薬剤師の志望動機の書き方は?書く際の手順や職場別の例文などを解説

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薬剤師を志望する理由を文章にするのは、自分の想いや目標を明確に伝えるために重要な機会です。しかし、具体的にどんな内容を書けばよいか、どのように構成すれば良いかわからない人も多いでしょう。

この記事では、薬剤師の志望動機の書き方について詳しく解説します。執筆の手順から、求職先別の具体例までお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

薬剤師の志望動機の作成手順とは?

自己分析・企業研究

自己分析は、自分自身を客観的に理解するための重要なプロセスです。自分の価値観、長所、短所、関心事などを探ることで、自分に合った分野や職種を見つけることができます。

一方で、志望動機作成には企業研究も欠かせません。志望する組織の理念やミッション、重視する点を理解することで、自分のキャリア目標とそれらがどのように結びついているかを示すことができます。

さらに、企業研究を通じて職場環境や課題を把握することで、自分なりに貢献できる点を面接などで具体的に説明できるようになります。

薬剤師の中でもその職場を選んだ理由を列挙する

薬剤師を志望する際には、単に「薬剤師として働きたい」と漠然とした理由を述べるだけでは不十分です。目指す病院の特性や方向性、特に専門的に注力している部門などを具体的に理解し、それらが自分のキャリアパスや目標とどのように合致するのかを詳しく説明することが重要です。

各病院は異なる特色を持ち、その治療方針や薬物療法も様々です。そういった情報を踏まえて、なぜあなたがその特定の病院を志望するのかという理由を、論理的かつ納得のいく形で表現することが求められます。

自分の強みと志望理由を絡めてまとめる

薬剤師を志望する理由や目指すビジョンを明確に示し、自分の強みや独自のスキルを活かして企業に貢献できることを伝えることが重要です。

例えば、「私の調剤スキルを活かし、患者さんに直接的な価値を提供することで、組織の繁栄に寄与できると信じています」と表現することができます。

そうして、「私だからこそできる貢献」を示すことで、採用担当者に働く熱意や活躍へのイメージを描かせることができます。

薬剤師の志望動機でおすすめの内容

薬剤師の志望動機でおすすめの内容

人々の健康を支える仕事に貢献したいという想い

まず、薬剤師の職務の本質が医薬品の適正使用を通じて患者の健康を守ることであり、この想いはそのまま職務の遂行に直結します。

また、薬剤師は薬の調剤や服薬指導、薬物療法の管理などを通じて患者の治療を支援するため、健康に対する情熱と貢献意識が必要なのです。

自分の強みと活用先

志望動機の中で、自分の強みとそれをどのように活かして会社に貢献できるかを明確に示すことが重要です。自分の長所を具体的に説明し、その上でどのように会社の役に立てるかを提案すれば、採用担当者に実際の仕事ぶりを想像してもらえ、他の応募者と差をつけることができます。

自分の強みとその活用法を具体的に示すことで、企業側に「この人なら任せられる」「成果が期待できる」と感じてもらえ、採用に繋がりやすくなるでしょう。

薬学部在学中などで取得した資格

薬学部に在学中は、薬剤師国家試験の合格を目指すことが主流ですが、卒業後の進路選択肢を広げるためにも他の資格取得を検討するのがよいでしょう。単に資格を持つことで就職活動での業界適性が示せたり、手当が得られたりするメリットもあります。

また、医療機関や薬局以外にも製薬会社や公的機関など、様々な分野で活躍できる可能性が広がります。在学中から資格取得に取り組めば、将来の選択肢がより豊かになるはずです。

以下にとっておきたい資格を列挙しましたのでご参考ください。

放射線取扱主任者

放射線取扱主任者の資格は、放射線を安全に管理し、その取り扱いを監督する国家資格です。この資格は、病院やメーカー、大学、保健所など、様々な業界で求められています。

特に薬剤師は、放射化学の知識を学ぶ機会があるためこの資格取得に有利です。ただし、合格後には特別な講習を受講し、免許発行のプロセスに留意する必要があります。

危険物取扱者(甲種)

危険物取扱者(甲種)は、ガソリンや薬品、塗料など法律で定められた危険物を安全に取り扱うための国家資格です。この資格を持つと、様々な種類の危険物を扱う権限が与えられます。

この資格は、危険物を一定量以上扱う施設で義務付けられており、資格保有者は施設の安全管理を担当します。都道府県ごとに実施される試験に合格することで取得できます。薬学部の学生でも受験資格があり、危険物を扱う多くの職場で重宝される資格となっています。

登録販売者

薬の専門知識を持つ登録販売者は、ドラッグストアや薬局で一般用医薬品の販売を行います。適切な情報提供により、顧客の健康をサポートする重要な役割を担っています。

この資格を取得するには、都道府県ごとに実施される試験に合格する必要がありますが、年齢や学歴は問われません。薬学部生も学んでいる専門知識を活かして挑戦できるため、学習の良い機会ともなります。

