行政書士の平均年齢や学歴・独立の適齢は?40代50代でも合格できる?
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行政書士という仕事は年齢や学歴に関係なく、誰でもチャレンジできる資格です。
この記事では、そんな行政書士の平均年齢や一般的な学歴、独立開業に適した時期などを解説します。また、40代、50代の方でも合格が可能かどうかも掘り下げて解説していきます。
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行政書士の平均年齢は何歳?
行政書士に多いのは40~50代
行政書士は年齢層が比較的高い職業です。日本行政書士会連合会の調査による行政書士の年齢層は次の通りです。
年齢 | 割合 |
---|---|
20代 | 0.8% |
30代 | 8% |
40代 | 17.3% |
50代 | 17.9% |
60代 | 35.6% |
70代~ | 19.9% |
行政書士は40代から50代が中心ですが高齢者の割合が大きいことがわかります。若手の活躍の場を広げるには業界全体での取り組みが必要でしょう。
さらに言えば、年齢層が高いということは今後行政書士は数として減っていく傾向にあると予測でき、行政書士の資格取得の優位性が増すと考えることができます。
受験者の最年少は9歳!年齢制限なく誰でも受験可能
行政書士試験には年齢制限がなく誰でも受験することができます。実際、受験者の年齢は9歳から90歳と幅広く、合格者も13歳から81歳までいました。行政書士は年齢に関係なく自身の能力を試すことができる資格なのです。
そのため、年齢によって受験を諦める必要は全くなく、何歳からでも自信を持って挑戦することができます。
行政書士として登録して働けるのは20歳から
日本の行政書士制度では未成年者も行政書士試験を受験することができますが、合格しても行政書士として実際に働くことはできません。
試験の合格者が行政書士として登録できるのは20歳以上に限られているのです。この年齢制限は、法律の専門家としての責任の重さから設けられた規定です。そのため、未成年時に合格してもその資格を活かせるのは成人した後になります。
つまり未成年者は試験に挑戦し合格を目指すことはできますが、実務に携わるためには20歳を待たなければならないということです。
独立するのは50代以上が最も多い
行政書士の業界では50代以上の人が定年後に独立して新たに仕事を始める例が多くみられます。定年の制約がない行政書士業界は、早期退職を選んだ人が自分の経験と人脈を活かして新しいキャリアを歩むのに最適な場所となっているのです。
50代以上で独立を選ぶ多くの人にとってメリットは自分のライフスタイルに合わせて仕事ができる点にあります。長年培った専門性と経験を生かしながら、ゆっくりとしたペースで働き、充実した時間を作ることができるのです。
そのため定年を迎えた人にとっても行政書士の資格を持つことは新しい人生の場で活躍する良い機会となります。高齢でも社会に貢献しながら自分の時間も大切にできる点が行政書士の魅力なのです。
若いうちから独立する人もいる
行政書士の独立は豊富な社会経験を持つ中高年齢者が主流と考えられがちですが、意欲と行動力のある若手行政書士にとっても早期の独立は有力な選択肢となり得ます。
行政書士業界の高齢化が進む中、若さそのものが新鮮な視点と柔軟な発想をもたらし信頼関係の構築や集客の面で差別化要因になる可能性があります。社会経験が浅いと感じられがちな20代でも業務経験の積み重ねやITを活用した新たな営業展開など、若さを活かせる機会は多数あります。
若手ならではの発想と行動力で、従来の行政書士業界にイノベーションを起こすチャンスがあるのです。
受験者の年齢層で最も人数が多いのは40代
年齢 | 人数 |
20代 | 7,599人 |
30代 | 9,491人 |
40代 | 11,954人 |
50代 | 11,311人 |
60代 | 6,063人 |
行政書士試験の受験者数を見ると、40代が最も多く、次いで50代、30代と中高年層の受験者が多数を占めています。ただし20代や60代など幅広い年齢層から受験生がいることがわかります。
どの年齢層においても毎年受験者数に大きな変化はなく、毎年安定した受験者数を維持している行政書士資格の需要の高さがうかがえます。
20代の受験者数が著しく増加している
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は経済状況を不安定にさせ、特に若者に大きな影響を与えました。こうした不安から安定したキャリアを求める若者が増え、将来の選択肢を広げるための国家資格取得に向かう傾向が高まりました。
行政書士はその代表的な資格の一つで20歳代の受験者数が著しく増加している一方、60歳代以上の受験者数は例年並みを維持しています。安定性の確保のために行政書士資格の取得を目指す若者が増えていて、この流れは当分続くものと予想されます。
合格率が1番高いのは30代
行政書士試験で最も合格しやすいのは30代です。その理由は、新鮮な知識に加え豊富な経験と知識を活かして臨んでいるからです。令和5年度は30代の合格率が17.8%と最も高く、他の年齢層を大きく上回りました。
一方で年齢が上がるにつれ合格率は下がる傾向にあります。蓄積した知識や経験が必ずしも試験対策に生かされないことや、仕事や家庭での時間が増え学習時間の確保が難しくなることが理由でしょう。
また、若年層も新鮮な知識の吸収力や柔軟な思考力、学習時間の確保がしやすいため合格率が高くなっています。
つまり30代は若さのエネルギーと経験の両方を兼ね備えているため合格しやすいのです。行政書士試験に合格するには単に年齢だけでなく、その年齢の特性を最大限に活かすことが重要なのです。
合格者の年代の割合
行政書士試験には様々な年代の受験者がおり、40代と50代の合格率が全体平均を上回っていることからこれらの年代の受験者の熱心な取り組みがうかがえます。一方、60代と10代の合格率は平均を下回っており、年齢による体力や学習能力の違い、準備期間の長さなどが影響している可能性があります。
しかしどの年代でも努力次第で合格は可能であり、合格者の年代構成から行政書士試験は生涯学習の一環としても有効であり年齢にかかわらず挑戦できることがわかります。
行政書士の高齢化が進んでいる理由は?
