司法書士の難易度は?司法書士が難しすぎる理由や合格点の目安を解説!

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司法書士という仕事に就くには、国家資格である司法書士試験に合格する必要があります。この試験は極めて難易度が高く、多くの受験生が合格への道のりで挫折してしまうと言われています。

ここでは司法書士試験がなぜそれほど難しいのか、また合格に必要な点数はどの程度なのかについて、わかりやすく解説していきます。

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司法書士試験の難易度

司法書士試験は極めて高い難易度を持つと言われており、合格者は受験者の4~5%程度にとどまります。

この試験では、資産や債務、家族関係など法律の幅広い分野に関する包括的な知識と深い理解、さらにはそれらを適切に応用する能力が厳しく問われるため、合格を目指すには卓越した努力と約3000時間に及ぶ学習時間の投資が必要不可欠です。

司法書士試験の合格率

司法書士試験の合格率は4~5%と非常に低く、一般的な国家資格試験と比べても極端に低い割合です。

2023年度の司法書士試験では、受験者が13,372名もいましたが、合格者はわずか695名で合格率は5.2%にすぎませんでした。

司法書士試験 過去10年分の合格率の推移と受験者層

以下の表は、司法書士試験の過去10年分の合格率の推移を示したものです。

年度合格率受験者数合格者数

令和5年度(2023年度)

5.2%

13,372人

695人

令和4年度(2022年度)

5.2%

12,727人

660人

令和3年度(2021年度)

5.1%

11,925人

613人

令和2年度(2020年度)

5.2%

11,494人

593人

令和元年度(2019年度)

4.4%

13,683人

601人

平成30年度(2018年度)

4.3%

14,387人

621人

平成29年度(2017年度)

4.1%

15,440人

629人

平成28年度(2016年度)

3.9%

16,725人

660人

平成27年度(2015年度)

3.9%

17,920人

707人

平成26年度(2014年度)

3.8%

20,130人

759人

表からわかるように、ここ10年間、司法書士試験の合格率はほぼ横ばいで推移しています。合格者数は約600人前後と一定の水準が維持されており、受験者数の減少にも関わらず、一定数の合格者が確保されているのが特徴です。

近年合格率は若干上昇し、5%程度となっていますが、依然として9割以上の受験者が不合格となっており、極めて難関な試験であることがうかがえます。

合格者の年齢層は30代、40代が中心で、全体の約3分の2を占めているようです。一方20代の合格者は1割程度で、社会人になってから受験する人が多いです。

また合格者の男女比は男性が7割以上を占め、女性は3割に満たない状況にあります。

司法書士試験が難しすぎると考えられている3つの理由

特殊な法律科目が多くとっつきにくいから

司法書士試験の難易度を高める要因の一つが、他の法律資格試験にはない「不動産登記法」や「商業登記法」といった独特な科目の存在です。

これらの科目は試験で大きな比重を占め、択一式問題だけでなく記述式の論述問題も出題されるため、単なる暗記では対応できません。

深い理解が求められる一方で、一般的になじみが薄いこれらの分野について具体的なイメージを持つことが難しく、受験生の多くが苦手意識を抱いています。

全科目バランスよく学ばないといけないから

司法書士試験は、11科目すべてで一定水準以上の得点を取ることが求められます。得意分野だけに特化し、他の科目を軽視することは許されません。

各科目の専門知識だけでなく、科目間の関連性を理解し、全体像を把握することが重要です。

合格点が相対的に決まるため倍率が高いから

司法書士試験の難易度が極めて高い理由の一つは、相対評価による合格基準の設定方式にあります。単に問題の正解率で合否を決めるのではなく、受験者の得点を順位付けし、上位一定割合のスコアを獲得した者のみが合格となります。

そのため、合格に必要な具体的な点数がわからず、学習の進捗状況を適切に判断できません。

さらに、出題問題が易しかった場合、合格ラインが非常に高く設定される可能性もあります。試験は午前と午後に分かれており、いずれか一方でも基準を下回ると不合格になるため、合格を得るハードルがかなり高くなっています。

司法書士の仕事内容と資格試験で問われること

司法書士は国家資格を持つ法の専門家で、主に不動産や会社の登記申請などの法律事務を担っています。

しかし近年では、高齢者の法的保護や簡裁での訴訟、遺言書作成など幅広い業務に従事できるようになりました。独立して事務所を開設する者もいれば、法人や他の事務所に所属して働く者もいます。