資格取得後は、勤務先の都道府県で登録を行えば、薬剤師資格取得前にドラッグストアで働くこともできます。

志望理由で書かない方がいいこと

志望理由で書かない方がいいこと

どの企業にでも言えるような内容

志望理由を書く際は、一般的な表現はできるだけ避けましょう。その企業ならではの魅力や特徴に焦点を当て、具体的な事例を挙げることが重要です。

その上で企業の取り組みやカルチャーに惹かれた出来事を述べ、自分がどのように活躍できるかというビジョンを分かりやすく伝えましょう。

給料が高いという理由

志望理由として給与が高いことに過度に重きを置くのは避けるべきです。そうすると、仕事への熱意やスキルアップへの意欲が欠けているように受け取られる恐れがあります。

また、長期的な視点を欠いている印象を与えてしまう恐れがあり、企業との信頼関係を損ねかねません。

むしろ、仕事への情熱、専門性の向上、長期的なビジョンなどを志望理由に据えることで、企業側に確かな信頼を持ってもらえるでしょう。

自分のキャリアアップに特化した理由

志望理由として自分のキャリアアップのみを強調すると、企業側から自己中心的な印象を受けてしまう可能性があります。

自身の成長と同時に、自分のスキルアップがどのように企業に貢献し、組織の発展につながるのかという視点を志望理由に盛り込むことが重要です。

労働条件がいいからという理由

志望理由には、労働環境への配慮よりもその仕事に対する熱意や適性、具体的な対応力をアピールすることが重要です。

組織は協調性のある人材を求めており、残業の少なさを重視する姿勢は、柔軟な対応力を欠いているとみなされかねません。プライベートと仕事の両立や健康維持のためという位置づけならば良いでしょうが、単に楽な環境を求めているようでは真剣さが疑われてしまう可能性があります。

『勉強させていただきたい』というフレーズ

「勉強させていただきたい」というフレーズが薬剤師の志望動機として不適切な理由は、その受動的な姿勢にあります。

薬剤師は患者の健康を直接支援する責任を持つ専門職であり、積極的な貢献と主体性が求められます。このフレーズは自らの成長を重視しすぎるあまり、患者や組織への具体的な貢献意識が欠如している印象を与えかねません。

志望動機には、学びたい意欲に加えて自分のスキルや知識を用いて他者に貢献する強い意志を明確に示すことが重要です。

薬剤師に必要とされるスキルは?

冷静な判断力

薬剤師は、調剤薬局で複数の患者から処方箋を受け取り、時間に追われながらも冷静な判断力を発揮する必要があります。

処方箋の確認や患者の安全性の確保など、一つの過ちが重大な影響を及ぼす可能性があるため、いかなる状況下でも確実な判断力が求められます。患者の命に関わる仕事ゆえ、忙しさを理由に判断を誤ることは許されません。

薬剤師には、落ち着いて適切な対応ができる冷静な判断力が何より重要なのです。

コミュ力

薬剤師には医薬品の専門知識と並んで、コミュニケーション能力が求められます。患者への薬の説明をわかりやすく伝え、適切な服用を促すスキルが必要です。そのためには、単なる知識だけでなく、相手の立場に立った配慮と共感が不可欠です。

また、医師への的確な情報伝達や、多職種との連携においても、効果的なコミュニケーションスキルが欠かせないものとなっています。

教育能力

薬剤師として求められる教育能力には、様々な重要なスキルが含まれます。患者や学習者一人ひとりの特性に合わせて教育の方法を工夫するといった柔軟性が必要です。

これには、質問を促して対話や討論を通じて双方向のコミュニケーションを実現し、学習者の深い理解を助ける力が大事になってきます。

薬学における専門知識

薬剤師は医薬品の専門家であり、その適切な使用のために幅広い知識が求められます。薬剤の化学的性質から生理的作用、副作用、相互作用に至るまで、薬剤師は薬学の知見を熟知しています。

これにより、患者に最適な薬剤を処方し、その効果を最大化しながら副作用を最小限に抑えることができます。同時に、薬剤師は医療関連法規を深く理解し、遵守する必要があります。適切でない薬剤使用は法的問題のみならず、患者の命に係わる重大な事態を引き起こすリスクがあるためです。

さらに、薬剤師は保健政策の動向にも注意を払い、常に最新の知識と対応力を備える必要があります。医薬品と法規制の理解が適切な薬剤管理の基盤となり、専門職としての資格の根幹をなすのです。

臨床判断力

薬剤師が優れた臨床判断力を持つことは、患者の健康管理と医療の質を高めるために欠かせません。臨床判断力には、治療の管理問題解決の2つの重要な側面があります。

まず治療の管理では、患者の症状や健康状態を適切に評価し、最適な薬物治療を判断し提供する能力が求められます。

これには複数の薬剤に関する専門知識と体系的なアプローチが必要です。薬剤師は、病状、既存の健康問題、年齢、全体的な健康状態など、様々な要素を考慮して薬物療法を決定しなければなりません。

