学習分野にも良い影響を与えている可能性がうかがえる。たとえば、語学を学ぶ過程で身についた記憶力や集中力が、他の科目の勉強にも役立っていることが考えられる。
他の言語への学習意欲を高めている
英語の幼少期教育を受けたことで他の言語への学習意欲が高まったかについて尋ねたところ、50.5%の回答者が「はい」と答えた。他言語の学習にポジティブな影響がある傾向が認められる結果となった。
幼少期の英語教育が言語学習に対する積極的な姿勢や自信を育み、この結果につながっていることが指摘できる。また、英語学習を通じて獲得した学習方法や言語習得のコツが、他の言語学習にも応用できるなど、より具体的な部分での効果を実感している可能性も考えられる。
この結果は、早期言語教育の意義をさらに深めるものであり、グローバル社会に対応できる人材育成の観点からも重要である。今後の言語教育政策や教育プログラムの設計において、考慮すべき重要な要素となるだろう。
英語教育を受けたことで、言語能力に加えてコミュニケーション能力も向上
「英語の幼少期教育で、あなたあるいはお子さんが受けた影響の中で最も大きいものは何だと思いますか」という質問に対しては、「言語能力の向上」を挙げた回答者が29%と最多であった。これは、幼少期英語教育の主目的が達成されていることを示している。
その次に「コミュニケーション能力の向上」が19.5%で続いている。これは、英語教育が単なる言語スキルの獲得以上の効果をもたらしていることを示唆している。言語を学ぶ過程で、他者との対話や意思疎通の機会が増えることで、全般的なコミュニケーション能力が向上していると考えられる。
さらに、「異文化理解の向上」が16%、「学業成績の向上」が14.5%と続いている。これらの結果は、幅広い知識や視野の拡大、さらには学習全般への好影響をもたらしていることを示している。
今後の英語教育においては、言語スキルの習得だけでなく、これらの副次的効果も考慮したカリキュラム設計が重要になる。また、個々の学習者の特性や目標に応じた柔軟な教育アプローチの必要性も示されている。
5割以上の人が英会話塾を利用
英語の幼少期教育に使われた主な手段について調査を実施した結果、英会話塾の利用が圧倒的に多いことが明らかになった。
調査結果によると、最も多く利用されている学習手段は「英会話塾」で、全体の52.5%を占めている。これに「英語学習塾」の19.5%を加えると、72%の回答者が何らかの塾を利用していることになる。この結果は、幼少期の英語教育において、専門的な指導を受けられる塾が重要な役割を果たしていることを示している。
今後の英語教育においては、これらの多様な学習手段の特性を理解し、個々の学習者に合わせた最適な教育方法を選択することが重要になる。また、塾や学校教育、家庭学習を効果的に組み合わせた総合的なアプローチも、より効果的な英語教育の実現に寄与する可能性がある。
英語の幼少期教育は一般的に週4時間未満である
幼少期の英語教育における学習時間について尋ねたところ、週4時間未満の学習が一般的であることが明らかになった。
調査結果によると、最も多かった回答は「1時間以上4時間未満」で、全体の58%を占めた。これに「1時間未満」も18.5%を加えると、76.5%の回答者が週4時間未満の英語学習を行っていたことになる。
幼少期の英語教育は、他の習い事や遊びなどとの両立も十分可能であるような、比較的負担が少ないと考えられる範囲で実施されているといえる。
学習時間が長いほどTOEICスコアが高くなる傾向あり
幼少期の英語教育にかけた時間と後のTOEICスコアには、一定の関連があるようだ。
週あたりの英語学習の時間が1時間未満の層ではTOEIC600点以上の割合が4割ほどである。これでも幼少期教育を受けていない層よりは割合が高いが、4時間〜7時間の層では約7割、7時間以上の層では9割近くにまでTOEIC600点以上を取得している割合は高まる。
幼少期から継続的に英語教育を受けることで、後の英語能力を高められる可能性はより高くなるといえる。
5割以上の人の英語教育の費用が1万円未満
幼少期の英語教育の1ヶ月あたりの費用を調査した結果、最も多かった回答は「1万円未満」で、全体の55.5%を占めた。
幼少期教育には多額の費用がかかるイメージも否めないが、英語以外の習い事の月謝の相場と変わらない範囲で英語教育を施している場合がほとんどであることがわかる。
今後、公教育における英語教育の充実や、無料または低価格のオンライン学習ツールの活用など、より多くの子どもたちが質の高い英語教育にアクセスできる環境づくりも重要な課題となるだろう。
幼少期の英語教育経験者の方が英語に自信を持っている
「英語を使用する際、自信はありますか」という質問に対しては、幼少期に英語教育を受けた郡では、「非常にある」と「比較的自信がある」を合わせて4割以上の回答者が英語使用に自信を持っていることがわかった。
対照的に、幼少期に英語教育を受けていない群では、「非常にある」と「比較的自信がある」がともに6%で、合計でもわずか12%にとどまる。一方で、「あまり自信がない」と「全く自信がない」を合わせると、82%の回答者が英語使用に自信を持てていないことが明らかになった。
また、「全く自信がない」と回答した割合が、幼少期教育経験者では5%にとどまるのに対し、未経験者では53%と大きな差がある点も注目に値する。
早期からの英語学習により、後の英語使用に対する抵抗感が少なくなると考えられる。また、英語使用に対する自信は、自ら積極的に英語を使用する機会を獲得し、さらに英語力を伸ばしていくという好循環を生むだろう。
総括
調査を通して幼少期の英語教育は多くの面で肯定的な影響を与えていることが明らかになった。9割以上の人が幼少期の英語教育を受けて良かったと感じており、実際にTOEICスコアの向上にもつながっている。さらに、英語教育は他の学習能力や他言語への学習意欲、コミュニケーション能力、異文化理解の促進にも良い影響を与えていると感じる人も多いことがわかった。
英語教育の促進には、個々の学習者に合わせた柔軟かつ幅広い教育アプローチをより多くの人に届けることが必要だ。また、言語スキルだけでなくコミュニケーション能力や異文化理解の向上を意識したカリキュラム設計が求められる。公教育での英語教育の充実や、オンライン学習ツールの活用など、より多くの子どもたちが質の高い英語教育を受けられる環境づくりも重要な課題となる。
今後、さらに多くの人が早期から英語に触れ、英語能力を伸ばすことができれば、グローバル化が進む現代において日本の競争力の底上げが実現することも期待できる。幼少期の英語教育は、単なる言語習得にとどまらず、子どもたちひいては日本社会の将来の可能性を大きく広げる重要な役割を果たしているといえる。
調査概要
項目 | 詳細 |
調査名 | 幼少期の英語学習に関する実態調査 |
対象者 |
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対象地域 | 全国 |
調査方法 | インターネット |
調査期間 | 2024年5月19日〜2024年5月26日 |
回答数 |
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調査結果の引用・転載について
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