今日では行政書士業界の高齢化が進んでいます。上述したように、日本行政書士連合会の調査では登録行政書士の約半数が60歳以上であり、特に61歳から70歳までの層が最多となっています。
経験豊富な行政書士が多い一方で若手の育成が遅れていることが懸念されていて、高齢化の進展により業界の活力低下や新しい法改正への対応力低下、サービス品質の低下も危惧されます。また、引退する行政書士が増えた場合後継者不足も課題となりうるでしょう。
このような問題に対処するには若者の参入を促す施策や教育制度の改革など、多面的な取り組みが必要不可欠です。そうした取り組みを通じて新たな世代の行政書士を育成し、業界全体のバランスを維持することが重要となります。
業務のAI化
行政書士業界ではAIによる業務の自動化が進み、将来的には手続きのオンライン化により行政書士の役割が縮小または消失する可能性があると予測されています。
この"人生100年時代"において、AIに業務を置き換えられる不安から若者が行政書士を志望しづらくなりつつあり、若年層が行政書士に少ない理由の一つとして挙げられます。
働き先の減少
行政書士業界は求人不足などの理由から新規参入が困難な状況にあります。行政書士はデスクワークが主体であり、AIの発展により高齢者でも業務が可能となったことから経験者が個人事務所を開業する機会が増えています。
このような状況が業界全体の高齢化を招き、若年層の新規参入を阻害しているため、平均年齢が高くなってしまっている現状があります。
独立していれば定年がない
行政書士は起業家として自らの職業生活を自由に選択できる権利を持っています。個人事務所を運営しているため一般的な定年制度の対象外だからです。行政書士として働き続けるかどうかは自分で決められ、廃業する意思がない限り基本的に職務を続けられます。
実際、看板は掲げているものの業務をほとんど行っていない高齢の行政書士も存在しており、高齢化する中でも活動を継続できる特性を垣間見ることができます。
公務員から行政書士になる方も一定数存在する
上記の理由に加え、公務員から行政書士へとキャリアチェンジする方もある程度存在するということも高齢化の要因の1つとして挙げられます。
公務員としての勤務経験が17年(または20年)以上ある場合、行政書士試験に合格することなく行政書士登録を行うことができます。そのため、早期退職後に新たなキャリアとして行政書士事務所を開業するという選択肢をとるということができるようになっています。
したがって、40代以上の行政書士が毎年増えていくということが自然と納得できることでしょう。
行政書士に学歴は必要なのか
行政書士になるには
行政書士を目指す人はどのようなステップを踏めば行政書士になれるのでしょうか。
最も一般的な方法は行政書士試験に合格することです。この試験は法律系の知識を問われますが、合格すれば誰でも行政書士になれます。
また、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士のいずれかの資格を持っていれば、その資格を活かして行政書士になることもできます。
さらに「特認制度」を利用する方法もあります。これは一定年数以上公務員として勤務した経験者を対象とし、試験を受けることなく行政書士になれる制度です。
このように自身の経験や能力、目指す将来に応じて最適な道を選び、行政書士という目標を達成することができます。
行政書士に学歴は不要
行政書士試験には学歴や国籍に関係なく誰でも受験できます。さらに未成年者でも受験可能なため、自分のタイミングで行政書士を目指すことができ、様々な背景を持つ人々が行政書士の道を選べます。
そのため行政書士を志す方は学歴にとらわれず、自由に進路を選択をすることができ、この点が大きな特徴の一つとも言えます。
受験者の中には高卒の方もいる
行政書士の資格取得には学歴は問われないため、高校卒業の学歴でも十分に挑戦できる試験です。実際、受験者には高卒者の方も一定数います。合格率は10~15%程度と難易度は決して高くありませんが学歴よりも着実な学習と努力が何より大切となっています。
つまり、高卒の方であっても本人の意欲と努力次第で行政書士への道が開かれています。学歴に捉われず、自らの力で未来を切り拓く選択肢として行政書士資格はあらゆる人に公平なチャンスを与えてくれる試験なのです。
行政書士試験の合格率と難易度
行政書士試験は合格率が10%と低いため、受験者の9割が不合格に終わるという厳しい現実がありますが、他の資格試験に比べれば努力次第で合格できる可能性があります。
試験問題は法律や制度に関する幅広い知識が求められかなりの量がありますが、必要な知識を確実に身につければ合格は十分に可能です。低い合格率と多くの努力を要する反面、その難易度を乗り越えることこそが合格への近道となるのです。
合格率の推移
行政書士試験の過去10年間の合格率を見ると大きな変動はありませんが、合格率が一貫して低いことが分かります。これは試験内容が難しく幅広い知識と高い理解力が必要とされているためです。
合格率の推移から行政書士試験の難易度が窺えます。志望者は多いものの合格するには十分な準備期間と努力が求められ、そのために受験前には自身の弱点を補う具体的な学習計画を立てることが重要です。
行政書士は就職に有利?