薬剤師の主な職場と仕事内容

病院

「病院」では、薬剤師が幅広い役割を担っています。主な業務の一つは、医師の処方箋に基づき、患者一人ひとりの症状や体質を考慮しながら最適な薬を調合することです。

また、病棟で患者に直接会い、正しい薬の飲み方を指導することで、誤った服用を防ぎ、安心して治療を受けられるよう支援することも非常に大切な役割です。

ドラッグストア

「ドラッグストア」の薬剤師は、処方箋や一般医薬品の販売が主な仕事です。しかし、単に薬を渡すだけではありません。顧客一人ひとりに寄り添い、適切な薬の選択をアドバイスすることが求められます。使用方法や注意点を丁寧に説明することで、安心して薬を利用できるようサポートすることが大切です。

さらに、在庫管理や商品陳列など、店舗運営の面でも重要な業務を担っています。このように、薬剤師は顧客への対応から店舗運営まで幅広い業務を通じて、地域住民の健康維持・増進を支える中心的な存在なのです。

調剤薬局

「調剤薬局」の薬剤師は、医師の処方箋に基づき、患者に適切な薬を調剤する重要な役割を担っています。薬の性質や効果、副作用について丁寧に説明し、正しい服用方法を指導することで、患者が薬を安全かつ効果的に使用できるようサポートします。

特に高齢者や複数の薬を服用する患者には、きめ細かい対応が欠かせません。さらに、患者一人ひとりの薬歴を管理し、医師に情報を提供することで、より良い治療につなげています。

志望動機の例文

志望動機を示す際は、自分自身の強みや価値観、目標などを明確に伝えることが大切です。その上でとても大事なことは、「なりたい理由を明確に」することです。

以下では、それぞれの職場別に分けた志望動機の例文を紹介します。

病院薬剤師

私の最大の志望理由は、医療チームの一員として患者の健康を支える病院薬剤師の役割にあります。その職能を最大限発揮し、他の医療関係者と協力しながら、適切な薬物療法に貢献したいと考えています。

過去の病院実習を通して、一人ひとりの患者の体調や生活習慣に合わせた丁寧な服薬指導の重要性を学びました。薬剤師には専門知識以上に、このような細やかな配慮が求められるスキルだと実感しました。

そうした経験から、より高度な専門性と技術、さまざまな患者への配慮力が必要とされる病院での仕事に強い志望を持つようになりました。そのため、私は病院薬剤師を強く志望しています。

薬局(ドラッグストア)薬剤師

ドラッグストアの薬剤師は、地域住民の健康を守る重要な存在です。私はその職業に魅力を感じています。

医薬品に関する幅広い知識を活かし、お客様の健康相談に丁寧に対応できることに、大きなやりがいを感じるからです。また、予防医学の重要性を伝える活動にも関心があり、教育者としての役割を果たしながら、地域の皆さんが健康的な生活を送れるよう支援していきたいと考えています。

薬剤師の仕事は単なる薬の提供にとどまらず、健康に関する幅広いサポートができる点に魅力を感じています。そのすべての能力を発揮し、地域社会の健康増進に積極的に貢献することが私の志望動機です。

調剤薬剤師

私が調剤薬剤師を目指す理由は、地域医療に携わり、一人ひとりの生活習慣や健康状態に合わせて適切な薬剤と服薬指導を提供することで、患者さまの日常生活の質を高め、健康的な生活をサポートできる点にあります。

処方箋に従い正しい調剤を行うだけでなく、患者さまそれぞれの状況を丁寧に把握し、最適な医療サービスを提供することが調剤薬剤師の重要な役割です。

こうした貢献を通じて、地元の方々の健康増進と生活の質の向上に寄与したいと強く願っています。

刺さる志望動機を作るのは転職エージェントがおすすめ

転職活動は大変な作業を伴いますが、転職エージェントの存在があなたの願いを叶えるサポートとなります。

エージェントは経験に基づき、あなたの適性を見極め、志望動機を的確に文章化します。また、企業側の求める人材像も熟知しているため、双方のニーズを上手くマッチングさせてくれます。

志望動機作成に留まらず、エントリーシートや面接対策など総合的なアドバイスを行ってくれるので、一人で悩む必要はありません。プロのサポートを活用し、本当に望むキャリアを手に入れましょう。

薬剤師の志望動機まとめ

本記事では、薬剤師を目指す上での志望動機の書き方について説明しました。

自分自身の経験や実績を具体的に記し、それらがなぜ薬剤師に求められる資質やスキルにつながるのかを論理的に構築する方法を示しました。

また、公立病院や調剤薬局など、さまざまな職場環境を想定した具体例も紹介しました。これらの情報を活用して、あなた自身の志望動機を作成してみてください。