また、企業の法務部で活躍したり、複数の司法書士が合同事務所を立ち上げて共同で業務を行うケースもあり、職種の幅が広がっています。

司法書士試験の科目・形式

司法書士試験は、長時間にわたる筆記試験で構成されています。試験形式は択一式と記述式で、11科目からの出題となります。

試験は午前と午後に分かれ、午前中は憲法、民法、刑法、商法の4科目から択一式問題が出題されます。

午後は民事訴訟法などの7科目から、択一式と記述式の問題が出題されます。記述式問題は不動産登記法と商業登記法からそれぞれ1問ずつ出題されます。

司法書士試験 筆記試験の合格点・基準点の目安

司法書士試験の筆記試験は、合格には総合得点の合格点とともに、3つの部分(午前の部・択一式、午後の部・択一式、記述式)からそれぞれ設定された基準点をクリアする必要があります。

合格点は年度によって変動しますが、近年では最低205.5点から最高216.5点の範囲にあります。令和6年度以降は記述式の配点が140点満点に変更され、総合得点も変わります

合格には75%程度の正解が必要とされるため、相対評価により年度ごとに合格点が変動するのです。

司法書士試験の日程

4月下旬から5月中旬にかけて受験申請を行う必要があり、この期間を逃すと当該年度の受験機会を失ってしまいます

本試験は7月の第1週目または第2週目の日曜日に行われ、午前は択一式問題、午後は択一式と記述式の問題から構成されています。

筆記試験に合格した受験生は10月上旬から中旬に発表され、その後10月下旬の平日に口述試験を受けます。

一連の試験をクリアすれば11月上旬から中旬に最終合格発表があります。口述試験の合格率が高いため、筆記試験の日程と内容を確実に把握することが重要です。

司法書士の難易度をそのほかの国家資格と比較

司法書士試験は、国家資格の中でも最難関の一つと言われています。以下の表は、代表的な国家試験の合格難易度ランキングを示したものです。

資格試験

合格率

勉強時間(目安)

司法試験

25~40%

6000時間

税理士

15~20%

2000~2500時間

宅建士

15~17%

300~400時間

行政書士

11~15%

600~1000時間

土地家屋調査士

8~10%

800~1200時間

社労士

6~8%

1000時間

司法書士

4~5%

3000時間

表からわかるように、司法書士試験は広範囲かつ深い知識が求められ、合格率はわずか4~5%にとどまる一方で、約3000時間もの長時間の学習が必要とされます。

他の国家資格と比較してみると、合格率と学習時間から見て、司法書士試験は司法試験に次いで難易度が高いことがわかります。

ただし、この評価は一般的な観点に基づくものであり、個人の知識や能力、意欲などによっても難易度は変わってくるでしょう。

また、司法試験は法学部卒業後の予備試験や4日間に渡る本試験など、総合的に見れば最難関と位置づけられていることに注意が必要です。

行政書士との比較

行政書士と司法書士は、それぞれ専門分野が異なる資格ですが、しばしば混同されがちです。

合格率を見ると、行政書士試験の方が司法書士試験より約2倍高く、試験基準も行政書士の方が相対的に易しいと言えます。

しかし一部の科目が重複しているため、行政書士の勉強は司法書士を目指す上でも有益であり、行政書士資格取得後に司法書士を目指す人も多くいます。

司法試験との比較

法律系国家資格の中で最難関と言われる司法試験と司法書士試験。一見すると、司法試験の合格率が30~40%であるのに対し、司法書士試験の合格率はわずか4~5%と極端に低いことから、司法試験の方が簡単に思えてしまいます。

しかし、これらの数値だけから判断するのは早計です。

司法試験には、「予備試験合格者」または「法科大学院修了生」という厳しい受験資格があり、受験者は既に一定の法律知識を有するか、厳しい過程をクリアしている者ばかりです。

一方、司法書士試験には受験資格がなく、法律の初学者や学習途中の人でも挑戦できます。このような違いが、司法書士試験の合格率の低さにつながっているといえます。

したがって、「どちらが難しいか」を単純な合格率で比較するのは適切ではないでしょう。

税理士との比較

国家資格の難易度を比べると、一般的に司法書士試験の方が税理士試験よりも難しいとされています。

その理由として、司法書士試験は相対評価方式で合否が決まり高い基準点があるため、合格率が低くなりやすいことがあげられます。

また、合格までに3000時間以上の学習時間を要するとされており、実際の合格率も司法書士試験の方が税理士試験よりも高めとなっています。

社労士との比較

社労士と司法書士は、いずれも重要な法律系の国家資格ですが、求められる知識や試験形式が大きく異なるため、難易度に違いがあります。

社労士は労働関係と社会保険に関する選択式の筆記試験が中心ですが、司法書士は民法、商法、不動産登記法など幅広い分野の知識が必要となり、記述式問題や口述試験もあるため、より高度な専門性が求められます。