求人は2種類
行政書士の資格を持つことは就職において有利ですが、その求人は大きく2つの種類に分けられます。
1つ目は行政書士としての専門性を活かせる企業や官公庁での求人です。法務やコンプライアンス部門では高度な知識が求められるため、行政書士の資格が重視されます。2つ目は行政書士の資格に加えて他のスキルや経験も求められる求人です。
事務職や営業職などではコミュニケーション力や業界知識なども重要視されます。行政書士の資格は一般的に有利ですが、自身のスキルや志向するキャリアを踏まえ最適な職種を選ぶことが肝心です。
士業事務所で即戦力となる
行政書士資格を持つことは士業事務所での求人において即戦力として高く評価されます。行政書士事務所はもちろん、弁護士事務所や社会保険労務士事務所でも行政書士の知識とスキルが事務作業に大いに役立つため積極的に行政書士を採用する傾向にあります。
しかし、実際の求人数は少なく、企業が多い都心部では求人が多いものの地方では少ない状況です。また士業事務所での給与水準は比較的低く、長期勤続しても昇給は限定的です。そのため即戦力として歓迎される一方で長期的なキャリアや待遇面では慎重に検討する必要があります。
一般企業で法律関連の手続き全般を扱う
行政書士は企業活動において欠かせない存在です。企業経営において許可申請や行政手続きは避けて通れず、行政書士の法律知識が重宎な役割を果たします。
大手企業では法務部門が対応しますが中小企業では行政書士を専門スタッフとして雇う傾向にあり、特に小規模企業では家庭と両立できるパート雇用の需要も高まっています。
行政書士の資格は企業における多様な業務を遂行する上で有利に働き企業からも高い評価が期待できるでしょう。
行政書士の就職・転職のしやすさ
行政書士の資格は就職や転職において一定のメリットがあります。法律関連業界、特に士業事務所では行政書士の資格は大きな強みとなり、資格保持者は高く評価される傾向があります。ただし募集件数が少ないのが懸念点です。
一方で、一般企業においても総務部や法務部などで行政書士の特性が求められる場合があり、活躍の場は存在します。就職活動では行政書士の高い難易度からも、合格者が優れた人材として評価されることが多く、企業が求める方向性と合致すれば採用される可能性が高まります。
行政書士未経験なら20代・女性が有利
行政書士として就職する際は20代の未経験者、特に女性が有利となります。企業側は長期的な視点から若い人材を重視しており、20代は組織の将来を担う有力な人材と見なされています。
一方、実務経験を求める士業事務所は未経験者の採用を避ける傾向にあり、細かい作業への丁寧さや対人スキルなど女性ならではの長所が評価されます。このように20代の未経験の女性には行政書士として就職する上で有利な条件が備わっているのです。
行政書士で就職する人が最も多いのは30代
行政書士試験の合格者の最も多い年代は30代であることから、行政書士の資格を活かして就職する年代は30代が最も多いことがわかります。
しかし、資格取得後すぐに必ずしも資格を生かした仕事に就くわけではありません。就職の時期は個人の経験や企業の状況など様々な条件によって異なります。
一般的に若年就職の方が有利とされる傾向があり、高年齢での資格取得後の初めての就職や転職は難しい場合が多いです。
したがって30代以降でも就職を希望する場合は、行政書士の資格を強みとしながら、様々な経験を積むことが重要です。
行政書士の平均年齢のまとめ
この記事では行政書士の平均年齢や合格率について紹介しました。
行政書士は難易度は高いながらも、年齢や学歴にとらわれず、強い意志と努力さえあれば、誰でも合格を目指すことができる資格です。
30代から40代が独立する人が多いですが、40代や50代でも十分に合格できます。
ぜひこの記事を活かして行政書士資格取得の第一歩を踏み出してください!