宅建士との比較

不動産取引において重要な役割を担う宅建士と司法書士の国家資格には大きな違いがあります。

宅建士は公正な取引を実現するための資格ですが、司法書士は不動産登記に特化した業務を多く担っています。

両者の合格率を比べると、宅建士は15〜17%程度であるのに対し、司法書士は4〜5%と極めて低く、宅建士の3〜4倍の難易度があります。この理由は、司法書士試験が11科目と広範囲にわたり、記述式の問題もあるためです。

土地家屋調査士との比較

土地や建物の登記に関わる国家資格である土地家屋調査士と司法書士は、表面上は似ているように見えますが、実際には違いがあります。

両者の資格試験には一定の類似点がありますが、合格率から見ると、司法書士試験の方が土地家屋調査士試験よりも難易度が高いと言えます。

司法書士試験に簡単に合格するためのおすすめ勉強法

合格に焦点を当てた勉強をする

司法書士試験に合格するためには、試験範囲に絞って重点的に勉強することが効果的です。合格点の取得を最優先に置き、法律全般の知識を深めることよりも、試験で問われる分野に集中して学習することが大切です。

また、予備校や通信講座のカリキュラムを活用すれば、効率的な学習計画を立てやすく、着実に実力を伸ばすことができます。

合格する期限を明確に決める

司法書士試験は長期間勉強すれば合格できるわけではありません。長期にわたれば集中力が散漫になり、かえって合格が遠のく場合も珍しくありません。焦点を絞り、いつまでに合格したいのかを明確にして計画的に取り組むことが大切です。

何より重要なのは、強い合格意志を持つことです。「短期間で絶対に合格する」という強い意欲があれば、過酷な受験勉強を乗り越えられるでしょう。

根気強く諦めない

司法書士試験は非常に難しく、多くの時間を費やして勉強に励む必要があります。しかし、そのような過程で気持ちが萎えたり、困難に直面したりする瞬間もあるでしょう。それでも、あきらめずに最後まで努力を続けることが大切です。

その信念こそが、困難な道のりを乗り越える原動力となり、最後までやり抜く勇気につながります。

大学生は司法書士試験を1年で合格できる?

司法書士試験に合格するためには、幅広い法律知識が求められます。しかし、大学生であれば、計画的かつ集中力を持って学習を続ければ、1年間で合格を勝ち取ることができます。ただし、それには相当な努力と時間の投資が必要不可欠です。

具体的には、毎日8時間以上の学習が欠かせません。各科目を段階的に学び、問題を繰り返し解くことで理解を深めていく必要があります。民法、不動産登記法、商法など、様々な科目に取り組み、過去問やテキストと真剣に向き合う必要があります。

また、独学で合格した受験生の中には、分からない部分は一時的に飛ばし、テキストを繰り返し読むことで徐々に理解を深めていった例もあります。

このように、1年間で司法書士試験に合格することは、大変な挑戦ですが、計画的かつ効果的な学習を続ければ実現可能な目標です。

合格には予備校・通信講座を利用するのがおすすめ

司法書士試験は、一般的な学習方法だけでは合格するのが難しい場合が多く、予備校や通信講座での学習が効果的な対策となります。

予備校や通信講座には、試験範囲に特化した効率的な学習ができる利点があります。試験の傾向やパターンを把握し、それに合わせた対策を立てられるのがメリットです。

また、専門家が作成した質の高い教材を活用できるため、自分で教材を選ぶ手間が省け、分かりやすく学習できます。さらに、予備校や通信講座のスケジュールに従うことで、規律ある学習習慣を身につけることができます。

司法書士の難易度まとめ

この記事では司法書士が難しすぎる理由や合格点の目安について解説しました。

司法書士試験は極めて難しく、法律知識の豊富な理解に加え、綿密な思考力と持続的な努力が求められます。試験範囲の広さと深さ、法律の解釈と適用能力が必要となることが、その難易度の高さにつながっています。

合格最低基準点は年により変動しますが、おおよそ7割以上の正解率が目安とされます。

確かに大変な試験ですが、関心さえあれば誰もが挑戦することができます。